篠田節子のレビュー一覧

  • 女たちのジハード

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    「貴様いつまで女子でいる問題」などという本を読んだ後にこれである。時代にして、こちらは15年前なんだけど、女性はかくあるべき、みたいな気持ちと、自立した女性、みたいなのの狭間で大変ちゃあ大変。
    しかし欧米のいつ捨てられても良いように、というスタンスで自立を目指す世界の大変さよ。日本の男性は甘すぎなんじゃねーか、とも思ったり。いやしかしそんな善悪二元論で語りだしたら炎上間違いなしですな。
    皆さん頑張るぞとなる中で、圧倒的な存在感を示すのは紀子さんで、ていうか紀子さま?嫌いなんか、偶然か、ともかく異彩を放ちつつも、こういうのも現実の一部であろうところが、いや苦しい。

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    2023年01月14日
  • 長女たち(新潮文庫)

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    あー、迫力すごい…

    畳み掛けるようにこれでもかこれでもかと突きつけられるかんじ。的を得ていてリアルで容赦ない。

    あっという間に読んでしまう。

    長女としては思い当たる節もたくさんあるし…なんか怖かった。

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    2023年01月05日
  • 長女たち(新潮文庫)

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    ネタバレ

     さすが、篠田節子さん‼︎ シャープで面白い。
    わたしも長女なので、大いに共感しました。

    『家守娘(いえもりむすめ)』
     認知症の母の介護に悪戦苦闘する長女。 恋も仕事も、次から次へと・・・。 しかし、最後は期待通り。 力強く生きていく姿に安堵します。

    『ミッション』
     舞台は、ヒマラヤ奥地の貧しい村。
    生と死、医療、生への巡礼・・・わたしたちにとっては残酷な現実を教えてくれます。
    なので、涙とともに心には苦い味が広がりました。
    しかし、その苦味を味わい尽くした後には、不思議とほのかな甘味が広がるような味わい深い素晴らしい物語です。

    『ファーストレディ』
     『ミッション』(シンプルな

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    2022年12月02日
  • 銀婚式(新潮文庫)

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    1人の平凡な男性が、挫折や苦労を味わいながらも、ひたすら人生に対し真剣に向き合って生きる姿を描いた小説ですが、サスペンスでも推理小説でもないはずなのに、なぜか、あっという間に読み終えることができました。

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    2022年10月29日
  • 本からはじまる物語

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    本が好きな人には是非読んでほしい!
    本と人との関わり方、大切な本の思い出、ファンタジーな物語もあり、、、

    色々な方のストーリーをいっぺんに楽しめる欲張りな本です!!

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    2022年10月15日
  • 長女たち(新潮文庫)

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    現代の日本人が抱える高齢者介護の問題を考えさせられました。親子の関係性が密だと言われる現代。その先にある問題でもあるように感じました。
    3つの物語で構成されている作品ですが、介護に答えがあるとしたら、真ん中の作品の中に見出せるのではないかと、考えさせられました。世界には、死を日常の一部として捉える…そんな日常を送る世界があり、現代医学の進歩の副作用的な結果としての高齢者介護問題に苦しむ日本社会との対比が鮮烈でした。
    現代の日本(西欧社会に影響を受けた)の価値観が本当に幸せなのか…そんなことを深く考えさせられました。

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    2022年10月12日
  • 竜と流木

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    小島の生態系は流木がつくる

    太平洋ではないが、そこにある島の地元民に教えてもらったことを思い出した。たしかイブキ島とかいう意味の名前で呼ばれていた。イボク島とも言うんですよとその島の異名を教えてもらったりもした。小説の舞台となった太平洋の小島のように周辺の海流の流れは少し海岸線から離れるとすごく早い。また季節と月の位置による潮の流れの変化は想像を超えて自然界に宿る力のようなものも感じた。この小説を読み終えて、生命の息吹というのはやはり人知を超越したところで発生し、異形の流木がながれ着く地形では不思議なことがことがあるものだということを再認識させられた。小説の中に登場する人間と文明の進化論学者フェルドマン教授などは、その後

    #ダーク #ドキドキハラハラ #怖い

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    2022年09月20日
  • 肖像彫刻家(新潮文庫)

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    「生きているような、魂がこもった彫刻」を作れる彫刻家のとほほな体験談。

    「魂がこもった」というのが比喩的なものではなくて。生きていた時よりもリアルに心の裏側までも語り出す。
    50代の彫刻家のそれまでのアーティスト人生や家族との関係がとてもリアル。

    篠田節子さんの小説は大作が好きで今まで読んできたけど、この連作短編集も重い設定を軽く描いてくれてとても読みやすかった。

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    2022年09月09日
  • コンタクト・ゾーン(上)

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    東南アジアからウクライナを想起

    架空の国の多民族が割拠する南方の島での物語.作者の篠田節子は昔からすごい!と思っている.何十年か前のことだが東京に住む知人と喫茶店で翌日の打ち合わせというか雑談をしているときに篠田節子はスゴイと盛り上がったことを思いだした.その当時もコンタクト・ゾーンは出版されていたような気がするが,最近ロシアによるウクライナ侵攻がはじまってから電子書籍で上下巻を読み切った.舞台となるのは島の中でも豊かな農作物地域がある古くからの農村である.政府軍と民族解放戦線と称する世界の紛争地帯で養成された兵士たちが幹部となり村でかき集められた雑兵達を使って巻き起す権力闘争の真っ只中で,その古い農村の長老や村長らが老獪な

    #感動する #深い

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    2022年08月10日
  • 夏の災厄

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    行政の鈍さ、見えぬ医学界、デマ、ワクチン不足…。
    あ、これもこれもと、このコロナの時代、まじまじと思い当たることがらがのオンパレード。

    「そんなことより、最前線に弾と兵隊と兵糧を送ってきやがれ」
    小説の中でも現実でも、現場の方たちには本当に頭が下がる。

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    2022年08月05日
  • カノン

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    ホラーというホラーではなく
    読み始めると
    独特な世界に
    引き込まれて行きました。
    各々が過去に縛られてたんだなぁと
    いう風に感じました。

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    2022年07月23日
  • 肖像彫刻家(新潮文庫)

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    もうひと波乱、何かが起きることを期待したまま終わってしまった焦れったさが、「後を引く面白さ」とか「余韻」とかいうものなんだろうと思う。

    レオニダスとニケも、田んぼの中できっと何やら呟いているに違いない。

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    2022年07月13日
  • 夏の災厄

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    ネタバレ

    刊行が1995年だという事に驚く感染症パニック小説。ガツガツ読まされました。30年近く開きはあるのにこの頃も現在も組織の上の方の対応の遅さに暗澹とした気持ちになります。
    篠田節子さんどうやら市役所のそういう部署にいらしたらしくて、役所の人々に現実味ありました。おばちゃんパワーが格好良い房代さんと、ヒモかと思わせといてまさかの青柳さんが良かったです。
    青柳さんのキャラクター、遠回りしてても人生に無駄なことって無いんだなとつくづく感じました。流されて逃げ続けただけな日々と思ってても、思ってもみない所でかなり必要になる。青柳さんの経験が無ければ昭川市は収束しなかった。
    新型の日本脳炎って所だけ時代を

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    2022年07月07日
  • 肖像彫刻家(新潮文庫)

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    主人公の高山正道は、イタリアで著名な彫刻家の下で長年修行し、実績を積んで帰国したにも関わらず、日本では全くもって仕事の見通しが立たず、怖い姉から「オラッ!あんたは何してんのよ!」と叱責されっぱなしの情けない生活を続けていた。正道は素直でお人好しなのだが、世間に疎過ぎるのが欠点。そんな正道が忍びなかったのか、両親の肖像を作れと、姉が100万円をくれた。その結果、正道の人生がガラリと変わることとなる。ちょっとばかりドタバタ喜劇の様相を呈するとともに、少々正道にイライラさせられる物語が綴られる。

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    2022年06月28日
  • カノン

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    学校を出て会社に入り、家庭を作って必死に暮らしている中。
    突然あらわれる空虚感。
    自分の人生、これでいいのか?これで終わるのか?
    と思うような時があるはず。
    そのキッカケに友人の死があったりなど。

    そんな多くの人が通る通過点を、篠田節子がお得意の音楽とホラーミステリーで描いた作品だと思います。

    ただちょっと過去時代と、主人公が関わる2人の男性と、そして音楽と盛り沢山に描き過ぎている感じがします。

    とはいえキラリと光る前向きな希望で終わる最後は、篠田節子先生のどの作品でもそうですが、やはり好きなのです。

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    2022年06月14日
  • 愛逢い月

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    6つの短編作品は、それぞれ独特の雰囲気を醸し出していて飽きることがなく、ひとつひとつ嚙みしめながら読んだ。

    『秋草』という作品の中に「芸術の毒にあてられると、破壊するか自殺する」という話がある。本当にあるんだろうか?
    アーティストではないけれど、そんな心を奪われるものに出会えるのは、ある意味幸せなんだろう。

    『38階の黄泉の国』は、死んでからも仕事すんの嫌でしょ!が正直な感想(笑)

    1997年の作品を2020年の今の時代に読んでみると、20年の歳月で環境も価値観も大きく変わったものだと思い知らされる。

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    2022年06月14日
  • 神鳥(イビス)

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    読み終わったもの備忘録。

    確かに朱鷺って、天然記念物で絶滅したばかりに悲劇の鳥になっているけれど、赤い脚はちょっと迫力あるよね。

    というところから、繰り広げられるミステリー。

    篠田節っちゃんお得意の怖さ。

    今ならCG使って、かなり怖い映画化ができそう(期待)

    男性に素直になれない主人公と、ガサツだけど優しい男の展開が少し古臭く感じるけど、そこがまたいい。

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    2022年06月14日
  • 聖域

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    異動先の編集部で、偶然目にした未発表の原稿『聖域』。なぜ途中で終わっているのか。なぜこんなに力のある作家が世に出ていないのか。過去を辿っていくと、この原稿に関わったものは、みな破滅の道へと進んでいる。口々に警告されるが、でも続きを読みたい、結末を知りたい。憑かれたように実藤は、失踪した作家、水名川泉を追い求め東北の地へ。そこで彼が触れたものは。長編サスペンスの傑作。

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    2022年06月04日
  • 竜と流木

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    ネタバレ

    ミクロ・タタに生息するイモリもしくはオタマジャクシのような容貌を持つウアブの可愛らしさにハマり、ウアブの研究者呼ばれるまでになったジョージは、島のインフラ開発計画でウアブ存続の危機に直面する。そこでウアブ保護クラブを立ち上げ、メンバーらとどうやってウアブを守るか議論を重ねていく。そして、メガロ・タタの複合リゾート施設ココスタウン付近の池へ移動させることを決意する。移動後しばらくは特に問題なく、順応しているかように見えたウアブだが、突然の大量死をきっかけにして人が次々咬まれる事態が相次いで起こりーー。

    ジョージと父の関係&やりとりの変化、現地住民との考えの相違、本来の住処から良かれと思って移動

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    2022年04月29日
  • 仮想儀礼(下)(新潮文庫)

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    新興宗教を立ち上げた主人公が、関わる人々に翻弄されていくお話。関係者が亡くなっていき、悲しい….。人を操る力が無ければ、逆に操られて破滅してしまう、という怖いお話でした。

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    2022年04月04日