篠田節子のレビュー一覧
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人生の敗者となったふたりの男は、金儲けのための教団「聖泉真法会」を設立して再起をはかる。金だけを目当てにした教団には次々と信者が集まり、教団はふたりの予想を超えて巨大化してゆく。しかし、巨大化した教団を食い物にしようと、おぞましい人間たちが群がりはじめる…。
神聖なものであるはずの宗教が世俗的な欲望に彩られている。聖泉真法会は人間の絶望と欲望のかたまりだ。主人公は極めてビジネス的な視点で教団運営を図る。宗教というのは、ビジネスにとって最高のフィールドらしい。完全にビジネス化した聖泉真法会に救いを求め、実際に心の平安を得る信者も存在する。その信者にとって聖泉真法会はかけがえのない存在である。 -
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『聖域』『ゴサインタン』『弥勒』の宗教三部作に続く第四弾!ゴサイ~が僻村に嫁入りしたネパール人妻が神懸り状態になり自然発生的に教団が形成される過程を描いたのに対し、本作では失業中の男二人がほどほどの金儲けを目的に似非教団を作る。ところが思惑を越え信者の数は増え続け、やがて二人は現代日本の宗教を取り巻く大きなうねりの中に呑み込まれて行く。教祖役は元都庁職員であり、詐欺師にも拘わらず社会常識に長けた堅実な人物として描かれており、物語の目撃者の役割を果たしている。終盤、宗教を食い物にする怪人物登場。読み応え有。
荻原 浩の『砂の王国』が似たような設定らしい。φ(.. ) -
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★3.5くらい。読み終わるのに1ヶ月近くかかってしまった。P648の長編小説。人間救済、回復の物語。
<名前の回復>カルバナ・タミという名前を剥奪された「淑子」。
<人間性の回復>人間(輝和)が変わるには、これほどまでの痛苦を味わう必要があるのか。想像を絶する「墜ち方」。ここまで墜ちても回復できるのだとしたら、墜ちてみるのもありかもしれないよなあと思う。残念ながら、普通だったら、どっかで死ぬだろう。主人公・輝和、人間の機微を理解できない、この鈍感な男が、最後には頼もしく、再生してゆく様。
<家父長制(家)の崩壊>豪農の跡取り息子・輝和が、すべてを失う。本当に「すべて」を。名士としての歴史 -
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たんたんと話が進んでいって、
たんたんと読んでいったけど、
特に大きな盛り上がりがあるわけではなく、
そのまま終わった。
とは言え、人生そんなもんだと思った。
都会の情景やそこに生きる人々が独特な表現で、
姉エリの心のうちがテレビの雑音、ブラウン管の中の世界で
表わされていて、よく分からないけど、なんだか分かった。
都会という波に飲みこまれながら
個々がそれぞれに考え、悩みを持って
毎日陽は登る。
そんな毎日が第三者の目線を用いて
きちんと描かれていた。
初めて村上春樹の作品を読んだけど、
なかなか不思議な世界だった。
読み終わった後、なんとなくタイトル -
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経済的理由から音大に進めず教育学部で音楽を専攻し、チェリストになることを夢見ていた主人公。彼女は学生オケで出会ったヴァイオリニストに恋をし、その恋情を彼女の思うようには遂げられず妊娠堕胎といった失意のうちに夢にさえも挫折し流されるまま教職の資格を得て小学校の音楽教諭となる。それから二十年近くが経ったある日、もの悲しいヴァイオリンの音色とともに彼女の青春のすべてだったかのヴァイオリニストの訃報がもたらされこの物語は始まる。ヴァイオリニストが残した主人公と交わした約束の曲が儚くなった彼の幻とともにたち現れては彼女になにかを訴えかけ、彼女はその謎を追って長野県の松本市へと向かう。……長野県民としては
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ネタバレあまり女性作家の作品は読まないがこの作品は表題に惹かれて以前購入し本棚に放置してあった。彼女の別作品を先日読み在庫にあったなと。
内容は
ひょんな理由から都庁を退職。家庭も崩壊してお金儲けを目当てに
宗教を主宰した男たちの顛末記。
なるほど女性の視点で描くとこうなるのかという感じ。
男性の私から見れば主人公はまっとうすぎた。
教祖はもう少し泥臭くなければ務まるまい。
おそらくこんな男性はあまりというか、かなりレアだろう。
新堂冬樹の「カリスマ」のほうがより実際的な気がする。
私がその立場だったらと随分考えさせられた。
泥臭さには自信があるが、こんな女性信者からは
即刻逃げ出しそうだw
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「朱鷺飛来図」が描かれた理由と珠枝の謎の死と
映画監督の不審死の原因を探るために奥多摩に向かう主人公二人。
ここまでなら、よくある好みの展開だったりするが
奥多摩の山中に足を踏み入れた途端に迷い込む魔境。
何かがいる気配ではなく、いない気配。ここで既に怖い。
これは種そのものを絶滅に追いやられた朱鷺の怨念ですよ。
散りばめられた伏線を回収するかのごとく収束に向かい、
謎が解明された時、更なる恐怖が主人公たちを襲う。
ページを捲る手を止められなくて一気に読んだわ。
主人公の1人がヘタレだってことにイラっとしたけど
面白かったからいいでしょう。 -
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パンチェンラマ十世のミイラが蘇るという荒唐無稽な物語の中にチベットの現状を描き込んだスラップスティック・コメディ。
ダライラマやチベット仏教をを扱った本は何冊か読んだけれど、本作を読んで全然わかっていなかったと感じた。たとえば、作中にある〈素のままのチベット人は、今でも勇猛果敢で残酷で、その上狡猾な、厳しい気候に鍛え上げられたとてつもなく強い民族だ。チベット人の苛烈さを封じ込めていた仏法を、共産党はそれとは知らずに破壊してきた。その結果が、今日見たあの騒ぎだ。どれほど弾圧しようと工作しようと、面従腹背で、いつでも敵の寝首をかこうと待ちかまえているのがチベットの民だ〉とか〈時代が違います、猊下。