【感想・ネタバレ】チンギス紀 十三 陽炎のレビュー

あらすじ

ホラズム・シャー国の皇子ジャラールッディーンは、ゴール朝との闘いに参加した。チンギス・カンの孫ヤルダムは、スブタイの指揮下に入ることを命じられる。礼忠館を継ぐかたちになったトーリオは甘蔗糖を商うために南の国へと向かうが、その際、部下の呂顕が岳都で育ったことを知る。西遼を殲滅するために進軍したジェベは、先に鎮海城を襲撃した獰綺夷と対峙した。ダライ・ノールでひと冬を過ごしたチンギス・カンは、返礼としてホラズム国に大規模な使節団を派遣する。彼らはホラズム国のオトラルを経て、サマルカンドに向かおうとしていた・・・・・・。運命を分かつ事件が起きる、好評第十三巻。

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Posted by ブクログ

 マルガーシの父親のジャムカは、戦ではチンギス・カンを上回っていたかもしれない、とテムル・メルクは考えていた。
 草原の戦を分析すればするほど、ジャムカという武将の凄味はわかった。
 ただ、チンギス・カンと較べて、ジャムカには足りないものが間違いなくあった。
 国を作りあげていく力だ。それは軍を作りあげる力とも同じだった。
(略)
 チンギス・カンが、何度かぎりぎりのところまで追いつめられたのは、ジャムカの精鋭の力だったのだろう。
 しかし闘うたびに、チンギス・カンの軍は堅固になり、ジャムカの軍は精鋭だけになっていった、とテムル・メリクには見えた。
「戦は、強さだけで決まるものではないな。なにか、別のものが作用する。マルガーシ殿とぶつかって、俺はいつもそう思った」(367p)
モンゴル国の版図は、今や金国、西夏、西陵を飲み込み、西の大国ホラズム国に迫りつつあった。テムジンは最初から鉄の産出に拘り、ボオルチェは兵站の道をつくってきた。そのモンゴル国の勢いに飲み込まれる前に、ホラズム国は叛旗の狼煙をあげたのである。ホラズム40万とモンゴル15万が、サマルカンドを目指そうとしていた。チンギス紀、おそらく最大の戦いの準備の巻になっている。
⸺大地が揺れていた。
 丘も草も、木立や岩も、陽炎(かげろう)の中にあった。
 チンギス紀1巻の冒頭文である。

毛仙光・ボロクル
或金国文官戦中に於いて独り死す
元金国福興元帥の部下頭良く頑固
元同僚耶律楚材と同じく兵站を担
汗弟テムゲ将軍自ら毛の拷問を担
毛身体精神毀行即ち非人傀儡と化
テムゲ将軍心鬼将に金国軍を罠す
完顔遠理金将軍即ち罠を返し策す
ボロクル蒙将軍嘗て戦場の孤児也
テムゲが拾いあげて母営地で育つ
テムゲの九死を拾い上げて戦死す
毛之死は愚也ボロクル之死は可悲

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2025年12月14日

Posted by ブクログ

今回は戦闘少なめのややおとなしめのお話で、ホラズム国との開戦前夜的な回でしょうか。あと完顔遠理がうろちょろしたり、トーリオが南に行ったり、そんな感じです。

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2025年10月31日

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