篠田節子のレビュー一覧
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ジャーナリズムの世界に飛び込んだ主人公の寿美佳は、素人が発信する大量の低俗な情報と競いながらもなんとかフリーのジャーナリストとして生き残って来た。
ある日、発生生物学分野のクセナキス博士の妻と名乗る女性から、主人を救い出して欲しいとの依頼があった。
当時の保守政権下のアメリカ大統領から、博士が訴追される事態に追い込まれ、その直前に博士はオーストラリアに逃れた。
しかしオーストラリア政府はアメリカに忖度したのか、政治犯として博士を逮捕し、摂氏60度に達する砂漠の真っ只中に存在している悪名高い精錬所を併設している鉱山で、博士は強制労働に充てられているとの噂があった。
その地から夫を救ってくれと云う -
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Posted by ブクログ
1990年代に一大ブームを巻き起こした画家ジャンピエール・ヴァレーズ。バブル期の大衆の心を掴みながら、美術界からは黙殺され芸術家の扱いすらされなかった”終わった画家“。
美術系編集者として仕事一筋でやってきた有沢真由子は、かつて鼻で笑っていたヴァレーズの作品に30年の時を経て対面し、不覚にも安らぎを覚えてしまう。
なぜまた今ヴァレーズなのか?ヴァレーズブームとはなんだったのか?
画家本人を取材するため単身訪れたハワイで真由子が掴んだものとは…
面白かった〜。
かつてのブームを知る人なら誰でもクリスチャン・ラッセンを思い出すね。
美術界から芸術扱いをされなかったにもかかわらず売れに売れ、大人気 -
Posted by ブクログ
出版社に勤める真由子は、バブルが弾けた後、日本中で売れた、海洋生物や海を鮮やかに描いたヴァレーズの絵画の原画展があるというので足を運ぶ。ギャラリーはやや怪しい売り方をしていた。ヴァレーズブームとは一体なんだっのか総括する本を出そうと彼の住むハワイに向かう。
どう読んでも、クリスチャン・ラッセンの事を連想せずにはいられない。芸人永野が「普通に、ラッセンが好き」と言うあれだ。しかし小説は多分ほとんどがフィクションで、ラッセンとは関係がないのだろうと思う。ヴァレーズや周囲の人間について意外な事実が飛び出してきて、ミステリーになっていた。これが意外なほど面白かった。 -
Posted by ブクログ
銀婚式というタイトルからイメージしていたストーリーと良い意味で違っていた。
男性が主人公なので、男性ぽい価値観や行動が印象的だった。が、作家さんは女性であり驚いた。
ジェンダーレスの時代を生きる男性が、この主人公の年齢になった時、共感するのはどんなところなんだろう。
そんなこと思う自体が間違っるのか…。
どんな時代になっても、人は必ず老いていく。
ひとりで生きていける強さも必要だけど、誰かと支え合うための強さと優しさも必要な気がする。
気づけば銀婚式だったという、時間の流れは尊く、そこに家族や愛おしい存在があることは本当に奇跡でしあわせなことかも。
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Posted by ブクログ
ネタバレリアリティのある文章。恋愛と結婚、男女関係、信仰、社会的地位、男社会の競争。欲のままに生きた等身大の男の人生と、どこか冷静でありながらも父の残像を追いかけ辿ろうとする次女の決意。他人事にはなれない物語がそこにはあって、引き込まれた。
康宏は紘子を青臭いと揶揄していたが、康弘こそ青二歳のままだったと思う。
結婚、家庭、孫という安定的で凡庸な幸せに満足せず、一時的な同情や情事に自分の存在意義を見出さそうとしていた。
四国遍路での結願を経て、漸く家族のもとへ戻ろうとした時に命を落とした。自分勝手に生きた代償なのか、
康弘を家族のもとへ帰ろうとさせた動機は、四国遍路の終了が主ではない、気がする