篠田節子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレリアリティのある文章。恋愛と結婚、男女関係、信仰、社会的地位、男社会の競争。欲のままに生きた等身大の男の人生と、どこか冷静でありながらも父の残像を追いかけ辿ろうとする次女の決意。他人事にはなれない物語がそこにはあって、引き込まれた。
康宏は紘子を青臭いと揶揄していたが、康弘こそ青二歳のままだったと思う。
結婚、家庭、孫という安定的で凡庸な幸せに満足せず、一時的な同情や情事に自分の存在意義を見出さそうとしていた。
四国遍路での結願を経て、漸く家族のもとへ戻ろうとした時に命を落とした。自分勝手に生きた代償なのか、
康弘を家族のもとへ帰ろうとさせた動機は、四国遍路の終了が主ではない、気がする。フェリー予約後に紘子の名前を検索し、紘子に感謝を述べる後輩たちがいることを知り、青二歳だと見下していた紘子が未来を担う後輩たちのために“役に立っている”姿を見て、ボランティアや四国遍路をしながら自分探しの旅をしている自分に恥じたのではないか。そこでやっと家族と向き合おうとしたのではないか。 -
Posted by ブクログ
篠田節子さんが若い頃に発表した6篇からなる短編集だ。
篠田さんがデビューして初期から中期の作品と云うこともあり、とてもエネルギーに満ちた激しさがある。
恋は甘美で至福の時を分かち合うものだが、やがて小さなすれ違いから破綻を迎える物語が綴られている。
人の心に潜む執着心、独占欲、願望などが複雑に絡み合い、妄想と現実の世界との差から葛藤が始まる時、相思相愛の関係から残酷とも云える関係に変化するのだろうか⋯。
そんな緊張感が伝わってくる短編集だ。
突如にして小さなきっかけで愛が憎しみに変わり、狂気の沙汰とも云える行動に出たりする。
世には幸せそうな家庭が散見されるが、一つ間違えばいとも簡単に不穏な空気を醸し出すと云うことだろうか。
夫婦が突如奈落の底へ落ちる可能性はどこにでもあるのかも知れない。
この物語に登場してくる男性たちは、何だかとても単純な考え方をしているように思えるのだが、きっと平均的な日本の男性なのだろう。
我が身を振り返って、奈落の底へ滑落しないように肝に銘じようと思った。 -
Posted by ブクログ
北海道の果てにある「岬」の先へ行く選ばれし者たちと、残された者たち。スピった隣人、恋人、小説家の行く末やいかに…というノリで進むかと思いきや、物語後半はスピりの原因になるお薬発明話一色で、一気に失速した感が否めない。
だからどうだ?というのを読み取れない時点で、自分がいかに貧相な感性を持った現代人であるかを突きつけられる。
北の国からミサイルが飛んでこようと、新宿の外国人居住区で爆発事故が起きようと、人がまず見るのはスマホのニュースである。目の前が真っ暗になっても、最初に求めるのは太陽でなくスマホの電源だ。かくいう自分もそうかもしれない。そんなことをしている限り、岬には決して呼ばれないだろう。 -
Posted by ブクログ
篠田さんの新刊と思って、手にしたこちら。読み始めてみると、なんだか違和感があって、調べてみると、なんと!1997年の作品。
舞台は、2075年の東京。
SFですよね。すごい世界。これを1997年に書いているのがスゴイ!衝撃的な作品。
人々はランク付けされ、住む場所も子供の数も決められてる。
斎藤さんは特Aランクの男。奥さんは・・・、悲惨だなぁ。
ワタシはもっと下ランクの男と結婚して自由に生きたいわ。
今って、すごい少子化が問題になっているけれど、結局少子化を解消して子供を増やすには、家長制度復活や母親の犠牲しかないのだろうか。
魅力的なキャラ巨大児 小夜子。最後は悲しい。
義母が活き活きしてくるのはいい。