篠田節子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
平成のサラリーマンの挫折とロマンを描く作品…かな(笑)
花形部署にいたサラリーマンが仕事一辺倒で家族を失い、バブル崩壊を経経し、新しい職場で苦労しながらも信頼を得て、若い女性とちょっと恋愛関係になったりして、結局は別れた奥さんとイイ感じで収まるという話。
あっさりとまとめると、こんな感じ。
身も蓋もない説明になってしまうのは、最後に別れた奥さんとイイ感じになって終わるところが好きではないから。
とはいえ篠田節子さん、保険会社の代理店制度や地方の学生が集まらない私立大学の問題点などが描かれており面白いのです。
キラキラしたイメージのある海外駐在も、現実は体調を崩して帰国してしまうご本人や家族 -
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Posted by ブクログ
ネタバレホラー小説になるのだろうけど始終物哀しい空気でした。SFあり、壮絶な戦争ものもあり、引き込まれます。
なかでも「コヨーテは月に落ちる」と「帰還兵の休日」が好きです。破滅ものが好きなのかも…と思ったら物騒ですが。作者の後書きを読んで思ったのですが村山由佳さんどうしてコヨーテにお詳しいんだろう?
「レクイエム」は壮絶でした。確かに、第二次大戦中に悲惨な戦場にいた従軍経験者は戦争経験語らないと同僚も言ってましたし、わたしの母方の祖父も家族に全く語らないままだったようです。
愛する人が永遠に失われようとしている時に自分は体内に取り込めるのか…考えてしまいました。 -
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Posted by ブクログ
父親はお遍路巡りをして何故海に身を投げたか次女が休みを利用して父親の足跡を辿るところから父親の大学生からの話が始まる。
大学時代に付き合っていた人と数十年ぶりに再会して何度か会い家族にばれそれでも妻は離婚に踏み切らず彼女と金輪際会わない約束をさせられてそのままでいる。
そして成り行きで東北の大震災のボランティアに参加し彼女の死の真相を知る。自殺は一つの事でなくたくさん絡まり合って自殺してしまうが父親も彼女の死を知って、お遍路では慰めにならなかったのか。
と考えて読んでいるとありえない死の真相で家族にしてみれば自殺ではなかった救いがあるだろうが、帰ったら車をメンテナンスしようとお遍路途中で死を選 -
Posted by ブクログ
ネタバレこの作品が刊行されたのは1997年1月。そして今は、2011年11月。
14年前も今も、働く女性の立場はなんにも変わってないんだなー。
男女雇用機会均等法だのなんだのと、建前だけの法律が作られたってだけで、実際社会に出て働く女性のポジションなんて今も昔も全然変わらず、昭和の時代で時間が止まっている感じ。
それでも社会に出て働きたいと思う女性たち。
結婚して家庭に納まれば納まったで、世間に取り残された感があり、働き続ければ続けたで、これまた女としての人生のレールから外れてしまった感は否めない。
どっちが幸せなんて決して結論はでないけど、自分が後悔しない生き方をしたいっていうのが根本にあるん -
Posted by ブクログ
ネタバレ夫婦の役割や生活が逆転すると、それまでの「女がやって当たり前、男がやって当たり前」という役割分担の理不尽さに気付くかもしれないなー。
そして、あえて夫婦の役割を逆転して描くことによって、社会で戦う男の苦労、家を守る女の不満などなどを改めて感じることができたりして。
夫婦共働きで、家庭での役割分担にモヤモヤしている女性のみなさん!
一度読んでみてはいかがでしょうか。
私は梨香子の男らしい働きっぷりにスカッした気持ちになりましたよー。
結婚しても出産しても生活のスタイル、自分自身のスタイルを変えない梨香子はすごくかっこいいと思いました。
あ、でも梨香子は私生活は本当にダメダメだけど。
そし -
Posted by ブクログ
何かで紹介されていて、このコロナ禍を予想していたかのような内容ということで、興味を惹かれて読んでみた。
埼玉県の架空の市で未知の感染症が拡がり、それに対応する役所や医療関係者の戦いを書いている。かなり厚くて読むのに時間がかかった。
書かれたのは1998年だけど、今のコロナ禍の状況と似通っているところがある。最初に発生した地域の住民が差別されるとか、変異した日本脳炎という設定だが、蚊が媒介するということで、虫除けスプレーが売切れになるとかリアルである。
コロナ禍は終わっていないが、最終的に住民へのワクチン接種で収束に結び付くというのも現実と共通している。