篠田節子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
やっと読み終わった。
この本は友達のおすすめで出会った本。読み始めはおもしろそうだなーという漠然とした、どちらかというコメディ要素もあるのかなと勝手に想像を膨らませていた。
ところが物語は宗教を興すという、意外な展開をみせる。
そんな簡単にいくのかと思うほど、トントンと話は進み、わたしものめり込んでしまっていた。
だけど、途端に事態は急降下。
人間の欲や本能、心の奥底の深くて暗い隠された部分が見え隠れする。
正直読んでいて、不快なときもあったし、終わったあとは疲れたなという思いが強かった。
でもそれを含めて本当に面白かった。
面白いという表現がいいのかわからないけど。
人は究極という -
Posted by ブクログ
ネタバレチェロひきが、脳に傷を持つ女性に施設で教える。
どんどん上達し、演奏会を開催する。
集中すると周囲を傷つけることがあるのを理解していなさそう。
音楽会の裏表がわかる。
最後は、文学だから仕方がないのだが、幸せをつかむことができたのだろうか。人生と住んでいるところからの逃亡が幸せでは悲しい。
脳と音楽の関係が、もう少し深掘りしてあるといいかもしれない。
脳波と体温の関係とか、血中の諸物質の濃度との関係とか、肺での酸素の出入りとか。
解説を石堂藍が書いている。ファンタジー評論家とのこと。
解説ももう一歩、もう二歩、突っ込みが欲しいかも。 -
Posted by ブクログ
上巻はトントン拍子に教団が大きくなり、普通はこんな簡単にできひんよな〜と感じるところもあったんやけど、下巻のあれよあれよという間にガンガン転落いく様はさらにリアリティを感じて、ああ〜もうこれ以上落ちていって欲しくないなあとだんだん読むのが苦しくなってくるんやけど、ほぼよどむことなく一気に最後まで読めました。
でも一気に読めるんやけど、これは相当体力がいります。
こんなに骨太の小説を読むのは久しぶりかもです。
読み終わったあとはぼーっとして、頭のなかがぐるぐる回って、現実世界に帰るまでにものすごい時間がかかりました。
仮想儀礼を読む前までは、新興宗教とか占いとかうさんくさいな〜、なんか信者の -
Posted by ブクログ
ネタバレ亜細亜の西の端のトルコと
欧州の東の端のギリシャが登場する。
イスラム教とキリスト教(ギリシア正教)。
文化が衝突している場所。
おおくくり出言えば、
アラブもトルコのギリシャもヨーロッパも、
チグリスユーフラテスとエジプトの文明の影響下だと思えば、
文明内の争いかもしれない。
ギリシア正教は、キリスト教とギリシアの土着の宗教が結びついたものかもしれない。
キプロスへの取材旅行での死亡事故。
事実は小説より奇なり。
「間の抜けていない死に方などあるものか」
という言葉を残して死んでいった写真家。
著者の後書きには、「小説の舞台となった99年のキプロスでは、この小説に出てくるような軍事 -
Posted by ブクログ
ネタバレこの本は鏡リュウジ (占星術研究家)さんが推薦していた本なのですが、下巻を読むと「なるほどなぁ」と納得します。
一つの歯車が狂い出すと、やがて全ての機能が狂い出していく・・。
なのにその動きは停止することなく、最初に動かした者も手には負えない。
それは読者にも想像できそうにない、あらぬ方向へ暴走し始めていく・・。
虚業、ゲーム本から作り上げられた宗教ビジネスが、似非教祖の手の及ばないところにまで変貌し、制御不可能になって怖れをなした教祖自身がその中にズブズブと飲み込まれてゆく・・逃げることも許されず。
とても怖いですし、異質なものが一旦社会で採り上げられてしまうと、もう社会(