篠田節子のレビュー一覧

  • 愛逢い月

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    6つの短編作品は、それぞれ独特の雰囲気を醸し出していて飽きることがなく、ひとつひとつ嚙みしめながら読んだ。

    『秋草』という作品の中に「芸術の毒にあてられると、破壊するか自殺する」という話がある。本当にあるんだろうか?
    アーティストではないけれど、そんな心を奪われるものに出会えるのは、ある意味幸せなんだろう。

    『38階の黄泉の国』は、死んでからも仕事すんの嫌でしょ!が正直な感想(笑)

    1997年の作品を2020年の今の時代に読んでみると、20年の歳月で環境も価値観も大きく変わったものだと思い知らされる。

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    2022年06月14日
  • 神鳥(イビス)

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    読み終わったもの備忘録。

    確かに朱鷺って、天然記念物で絶滅したばかりに悲劇の鳥になっているけれど、赤い脚はちょっと迫力あるよね。

    というところから、繰り広げられるミステリー。

    篠田節っちゃんお得意の怖さ。

    今ならCG使って、かなり怖い映画化ができそう(期待)

    男性に素直になれない主人公と、ガサツだけど優しい男の展開が少し古臭く感じるけど、そこがまたいい。

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    2022年06月14日
  • 聖域

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    異動先の編集部で、偶然目にした未発表の原稿『聖域』。なぜ途中で終わっているのか。なぜこんなに力のある作家が世に出ていないのか。過去を辿っていくと、この原稿に関わったものは、みな破滅の道へと進んでいる。口々に警告されるが、でも続きを読みたい、結末を知りたい。憑かれたように実藤は、失踪した作家、水名川泉を追い求め東北の地へ。そこで彼が触れたものは。長編サスペンスの傑作。

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    2022年06月04日
  • 竜と流木

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    ネタバレ

    ミクロ・タタに生息するイモリもしくはオタマジャクシのような容貌を持つウアブの可愛らしさにハマり、ウアブの研究者呼ばれるまでになったジョージは、島のインフラ開発計画でウアブ存続の危機に直面する。そこでウアブ保護クラブを立ち上げ、メンバーらとどうやってウアブを守るか議論を重ねていく。そして、メガロ・タタの複合リゾート施設ココスタウン付近の池へ移動させることを決意する。移動後しばらくは特に問題なく、順応しているかように見えたウアブだが、突然の大量死をきっかけにして人が次々咬まれる事態が相次いで起こりーー。

    ジョージと父の関係&やりとりの変化、現地住民との考えの相違、本来の住処から良かれと思って移動させたことが環境の自然破壊・ウアブの変態を引き起こし、どうにかして収束させようと奮闘するシーンは読み応えがある。また、ゴミに乗ってあちこち生息地を広げていくくだりはゾッとしたし、封じ込め作戦が如何にこの現代では難しいかが伝わってくる。バイオミステリーものは読んだことがなかったが、勉強になった。かわいいからと言って安易に保護するのもよくないんだなと感じた。

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    2022年04月29日
  • 仮想儀礼(下)(新潮文庫)

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    新興宗教を立ち上げた主人公が、関わる人々に翻弄されていくお話。関係者が亡くなっていき、悲しい….。人を操る力が無ければ、逆に操られて破滅してしまう、という怖いお話でした。

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    2022年04月04日
  • 鏡の背面

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    久々の篠田先生。
    ごめんなさい、多分、『女たちのジハード』以来です。
    キャラが光ってて良かった。面白かったです。

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    2022年03月25日
  • 長女たち(新潮文庫)

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    ネタバレ

    なかなか恐ろしい内容だった。

    以前親しかった学生時代の次女の友人が
    『長女って僻みっぽいから〜』が口癖だった。

    理由はその子の姉がよくその子に説教をすると。
    『親から家を買う資金をもらったとき、姉が説教してきた。羨ましいなら自分も貰えばいいじゃーんね!』と言っていた。

    彼女にかかると『いいなぁ!羨ましい〜』と言うお世辞すらも長女が言うと『僻み』となるらしい。

    この事から、なるほど根本が違うんだなと感じたのを覚えている。
    彼女の姉は『羨ましいから』説教したのではないと私は思ったから。

    本当に長女として、親の事や妹を気にかけていたのだと思う。

    現に妹の方は、その時の旦那とは離婚し一年もしないうちに別の男性と子連れ婚した。
    昔から男をコロコロ変えていたので驚きはなかったけど、彼女の強さというか、図太さにむしろ尊敬した。

    きっと、その子の姉が離婚したら、そうはいかないだろう。子供の事、親の事第一に考えてしまい自分の幸せは二の次にしたと思う。

    これは長女だから次女だからとは関係ない話だけど。
    この本を手に取る度、その姉妹を終始思い出し、また私も長女なので、弟達の『世話はしないが偉そうに口を出す』態度と重ねて読んだ。

    母と暮らす私は、いずれ来る介護に少し緊張感が生まれた。

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    2022年03月20日
  • 冬の光

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    主人公の人生も奥行きが深く描かれているが女友達の紘子の人生も共感できるというわけだはないが不器用で応援したくなる気持ちもあった。
    ただ実際に身近にいると距離を取りたくなるような人物ではあるが。
    最後は切なくなる終わり方だ。

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    2021年12月27日
  • 長女たち(新潮文庫)

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    今の自分が読むべきものだったような色々と考えさせられる内容だった。巻末の解説を読んでも自分の感じたことがそのまま代弁してあるように思えた。高齢化社会と介護の問題は益々誰もが直面することのなっているので共感する場面も多い。いつの日か自分の娘にも読んでもらいたいけれど。。。

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    2021年12月22日
  • 絹の変容

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    話はテンポの良いバイオホラーなんですが、グロテスクな芋虫が集団で登場、活字でも鳥肌が立ちそうです。映像化されたら失神ものですね。?

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    2021年11月18日
  • 女たちのジハード

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    少し前の時代の物語だが、今読んでも女性達の生き生きとした姿を感じることができる物語。パワーと勇気を貰える。

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    2021年11月06日
  • 女たちのジハード

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    登場する女性たちは、風変わりな男性に出会うことで、思わぬ方向に人生が進んでいく。よくある女性の強さを表現する作品とはまったく違う。新しいと感じた。これが人生なんだ。

    男は紀子みたいな女性が好きだ、と解説に書いていた。私も同感である。

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    2021年10月30日
  • 夏の災厄

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    ネタバレ

    不審な病に見舞われる郊外の町。
    夜間救急の医師や看護師、役所の職員を中心として、現場の人々の奮闘と歯痒さがよく描かれていた。
    パンデミックの裏で、身を粉にして働く人々がどんな思いでいるか。
    遅々とした縦の関係も含め、未知のウイルスを前に辿る経緯がほぼ現実と同じだった。頭の痛くなるほどの既視感。1995年の小説というから驚きである。取材力を感じる一冊だった。

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    2021年10月07日
  • 聖域

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    出版社の不人気文芸誌に異動させられた実藤。実藤の異動の直前に突然退職した篠原のデスクを整理している最中に『聖域』と題された小説の原稿を見つける。そこには魑魅魍魎と戦う慈明上人の壮絶なるストーリーが綴られていた。しかし、500枚以上の原稿はみかんであることに気がつく。作者の水名川泉の行方は、関係者も誰も知らない…。

    いや、面白い。ここのところ、悪い言い方をすると"薄い"小説ばかりを読んできていたので、本作はゴッテリと重く濃厚だ。登場人物は実藤、泉以外はほとんど動かないし、多少何人も増えたところで、まったく「誰だっけ?」とならない配分がなされているのは、最近読んだ本の中でもずば抜けてよかった。

    前半では作中作『聖域』のストーリーあらすじが記されるのだが、あらすじなのか本文なのかという振れ具合が少々ひっかかり、早く終わんないかなと思ってしまったのは事実である。

    その後の水名川泉探しと、死後の世界を目の当たりにする、大きな事件こそ起こらなくなるものの、ゆらぎ繰り返される感覚も、冗長には感じない。最終的に結末を手に入れられるのか?ということすらどうでも良くなっていくのである。

    口寄せ、イタコと死後の世界というのは、ちょっとやりすぎな感じはあったものの、篠田節子らしい切り口で、決して胡散臭かったり、必要以上に語るわけでない部分は好感が持てた。

    長い作品だが、読む分にはさほど長く感じないのではないか。それくらい完成度は高い。

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    2021年09月21日
  • 鏡の背面

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    心的外傷を負った女性たちが暮らす施設が火事に。
    「先生」と慕われるマザーテレサのような小野尚子が死亡した。しかし、遺体は別人だった。
    果たして死者は誰なのか。ミステリアスな冒頭から引き込まれ、文庫本641頁もアッという間。
    施設代表の優紀とフリーライターの知佳が、「先生」は誰だったのか、本当の小野尚子はどこにと、真相を明かすべく行動を開始する。
    そして、小野尚子とは全く異なる生き方をしてきた人物が浮上する。
    「人の視覚はカメラと違う。像の中に思いを重ね合わせ、寮の人々は愛情と喪失と悲哀のフィルターを通して」人物を見るというが、果たして異なる顔が同一人物に見えるのだろうか。
    さらに、別人格の人間が他人にどこまで同化できるのか。
    しかし、そんな疑問も緻密な物語構成によって、違和感なく納得できてしまう。
    別人物になり得ることを、著者は題名ともなっている鏡で説明する。
    鏡の部屋で見たのは、「正面の鏡に映った自分の姿が背後の鏡にさらに映り込み、無限の像を結ぶ。混乱の中に見えるのは増殖する自意識か、自己と他者の境界の消滅か」と。
    「心霊現象とは関わりなく、人は自分でない他人になってしまうことがある」
    我々の自我など、思っているよりも脆いものだと、この小説は明かしてくれる。

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    2021年09月07日
  • 長女たち(新潮文庫)

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    絶望の淵ギリギリを歩く女性たちを描く作品。
    彼女らの苦悩をこれでもかと描き、最後には光とも呼べない薄明かりのようなラストを見せる篠田節子先生の筆致は大変素晴らしい。

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    2021年08月28日
  • 夏の災厄

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    埼玉の住宅街で突然起こった日本脳炎大流行。
    対策はワクチンしかないと踏んだ市井の人たちが自分の持ち場で働きまくるお仕事小説。
    篠田節子自身が市役所出身の人だけあって、市役所時代に舐め尽くした辛酸の全てをぶちこんだような描写の数々がよかった。公務員とてたいへんに大変である。

    20年前に読んだときは「日本版バイオハザード怖〜」くらいの印象だったけどバイオハザードの恐ろしさの描写はあるものの本質はそこではなくて、未知の病原体に対して対策すべきは第一にワクチンという明確な主張があって、その確保と接種に行き着くまでに為さねばならない膨大な仕事の物語だった。

    25年前の小説でありながらワクチン接種の重要性を主張したり、パンデミックを経験して変化する人の心であったり街の様子であったり(数ヶ月もすればなんとなく外に出てしまう人たち、ストレスによる非行の増加、自殺者の増加)
    内容は全く古くない、まさに今読んで面白い小説だと思いました。

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    2021年08月26日
  • 冬の光

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    自分の人生がどうだったかは自分にしか分からない。笹岡の人生がどうだったかは康宏には分からないし、逆も然り。親の人生がどうだったかは子には分からない。自分が満足して死ねる人生を。
    康宏が、自分の人生にはプロセスはあるがテーマがない、と内省するシーンが印象的だった。テーマを持って人生を突き詰めて生きている人が果たしてどれだけいるのだろうか。考えさせられた。

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    2021年08月24日
  • 女たちのジハード

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    ネタバレ

    面白かったー!爽やかな読後。特に、康子の競売の話から一気に面白くなった。そして、5人の女性(主人公でない純子をいへたら6人だけど)が出てくるから、思わず自分に似ている人を探してしまった。ちなみに私は紗織8割リサ2割位のタイプかな…笑 そして、紗織の当初の自己研鑽の中途半端さは非常に耳が痛い話だった。康子、リサ、紗織のそれぞれの転機は正直出来過ぎな気もするけど、それにしても面白かった。痛快でした。

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    2021年07月04日
  • 仮想儀礼(下)(新潮文庫)

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    ネタバレ

    軽薄な優男として描かれる矢口の、一貫して自分を差し出す死に様に仏性が見出される最後は胸にくるものがあった。

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    2021年05月08日