篠田節子のレビュー一覧

  • 神の座 ゴサインタン

    Posted by ブクログ

    ★3.5くらい。読み終わるのに1ヶ月近くかかってしまった。P648の長編小説。人間救済、回復の物語。

    <名前の回復>カルバナ・タミという名前を剥奪された「淑子」。

    <人間性の回復>人間(輝和)が変わるには、これほどまでの痛苦を味わう必要があるのか。想像を絶する「墜ち方」。ここまで墜ちても回復できるのだとしたら、墜ちてみるのもありかもしれないよなあと思う。残念ながら、普通だったら、どっかで死ぬだろう。主人公・輝和、人間の機微を理解できない、この鈍感な男が、最後には頼もしく、再生してゆく様。

    <家父長制(家)の崩壊>豪農の跡取り息子・輝和が、すべてを失う。本当に「すべて」を。名士としての歴史

    0
    2012年02月02日
  • 百年の恋

    Posted by ブクログ

    たんたんと話が進んでいって、
    たんたんと読んでいったけど、
    特に大きな盛り上がりがあるわけではなく、
    そのまま終わった。

    とは言え、人生そんなもんだと思った。

    都会の情景やそこに生きる人々が独特な表現で、
    姉エリの心のうちがテレビの雑音、ブラウン管の中の世界で
    表わされていて、よく分からないけど、なんだか分かった。

    都会という波に飲みこまれながら
    個々がそれぞれに考え、悩みを持って
    毎日陽は登る。

    そんな毎日が第三者の目線を用いて
    きちんと描かれていた。

    初めて村上春樹の作品を読んだけど、
    なかなか不思議な世界だった。
    読み終わった後、なんとなくタイトル

    0
    2012年01月04日
  • 絹の変容

    Posted by ブクログ

    よくまとまった短編スリラーである。話のスケールが小さいかもしれないが、スケールが大きくなると現実感が失われるかも。八王子限定は、ちょうどいいくらいだ。

    0
    2011年12月23日
  • カノン

    Posted by ブクログ

    経済的理由から音大に進めず教育学部で音楽を専攻し、チェリストになることを夢見ていた主人公。彼女は学生オケで出会ったヴァイオリニストに恋をし、その恋情を彼女の思うようには遂げられず妊娠堕胎といった失意のうちに夢にさえも挫折し流されるまま教職の資格を得て小学校の音楽教諭となる。それから二十年近くが経ったある日、もの悲しいヴァイオリンの音色とともに彼女の青春のすべてだったかのヴァイオリニストの訃報がもたらされこの物語は始まる。ヴァイオリニストが残した主人公と交わした約束の曲が儚くなった彼の幻とともにたち現れては彼女になにかを訴えかけ、彼女はその謎を追って長野県の松本市へと向かう。……長野県民としては

    0
    2011年12月06日
  • レクイエム

    Posted by ブクログ

    大人の短編集。

    【コンクリートの巣】はやりきれない話。
    こんな風に親から子への虐待が行われているのか…
    と辛い思いで読み進めた。

    0
    2011年11月15日
  • 神鳥(イビス)

    Posted by ブクログ

    タイトルに覚えがあるから読んだはずなのに、しばらく頭の中でイビスという単語がぐるぐるしていた記憶もあるのに、あまり覚えてないなぁ。

    0
    2011年11月10日
  • 神の座 ゴサインタン

    Posted by ブクログ

    山岳小説だと思って買ったんだけど違った。一種の「魂の再生の物語」であった。

    住民の生活や新興宗教の詳細なリアリティは作者らしい。 が、それとホラーもしくは神秘小説的趣きとのギャップが奇妙。

    0
    2011年10月03日
  • 仮想儀礼(上)(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    あまり女性作家の作品は読まないがこの作品は表題に惹かれて以前購入し本棚に放置してあった。彼女の別作品を先日読み在庫にあったなと。
    内容は
    ひょんな理由から都庁を退職。家庭も崩壊してお金儲けを目当てに
    宗教を主宰した男たちの顛末記。

    なるほど女性の視点で描くとこうなるのかという感じ。
    男性の私から見れば主人公はまっとうすぎた。
    教祖はもう少し泥臭くなければ務まるまい。
    おそらくこんな男性はあまりというか、かなりレアだろう。

    新堂冬樹の「カリスマ」のほうがより実際的な気がする。

    私がその立場だったらと随分考えさせられた。
    泥臭さには自信があるが、こんな女性信者からは
    即刻逃げ出しそうだw

    0
    2011年09月13日
  • 死神

    Posted by ブクログ

    ケースワーカーという仕事がこんなにも大変でこんなにも深いものとは。
    世の中には、こんな生活をしている人もいるということを知った。日々を大切に仕事ができる喜び生活を苦がなくできることへの感謝を忘れずに生きて行こうと思う。

    0
    2011年08月24日
  • 神鳥(イビス)

    Posted by ブクログ

    「朱鷺飛来図」が描かれた理由と珠枝の謎の死と
    映画監督の不審死の原因を探るために奥多摩に向かう主人公二人。
    ここまでなら、よくある好みの展開だったりするが
    奥多摩の山中に足を踏み入れた途端に迷い込む魔境。
    何かがいる気配ではなく、いない気配。ここで既に怖い。
    これは種そのものを絶滅に追いやられた朱鷺の怨念ですよ。
    散りばめられた伏線を回収するかのごとく収束に向かい、
    謎が解明された時、更なる恐怖が主人公たちを襲う。
    ページを捲る手を止められなくて一気に読んだわ。
    主人公の1人がヘタレだってことにイラっとしたけど
    面白かったからいいでしょう。

    0
    2011年08月13日
  • 贋作師

    Posted by ブクログ

     美術界の重鎮が謎の言葉を残して自殺した。遺作の修復を依頼された主人公が、その死に対して不審を抱きはじめることからストーリーは展開していく。修復している遺作は贋作なのか…
     
     篠田節子は文章が上手いので、どんどん物語にのめりこみます。一気読みです。美術小説というよりは、ホラー&サスペンス的な要素が強い小説です。
     

    0
    2017年08月15日
  • 仮想儀礼(下)(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    上巻は社会に振り回され、失業者となった2人の男がビジネスとして始めた宗教、それが上手く行きとんとん拍子に大きくなっていく様子が喜劇として描かれています。
    しかし下巻ではこの宗教があっという間に崩壊していく様子が、並のホラーでは太刀打ち出来ないような情景で展開され、物語は悲劇で終わります。
    でも最後には本当の宗教って何だろう?という答えが少しだけ見えたような気持ちになる長編でした。

    しかし読み終えるのにこんなにパワーを使った長編小説は久しぶり。。。

    0
    2012年05月29日
  • 転生

    Posted by ブクログ

    パンチェンラマ十世のミイラが蘇るという荒唐無稽な物語の中にチベットの現状を描き込んだスラップスティック・コメディ。
    ダライラマやチベット仏教をを扱った本は何冊か読んだけれど、本作を読んで全然わかっていなかったと感じた。たとえば、作中にある〈素のままのチベット人は、今でも勇猛果敢で残酷で、その上狡猾な、厳しい気候に鍛え上げられたとてつもなく強い民族だ。チベット人の苛烈さを封じ込めていた仏法を、共産党はそれとは知らずに破壊してきた。その結果が、今日見たあの騒ぎだ。どれほど弾圧しようと工作しようと、面従腹背で、いつでも敵の寝首をかこうと待ちかまえているのがチベットの民だ〉とか〈時代が違います、猊下。

    0
    2011年07月02日
  • 仮想儀礼(上)(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    もと公務員がビジネスとして新興宗教をたちあげていく話。
    主人公が良識ある人、悪人ではないので感情移入してしまう。
    もっと客観的になれたら色々な宗教ビジネスのからくりを楽しめると思う。

    0
    2011年06月30日
  • インコは戻ってきたか

    Posted by ブクログ

    あらすじを読むに恋愛要素が強く、タイトルも平和でぼんやりした印象があり読み始めたが、全然違った…

    読み終わってみると、紛争に巻き込まれていく展開と、二人の距離感が不自然なく感じられた。普段の私なら、もっとドラマティックなラストを望みそうなのに、妙にしっくりきているのはなんでだろう。

    結局、私はこの作者の描く女性臭さにいつも妙に共感できるので、個人的には好きな作品。思った以上に余韻の残る満足さだ。

    0
    2011年06月28日
  • 仮想儀礼(上)(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    諸事情により職を失った二人の男が、たまたまニュースで目にした9.11事件に光景に感化されて、事業としての宗教を始めるという話。

    個人的には面白い、というか興味深い本だったけど、あまり人にはお勧め出来ないと思ってしまった。篠田節子の小説は何かひとつ伝えたい主題もないし、感動があるわけでもなく、いま自分たちが暮らしている日常の中で起こりうる、あり得る世界を提示するものだと思っている。宗教的な超常現象を絡めながらもそこに恐ろしくリアリティを感じさせてしまうのがこの著者の凄いところ。宗教が人間を象徴するものであるというのもあるけれど、今回もかなり引き込まれてしまった。

    ちなみに、この後は平野敬一郎

    0
    2011年06月27日
  • 仮想儀礼(下)(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

     ビジネスとして立ち上げた新興宗教。あくまでも虚実でしかなかったはずのそれが、底なし沼のように主人公を呑み込んでいく。

     主人公は一般人としての常識や良心、倫理観を持ったまま、宗教の狂気をまざまざと見せ付けられる。

     宗教とは、救いとは何なのか。

     傑作。

    0
    2011年06月26日
  • 仮想儀礼(上)(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

     泡のような夢のために仕事も過程も失った男が、ビジネスとして新興宗教を立ち上げる。

     主人公は善人ではないが、悪人とまではいかない。あくまでビジネスではじめたはずの『宗教』という虚実に引き摺られ、足を取られて破滅へと転がっていく。

    0
    2011年06月26日
  • 神鳥(イビス)

    Posted by ブクログ

    相変わらず篠田節子の作品は面白い。ちょっと強引かと思う展開もあったものの、ぐいぐいと引きこまれていく。朱鷺の生態を含めて無知だったので、合わせて写真を見たり百科事典で調べたりして勉強になった。

    0
    2011年03月23日
  • ハルモニア

    Posted by ブクログ

    脳に障害をもつ由希が奏でる
    超人的なチェロの調べ。
    指導を頼まれた中堅演奏家・東野は
    その天才的な才能に圧倒されます。
    名演奏を自在に“再現”する才能を持つ由希に足りないのは、
    “自分自身の音楽”。
    彼女の演奏に何とか魂を吹き込もうとする東野の周りでは、
    次々と不可解な事件が起こり始めます。
    音楽にすべてを捧げる二人の行着く果ては。。。。。



    中庸な演奏を得意とする(…時には必要に迫られ。)東野にとって、
    非凡な才能を持ちながらコピー演奏しかできない由希が不憫であり、
    自分では成し得ない理想の演奏を叶えるに相応しい分身だったのでしょう。
    次第に破壊していく由希の体、
    それと並行して社会から

    0
    2011年02月11日