篠田節子のレビュー一覧

  • 死神
    『女たちのジハード』と同じように,同じ福祉事務所に勤める人々の視点をうつりながらケースワーカーという仕事を見る。
    人間が生きていくということ,お金がないということはきれいごとじゃ済まされない苦労が存在するということが分かった。
  • 贋作師
    大物美術家と,その家族・弟子にまつわる愛憎劇。
    そんな中に巻き込まれた主人公は絵画の修復屋。
    テーマが非常に面白いと思った。
  • 神鳥(イビス)
    若くして亡くなった女流画家の遺作「朱鷺飛来図」の
    謎を追って、イラストレーターの女性と落ち目の作家の男性が
    新潟や奥多摩へ旅行して、恐ろしい目に遭うホラーです。
    朱鷺の描写が綺麗で、そこがまた恐怖を呼びます。
    朱鷺飛来図と言う絵画を自分も見てみたいと思うほどでした。
    ただ、せっかく美しくて怖いお話で...続きを読む
  • カノン
    昔の恋人が遺したヴァイオリン演奏を聞いて以来,
    身辺で奇妙なことが起こり始める。
    恋人とその親友,主人公で始めたある夏の合宿。
    そこへ向かって,テープがそうであったように逆行していく。
  • 絹の変容
    SF。
    絹を吐き出す蚕に関する物語。
    テンポよく進展するので,あっという間に読み終えてしまった。
    登場人物の設定(性格など)が,前半と後半で大きく変わり過ぎているような気もした。
  • 神の座 ゴサインタン
    ネパールから嫁いできた女性がとんでもない力をもっていたというお話。
    外国人妻の現状が少し見ることができた気がします。
  • カノン
    ブクオフ100円。タイトルと本の厚さにひかれて購入。ちょっと眠かったとかそういうことが影響してるのかもしれないけど、何だか、世界に入り込んだような気がする。[08/05/09]
  • 秋の花火
    なんだか、ちょっと寂しい感じのタイトルです。

    作者の本は、いくつか読んだことがあるのですが、人物に対する細かい描写が気に入ってます。

    そしてわざとらしい感じでない、もの悲しさ、人生の悲哀、ちょっとした感情の動きなど… 絶妙です。

    年をとるということって、いろいろ辛いな…と思います。
  • ハルモニア
     サヴァン症候群(自閉的知的障害者に多く見られる、ある能力だけが突出して優れている)の女性を主人公とした作品。
  • 寄り道ビアホール
    篠田節子さんエッセイ朝日新聞家庭欄に連載されたものずっと前に読んだので今回パラパラとめくってみた。最近篠田節子さんのものを読んでないけどやっぱりこの人、好きだな〜って改めて思った。また読んでみよ!!
  • 死神
    世の中って、キビしいよなあ・・この小説を読んでつくづくそう思った。

    「ケースワーカー」とは、福祉事務所において生活保護を受けている人に対して、様々な働きかけをする職員のことを呼ぶそうだ。

    この小説の舞台は新宿に近い「稲荷町」という町の福祉事務所。

    そして8つの短編に、この福祉事務所に勤めている...続きを読む
  • 百年の恋
    冴えない男性と、スーパーエリート女性の結婚生活のどたばたなお話し。
    両方にイライラさせられながらも、ラストイイ感じでとっても読みやすかったです。
  • 百年の恋
    人もうらやむ美人キャリア妻と結婚し、家事育児に翻弄される売れない翻訳家。
    男性目線で語られる育児記録が盛り込まれた篠田節子のコメディ。
    男性には恐怖を。女性には少しの笑いを。
  • カノン
    新規購入ではなく、積読状態のもの。恐らく1999年4月に購入。
    2019/1/9〜1/13

    積みも積んだり19年ものの積読本。音楽や芸術に打ち込む、というのは残酷なことだなぁ。購入した当時は趣味ではなかった登山関係の描写もあり、積んで良かったのかもしれない。奥穂高は行ったことがあるが、あの稜線で雷...続きを読む
  • 神鳥(イビス)
    篠田節子の作品から1冊選ぶとするとこれ。弥勒とかゴサインタンとか重厚な作品もいいけど、この短い作品に一番引き込まれた。そして怖かった。
  • 神鳥(イビス)
    とにかく怖い。
    本を読んで震えるくらい怖いのはいつぶりかわからないくらい。読み終えた後も恐怖は終わらない。解決してない気もするが、たまにはこういう結末もあって良いのかも。
  • ハルモニア
    この作品を読んでから、チェロの音が好きになった・・・。
    しかし、超人的な才能は、やはり社会に適合するための何かを犠牲にしないと持ち得ないものなのか。そして、そうやって持つことのできた才能でも、他をコピーすることだけに長けていたり、音を聞き分けることだけに長けていたり、と極端に偏っていたりする。
    私自...続きを読む
  • 絹の変容
    「夏の災厄」を先に読んでしまった人は物足りないかもしれないけれど、私はこちらを先に読んだのでじゅうぶんに楽しめました。リアリティのあるバイオホラー。虫が苦手な人はキツイかもしれないけれど、もともと、あの美しい絹織物が蚕から作られるってところにすでに神秘がありますよね。自然界に人の手を加えて、美しいも...続きを読む
  • 神鳥(イビス)
    「絶滅した種の怨念」を人間が芸術として表現する・・・。そのためには健全な肉体と正常な精神を犠牲にしてまで。
    生きとし生けるもの、すべてには「種の保存」という本能がある。それを他の力で押さえつけられ滅ぼされたとき、すさまじい怨念が残っても不思議はないかもしれない。だとしたら、今の地球上にはどれだけの怨...続きを読む
  • 贋作師
    絵画の贋作をめぐるサスペンスとして、じゅうぶん面白いのですが、それだけでなく登場人物が抱える自分の才能への期待・挑戦・挫折などが心に響きました。