あらすじ
芸術家の道を諦めた中年バツイチの正道。心機一転、八ケ岳山麓に移住するが、本場イタリア仕込みの腕を振るった女神像は、あらぬ場所に置かれてしまう。それでも注文には心を込めリアルな彫像を造った。だが耳を疑うことが起きた。喋るというのだ、肖像が……。古刹の訳あり仕事から、亡き両親の像、大胆な裸体彫刻まで、珍現象が巻きおこす人間模様をからりとしたユーモアで笑い飛ばす傑作。(解説・鵜飼哲夫)
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Posted by ブクログ
とても面白い!すっかり篠田ファンになりました。解説で、篠田さんがいま注目の作家という話をしていた時に、宇能鴻一郎をあげていた、という挿話が載っていて、さらに好きになってしまったw
Posted by ブクログ
「生きているような、魂がこもった彫刻」を作れる彫刻家のとほほな体験談。
「魂がこもった」というのが比喩的なものではなくて。生きていた時よりもリアルに心の裏側までも語り出す。
50代の彫刻家のそれまでのアーティスト人生や家族との関係がとてもリアル。
篠田節子さんの小説は大作が好きで今まで読んできたけど、この連作短編集も重い設定を軽く描いてくれてとても読みやすかった。
Posted by ブクログ
もうひと波乱、何かが起きることを期待したまま終わってしまった焦れったさが、「後を引く面白さ」とか「余韻」とかいうものなんだろうと思う。
レオニダスとニケも、田んぼの中できっと何やら呟いているに違いない。