篠田節子のレビュー一覧
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一気に読みました。
篠田節子さん、第117回直木賞作品。私は篠田さんは初めて。
5人の個性あふれる女性の良い意味での現代女幸福論の数々。
解説の田辺聖子氏も『いい意味での女手(男性作家の手に合わぬ分野)の小説群』とおっしゃってます。
痛快で面白かった。
結婚が幸福のカギとならなくなって久しいが、さりとて何がそれなのかと悩んでいる人間の性が女性となると戦いとなる!!
しかし、深刻な人生論をぶつのではなく、実際的で、頭脳を働かせつつ、かつ色気もあって、この作品は飽きさせない。
5人の中で私は誰が好きか?
康子。どじな観音様みたいなんだけれども、実務派。
ひそかにオムニバスでなくて -
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"今はそれどころじゃない、たいしたことはない、と体からの警告や訴えを無視して仕事に励み、子育てや介護に勤しむ。それが深刻な結果をもたらすこともある。
体の声を無視してはいけない。
おかしい、と思ったら立ち止まる、危ない、と判断したら医療機関を訪れる。その一瞬をないがしろにせず、自分ファーストに切り替えることの大切さを、病気になって初めて知る。"(p.14)
"人は永遠には生きられないが、ハード面の進歩によって、死の間際までそこそこの快適さを享受できる可能性は、この二十年の間に飛躍的に高まったはずだ。事が起きた場合に、だれかのせいにして自身の心理的負担を減ら -
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篠田節子『竜と流木』講談社文庫。
南方の架空の島を舞台にした生物パニック小説。平和な島を突如襲った黒い悪魔の正体は……
帯にはバイオミステリーと紹介されているが、生物パニック小説の方が相応しいのではなかろうか。人間が平和な島に存在しないはずの生物を持ち込んだために生態系を破壊し、とんでもない化け物を産み出してしまうという物語である。化け物の正体にも早い段階で気付いてしまうのも残念だし、化け物にももう少し暴れてもらった方が面白かったと思う。
太平洋の小島ミクロ・タタの綺麗な淡水に棲息する両生類ウアブに魅せられた素人研究家のジョージはウアブの絶滅を危惧し、ウアブを近くの小島メガロ・タタへ持ち -
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久しぶりにホラー小説でも読んでみようと思った。
「家鳴り(やなり)」という耳慣れない言葉。この本の5番目の短編のタイトルだ。
ホラーといっても、悪人の魂が入り込んだ人形が人を殺しまくることもなく、街中にたくさんのゾンビが徘徊するわけだもない。夢の中で殺人鬼に殺される恐怖も、巨大な隕石が地球に衝突する事態もない。
惰性で7年付き合った恋人のように新鮮味に欠ける言い方だけど、そんな世の中で一番恐ろしいのは結局人間だということなのか。
読み終わったあとにゾクっとする話あり、ページをめくるたびに息苦しくなる話あり、
かと思えば、全て無くしたと思われる人生の中で微かな希望を持とうとする意外な結末もあ -
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短編集。少し恐ろしくて、かなり皮肉で、そして少し愉快な物語が多いです。さまざまな形で異形のものといえるようなものが登場する点も魅力的。
お気に入りは「クラウディア」。これが一番笑える物語かも。犬にいいように扱われる主人公の姿は情けなくって滑稽なのだけれど、それも最後には清々しく温かな物語になってしまうのが不思議なような。
しかし猫派な私としては、やはり表題作「蒼猫のいる家」が気になるところ。こっちの猫はどうも困りもので、可愛いという感じがまーったくないのですが。それでも嫌いにはなれないし。魅力のようなものは感じてしまいます。猫ってそんなものかもね。 -
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看護師である房代が勤めるの夜間診療所に、
光をまぶしく感じ、花のにおいを感じ、熱に浮かされ、
痙攣を起こしながら倒れる。。。という患者がやってきた。
その時は、日本脳炎と診断されたのだが、
徐々に、同じ症状の患者が増え、死者も増え始める。
撲滅されたはずの伝染病が、なぜ今頃蔓延するのか?
疑問を持った房代たちは調査を始め、恐ろしい事実に突き当たる。
一体、原因は何なのか、なかなか解決しない物語に、
もどかしさを感じつつも、夢中させてくれる物語でした。
蚊により、伝染していくというのが、なんだか、現実にありそうで、
この本を読んでいる数日間は、蚊に神経をとがらせ