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〈第10回 中央公論文芸賞受賞作〉
山峡ドルジェ社長・藤岡は、開発用水晶をインドの村から入手する手筈を整えたが、やがて納品物の質は落ち、すり替えも発生。
現地に飛んで村組織を問いただすも、採掘に関わる人々に死や病など災いが生じていると突き返され、日本流の交渉が全く通じず難儀する。
かつて「生き神」だった少女ロサと再会するが、彼女は藤岡に負の予言を告げるのだった。「ここの水晶は、掘り出す人にも、持ち出す人にも、持っている人にも、良くないことが起こる」
そして更に事態は悪化。ロサは以前雇い主に「邪な種」と称されていたことを藤岡は思い返す。
州の役人により採掘が禁止され、窮地に陥った藤岡は……。
連続死、監禁と凌辱、反政府集団による襲撃…
「処女神」だった少女の運命は。
とてつもない密度の混沌と耀き
一気読み必至、圧倒的筆力で描く社会派エンタメ超大作!
解説=温水ゆかり
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Posted by ブクログ
全てを理解するのが難しいと思えるほど、
インドは広い。
歴史、風習、宗教、経済、文化があまりにも違いすぎ、多種多様といった言葉では形容するにはあまりにもインドという国が抱えている闇が深い。
2025年現在世界一の人口を抱え、指定部族の数は600以上ある。インドという1つの国にまとまってはいるが、ここまで文化が違えば別な国と思ってしまうほどだ。
また、この物語を複雑化させているのは、
イギリスの植民地時代の名残り、馴染みのないカースト制度だろう。
古い慣習に囚われ、自由もなく、虐げられ、暴力によって支配された世界が少しずつだが、変わっていく希望の物語であると思うが、自分の目で確認できることができれば幸いだ。
Posted by ブクログ
面白かった!
ロサが思ったより登場せず、水晶ビジネスにボリュームが割かれていたのが、ちょっと意外でした。
甲州商人、インドで大奮闘です。
インド人ののらりくらりとした交渉術、全くどうしたらいいやら読んでいるこっちまで頭抱えました(笑)
生き神として讃えられてきた少女ロサとインドとクリスタル。
科学では証明できない不思議な世界に誘われるのかと思いきや、海外で戦う日本のビジネスマンの苦労や、自然災害の影響で経営に四苦八苦する現実的な様が描かれていて、読んでいるものを飽きさせません。
最後は藤岡社長が、ただのウザイおじさんに見えてきたのですが、どうなんでしょうか。
表情が乏しく何を考えているかわからないロサですが、食事だけは元気にモリモリ食べる描写からするに、藤岡社長には可愛くみえたってことなのか。
余談ですが、徳永さん。
インドの駐在長いなと思ったら、最後はタイにいってしまうあたり、現実でもそんな人がいるような気がします。
Posted by ブクログ
インドと言えば、『近年目覚ましい経済発展と共に、優秀な人材が世界各国を席巻している』又は、『明るく笑えるボリウッド映画』というステレオタイプなイメージしか無かった。
なんと無知だったかと思い知るとともに、世界各国の観光地でみられるインド人旅行者は、相当に恵まれた人々なのだと改めて感じた。
この小説が初出版され、既に10年以上の時が経っている今も表面化しづらい形でカーストや差別が蔓延っている事を思うと歴史と文化が異なる日本人にとっては難解なのだと思った。
本書はビジネスサスペンス?アドベンチャー?的要素の中にロサというインドの複雑なカーストに沼ってる才女の哲学的思考が複雑に絡まりとても興味深く、一気に読み切ってしまった。
Posted by ブクログ
篠田節子『インドクリスタル 下』角川文庫。
大作ではあるが、不満の残る作品だった。インドの辺境の村で採掘される高品質天然水晶の謎がそういうことで良いのか、そういうことをエンターテイメント作品の材料にして良かったのだろうか。東日本大震災の被災者で、現在は福島県民となった自分としては疑問を感じた。
上巻までは不可思議系の冒険小説と思いながら、夢中になって読めたのだが、天然水晶の謎が判明したくだりで一気に冷めてしまったのだ。
良質の天然水晶を原料に高純度人工水晶開発に取り組む中小企業も方向転換、不思議な少女・ロサもアッサリと流行りのサイコパスで片付けられ、何とも無難な大団円。
読んでみる価値はあるが、大作を読んだ努力に対しての満足感は少ないと思う。
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