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Posted by ブクログ
篠田節子さんの作品は女たちのジハードぶりの2作目で
夏だし、と思って表題で手に取りました。
パンデミックの話で、コロナの以前に描かれた本でしたが予防接種の薬の認可やみんな家に引き篭もり、閑散とした町や飲食店、まるで予言していたような本でびっくりしました。
作者の医療や行政についての知識にも感嘆しますし、この作品を描くにあたりさらに資料を集めたり様々な調べものや取材などされたであろう事にも思いを巡らせてしまいました。
さて、小説としては、医療や行政の話としても感慨深く読めますが、わたしとしては登場人物ひとりひとりが個性的に描かれていて読んでいて楽しかった。小西、普通のサラリーマン、よけいな波風立てず平和に暮らしたいタイプなのに、正義感出てきちゃうまでの心の動きは面白かった。一番興味ある青柳、一見ダメ男タイプなのに、適応能力めちゃすごい!インドネシア語とか話しちゃうし、本能的に強者を嗅ぎ分け仲良くなる。お金にはしっかりしてるし。本当にこういう人、いるんですよね。出会ったことあります。なので余計、面白くて篠田さんもこういう人間に出会ったことあるのかな?そうじゃなきゃ描けないよね?って聞きたいくらいですよ。まあとにかく、少しの間ですが舞台がインドネシアに飛んでいるところはまた別の小説を読んでるみたいに話に引き込まれました。
房代もすごくわかる。鵜川や辰巳もそれぞれ抱えている物語があるよね。。もう、、ひとりひとり感想書きたいけど書いてると疲れてきたのでこれくらいで、、
終わり方、、静かに怖いです。
Posted by ブクログ
コロナ禍の今、この作品を読むと、これが25年近くも前に書かれていたことに驚く。
かたや新型インフルエンザ、かたや新型日本脳炎という違いはあれど、役所の縦割り、前例主義、事なかれ主義、利益重視の医療機関、ワクチン開発の闇、デマに踊らされる人々、自殺の増加、挙げればキリがないほどの類似性に、篠田節子の社会を見る目の確かさを思う。
現場で人がどんどん死んでいるのに、新しい法律を作るべきか今までの法律でいくべきかを悠長に議論している国とか、専門家会議の人選を専門性を優先しないで人事的な観点で決める厚生省とか、今もこの手のことが私たちの見えない所で山ほど起こっているんだろうな〜と思わせるリアリティは、篠田さんの市役所勤務の経験から来るものらしい。
登場人物の造形も際立っている。
ザ・市役所の役人って感じだった小西が、次第にこの感染症を抑えることへの熱量が上がっていく過程や、やる気のない事務員青柳が所変われば実に頼りになるところ、左翼系の医師鵜川がネットワークとフットワークで真相究明に力を尽くすところ、気難しい老医師を人心掌握術で手懐け味方にしてしまう看護師の堂元など枚挙にいとまがない。
そして、作品全体を覆う不穏な空気。
変異した貝の大量発生や幼鳥の大量死、殺虫剤に耐性を持った蚊の大量発生など、背筋がゾクっとする。やっと彼らに訪れた平和も次の悪夢への序章でしかないことの恐怖。
未知の感染症にの前には、人の暮らしがいかに脆弱であるかをひしひしと感じる作品でした。
リアルすぎて鳥肌がたった
まるで現在の状況を予言したかのような小説、と聞いて読んでみましたが、あまりにも現実とリンクしていて驚きました。だいぶ前に書かれたお話なのに古さはあまり感じられず、一気読みでした。少し専門用語が難しいところもありましたが、今こそ読むべき一冊だと思います。
Posted by ブクログ
刊行されたのは、1995年ということだが、今はいくらか落ち着いた現代のコロナ渦の勃興期を思わせるような作品。
作家の想像力の凄さを感じさせる。
埼玉県の郊外の街で、住民が次々に病魔に襲われる。
日本脳炎と診断されるが、撲滅したはずの伝染病が何故?
感染イコール発病、ウイルスが体内に入ったら必ず発病してしまうという事態に、異変を気づいた保健センターの職員やベテランの看護師、診療所の医師たちが真相に迫るべく行動を起こすが、彼らはけっしてヒーロー的な活躍をするわけではない。
次第に無害化するのがウイルスの特徴なのに、このウイルスは進化の仕方がおかしいと、ますます悲惨な状況に。
隔離、封じ込め、さらに感染者や感染場所への差別行為。現代のコロナ渦と同様な状況が繰り広げられる。
パニック小説であるとともに、医療現場やその行政を告発した医療小説でもある。
老獪な医師が語る言葉が、現代の我々への警句になっている。
「・・・ウイルスを叩く薬なんかありゃせんのだ。対症療法か、さもなければあらかじめ免疫をつけておくしかない。たまたまここ70年ほど、疫病らしい疫病がなかっただけだ。愚か者の頭上に、まもなく災いが降りかかる・・・。半年か、1年かあるいは3年先か、そう遠くない未来だ。そのときになって慌てたって遅い」
様々な警句や対処行動が描かれたこの小説、コロナ渦前にもっと読まれていたら・・・。
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