篠田節子のレビュー一覧

  • 仮想儀礼(上)(新潮文庫)

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    騙された男と騙した男が始めたインチキ宗教「聖泉真法会」。最初は訳アリな若者たちの駆け込み寺のようなものだったが、次々と起こるトラブルを真摯に(?)こなしていくうちに信者7,000人を超える大所帯に。
    そんな時、大教団の教祖に目をつけられ…?

    上巻の本書は、嘘でしょ!?みたいなノリで始めた宗教が、あれよあれよという間に信者を抱えていく様がとても面白かった。
    もちろん、信者になった全員を救うことなど出来ず、脱会する者や亡くなってしまう者もいる中、信仰とお金という切っても切れない関係がズバズバ書かれています。
    篠田節子さんの描写って人物もそうだけど、こういうところがホント、リアリティがあって面白い

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    2024年11月16日
  • 四つの白昼夢

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    ネタバレ

    4つのありそうそれでいて不思議な話の短編集。
    最初の亀の話が微笑ましい。変な霊とかでなくて亀でよかった。よく見ると表紙にも亀が。
    4話目の義母が微笑んでいる相手がコーヘーという猿だったって言うのも、その人柄(猿柄?)がいいですね。

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    2024年10月30日
  • 愛逢い月

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    再読。
    筆者30歳代の作品という事で力量がぐいぐいのして行った時期かと思われる・・だけに表現や心情の底に流れる情感の言語化は巧み。
    その後、一気にブームにもなった嫌ミスならぬホラー恋愛の流れ的嚆矢?

    6つの短編が掲載。
    標題にある「愛逢い月」に込められている陽の如く「燃え上がっていく恋愛感情が時の流れに拠ったり感情の浮遊などで、気が付けば別の方向を向いていた・・てなニュアンス。

    筆者と同世代の男女の機微が惨く、寒く、白々しく描かれる。
    そういや、その頃「誠意大将軍」てなはやり文句があったなぁ

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    2024年10月28日
  • ロブスター【電子版特典付き】

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    温暖化の一層の進行でディストピアと化した未来の地球を舞台に展開される奇妙な物語。
    主人公は“自称”ジャーナリストの寿美佳で、発生生物学のクセキナス博士の妻から「オーストラリアの鉱山から博士を救出してほしい」という依頼が届く。金のためにその依頼を受けた寿美佳は、オーストラリアに飛んだが……。
    壮大なスケールの割にはこぢんまりした話である。圧巻は超巨大な掘削機の描写だ。本当はこれが主人公なんじゃないかと思うほど力が入っている。
    この先、人類に未来はないのだろうが、それでも経済活動は続くという馬鹿らしさも感じた。

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    2024年10月13日
  • 仮想儀礼(上)(新潮文庫)

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    NHKBSドラマを見て、読み始める。新興宗教を虚業として立ち上げる彼らが本当に病める若者、女性たちに翻弄される様はドラマより生々しい。

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    2024年10月08日
  • ゴサインタン 神の座

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    すっかり忘れていたけど,たしかに何十年前に読んだ。
    篠田節子は好きでほぼ読んでるけど、これはまだ あまり書き方が洗練されてないから、とりわけ長くダラダラ感じた。私は「賛歌」と「仮想儀礼」が1番好き。

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    2024年10月07日
  • 四つの白昼夢

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    4話の短編集
    篠田節子の長編SFミステリーの様な緻密さや深さは有りませんでしたが、サクッと読めてまぁまぁ楽しめました。後半2話は篠田節子らしい不思議物語でした。

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    2024年10月07日
  • 四つの白昼夢

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    四つの物語からなるお話。
    そのうちの二つは植物についても詳しく描かれており、植物が好きな私はとても楽しめた。

    『多肉』はアガベが主役(?)で、
    確かにアガベってこのお話のような不気味さを感じます。うちの近くの国道沿いに巨大なアガベがあって、去年ぐーんと茎を伸ばして花を咲かせました。花が終わったあと、あっという間に枯死して、怖い感じがしたのを思い出しました。

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    2024年09月11日
  • 四つの白昼夢

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    日常と隣り合わせの非現実とも言える世界を描く四つの物語。

    理想の家屋根裏に潜む何かの正体‥‥「屋根裏の散歩者」
    置き忘れた遺骨を巡る風景‥‥「妻をめとらば才たけて」
    経営破綻したレストラン店主がはまった沼‥‥「多肉」
    亡くなった義母と一緒に写った男の正体‥‥「遺影」

    どれもちょっと非現実的な物語。
    それでも「妻を‥‥」はいい話だった。人の幸不幸は側から見ている者にはわからないということ。他人は見えている風景から勝手な想像を働かせるけれど。
    二人の遺骨はどうなったのかな?共に葬られたらいいなと思うけど、そうならなくても二人の魂は共にあるような気がする読後。

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    2024年09月07日
  • 四つの白昼夢

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    ネタバレ

    白昼夢って何だっけ?ああ、非現実的な体験のことなのか。確かに4つの短編いずれも、不思議な話だった。怖いような不思議なような印象を持った。

    屋根裏で音がするので気になって調べたところ、音の発生源は意外にも亀という話は、どこか非現実的だがあり得なくもない。亀が歩くときはゆっくりだが地を這うような音がする。正体が分からないとこんなにも不気味なものなんだな。亀は昔から好きで可愛いし、人に懐くケースも知っている。飼っていた亀を手放したくない気持ちは分かるが、この先どうなるんだろう。親類とは言えほとんど他人の男が、自分たちの家の屋根裏に無断で入っているというだけで結構気味が悪い。ただ、私も主人公同様、す

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    2024年08月24日
  • 四つの白昼夢

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    ネタバレ

    妻をめとらば…
    は骨壷を電車の中に置いて帰ってしまった初老の男性に乗客の女性が駅員に届ける所から始まり、男性の過去が徐々に明らかになる。
    思い込みで誤解が発生し、本人がしゃべらないと誤解が誤解を生むという説明の大切さと思い込みはいけないなぁと教訓
    あと三つも面白く読めた。

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    2024年08月12日
  • 四つの白昼夢

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    世界がコロナ禍に飲み込まれた時代を背景にした4篇の短篇集。冒頭に置かれた「屋根裏の散歩者」にはそれらしき描写はないが、初出は2021年なので、作家がその影響下にあったことは間違いない。
    それが原因か知らないが、今回の篠田さんはホラー寄りである。読んでいると背筋がぞくぞくする系だ。モダンホラーは平気だが、和風のどろどろは苦手なんだよな……。とはいえさほど怖い話ではなく、コロナで破壊された日常に生きる人々を描いた巧さが光る。
    異常が当たり前なら、この暑さも普通になっていくのかな。そのうち“酷暑小説”も登場するのかもしれない。

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    2024年08月10日
  • 四つの白昼夢

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    物語を二面的に描く白昼夢のような4つの短編集。
    コロナ禍の不自由な生活も影響もあり、悔しいものもある。(妻をめとらば才たけて)。
    「遺影」が心温まって結構好きだった。

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    2024年07月27日
  • ドゥルガーの島

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    篠田さんのお得意の宗教がらみのファンタジー。
    今回はインドネシアの架空の島が舞台。
    遺跡の謎を追いながら世界で起きている宗教問題を絡めている

    自分ではミソジニーであることに全く気付いていない中年男性と、独身の文化人類学者の女性が良い塩梅で対比されている。

    ちょっと長かったが、書きたいことを全部書いたらこの長さになるのは理解できる。

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    2024年07月20日
  • 百年の恋

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    これは読み手が男か女かでだいぶ感想変わりそう…。
    出てくる女性陣が強すぎるのか勘違い主人公が屑すぎるのか。
    あとがきでぶっちゃける篠田さん良き。解説にも激しく首肯

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    2024年07月10日
  • 廃院のミカエル

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    苦手な海外の宗教ものを、また選んでしまった…
    もっと軽めのものかと思っていたら、そうでもなくて、読むの時間かかってしまった。

    ミステリーといっても誰かが、亡くなりはするけど殺されはしない。
    かといってオカルト一色でもなく、なんというか、強い印象なく終わってしまった。

    ただギリシャの宗教に触れるのは初めてだったので、そこは新鮮でした。

    勢いよく、一気に読んだほうがいいかもしれない。

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    2024年07月07日
  • ドゥルガーの島

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    加茂川一正は、長年ゼネコンに勤め、インドネシアで現場の折衝にあたってきた。ある種、楽天的で行き当たりばったり、しかし、その性格は意外に「現場」には向いていた。ただ、インドネシア駐在後は本社には戻れず、出世の目がないことはわかりきっていた。彼はえいやっと早期退職して私立大の非常勤講師に転身した。結婚して間もない若い妻には一言の相談もしなかった。三度目の妻である彼女が黙って出て行ったのは無理のないところだろうが、彼にはまったくわけがわからなかった。

    退社前、休暇として訪れたインドネシアの小さな島で、彼は「大発見」をしていた。
    ボロブドゥールにも似た古代遺跡。しかもそれが海中にある。
    この地域にこ

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    2024年05月27日
  • 鏡の背面

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    ネタバレ

    長い。
    やっぱり篠田節子は私にはまだ早いのかな。

    火事の遺体が別人だった、誰なのか。という謎を、施設の女性と記者の女性2人で解き明かしていくという筋立てなんだけれども、少しずつヒントを得て、仮説を立てていく流れで、どこまでが確定なのか分かりにくくて(2人ともオカルトに流される似たようなキャラだし)、最後にひっくり返されるのか?と疑いが拭えないまま(結局どんでん返しは別にない)読んでて終わってしまったので、最初から、ミステリーではなく人間ドラマ(半田明美物語)の頭で読めばもっと面白いのではないかと思う。

    あと、余談だけれど、筆者の年齢を考えれば若い女性よく書いてると思うけど、どことなく「年配

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    2024年05月15日
  • ドゥルガーの島

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    ひたすら、一正の性格が好きになれず…。楽観的というか、学ばないというか、懲りないというか…何か事件が起きる度に少しイライラしてしまう。海底の古代遺跡をめぐってテロや宗教対立などがあって話の内容は大作に相応しく盛りだくさんでしたが、なにせ主人公が好きになれなかった分、読後疲れてしまいました。

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    2024年05月04日
  • ドゥルガーの島

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    ネタバレ

    インドネシア架空の小島の古代遺跡を巡るスペクタクル小説。

    主人公以外の日本人の学者は魅力的だったのに、主人公だけは性格も行動も受容れられなかったのが残念。
    古代信仰のドキドキ感やイスラム原理主義への嫌悪感はうまく感じさせるのはさすがでした。
    自分の知識不足で建築物の説明から情景を思い浮かべられなかったのがもったいなかったかも。

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    2024年05月03日