あらすじ
モンゴル族を統一し、さらにケレイト王国を滅ぼしたテムジン。弟のカサル、テムゲ、長男ジョチらに出動を命じ、タヤン・カンが統べるナイマン王国との戦いを進める。そのナイマン王国の大軍の中に、ジャムカの千五百騎が、ホーロイ、サーラルとともに潜んでいた。崩れたナイマン軍を見届けて馬首を回したテムジンは、眼前にあるはずのない旗を見る。ジャムカ! とっさに吹毛剣を抜いたテムジンだが、すさまじい斬撃を受けて落馬する・・・・・・。――モンゴル族を統一したテムジンは、ついに〈チンギス・カン〉を名乗る。一方、ジャムカとの因縁も決着、さらなる統一へ向かうことを決意する衝撃の第9巻!
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Posted by ブクログ
物語も中間点に到達し、テムジンがいよいよチンギス・カンになる!
ジャムカ軍との戦闘シーンも読みごたえあり、一気に読んじゃった感じです。
後半の展開も楽しみになります。
Posted by ブクログ
草原を統一しても視線の先には常に…。長年の因縁に終止符が打たれる、ハードボイルドなラストは深い余韻を残す。テムジン改めチンギスが最後にみせる心のうちが象徴的な巻。シリーズはやっと折り返し。刊行スタートした新シリーズ「森羅記」も気になるが、チンギス死後の話なので順を追って…今しばらくの我慢。
Posted by ブクログ
西夏やキルギスではなく、椎間板ヘルニアと戦う三連休で読書量激減中(笑)。 チンギス以外の前半の主要登場者が順に影が薄くなり、大河の物語が進行している。この巻は、とうとう永遠のライバルとのお別れの巻。モンゴル帝国に向けてスタートする。
Posted by ブクログ
テムジンは、立ち上がった。
座が、しんとした。全員の顔を、ゆっくりと見渡した。
(略)
「モンゴル族も、もうない。草原の民だ。かつてタタル族がいたが、それもない。草原の民だ。ケレイト王国があったが、もうない。草原の民だ。このテムジンの下にいるかぎり、すべて草原の民で、なんの違いもない。モンゴル国という名は、俺がそこの出身だから、ついただけのことだ。やがて、あたり前のことになるが、いまはおまえたちが、それを心せよ」
テムジンは、もう一度、ゆっくりと全員を見渡した。
「新しいことが、はじまる。俺は今日、チンギスという名になった」(143p)
オノン河の辺りの大会議で、テムジンは「チンギス・カン(王)」となった。これ以降、公式にはチンギスと呼び、自称するが、本書で「チンギス」の由来は一言も述べられなかった。「チンギス紀」と称しているのに異様だ。其処に作者の意図があると見なければならない。ただ、草原に巨大な王が誕生した。前巻でケレイト王国、今巻でナイマン王国を一挙に制圧し、西夏の鉄鉱山を掌握して西夏軍を破った。何処まで行くのか、行くつもりなのか。廷臣も、もしかしたら本人さえも、一切わからない。
填立に拾われた少年・侯春はやはり梁山泊・侯真の孫だった。梁山泊・宣凱も亡くなった。流通の道は、楊令の目指した道なのか、何処かで確かめて欲しい。
ジャムカ
モンゴル族ジャンダラン氏長
キャト氏長テムジンと同年也
年少時最困難能く克服も同也
青年時切磋琢磨、相互盟友也
日輪英雄相不並、干戈数度交
二度能くテムジンに深傷を負
ナイマン王国決戦で虎包囲す
独虎はチンギスと語らい死す