篠田節子のレビュー一覧
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美人のピアノ演奏者として評判の主人公麗子。
その美しさは、彫刻的人工的でが、ハンバではない。
しかし、ハッと息をのむほど美しいのに、
人間的な温かみのなさがすぐにわかると見え、
誰も親密になろうとしない。
もともとは自分の容姿を悲観して
美容整形で手に入れた顔と美貌だったのだが、
元の自分を葬り去るつもりで、思い切った整形に挑んだため、
彼女自身も自分の顔がキライだった。
そんな彼女にある日突然、
謎の男性平田が「夢ではない」といいつつ、近づいてきた。
相手の身元も何もわからないまま、
麗子も彼を愛するが、彼が愛したのは実は麗子の表面だった・・・。
おぞましい結末がラストにあったが、
麗 -
Posted by ブクログ
これが篠田節子の原点かと思うと、「意外」と「さもありなん」が交錯する。
前半と後半で、まったく別の物語になってしまう展開を「破綻している」と見るか「ダイナミック」と見るかで評価は変わるだろうが、一つだけはっきり言えるのは、これは確信犯的なストーリー展開であり、そこに異様なまでの迫力が存在しているという事だろう。「美へのこだわり」や「自然の尊厳」といった、後の篠田作品で扱われる様々なテーマの萌芽が見えるのも面白い。
こうしてみると「絹の変容」とはなんと卓越したタイトルであることか。まさしく篠田節子はという作家は、一作ごとに「変容」して来ているのである。 -
Posted by ブクログ
上巻では、トントン拍子に成長していく教団の姿が書かれていましたが、下巻では一転。ドンドン転落していきます。
適当にでっち上げた宗教。
それが次第に一人歩きし始め、そして教祖・慧海の手には負えなくなって行く様子が見事ですね~。
宗教って、信仰って何なんだろう?と考えさせられます。
教祖以上に教えを信じ込む女性信者たち・・・
信じる者は強く・恐ろしい。
とにかく下巻は圧巻でした。
暴走する信者・それを客観的に眺める教祖・世間からはカルト教団の烙印を押され弾圧される・押しかける信者の関係者。
すごく怖いです。
やはり下手なホラーよりも一番怖いのは人間だ、と再認識させられる怖さ。
そして暴走す -
Posted by ブクログ
日常生活が、ふとしたことからズレていく。ずれは思いもかけない方向に進み加速度を増す。気がつくとまったく違ってしまった自分と家族と日常になってしまっている。そんな静かな恐怖を描いた短編7作。
中でも「幻の穀物危機」が鋭い。幼い子と妻と3人、脱サラをして山梨のペンション村に引っ越して喫茶店を営む主人公。周りには穀物危機が来ると信じて疑わない同じ脱サラ組の農業者もいる。そんある日東京西部で大きな地震が起き続々と東京から難民がやってくる。生活機能がマヒし食糧が手に入らなくなったのだ。それは東京のみならず県都の甲府でも起きていた。そして田舎にいながら農地を持たない主人公も食べ物が底をつく。穀物危機は外