篠田節子のレビュー一覧

  • 失われた岬
    親しくしてた友達夫婦が急に質素な暮らしを始め、そして行方不明になった。ノーベル文学賞を受賞した作家が授賞式直前に行方不明になった。調べてみると、北海道の人里離れた所に鍵があるらしい。

    スピリチュアル小説なような、現代に充分に起こり得る予言的小説のような。面白いと思う人とつまらないと思う人が両極端に...続きを読む
  • 長女たち(新潮文庫)
    今の自分が読むべきものだったような色々と考えさせられる内容だった。巻末の解説を読んでも自分の感じたことがそのまま代弁してあるように思えた。高齢化社会と介護の問題は益々誰もが直面することのなっているので共感する場面も多い。いつの日か自分の娘にも読んでもらいたいけれど。。。
  • 絹の変容
    話はテンポの良いバイオホラーなんですが、グロテスクな芋虫が集団で登場、活字でも鳥肌が立ちそうです。映像化されたら失神ものですね。?
  • 女たちのジハード
    少し前の時代の物語だが、今読んでも女性達の生き生きとした姿を感じることができる物語。パワーと勇気を貰える。
  • 女たちのジハード
    登場する女性たちは、風変わりな男性に出会うことで、思わぬ方向に人生が進んでいく。よくある女性の強さを表現する作品とはまったく違う。新しいと感じた。これが人生なんだ。

    男は紀子みたいな女性が好きだ、と解説に書いていた。私も同感である。
  • 夏の災厄
    不審な病に見舞われる郊外の町。
    夜間救急の医師や看護師、役所の職員を中心として、現場の人々の奮闘と歯痒さがよく描かれていた。
    パンデミックの裏で、身を粉にして働く人々がどんな思いでいるか。
    遅々とした縦の関係も含め、未知のウイルスを前に辿る経緯がほぼ現実と同じだった。頭の痛くなるほどの既視感。199...続きを読む
  • 聖域
    出版社の不人気文芸誌に異動させられた実藤。実藤の異動の直前に突然退職した篠原のデスクを整理している最中に『聖域』と題された小説の原稿を見つける。そこには魑魅魍魎と戦う慈明上人の壮絶なるストーリーが綴られていた。しかし、500枚以上の原稿はみかんであることに気がつく。作者の水名川泉の行方は、関係者も誰...続きを読む
  • 鏡の背面
    心的外傷を負った女性たちが暮らす施設が火事に。
    「先生」と慕われるマザーテレサのような小野尚子が死亡した。しかし、遺体は別人だった。
    果たして死者は誰なのか。ミステリアスな冒頭から引き込まれ、文庫本641頁もアッという間。
    施設代表の優紀とフリーライターの知佳が、「先生」は誰だったのか、本当の小野尚...続きを読む
  • 長女たち(新潮文庫)
    絶望の淵ギリギリを歩く女性たちを描く作品。
    彼女らの苦悩をこれでもかと描き、最後には光とも呼べない薄明かりのようなラストを見せる篠田節子先生の筆致は大変素晴らしい。
  • 夏の災厄
    埼玉の住宅街で突然起こった日本脳炎大流行。
    対策はワクチンしかないと踏んだ市井の人たちが自分の持ち場で働きまくるお仕事小説。
    篠田節子自身が市役所出身の人だけあって、市役所時代に舐め尽くした辛酸の全てをぶちこんだような描写の数々がよかった。公務員とてたいへんに大変である。

    20年前に読んだときは「...続きを読む
  • 冬の光
    自分の人生がどうだったかは自分にしか分からない。笹岡の人生がどうだったかは康宏には分からないし、逆も然り。親の人生がどうだったかは子には分からない。自分が満足して死ねる人生を。
    康宏が、自分の人生にはプロセスはあるがテーマがない、と内省するシーンが印象的だった。テーマを持って人生を突き詰めて生きてい...続きを読む
  • 女たちのジハード
    面白かったー!爽やかな読後。特に、康子の競売の話から一気に面白くなった。そして、5人の女性(主人公でない純子をいへたら6人だけど)が出てくるから、思わず自分に似ている人を探してしまった。ちなみに私は紗織8割リサ2割位のタイプかな…笑 そして、紗織の当初の自己研鑽の中途半端さは非常に耳が痛い話だった。...続きを読む
  • 仮想儀礼(下)(新潮文庫)
    軽薄な優男として描かれる矢口の、一貫して自分を差し出す死に様に仏性が見出される最後は胸にくるものがあった。
  • 冬の光
    結局父の死の真相はなんだったのか、、、

    ここに深い意味はあんまりないのか
    (脳がミステリ認識してしまっている笑)

    父の人生がなかなか壮絶だった。

    他人をいたむ気持ちは素晴らしいが、もっと家族にも心傾けてほしかったなぁ
  • 夏の災厄
    日本脳炎が本作のテーマだが折しもコロナ禍で25年前の作品とは思えぬほどのシアルさで鳥肌がたった。文庫600頁ほどのボリュームで一週間かかって読み終えたがまだコロナが終息していない現代で願望も込めた祈りのような気持ちがこみ上げてきた。パンデミックが丁寧に作り込まれた作品の素晴らしさは巻末の海堂尊さんの...続きを読む
  • 愛逢い月
    6つの短編集。
    サスペンスとミステリーという位置付けらしいが、
    そこまでのものではないと思う。
    ただ女性の怨念や情念、到底男性には理解できないであろう想いが、恐怖に感じさせられる。
    それもあってか、男性の純朴さ素直さが浮き彫りになって、とても対照的である。
    とてもおもしろかった。
  • 銀婚式(新潮文庫)
    華々しい学歴は、社会に出た後にその一生を保証するものではなかった。それでも身に付けた自助努力の精神は、人生のどん底を経験したとき、破滅の淵に転がり落ちる寸前で、何とかもちこたえ、はい上がるチャンスを与えてくれるものになるだそうと高澤は信じている。

    最敬礼されて事務所を出てふと振り返ると、まだ見送っ...続きを読む
  • 冬の光
    人生の全ては自分だけのものであって、他人と分かち合ったり、他人に委ねられる物ではない。
    康宏の歴史を理解していくにつれ、家族にとっての康宏がズレているのが歯痒く、人間なんてそんなもの、という寂しさを覚える。
    自分が歩いてきた道を振り返り、また、これから進む道をどう行くべきか、考えさせられた。
  • 夏の災厄
    篠田節子先生の『夏の厄災』を読もうとしたのは大方の予想通り、米澤穂信氏の『氷菓シリーズ』で折木奉太郎くんが読書中だったのを見たのがきっかけだったのだが、篠田節子作品を読むつもりだったのは前世紀の頃だった。以下次回。
  • 夏の災厄
    現在コロナウイルスが世に蔓延しているが、
    小説の世界ではパンデミックはそう珍しいことじゃないのだ。
    あっちでもこっちでも起きている。

    『夏の災厄』の中では今現在ではほとんど見られなくなった日本脳炎が広がる。
    小説の中でも医療従事者たちは初期の頃から警鐘を鳴らし、役所はどうにか打つ手はないかと走り回...続きを読む