あらすじ
生き過ぎた――この言葉を残して日本洋画界の大御所は自殺した。遺作の修復を依頼された成美は、彼の弟子となるため彼女のもとを去った美大時代の恋人の死に疑問を抱くようになる。危険をかえりみず、真相を究明する成美。彼女の心の中にあるものは、美術界のタブーヘの挑戦なのか、昔の恋人への愛なのか!?
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
マエストロ(変身)が、バイオリンの贋作の話だったのに対して、
贋作師は、巨匠の絵の下請け(代作)の話。
修復の依頼を受けたのは、代作をしていた人の学生時代の同級生。
関係者の死の原因調査から、芸術村の壮大な構想の裏側まで、
推理小説風な恐怖小説。
社会的な問題に対する姿勢が厳しいところが篠田節子風なのだろうか。
依頼に忠実な修復師の真摯な態度が篠田節子風なのだろうか。
Posted by ブクログ
この方の作品は何作か積んであり、今作が初の篠田作品。
絵画の裏方、修復師の女性が主人公の話。
絵画の知識に乏しく、修復師が何をする人なのかも良く知らなかったけれど、物凄くのめり込んで読んでしまった。
私は絵心がなく、細かな作業も苦手。
なので正反対の主人公の行動を読んでいるのが面白かった。
篠田節子、好きな作家さんになりそうです。
Posted by ブクログ
やはり濃密な空気の漂う1冊である。絵画修復という職人になったヒロイン。今は亡きはかつての「恋人」の足跡を追って、美術界の大御所の遺作を手掛けるようになる。謎の森に読者は誘われる。
Posted by ブクログ
美術界の重鎮が謎の言葉を残して自殺した。遺作の修復を依頼された主人公が、その死に対して不審を抱きはじめることからストーリーは展開していく。修復している遺作は贋作なのか…
篠田節子は文章が上手いので、どんどん物語にのめりこみます。一気読みです。美術小説というよりは、ホラー&サスペンス的な要素が強い小説です。
Posted by ブクログ
学生時代に模写にかけてはずば抜けていた主人公の女性。
が、自分のものとしての芸術を残すことについての疑問を持っていた。
そして、同じような気持ちを持っていた男性と出会ったが、
彼は有名な画家に弟子入りをするとして、彼女の元から姿を消した。
二十年近く後、彼女は修復師として彼が弟子入りをしていた画家の修復を頼まれる。
そこで見つけた、画家と彼の秘密。
事実はどうだったのか。
惹きこまれる。
Posted by ブクログ
絵画の贋作をめぐるサスペンスとして、じゅうぶん面白いのですが、それだけでなく登場人物が抱える自分の才能への期待・挑戦・挫折などが心に響きました。
Posted by ブクログ
あいかわらず。一日で一気に読み終えた。ただ犯人に語らせすぎ。まぁ、その人生が大切で、解き明かし方はどうでもいいのかもしれないけど。後半はいまいち。前半はいつも通り激しかった。のでまぁいいか。
Posted by ブクログ
個人的に「篠田節子」への期待値は高いので、
これはスケールが小さいし、悪い意味で通俗~。
北森鴻と桐野夏生の村野ミロものをごった煮にした印象。
主人公をサポートする彫刻家が狂言回しだし、
ゲイって設定も「ここ、色恋入りませんから」って
それぞれの言動や心情の描写でわからせるべきところを設定に説明させて済ませてる感じ・・・
弟子が画家の妻に病の進行をものとせずのめり込んでいくさまは壮絶で、これを軸にした話にしたほうがずっといい作品になると思う。
Posted by ブクログ
贋作師という「裏方」。
決して世に出ない「役割」の人間。
なぜ贋作師としての道を選んだのか?
「創造性」「芸術性」のなさを自覚する。
師匠のものを真似て、
書いたという「方法論。」の踏襲。
「スライドを絵にしていく手法。」
本当に魂のある絵になるんだろうか?
こういうのを贋作というのだろうか?
しかし、贋作師というのは、著名なヒトの絵を
描くヒトで、さしずめ「ゴーストライター」
ということになるんでしょうね。
「風景画」ということ。
と、人間の中に深く入っていく画家。
「宗教画」に到達していく心境が大切。
「可能性が、どこにでもありそうなんだけど
全部ふさがれている、何をやったらいいのか
わからないみたいな状況」篠田節子。
そんな人間がどのような行動をつくりだしていくのか?
自分であるということへの自信。
Posted by ブクログ
虚栄の肖像を読んで(過去に読んでたのに2ページ目で気づいた・・・。)絵の修復の話を他にも読んだなと思い出した本。
こちらも絵の修復のことを詳細に書いてあるし、話も引き込まれるしで面白かった。