篠田節子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
この著者は『女たちのジハード』で直木賞を受賞している。
『女たちのジハード』は同僚が次々と寿退社していく中での売れ残ってたOL5人の生き様を連作長編小説の形式で描いた作品で、女だというだけで男の身勝手さの中で生きていかなければならない逞しさが描かれて元気を貰えるような小説だった。
本作『コンタクト・ゾーン』も設定は同じで、前半の彼女たちの強さやエゲツなさが描かれているのも同じ。が、読み進むにつれて違う世界に引き込んでいってくれる。
ノンキャリ公務員の真央子、医師免状を持ち買い物依存症の祝子、不倫の恋に悩むOLありさの3人組は、バカンス先のバヤン・リゾートで、テオマバル国の内乱に巻き込まれる。ゲリラの手に落ちた島で、虐殺を逃げ延び、彼女たちは生き残れるのか……? 異文化接触地点(コンタクト・ゾーン)での女たちの闘いが描かれている。それも命を張っての戦いだ。
贅沢三昧に暮らしてきた3人は未開の異文化摩擦の中で政治イデオロギーと向かい合わざるを得ず、共産主義者やイスラム原理主義者たちと対面し、したたかな生存能力を発揮して活動に加わる。
もし、自分がそのような場面に遭遇したらその端緒で死んでいるだろう。
そう思うと彼女らの生存能力の高さが眩しくもあり嘘っぽくも感じる。
そんなことは百も承知の上で著者はぬるま湯に浸かって生きる目標を見失っている同胞女性に「喝!」を入れたかったのではないかとも思う。
ただ、小説とはいえ冒頭の女たちと漂流してからの彼女たちが同一人物と思えないほどの変身ぶりに違和感を感じてならない。
国際紛争の根源的縮図をここで勉強?できたかもしれない。 -
Posted by ブクログ
スキー場があった頃には人が来ていたのだが・・・。
東京から近いわけではなく遠い所でもない駒木野町。
高速道路は、隣の町に入り口があり鉄道の駅もバスで30分以上の所にあって交通の便も悪い。
温泉が出るわけではなく、歴史があるわけどもなく名所が無い。
スキー場が撤退して観光客が途絶えた過疎の町、駒木野町。
青年クラブの面々は、町を再生しようとしている。
「獅子座流星群を見に行こう」ツアーを旅行会社に頼んで観光客を呼ぶことには成功した。
青年クラブは、このツアーを成功させようと頑張るのだったが、結果は散々だった。
用意した料理は、途中で無くなり食べられない人がでる。
夜になると星空が雲によって隠されて、民宿には、何かが出たと言われる始末。
しかし、このツアーの時に新しく来た住民の悪さが青年クラブにある考えを与える。
その悪さは、曇り空の夜にサーチライトを当てた事と、暗闇の中に長い髪を垂れて立っていた為幽霊と間違われた事だった。
青年クラブは、この出来事を利用して「日本の四次元地帯 駒木野」と題して観光客を集める事を考えた。
UFO・幽霊・ストーンサークル。
旅行会社にこの企画を持ち込むのだが・・・。
青年クラブは、観光客を呼べるのか?
過疎化の進む駒木野に未来はあるのか?
篠田節子が書いた村おこしの小説です。
これも面白かったです。
篠田さんの小説は、いつも丁寧ですよね。
青年クラブのメンバー達の活動が面白く書かれてます。
笑いあり涙あり?の村おこしの話をぜひ読んでくださいね
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Posted by ブクログ
音楽教師の瑞穂は、夫と一人の子供と毎日を忙しく過ごしていた。ある日、瑞穂に一本の電話がかかってきた。大学時代からの付き合いがある正寛からで「香西が死んだ・・」と・・・。
自殺した葛西康臣は、瑞穂が大学時代に出合った人だった。
康臣との出会いは、大学時代のサークルの集まりのオーケストラの合宿だった。あまり腕のいいオーケストラでなく不甲斐ない演奏をしたため、揉め事が起きた。その時突然流れたバイオリンの調べ・・。それが康臣との出会いだった。当時チェロを弾いて、プロになろうとしてた瑞穂は、康臣の演奏に魅了された。そして、アンサンブルをしようと言われオーケストラを抜け出し二人は、会うようになった。ある時アンサンブルは、ピアノを含めてやろうと言われ紹介をされたのが正寛だった。そして、夏休みに康臣の別宅で合宿をしようという事になり、あの出来事が起きた・・・。
康臣の通夜に行って、渡された一本のテープ。その中には逆に流れてたバッハのカノンの調べが・・・。このテープを手にしてから、瑞穂の周りで奇怪な出来事が起き始める。日常生活が軋み始め、瑞穂の心にも・・・。失われた歳月をえて託された正臣のメッセージ・・。幻の旋律は瑞穂をどこにいざなうのか・・・。
と言う感じのホラー小説です。個人的に好きな部類に入る本です。心理的に怖いと思わせるそんな本ですよ。ん〜でも、「贋作師」の方が怖いですけどねちょっと異色のホラーもたまには、いいのではないでしょうか? -
Posted by ブクログ
世の中って、キビしいよなあ・・この小説を読んでつくづくそう思った。
「ケースワーカー」とは、福祉事務所において生活保護を受けている人に対して、様々な働きかけをする職員のことを呼ぶそうだ。
この小説の舞台は新宿に近い「稲荷町」という町の福祉事務所。
そして8つの短編に、この福祉事務所に勤めているケースワーカーがそれぞれ登場する。
ドメスティックバイオレンス、幼児虐待、アルコール依存症に精神分裂症...
ケースには様々な事情がある。それを理解して、この仕事を貫いていく精神は並大抵のことではない。
しかし同情するだけでは仕事にならない。
社会的弱者たるケースに福祉の手を差し伸べることは重要だが、中には生活保護を不正受給しようと考える悪い輩もたくさん存在するのだ。
そんな中でこの福祉事務所のケースワーカーたちは、ケースと正面から向き合いながら問題を解決していく・・。
「ファンタジア」という短編では、ケースワーカー富樫の元にかつて自分があこがれていたファンタジー作家があらわれる。
それも「生活力の無い栄養失調の中年女」として・・。
うーん、これはいささかリアルな話なのかもしれない。
夢だけを食って生きていけたら幸せだ。
しかし現実という世界では、夢だけでは飯の種にはならない。
世の中には運の悪い人は確かにいる。
しかし、どんな人間でも現実を生きていかなければならないのだ。
フィクションの小説を読むだけでも、オレにはこの仕事は無理だな・・と思った。
現実に、ケースワーカーとして日々仕事を全うしている方々に心より敬意を表したい。