篠田節子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
面白かった。
●非常によく練られた物語だった。
●当時のラッセンの絵を思い出す。
●まさか、それをモチーフに、こんな壮大な嘘の物語なんて、話の冒頭では想像出来なかった。
●この物語は個性的なキャラクターが多くいて、特に最初は、主人公の年老いたキャリアウーマン、凄く地味なキャラクターだと思っていたら、巧みな取材能力でヴァレーズに関する核心に迫り、海玲の大麻クッキーなど巧妙な手口を見破るなど、想像できないキャラクターで、対する大麻クッキーなど、巧妙な手口を使う海玲やゴーストライターのグラントササキなど、癖のあるキャラクター盛り沢山で、ストーリーを終盤まで盛り上げている。
●ラストも最初は物足り -
Posted by ブクログ
タイトル通り不思議な世界に連れ込まれる四遍の白昼夢のお話。「多肉」だけが不穏な空気感で、ゾワゾワした。アガベに取り憑かれた男が、妻、息子、母を失い、仕事、金、人との繋がりも全て遮断しアガベとだけの世界で生きていく。その先に待ち受けていた最後は?
篠田節子さんといえば「女たちのジハード」。
若い時に読んで共感と感動の嵐だった!
そして、2年前のこの一冊。気づけば篠田節子さんも70歳をこえている。描く世界のなんと深淵で慈悲深いことか!円熟した作家さんというのは、こういう文章とストーリーが書けるのか!
今回は、また違った感動に震えた。
「屋根裏の散歩者」
お気に入りの賃貸戸建に住み始めたが、屋根 -
Posted by ブクログ
ネタバレ膨大なボリュームだが読む手が止まらない。自分とは比べ物にならない強靭な人物にすり替わることで半田明美は崩壊していった。
女性たちに対する容赦ない描写はこの著者ならではで本当にうまい。
キリスト教の「神は貧しく小さくされた者とともにある」という教えが通底している。
P424 「親身」が通用しない場合もある。時には腫れ物にさわる慎重さや冷めた視線、そして必要と判断したら白百合会を通して専門家に助けを求める臨機応変さも必要だ。
P629 矛盾に引き裂かれても、立場と行動は簡単には変えられない。自分の思考と感情を行動と立場に合わせて変えるほうがはるかにたやすい。【中略】それが極限まで行けば、思考と -
-
Posted by ブクログ
これは一人の男性が、自分の人生の責任を認識するということをテーマにした小説と捉えた。
この類の男性の通過儀礼をテーマにした小説は多々あるが、本作はそれらの作品とは一線を画した、ジェンダー問題への鋭い示唆に富んだ作品だ。
ある出来事が起きて、「俺は変わったんだ」という言葉と共に、何も変わることなく生きている男性は多い。
口だけではなく実際に新たな責任を背負うためにはとても困難な認識の変化が求められるが、それは革命的な転換ではなく、牛歩的なプロセスであることを本作は示している。
主人公の行動描写と内的描写が撚り合わさり、その遅々とした歩みを描き切っている点、本作は未来を先取りしていると感じた。 -
Posted by ブクログ
ハワイ在住のジャンピエール・ヴァレーズが描くマリンアートの作品を巡ってのミステリー。
新聞社の社員としてアート誌の編集に携わっていた主人公の有沢真由子は、50歳の誕生日を迎えた日に熱海のホテルでジャンピエール・ヴァレーズの絵と出会う。
過去にブームだったジャンピエール・ヴァレーズの絵だが、再度ブームの兆しがあるのだろうか⋯。
以前の真由子は、芸術性とは程遠いヴァレーズの絵を鼻先で笑って相手にもしていなかったのだが、何故かホテルで出会った時に惹かれるものを感じてしまう。
真由子は何故に今となってヴァレーズが描いたマリンアートに心を動かされたのかを自らに問う。
その結果、ヴァレーズの価値を再検証 -
Posted by ブクログ
篠田節子さんの作品は女たちのジハードぶりの2作目で
夏だし、と思って表題で手に取りました。
パンデミックの話で、コロナの以前に描かれた本でしたが予防接種の薬の認可やみんな家に引き篭もり、閑散とした町や飲食店、まるで予言していたような本でびっくりしました。
作者の医療や行政についての知識にも感嘆しますし、この作品を描くにあたりさらに資料を集めたり様々な調べものや取材などされたであろう事にも思いを巡らせてしまいました。
さて、小説としては、医療や行政の話としても感慨深く読めますが、わたしとしては登場人物ひとりひとりが個性的に描かれていて読んでいて楽しかった。小西、普通のサラリーマン、よけいな波風立