篠田節子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
篠田節子さんは初読みの作家さん
男性心理をメインに描いた作品で大人のディープな世界観だった。
『冬の光』
東日本大震災のボランティア後に、四国遍路を終えた帰路フェリーから冬の海に忽然と消えた父
高度成長期の真っ只中で企業戦士として働き、専業主婦の妻に家庭を任せ順風満帆だったはずの父
何故、父は帰らぬ人となったのか・・・
物語は、四十年にも及ぶ父とその愛人との繋がりと、長年裏切られた憎しみと恨みを抱えた母、
その影響を受けた姉妹の関係性が軸になっている。
父の死がどこか釈然としない次女の碧は、数日間の休暇を使って父の最期の旅路に出掛ける。そこに過去の父の経験が重なる形で物語は進行する。
感 -
Posted by ブクログ
ダイビングのために訪れたインドネシアにある小島で、海中に聳え立つ仏塔を発見する。
これは遺跡なのか?
加茂川一正は、大手ゼネコン会社を早期退職し、非常勤講師となった今、一回り若い静岡海洋大学の准教授・藤井とリベラルアーツ系海洋学群海洋文明研究科特任教授・人見淳子と共に本格的な調査に向かう。
宗教と信仰の制限の多いなか、すんなりと調査は進まない。
次々と障壁が立ち塞がるなか、果たしてその仏塔の真偽は⁇
部族同士の諍いや何かにつけて祟られるという不穏な空気や閉塞感に読み進めるのも少々疲れる。
冒険譚といえるのかもしれないが、3人の逞しさには脱帽した。
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Posted by ブクログ
きっと幻想的な伝奇小説なのだろうと思って読み始めたけれど、いつまでたってもそういう展開にはならず、あれ?あれ?と思いながらとうとう最後まで行ってしまった、という印象。終わってみればインドネシアを舞台にしたリアルで文化論的な冒険フィクションであり、それぞれの場所で日々を生きる庶民達への人生賛歌でもある力作ではあったのだけれど、エンタメ的に面白いかと問われると、決して面白くはなかった。勝手に「インドクリスタル」を思い描いていたこっちが悪いのだ。けれど、かの地の生活様式だったり文化的な風習だったりをここまで尊重して描ける篠田さんはやはりすごいのです。
主人公の性格が下世話すぎるのが玉に瑕だったな。 -
Posted by ブクログ
ネタバレほんとに著者女の人?っていうくらい男の視点が細かく書かれ、語り口も硬質。事実を並べればしょうもない男なんだけど、本人の語りで読むと、そんなこともあるか…と思わせてしまう描写力。一人の人間の中に存在する多面性、弱さ、人間くささがよく描かれている。
でも莉緒との関係は余計だ。気持ち悪い。
ところどころ光った表現がある。
「動物は着替えたりしない、という前衛アーティストの言葉そのままに、昔とまったく変わらぬ身なりで」
「人生の終焉の迎え方としてはね、今の日本がおかしいんですよ。リーダーシップを譲るべき時に次世代に譲らず、それどころか介護という形で何十年も負担をかけて、未来を紡ぐ芽をつぶしていく。そう -
Posted by ブクログ
1999(平成11)年に単行本化。
初めて読む作家。裏表紙に「ホラー短篇集」とあったので買ってみて、また気晴らしのつもりで読み始めたのだが、これは「ホラー短篇集」とは言えない。巻頭の「幻の穀物危機」と「家鳴り」あたりはややホラーっぽいと言えなくもないが、ほかのはちょっと「世にも奇妙な物語」のようなテイストではあっても、ホラーのカテゴリにはまるものではなかった。「恐怖」が主眼ではないからだ。
が、どうもこれらの作品は後味が悪いようで、どこか「イヤな気持ち」にさせられた。イヤミスなる言葉は最近あるようだが、ミステリではないから該当しない。イヤ小説集であることは確かだ。
こうした後味の悪さ、 -