あらすじ
同じモンゴル族のタイチウト氏がテムジンを狙っていた。南の地で蕭源基と出会って『史記』に触れ、ボオルチュという従者を得たテムジンは、それを知りつつ父祖の地に戻る。そして、モンゴル族をひとつにまとめるために旗を掲げ、自らの存在を知らしめるために、ボオルチュに加えて、槍の達人ジェルメ、弟のカサルを連れて、4騎で草原を疾駆することを決意した。だがある日、テムジンたちの行く手を塞ごうとする20騎が現れる・・・・・・。一方、モンゴル族ジャンダラン氏の血気盛んなジャムカは、北方のメルキト族と対立していた。ジャムカはテムジンと同年齢で、同じくモンゴル族としての誇りを持っていた。ますます目が離せない展開が続く第二巻。
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テムジンの麾下に人が集い始める第2巻。
槍の達人ジェルメに続き、無双の射手クビライ・ノヤンが加入。そして、盟友ジャムカとの邂逅。
挙げればきりがないが、この巻で1人に絞るなら敢えて女性、テムジンの許嫁ボルテを選びたい。ボルテ登場の描写は簡潔だが、胸を打つ。
これは英雄の物語だが、志と戦だけではない。純粋な愛の形までさらりと書いてある。凄い。
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これほどの登場人物が居て、お互いに喜怒哀楽な感情を持っていて複雑に絡み合っているにも関わらず、頭に内容がサクサク入っていく描写の描きかた、表現の想像しやすさなど小説を読むと言うよりも映画館が手元にある様で、満足感が第一作と同じいや、それ以上にありました。
これから第3作を読む予定ですが、とても楽しみでどんな冒険が待ってるのだろうかとワクワクしながら日々を送ろうと思います。
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因縁が絡み合い、各々の背景が積み重なる
読み進めるほど面白くなるだろうという予感を深めた2巻
テムジンは破壊だけではなく、創造に目を向けている
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モンゴル地区の人名に少しずつ慣れてきたが、タイチウト氏の長の一人のタルグダイにガラムガイという副官や、別にチルギダイとかいて、ときどきわからなくなったりする(笑)。北方さんの描き方は全てのキャラの生き方のそれぞれ焦点を当てる形なので、単なる英雄譚ではないところが三国志のときと同じでとても嬉しい。この巻では預言者の萌芽があるテムジンの弟は今後活躍するかと思ったけど、運命の輪は厳しく回転し、ちょっと意外だった。
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モンゴルを舞台とした大スケールの長編、第2巻。帰郷したテムジンの物語が「鳴動」していく。
旗上し、軍を整え、戦う。出会いや別れがある。
今作は、戦さ準備のシーンが多く、物資や人材といった資源の調達、馬や兵の訓練、部隊編成、根回しといったものがひたすら続く印象。
その中の人間ドラマから、だんだんと各人物像が見えてきて、特に、後半のある悲劇からの流れは熱いものがありました。ジャムカやボオルチェが良き。
毎月の文庫本刊行は、1月現在で既に4巻まで出ており、差は縮まってませんが、自分のペースで彼らの物語を共に駆けていきたいと思います。
Posted by ブクログ
モンゴル族内での争いが描かれている。それぞれの勢力で戦力が徐々に拡大していく様や、同じ志を持つ仲間が加わっていく過程も書かれているのでストーリー性も高い。トップとなる人物の視点が次々に切り替わっていくので、各勢力の立ち位置や思惑などが透けて見える点も面白い。一巻と比べると闘いの場面も増えてきて、話が大きく展開された印象であった。これから先が非常に楽しみ
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1巻を読み終わり、すぐさま第2巻へ突入。展開して来ましたね、話が広がりますね、登場人物が増えますね・・・
キャト氏をどうするのか、テムジンの基礎がだいたいわかって、次は急展開しそうです。
いったん他の本を読んでお休みしようっと。
Posted by ブクログ
「タルグダイもトドエン・ギルテも十戸の遊牧民を抱えているぐらいでちょうど良かった。それが何千戸、何万戸だ。俺は、やつらの覇権は認めないぞ、テムジン。モンゴル族は、ひとつになるべきだろう。でなければ、メルキトにもタタルにも勝てない」
「俺はいま、タイチウトを見ているしかないのだよ」
「俺も、西のメルキトを見ているしかない。つまらない話だよな」
メルキト族も、ケレイト王国も強大で、西のナイマン王国は、もっと強大なのだという。さらにその西に西遼があり、この国は金国と比肩しうるかもしれない。
「俺たちは、どういう時代に生まれたのだろうな、テムジン。ただの草原なのに、いくつにも分かれ、まるで戦を好んでいるようにも見える」
「戦に勝ち抜かなければ、死ぬ。そういう時代なのだ、と俺は思う」
「そのために、毎日兵の調練をする。俺は嫌いではないのだが、兵の身になると、いささか同情したくなる」
「俺も同じだよ、ジャムカ。しかし、戦はなくならないよな」(261p)
生涯のライバル、テムジン(チンギス)とジャムカは、幸福な出会いをした。
2人の会話は、図らずも12世紀の北アジアの勢力図を表し、のちの覇者たちの平和観をも顕(あらわ)にした。
中国大陸では彼らの千七百年前から「戦はなくならない」ことが世界だった。テムジンたちの祖先、匈奴が歴史の舞台に登場する以前から、春秋戦国時代、戦争は高度に発達していた。確かに「勝ち抜かなければ、死ぬ」。そうならないために何をするべきか、という発想から始まらざるを得なかった。
日本ではそうではない、ということを、わたしは日本の考古学を通じて証明しようと思っているが、一方、日本ではない世界のことを、この小説を通じて学んでいきたい。
テムジンはやはり自前の「製鉄」にこだわっていた。まるで3世紀の日本のようだ。大同府で司馬遷『史記』を読み込んだテムジンは、また単なる戦の戦術のみではなく、戦略をも身につけたようだ。テムジンは、元吹毛剣の所持者楊令の如く超絶的な強さを持ち合わせてはいない(それで一度大怪我をする)。けれども彼には「広い視野」がある、という事が2巻目にして見えてきた。ーー北アジア、未だ混沌の底にある。