篠田節子のレビュー一覧
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ネタバレ先が気になってほぼ一気読みでした。篠田節子作品は割とこうなる…
そばにいてくれた白猫を葬った日に、豪農の跡取り・輝和はネパール人のカルバナとお見合いしそのまま結婚した。
カルバナに「淑子」と名付けて奪い、食文化を奪い、生活と言葉を矯正し、結木の家に当てはめ、嫁としての仕事をさせていく…この部分は辛かった。わたしの母は日本人でしたが、昭和生まれ平成育ちなのでこんな家庭は想像できます。
しかしカルバナが救いを…というよりは穏やかそうで苛烈な破壊と再生を行っていき、結木家は全てを失っていく。
その姿は周りから神と崇めれていったけれど、見抜いていたのかな?血と涙と怨嗟が染み込んでそうな結木家の資産の数々のことを。それであんなバラマキを…
結木は淑子を止めることも淑子に委ねることもできず、淑子の事を愛することも畏れることもできない。でも心配はするときもある。
失ったときに初めてその大切さに気付いたけど、それでもまだ、俺のものにしようとしている。
神の力を失ったのか、失踪した淑子を追って、全てを棄てて単身ネパールまでやってくる輝和。びっくり。
ここで、淑子信者と暮らしてたとき身に付けた技術を活かせるのがよかった。ただぼんやり、積み重ねていた日々も無駄ではない。
ラストには、本当に全てを棄てていて、どこか神々しささえ覚えました。
壮大な断捨離、とおっしゃってるレビュー拝読しました。言い得て妙です。
信者の清美さんが、「普通の女性に戻る」とさらっと言ったところに驚きました。許すのか。。すごい。
お布施でお金儲けするのではなく、作物を作って売って生活する。それだけなら良いのでは…?と思うけど、やっぱり何処となく薄気味悪さを感じてしまいます。
無宗教でなく、浄土宗なのですがね…
淑子の神通力はなんだったのか…記憶がなかったようだから、誰かが入っていたのかなぁ。淑子は消え、カルバナだけが残った。
輝和もきっとやっていけるだろうな、ゴサインタンが見下ろすこの国で。それからずっとふたりで幸せに暮らしましたとさ。めでたしめでたし -
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ネタバレホラーの要素を持ち、奇妙だが、素材調べがしっかりされており、あり得ないこともないと感じる4つの短編
「屋根裏の散歩者」は、借家に引っ越してきた夫婦が夜になると聞こえる屋根裏からの物音に悩まされ、その意外な正体に驚く話。ワシントン条約や希少昆虫のブリーダーにも話が及び、よく調べられてるなと感じた。
「妻をめとらば才たけて」は、ある男が電車の中に骨壺を入れた紙袋を置き忘れ、それが警察に届けられたところから始まる。相思相愛だった妻と別れ、有名ピアニストと再婚した男だったが、自分はがんになり、再婚相手はコロナに罹患する。物悲しさと幸福感が共存する深みのある結末となる。
「多肉」は、コロナ禍によって父の代から続いてきたレストラン経営が破綻した男がアガベという多肉植物の栽培にのめり込んでいく話。妻に匙を投げられ、施設に入っていた認知症の母を見送り、多肉植物が異常に成長した家に引きこもりながら男は破滅していく。
「遺影」はコロナ収束下で親戚たちが集まり、義母の葬儀用の遺影写真をあわてて探している場面から始まる。
あれやこれや探しているうちに見つかった満面の笑みをたたえている写真には義母の肩に手をかけている男が写っていた。男が誰なのか、義母が何故笑みをたたえているのか、その謎を解くカギは義母が生前よく通っていた動物園にあった。 -
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ネタバレ流される男と流されない女のお話って感じなのかなあ。
世代や性格が違うせいか、めっちゃ性に奔放な康宏と紘子にもついていけなかったし。
康宏は「何者にもなれなかった自分」に虚無感を感じているのかなとも思ったけど。
康宏がホントに恵まれた人生すぎて、正直何ゼイタク言っとんねんくらいにしか思えなかった。
終わりくらいの、康宏と梨緒の濡れ場はめっちゃ爽やかな朝に読んでたせいか「朝っぱらから何を読まされてるんだ私は…」感が半端なかった。
康宏と紘子の話に絞っても良かったと思うんだけど、娘の碧に後を追わせたのは何故なんだろうと考えてしまった。
これ、男性が読んだらまたちがう感想が出たんじゃないかなあって思う。 -
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騙された男と騙した男が始めたインチキ宗教「聖泉真法会」。最初は訳アリな若者たちの駆け込み寺のようなものだったが、あれよあれよと言う前に信者数千人をかかえる大所帯になる。
だが、所詮は思いつきとインチキで始めたエセ宗教団体。思わぬところから足元をすくわれ、転落の一途をたどる。果たして、聖泉真法会の向かう先とは…?
上巻とは全く違って、終始重苦しくて禍々しい雰囲気が漂う中、これでもか!ってくらい堕ちていく主人公。
もうね、えげつないです、篠田節子さん…。上巻の何となく面白おかしいムードを一変して、ホラーにしちゃうんだもの。怖い怖い!
そりゃ虚業で始めた宗教(商売)だし、別に特別主人公に肩入れしてたわけじゃないけど、こりゃ読後は3日ぐらい凹むなぁ…って一冊でした。凄かった! -
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1997年第10回山本周五郎賞
同年の直木賞候補作にもなりました
ゴサイタンーヒマラヤ山脈にある山の名で
「神の座」の意味を持つ
東京近郊の豪農結木家
地元名士だった父、家と夫に尽くし地元にも尽力した母、家と農業を継いだ次男
長男は優秀で早々と家を出て結婚してアメリカで暮らしている
次男の輝和はまもなく40歳を迎える
家の為親の為にも結婚を希望しているが
嫁はなかなか見つからない
同じような環境の友人達と外国人花嫁の斡旋を受けて ネパール人の若い女性と結婚する
なかなかの長編で この農家の現状と外国人花嫁の受け入れ、それでもよしとする農家を継ぐ男達を中心とした心情はとても興味深く読んみました
豪農になる為の祖先の許しがたい行為
それを知ってか現在持つ財産を振り分けてしまうネパール人妻
両親が亡くなり残された資産も全て失い
あげくに妻は失踪する
妻を追ってネパールに入る夫
ネパールの多民族性、カースト、貧困、衛生観念等が 男の行動とともに描かれる
ネパールの状況が詳細でここも興味深く読みました
なんだけど、この現実的な社会問題を綿密に書きながら
ネパール人妻が神秘の力を持ち新興宗教の教祖的役割を果たして、あげく記憶喪失的失踪という流れがどうにもしっくりきませんでした
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Posted by ブクログ
騙された男と騙した男が始めたインチキ宗教「聖泉真法会」。最初は訳アリな若者たちの駆け込み寺のようなものだったが、次々と起こるトラブルを真摯に(?)こなしていくうちに信者7,000人を超える大所帯に。
そんな時、大教団の教祖に目をつけられ…?
上巻の本書は、嘘でしょ!?みたいなノリで始めた宗教が、あれよあれよという間に信者を抱えていく様がとても面白かった。
もちろん、信者になった全員を救うことなど出来ず、脱会する者や亡くなってしまう者もいる中、信仰とお金という切っても切れない関係がズバズバ書かれています。
篠田節子さんの描写って人物もそうだけど、こういうところがホント、リアリティがあって面白い!
下巻で「聖泉真法会」がどうなるのか、楽しみです。 -
Posted by ブクログ
日常と隣り合わせの非現実とも言える世界を描く四つの物語。
理想の家屋根裏に潜む何かの正体‥‥「屋根裏の散歩者」
置き忘れた遺骨を巡る風景‥‥「妻をめとらば才たけて」
経営破綻したレストラン店主がはまった沼‥‥「多肉」
亡くなった義母と一緒に写った男の正体‥‥「遺影」
どれもちょっと非現実的な物語。
それでも「妻を‥‥」はいい話だった。人の幸不幸は側から見ている者にはわからないということ。他人は見えている風景から勝手な想像を働かせるけれど。
二人の遺骨はどうなったのかな?共に葬られたらいいなと思うけど、そうならなくても二人の魂は共にあるような気がする読後。 -
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ネタバレ白昼夢って何だっけ?ああ、非現実的な体験のことなのか。確かに4つの短編いずれも、不思議な話だった。怖いような不思議なような印象を持った。
屋根裏で音がするので気になって調べたところ、音の発生源は意外にも亀という話は、どこか非現実的だがあり得なくもない。亀が歩くときはゆっくりだが地を這うような音がする。正体が分からないとこんなにも不気味なものなんだな。亀は昔から好きで可愛いし、人に懐くケースも知っている。飼っていた亀を手放したくない気持ちは分かるが、この先どうなるんだろう。親類とは言えほとんど他人の男が、自分たちの家の屋根裏に無断で入っているというだけで結構気味が悪い。ただ、私も主人公同様、すぐに亀を追い出す気にはならないと思う。
亡くなった義母の遺影に一緒に写っていた者の正体は…という話は、そんなことがあるのかと思う結末ではあるが、話としては好きだった。
人の思念が遺影の写真を作ったのか、それともニホンザルの思いが写り込んだのか。人間と動物の間には、人の理解を超えた情のようなものがあってほしい。