篠田節子のレビュー一覧

  • 仮想儀礼(上)(新潮文庫)

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     人生の敗者となったふたりの男は、金儲けのための教団「聖泉真法会」を設立して再起をはかる。金だけを目当てにした教団には次々と信者が集まり、教団はふたりの予想を超えて巨大化してゆく。しかし、巨大化した教団を食い物にしようと、おぞましい人間たちが群がりはじめる…。
     神聖なものであるはずの宗教が世俗的な欲望に彩られている。聖泉真法会は人間の絶望と欲望のかたまりだ。主人公は極めてビジネス的な視点で教団運営を図る。宗教というのは、ビジネスにとって最高のフィールドらしい。完全にビジネス化した聖泉真法会に救いを求め、実際に心の平安を得る信者も存在する。その信者にとって聖泉真法会はかけがえのない存在である。

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    2012年08月11日
  • 仮想儀礼(下)(新潮文庫)

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    夢物語に終わったファンタジーゲームブックで創作した秘法が、宗教という衣をまとってまたたくまに拡がった・・・と思ったら、予想通り、本下巻は転落の道。しかも転落の道を引っ張るのは、予想外の敵ばかり。自業自得と言ってしまっては気の毒というくらいに、だんだん教祖に同情というか共感じみた感情も芽生えてくる。

    現代のモンスター、「宗教」の虚実・・・という売り文句でしたが、最近は「洗脳」というくくりでしょうかね。


    (2012/5/9)

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    2012年05月22日
  • 仮想儀礼(下)(新潮文庫)

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    起承転結、転の巻き。但、転機ではなく転落。上巻末で登場した怪人物はその悪業を暴かれあっさりと舞台から姿を消すが聖泉真法会への世間の疑惑を招く契機となる。社会的異端者を排除しようとする世間、言論、公権力からの波状攻撃を受け教団は一気に崩壊の縁へと追いやられる。迫害に耐える哀れな信徒と思いきや似非教祖の統制を離れ信仰を深化、激化、狂化させて行く。行きつく先に一人の男の死。そして関係者の逮捕・審判・懲役。最後に結としての転生。マイナス札を全て集めるとプラスに転ずる札遊びの様に真の教祖誕生を思わせる後日談にて了。

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    2012年05月05日
  • 仮想儀礼(上)(新潮文庫)

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    『聖域』『ゴサインタン』『弥勒』の宗教三部作に続く第四弾!ゴサイ~が僻村に嫁入りしたネパール人妻が神懸り状態になり自然発生的に教団が形成される過程を描いたのに対し、本作では失業中の男二人がほどほどの金儲けを目的に似非教団を作る。ところが思惑を越え信者の数は増え続け、やがて二人は現代日本の宗教を取り巻く大きなうねりの中に呑み込まれて行く。教祖役は元都庁職員であり、詐欺師にも拘わらず社会常識に長けた堅実な人物として描かれており、物語の目撃者の役割を果たしている。終盤、宗教を食い物にする怪人物登場。読み応え有。


    荻原 浩の『砂の王国』が似たような設定らしい。φ(.. )

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    2012年04月30日
  • ロズウェルなんか知らない

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    UFOや超常現象を町おこしに使おうとする青年クラブの面々(実際のメンバーは中年)のドタバタを描いた小説。        著者は市役所勤務の経験もあるそうで、実際ここまではいかなくてもユニークな町おこしをしてるところも日本のどこかにあるんだろう。

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    2012年04月19日
  • 静かな黄昏の国

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    ネタバレ

    2012/3/24 ジュンク堂三宮駅前店にて購入。
    2022/5/19〜5/24

    篠田さんらしい、ちょっとホラー要素の混じった短編集。「リトル・マーメイド」、「陽炎」、「一番抵当権」、「エレジー」、「刺」、「小羊」、「ホワイトクリスマス」、「静かな黄昏の国」の8編。どれも良いが最後の3つが甲乙つけがたいベストか。原子力のゴミに関する最後の作品は、近未来を表しているようで大変考えさせられる。

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    2022年05月25日
  • 神の座 ゴサインタン

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    ★3.5くらい。読み終わるのに1ヶ月近くかかってしまった。P648の長編小説。人間救済、回復の物語。

    <名前の回復>カルバナ・タミという名前を剥奪された「淑子」。

    <人間性の回復>人間(輝和)が変わるには、これほどまでの痛苦を味わう必要があるのか。想像を絶する「墜ち方」。ここまで墜ちても回復できるのだとしたら、墜ちてみるのもありかもしれないよなあと思う。残念ながら、普通だったら、どっかで死ぬだろう。主人公・輝和、人間の機微を理解できない、この鈍感な男が、最後には頼もしく、再生してゆく様。

    <家父長制(家)の崩壊>豪農の跡取り息子・輝和が、すべてを失う。本当に「すべて」を。名士としての歴史

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    2012年02月02日
  • 百年の恋

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    たんたんと話が進んでいって、
    たんたんと読んでいったけど、
    特に大きな盛り上がりがあるわけではなく、
    そのまま終わった。

    とは言え、人生そんなもんだと思った。

    都会の情景やそこに生きる人々が独特な表現で、
    姉エリの心のうちがテレビの雑音、ブラウン管の中の世界で
    表わされていて、よく分からないけど、なんだか分かった。

    都会という波に飲みこまれながら
    個々がそれぞれに考え、悩みを持って
    毎日陽は登る。

    そんな毎日が第三者の目線を用いて
    きちんと描かれていた。

    初めて村上春樹の作品を読んだけど、
    なかなか不思議な世界だった。
    読み終わった後、なんとなくタイトル

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    2012年01月04日
  • 絹の変容

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    よくまとまった短編スリラーである。話のスケールが小さいかもしれないが、スケールが大きくなると現実感が失われるかも。八王子限定は、ちょうどいいくらいだ。

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    2011年12月23日
  • カノン

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    経済的理由から音大に進めず教育学部で音楽を専攻し、チェリストになることを夢見ていた主人公。彼女は学生オケで出会ったヴァイオリニストに恋をし、その恋情を彼女の思うようには遂げられず妊娠堕胎といった失意のうちに夢にさえも挫折し流されるまま教職の資格を得て小学校の音楽教諭となる。それから二十年近くが経ったある日、もの悲しいヴァイオリンの音色とともに彼女の青春のすべてだったかのヴァイオリニストの訃報がもたらされこの物語は始まる。ヴァイオリニストが残した主人公と交わした約束の曲が儚くなった彼の幻とともにたち現れては彼女になにかを訴えかけ、彼女はその謎を追って長野県の松本市へと向かう。……長野県民としては

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    2011年12月06日
  • レクイエム

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    大人の短編集。

    【コンクリートの巣】はやりきれない話。
    こんな風に親から子への虐待が行われているのか…
    と辛い思いで読み進めた。

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    2011年11月15日
  • 神鳥(イビス)

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    タイトルに覚えがあるから読んだはずなのに、しばらく頭の中でイビスという単語がぐるぐるしていた記憶もあるのに、あまり覚えてないなぁ。

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    2011年11月10日
  • 神の座 ゴサインタン

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    山岳小説だと思って買ったんだけど違った。一種の「魂の再生の物語」であった。

    住民の生活や新興宗教の詳細なリアリティは作者らしい。 が、それとホラーもしくは神秘小説的趣きとのギャップが奇妙。

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    2011年10月03日
  • 仮想儀礼(上)(新潮文庫)

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    ネタバレ

    あまり女性作家の作品は読まないがこの作品は表題に惹かれて以前購入し本棚に放置してあった。彼女の別作品を先日読み在庫にあったなと。
    内容は
    ひょんな理由から都庁を退職。家庭も崩壊してお金儲けを目当てに
    宗教を主宰した男たちの顛末記。

    なるほど女性の視点で描くとこうなるのかという感じ。
    男性の私から見れば主人公はまっとうすぎた。
    教祖はもう少し泥臭くなければ務まるまい。
    おそらくこんな男性はあまりというか、かなりレアだろう。

    新堂冬樹の「カリスマ」のほうがより実際的な気がする。

    私がその立場だったらと随分考えさせられた。
    泥臭さには自信があるが、こんな女性信者からは
    即刻逃げ出しそうだw

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    2011年09月13日
  • 死神

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    ケースワーカーという仕事がこんなにも大変でこんなにも深いものとは。
    世の中には、こんな生活をしている人もいるということを知った。日々を大切に仕事ができる喜び生活を苦がなくできることへの感謝を忘れずに生きて行こうと思う。

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    2011年08月24日
  • 神鳥(イビス)

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    「朱鷺飛来図」が描かれた理由と珠枝の謎の死と
    映画監督の不審死の原因を探るために奥多摩に向かう主人公二人。
    ここまでなら、よくある好みの展開だったりするが
    奥多摩の山中に足を踏み入れた途端に迷い込む魔境。
    何かがいる気配ではなく、いない気配。ここで既に怖い。
    これは種そのものを絶滅に追いやられた朱鷺の怨念ですよ。
    散りばめられた伏線を回収するかのごとく収束に向かい、
    謎が解明された時、更なる恐怖が主人公たちを襲う。
    ページを捲る手を止められなくて一気に読んだわ。
    主人公の1人がヘタレだってことにイラっとしたけど
    面白かったからいいでしょう。

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    2011年08月13日
  • 贋作師

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     美術界の重鎮が謎の言葉を残して自殺した。遺作の修復を依頼された主人公が、その死に対して不審を抱きはじめることからストーリーは展開していく。修復している遺作は贋作なのか…
     
     篠田節子は文章が上手いので、どんどん物語にのめりこみます。一気読みです。美術小説というよりは、ホラー&サスペンス的な要素が強い小説です。
     

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    2017年08月15日
  • 仮想儀礼(下)(新潮文庫)

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    ネタバレ

    上巻は社会に振り回され、失業者となった2人の男がビジネスとして始めた宗教、それが上手く行きとんとん拍子に大きくなっていく様子が喜劇として描かれています。
    しかし下巻ではこの宗教があっという間に崩壊していく様子が、並のホラーでは太刀打ち出来ないような情景で展開され、物語は悲劇で終わります。
    でも最後には本当の宗教って何だろう?という答えが少しだけ見えたような気持ちになる長編でした。

    しかし読み終えるのにこんなにパワーを使った長編小説は久しぶり。。。

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    2012年05月29日
  • 転生

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    パンチェンラマ十世のミイラが蘇るという荒唐無稽な物語の中にチベットの現状を描き込んだスラップスティック・コメディ。
    ダライラマやチベット仏教をを扱った本は何冊か読んだけれど、本作を読んで全然わかっていなかったと感じた。たとえば、作中にある〈素のままのチベット人は、今でも勇猛果敢で残酷で、その上狡猾な、厳しい気候に鍛え上げられたとてつもなく強い民族だ。チベット人の苛烈さを封じ込めていた仏法を、共産党はそれとは知らずに破壊してきた。その結果が、今日見たあの騒ぎだ。どれほど弾圧しようと工作しようと、面従腹背で、いつでも敵の寝首をかこうと待ちかまえているのがチベットの民だ〉とか〈時代が違います、猊下。

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    2011年07月02日
  • 仮想儀礼(上)(新潮文庫)

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    もと公務員がビジネスとして新興宗教をたちあげていく話。
    主人公が良識ある人、悪人ではないので感情移入してしまう。
    もっと客観的になれたら色々な宗教ビジネスのからくりを楽しめると思う。

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    2011年06月30日