篠田節子のレビュー一覧
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タイトル通り、「死」をテーマにした短編集。最初の作品は純文学と言った部類だが、その他の作品は篠田節子らしい怪談じみた話。怖い話ってわけでもないけど。
夫の死、伯父の死などの死を契機に、様々な出来事がフラッシュバックするというようなところが6本それぞれの共通点か。中間部はバブル経済とその崩壊、最後は大戦の終戦間際という、動乱を軸にしているところが篠田節子らしいっちゃあらしい。
6本サラリと読んで、どれが好きかと言われると、結構どれも好きな作品である。バブル前にお告げを受け、バブル後にまた同じ救いを求める女性、貧してもトラサルディのスーツは譲れない不動産屋など、心機一転できそうなのに、枠組に縛 -
Posted by ブクログ
日本の輸入会社で働いていた美貴は、男女関係のトラブルでレバノンに飛ばされ、何とかビジネスをモノにしようとするも内戦でベイルートから脱出、アテネに逃げ込んだ。そんな中たまたま巡り合った白い蜂蜜をビジネスチャンスにできないかと生産地の村を訪れた美貴だったが、廃院となったメサポタモス修道院の壁に描かれたミカエルの絵を見てからというもの、不思議な現象が起こり始めるー。
冬のギリシャの鬱屈とした感じの中に閉じ込められそうになるけど、出てくるギリシャ人がみんなすごくギリシャ的にいい人たちでほっこりする。アトス山については村上春樹の雨天炎天で読んでいたので、より想像ができて良かった。 -
Posted by ブクログ
公立高校から国立大学、証券会社に就職し結婚、ニューヨーク勤務。ここまでは順調な人生にみえた主人公。妻の病気、ここから人生の軸がブレ出す。
離婚、経営破綻、再就職、鬱病、リストラ、転職、老老介護、認知症、再婚、年の差婚、大学受験、浪人、セクハラ、できちゃった婚、ケアマネージャ・・・・。現在、よく耳にする言葉が溢れてくる。だからこそ、リアルに感じて引き込まれていく。
タイトルの銀婚式ってこの離婚男にどう結びつくのだろう?再婚予定の年下の女性から、銀婚式が迎えられるまで一緒に生きていく、って言われた箇所か?なんて思ったが・・・。
周りの人に影響を与え、与えられながら人は生きていく。そうして、自分の運 -
Posted by ブクログ
ネタバレとにかく長い。上下巻をあわせると1200ページを超える長編である。
長いの飽きさせない。ページ数の多さに負けない中身の濃い物語だった。
失業しこれといった夢もなくなった二人の男が軽い気持ちで立ち上げた「宗教」。
教義のもとになったのは、正彦が書いていたゲームブック。
その場しのぎの対応を続けた結果、いくつものトラブルに巻き込まれることになる。
宗教にハマったことがないので、雅子たちが暴走していく心情がよくわからなかった。
それなりの理由はもちろん理解できるのだけれど。
何でも一番いいのは「ほどほど」なのかもしれない。
絶対的な存在としての「教義」。
雅子たちの狂気は、やがて偽宗教家の正彦をも喰