篠田節子のレビュー一覧

  • 長女たち(新潮文庫)

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    絶望の淵ギリギリを歩く女性たちを描く作品。
    彼女らの苦悩をこれでもかと描き、最後には光とも呼べない薄明かりのようなラストを見せる篠田節子先生の筆致は大変素晴らしい。

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    2021年08月28日
  • 夏の災厄

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    埼玉の住宅街で突然起こった日本脳炎大流行。
    対策はワクチンしかないと踏んだ市井の人たちが自分の持ち場で働きまくるお仕事小説。
    篠田節子自身が市役所出身の人だけあって、市役所時代に舐め尽くした辛酸の全てをぶちこんだような描写の数々がよかった。公務員とてたいへんに大変である。

    20年前に読んだときは「日本版バイオハザード怖〜」くらいの印象だったけどバイオハザードの恐ろしさの描写はあるものの本質はそこではなくて、未知の病原体に対して対策すべきは第一にワクチンという明確な主張があって、その確保と接種に行き着くまでに為さねばならない膨大な仕事の物語だった。

    25年前の小説でありながらワクチン接種の重要性を主張したり、パンデミックを経験して変化する人の心であったり街の様子であったり(数ヶ月もすればなんとなく外に出てしまう人たち、ストレスによる非行の増加、自殺者の増加)
    内容は全く古くない、まさに今読んで面白い小説だと思いました。

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    2021年08月26日
  • 冬の光

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    自分の人生がどうだったかは自分にしか分からない。笹岡の人生がどうだったかは康宏には分からないし、逆も然り。親の人生がどうだったかは子には分からない。自分が満足して死ねる人生を。
    康宏が、自分の人生にはプロセスはあるがテーマがない、と内省するシーンが印象的だった。テーマを持って人生を突き詰めて生きている人が果たしてどれだけいるのだろうか。考えさせられた。

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    2021年08月24日
  • 女たちのジハード

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    ネタバレ

    面白かったー!爽やかな読後。特に、康子の競売の話から一気に面白くなった。そして、5人の女性(主人公でない純子をいへたら6人だけど)が出てくるから、思わず自分に似ている人を探してしまった。ちなみに私は紗織8割リサ2割位のタイプかな…笑 そして、紗織の当初の自己研鑽の中途半端さは非常に耳が痛い話だった。康子、リサ、紗織のそれぞれの転機は正直出来過ぎな気もするけど、それにしても面白かった。痛快でした。

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    2021年07月04日
  • 仮想儀礼(下)(新潮文庫)

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    ネタバレ

    軽薄な優男として描かれる矢口の、一貫して自分を差し出す死に様に仏性が見出される最後は胸にくるものがあった。

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    2021年05月08日
  • 冬の光

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    結局父の死の真相はなんだったのか、、、

    ここに深い意味はあんまりないのか
    (脳がミステリ認識してしまっている笑)

    父の人生がなかなか壮絶だった。

    他人をいたむ気持ちは素晴らしいが、もっと家族にも心傾けてほしかったなぁ

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    2021年04月28日
  • 夏の災厄

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    日本脳炎が本作のテーマだが折しもコロナ禍で25年前の作品とは思えぬほどのシアルさで鳥肌がたった。文庫600頁ほどのボリュームで一週間かかって読み終えたがまだコロナが終息していない現代で願望も込めた祈りのような気持ちがこみ上げてきた。パンデミックが丁寧に作り込まれた作品の素晴らしさは巻末の海堂尊さんの解説が物語ってくれている。本当に同感。篠田節子さんの様々な作品に翻弄される読者というのも悪くない。

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    2021年04月25日
  • 愛逢い月

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    6つの短編集。
    サスペンスとミステリーという位置付けらしいが、
    そこまでのものではないと思う。
    ただ女性の怨念や情念、到底男性には理解できないであろう想いが、恐怖に感じさせられる。
    それもあってか、男性の純朴さ素直さが浮き彫りになって、とても対照的である。
    とてもおもしろかった。

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    2021年04月22日
  • 銀婚式(新潮文庫)

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    ネタバレ

    華々しい学歴は、社会に出た後にその一生を保証するものではなかった。それでも身に付けた自助努力の精神は、人生のどん底を経験したとき、破滅の淵に転がり落ちる寸前で、何とかもちこたえ、はい上がるチャンスを与えてくれるものになるだそうと高澤は信じている。

    最敬礼されて事務所を出てふと振り返ると、まだ見送っている錦城の姿がある。
    濃霧が晴れて視界が開けたような気がした。
    「人生、うまくいかないからおもしろい」
    父の残した言葉が、よみがえる。
    何もかも筋書き通りにいくはずもない。定められたレールを踏み外すのが、必ずしも悪いこととは限らない、と息子のことを思った。

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    2021年03月07日
  • 夏の災厄

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    篠田節子先生の『夏の厄災』を読もうとしたのは大方の予想通り、米澤穂信氏の『氷菓シリーズ』で折木奉太郎くんが読書中だったのを見たのがきっかけだったのだが、篠田節子作品を読むつもりだったのは前世紀の頃だった。以下次回。

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    2021年02月17日
  • 夏の災厄

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    現在コロナウイルスが世に蔓延しているが、
    小説の世界ではパンデミックはそう珍しいことじゃないのだ。
    あっちでもこっちでも起きている。

    『夏の災厄』の中では今現在ではほとんど見られなくなった日本脳炎が広がる。
    小説の中でも医療従事者たちは初期の頃から警鐘を鳴らし、役所はどうにか打つ手はないかと走り回っている。
    国はのギリギリまでらりくらり。

    25年前に書かれた本だが、あれ、何だか今と対応が何も変わっていない気がするぞ。
    感染対策とはそもそもこう言うモノなのか。
    それとも大元が全く成長していないのか。
    果たしてどっち。

    オカモノアラガイが気持ち悪すぎる!

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    2021年02月16日
  • 長女たち(新潮文庫)

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    著者は大人の内面の葛藤を、ひねりの効いた設定の中で生々しく描くのが本当に巧みだと思う。
    本書はなかなかどの話も客観的に見ると救いがないけど、でもそんなの関係なくて本人たちはただ自分の引き受けることになった人生に向き合って進んでいっている、そんな長女たちのたくましい話だった。

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    2021年01月29日
  • 長女たち(新潮文庫)

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    3つの中編が収められています。

    「家守娘」では長女の言い分、次女の言い分 それぞれの気持ちに共感する部分があり、ノンフィクションの様な作品でした。

    平均寿命が延び、長男・長女と言うだけで感じる重圧 親子とは言え、そこには情だけでは乗り切れない感情も生まれます。

    家族みんなが少しでも幸福になれる道を模索する大変さをしみじみと考えさせられました。

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    2021年01月27日
  • 家鳴り

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    途中で何度も辞めようと思うくらい怖かった。
    7つの短編集。
    どれも普通に生活していれば出くわすであろう内容。
    少し誇張されているような描写も感じられたが、
    そこに入り込んでいくと、どんどん深みにはまっていく。
    打開策や希望もない。
    ありえないことかもしれないけど、あったら嫌だなぁとひどく思わせる内容のものばかりだった。
    しばらく怖い小説はいいかなと思わせてくれた小説でした。

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    2021年01月05日
  • 長女たち(新潮文庫)

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    ついあてにされ、行動でも心意気でも妙に力んで引き受けてしまう、これが長女に生れたついた者のサガ、わたしも長女だからよくわかる。わかるけれども、お人好しな要領が悪いところもあるようだ。
    という『長女たち』の「家守娘」「ミッション」「ファーストレディ」中編3つの内容。

    3編とも母親を介護することになって娘が奮闘するのだが、それらに登場する老いた母親たちが、モンスターのごとき、阿修羅のごとくわがままでもの凄いし、どんなに尽くしても満足もお礼もない母親の娘に対する「私物化」が情けない。そんなに激しく描かなくてもと、もう高齢のわたしなど身を縮めてしまうけど、篠田さんのオカルトめく筆はうまくて参ってしまう。

    母親の立場、娘の立場の両方に感情移入して読んだ。寄り切られっぱなしでもなく、娘たちの再生もほのめかされていて、それがホッとさせられる。

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    2020年11月14日
  • 夏の災厄

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    じわじわと忍び寄ってくる不穏な緊張感がたまらなかった。

    面白い本を書く作家さんに出会うと単純にテンションが上がる。それがミステリー作家じゃなくても。

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    2020年09月23日
  • 女たちのジハード

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    一気に読みました。

    篠田節子さん、第117回直木賞作品。私は篠田さんは初めて。

    5人の個性あふれる女性の良い意味での現代女幸福論の数々。
    解説の田辺聖子氏も『いい意味での女手(男性作家の手に合わぬ分野)の小説群』とおっしゃってます。

    痛快で面白かった。
    結婚が幸福のカギとならなくなって久しいが、さりとて何がそれなのかと悩んでいる人間の性が女性となると戦いとなる!!
    しかし、深刻な人生論をぶつのではなく、実際的で、頭脳を働かせつつ、かつ色気もあって、この作品は飽きさせない。

    5人の中で私は誰が好きか?
    康子。どじな観音様みたいなんだけれども、実務派。
    ひそかにオムニバスでなくて、康子が主人公ではと思いました。

    それに、田辺聖子氏の解説がすばらしい。
    私は解説マニアでもあるが、こんなにぴったりなのは初めて。

    ところで、田辺聖子氏の作品いろいろ読みました。
    「感傷旅行」も好みですが、
    「姥ざかり」シリーズがとてつもなく面白うございましたよ。
    今、手元にない(人にあげなきゃよかった)ので残念!
    はや姥予備群でなくなり、もう一度読んだら面白いのかしらん。と思う。

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    2020年09月04日
  • ロズウェルなんか知らない

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    おもしかった、この様なニッチな村おこしがバズる可能性はたぶん増えるんだと思う。コロナ渦で都会で密集して暮らすことについて考えた若者もおおいはず。個人的に 四次元地帯には興味がないけど、ミルキーウェイに泊まって満天の星見てみたい

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    2020年07月06日
  • 長女たち(新潮文庫)

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    「長女たち」というタイトルに魅かれて読んだ。
    自分も長女だし娘も長女。
    一作目の「家守娘」と三作目の「ファーストレディ」は母と娘の物語。痴呆の母と糖尿病末期の母を世話する娘の葛藤のドラマ。自分と娘に重ね合わせて読んでしまう。
    ただ作品は娘の視線から描かれていて母側の葛藤が伝えられきれていないのが残念。
    二作目の「ミッション」はヒマラヤの山奥へ医者として赴任する女医さんがみた現代医学と現地人の死生観の違いに強く引きつけられた。命を引き延ばすことの功罪を考えさせられた。
    読んで良かった一冊。

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    2020年06月22日
  • 夏の災厄

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    局地的に流行する謎の病とそこでそれぞれの役割を全うするきっとどこにでもいるだろう人たち。
    スーパーヒーローみたいな人は一人もいないのが逆にいい。
    この時期に読むからこそ、病に対する人々のパニックやそれによってうまれる弊害がものすごす身近にリアルに感じられた

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    2020年05月05日