篠田節子のレビュー一覧
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三十代半ばにして、実家を出てマンションを購入した香織だが、隣家が事故物件になったり、ヤクザ者が住み着いたりと、後悔にかられることになる。
その後、理事長に就任することになり、欠陥マンション疑惑まで出てきて、右往左往することになるのだった。
篠田節子の小説は、歯切れよい文章で読みやすく、一日で読んでしまった。
主人公の香織が、案外気が強く、心の中で悪態をついているのも面白い。
真面目な管理人さんにくらべ、個人情報ダダ漏れのお掃除のおばさんや、副理事長の遠藤など登場人物も個性的だった。
マンションのあれこれについて、いろいろ勉強にもなった。 -
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両親の死去により同居していた実家を4人の娘を持つ妹夫婦に譲り渡し、埼玉の西武線沿線の3LDKの分譲マンションに引越した公認会計士事務所に勤める30代独身の小坂香織。
隣室の自殺騒ぎから否応なく増えたマンション内の近所付き合いに困惑しつつ、徐々に人間関係が広がっていく。
長年担当した男性の後を受けて仰せつかった理事長として、騒音、AV撮影などの小さな苦情から始まり、修繕積立金流用疑惑、管理会社への不信、施工不良と徐々に深刻度を増す案件に巻き込まれる中で、持ち前の正義感や責任感からか、やらされている感のあった理事長業務にも本腰を入れるようになり、最後には爽やかな達成感を覚え、共に戦った理事会メンバーに仲間意識を持つに至る経緯は香織の成長譚でもある。
シリアスな作品も多い作者だが、「斎藤家の核弾頭」や本書のようなドタバタ劇も楽しい。 -
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主人公の30代独身女性・小坂香織は、両親が亡くなったのを機会に、都心からかなり離れた実家は妹家族に譲り、通勤に便利な埼玉の地に中古マンションを30年ローンで購入した。
「ヴィラージュさやまの森」に入居するや否や、隣室で若い引きこもり男の自殺事件が起き、事故物件を抱えるマンションとなる。
その事故物件に入居してきたのが若い清楚な女性だったのだが、どうやら暴力団関係者らしく、部屋には次々とそれらしき男たちが訪れて、酒盛りなど騒音問題を引き起こす。
しかしその部屋には幽霊らしきものが現れるようで、男たちは恐れ慄いて早々に引き上げて行く。
その後には老人が入居し、若い人から先生と呼ばれていたこともあり、まさか新興宗教の教祖なのではと香織は訝しむ。
香織は何故こんな物件を購入してしまったのかと、後悔の日々を送っていた。
そして不運とも言えるのがマンションの管理組合の理事長を引き受けざるを得なくなってしまったことだ。
急にマンションから退去した前理事長が絡む修繕積立金の不正流用、そして欠陥マンション疑惑など、素人女性が背負い込むには重すぎる難題が発覚する。
深刻な問題ながらも、勝ち気な香織が吐く独り言や、気風の良い掃除お婆ちゃんのタケコの行動、生真面目で仕事に対して常に真摯な態度の石山、前理事長の時から副理事長を担っていた中年独身男性の遠藤と、なかなか個性的な人物たちがユーモアを絡めながらマンション自治に対峙する場面が面白い。 -
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短編で不思議な話や心温まる作品などたくさん入っていて楽しいアンソロジーでした。
作品の色が出ていて読んでいて楽しかったです
飛び出す、絵本 恩田陸
十一月の約束 本多 孝好
招き猫異譚 今江祥智
白ヒゲの紳土 二階堂黎人
本屋の魔法使い 阿刀田高
サラマンダー いしいしんじ
本棚の片隅から 柴崎友香
読書家ロップ 朱川 湊人
バックヤード 篠田 節子
閣魔堂の虹 山本 一カ
気が向いたらおいでね 大道珠貴
さよならのかわりに 市川 拓司
メッセージ 山崎 洋子
迷宮書房 有栖川有栖
本棚にならぶ 梨木香歩
23時のブックストア 石田衣良
生きてきた証に 内海隆一郎
The Book Day 三崎亜記 -
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弥勒を読んだ勢いで読む。「弥勒」の後と勝手に思い込んでいて、なるほど「弥勒」味があるなと思っていたら、直木賞を取った「女たちのジハード」よりも前の作品なのね。だから「弥勒」が「ゴサインタン」味があったのだ。本書は東京の西に住む冴えない40男のもとにネパールから嫁いできた女性がもたらす宗教味の強い出来事と、それに翻弄された主人公がついに行き着く場面まで、いくつもの物語としての転機を持ちながら描かれていく。女性が奇蹟というか秘蹟的なことを起こした時点で、あぁこういう話ね、となんとなく納得というかやめようかなと思っていたら、終盤の主人公の行動にある意味期待感が高まり読むのをやめずに良かったと思えた。こういう形での男の再生は男性作家の多くが描けないという気がする。
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登場する三人の40歳代となる長女たちは、高齢化社会の陰で責任を一身に背負い、過酷な状況に置かれた人達だった。
男の兄弟や次女、三女たちは何気に苦境から逃げ切るかのような生き方が可能だが、責任を一身に背負ってしまう性格の長女にとっては、自由さえ遠い存在となる生き方を歩まなければならない。
そんな生き方を選ばざるを得なかった三人の長女たちの中編からなる物語だ。
⚫︎家守娘
認知症を患う母親の介護のため、キャリアと恋を諦めて自宅に縛り付けられる長女。
自らの自由は求められないのか⋯
⚫︎ミッション
自由な生き方を模索して生きてきた長女は、一人暮らしにした父親を孤独死させてしまう。
その贖罪の念に悩む長女の心情が綴られる。
⚫︎ファーストレディ
心情的に良好な関係ではなかった母親が、重度の糖尿病を患う。
救うためには腎臓移植が唯一の術だが、母親に提供するべきか悩む長女。
ここに登場した主人公の長女たちは、社会的に自立した人たちだ。
自立した長女は、様々な問題を抱えることになると云う一面が宿命的にあるように思える。
男女雇用機会均等法が1986年に施行された後、若い女性たちが口にしたのは「女性の自立って大変だから、私はいらない」と、笑いながらインタビューに応えていた報道を思い出す。
昔は人生50年などと言われていたが、今や人生100年時代だから大変な問題なのは明らかだが、解決策は見当たらないのが実情だ。 -
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インドと言えば、『近年目覚ましい経済発展と共に、優秀な人材が世界各国を席巻している』又は、『明るく笑えるボリウッド映画』というステレオタイプなイメージしか無かった。
なんと無知だったかと思い知るとともに、世界各国の観光地でみられるインド人旅行者は、相当に恵まれた人々なのだと改めて感じた。
この小説が初出版され、既に10年以上の時が経っている今も表面化しづらい形でカーストや差別が蔓延っている事を思うと歴史と文化が異なる日本人にとっては難解なのだと思った。
本書はビジネスサスペンス?アドベンチャー?的要素の中にロサというインドの複雑なカーストに沼ってる才女の哲学的思考が複雑に絡まりとても興味深く、一気に読み切ってしまった。