【感想・ネタバレ】夏の災厄のレビュー

あらすじ

どこにでもあるような町にミクロの災いは舞い降りた。熱にうなされ痙攣を起こしながら倒れていく人々。後手にまわる行政の対応。現代生活のもろさを20年も前に予言していた、警鐘を鳴らす書!

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

とても面白かった。

ただ、首都圏が被害にあってないので
国民が他人事のように書いてあるが、
新型インフルやコロナであんなに大騒ぎしてたのに
死者があれほど出たこのパンデミックで
あのような扱いはないなと思った。

しかしコロナの時も思ったが
所詮はよその国頼みなんだと哀しく思った。
日本人は医学界でも優秀だと信じたい。

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2024年09月11日

Posted by ブクログ

すでに今年の3冊を選んでしまったあとだったので、ベスト5に入れようかと読み終わった今、思っています。

新型コロナが中国で発生した頃、遠くの出来事だと思っていたこと、ワクチン接種券の送付に関して、全国でどこが早いとか遅いとか住民は言いたい放題だったこと、ワクチンの開発認可に入手、複雑な事情がこれを読んで少しは理解できた気がします。

海堂尊さんの文庫版解説にあるように、各々が主義主張を持つ登場人物がよかったです。

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2022年12月10日

Posted by ブクログ

コロナ禍の今、この作品を読むと、これが25年近くも前に書かれていたことに驚く。
かたや新型インフルエンザ、かたや新型日本脳炎という違いはあれど、役所の縦割り、前例主義、事なかれ主義、利益重視の医療機関、ワクチン開発の闇、デマに踊らされる人々、自殺の増加、挙げればキリがないほどの類似性に、篠田節子の社会を見る目の確かさを思う。

現場で人がどんどん死んでいるのに、新しい法律を作るべきか今までの法律でいくべきかを悠長に議論している国とか、専門家会議の人選を専門性を優先しないで人事的な観点で決める厚生省とか、今もこの手のことが私たちの見えない所で山ほど起こっているんだろうな〜と思わせるリアリティは、篠田さんの市役所勤務の経験から来るものらしい。

登場人物の造形も際立っている。
ザ・市役所の役人って感じだった小西が、次第にこの感染症を抑えることへの熱量が上がっていく過程や、やる気のない事務員青柳が所変われば実に頼りになるところ、左翼系の医師鵜川がネットワークとフットワークで真相究明に力を尽くすところ、気難しい老医師を人心掌握術で手懐け味方にしてしまう看護師の堂元など枚挙にいとまがない。

そして、作品全体を覆う不穏な空気。
変異した貝の大量発生や幼鳥の大量死、殺虫剤に耐性を持った蚊の大量発生など、背筋がゾクっとする。やっと彼らに訪れた平和も次の悪夢への序章でしかないことの恐怖。
未知の感染症にの前には、人の暮らしがいかに脆弱であるかをひしひしと感じる作品でした。

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2022年07月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

パンデミックという語より、バイオ・ハザードという表現が、リアルに感じる世代です。
90年代に書かれた点よりも、驚いたのが、政府等の体制側、現場の対応が、現在の新型コロナ禍と殆ど変わっていないこと。SNSで情報が拡散する社会になっても、有益な対策は見い出せず、打ち出せず、医療現場は逼迫し、感染は拡大するばかり。
25年後の2021年現在、この状況で五輪開催をしようとしているなんて、小説と現実が逆転しているように感じる。
篠田節子氏のスリリングでリアルな構成と筆致が、物語を加速させ、一気に読ませる快作。ラストはタイムワープした現在なのでは……。

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2021年02月12日

購入済み

リアルすぎて鳥肌がたった

まるで現在の状況を予言したかのような小説、と聞いて読んでみましたが、あまりにも現実とリンクしていて驚きました。だいぶ前に書かれたお話なのに古さはあまり感じられず、一気読みでした。少し専門用語が難しいところもありましたが、今こそ読むべき一冊だと思います。

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2020年05月17日

Posted by ブクログ

感染が広がる様子、人々の反応、それらの生々しい記述に背筋が凍った。いま自分は医療の進歩の恩恵を受けて安全地帯にいると思っていたが、今日の平穏が明日も続くとは誰も保証できないのだと気付かされた。

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2019年09月10日

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じわじわ広がっていく患者と、不安にかられて引きこもる住民の様子がコロナ禍を思い出させた。
なんだかやる気のなさそうな役場職員が、本当にいそうなキャラでリアルだったけど、これだけ死者が出てもなかなか国レベルでは騒がれなくて、町の問題みたいになっているのがちょっとひっかかったかな。

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2025年01月12日

Posted by ブクログ

刊行されたのは、1995年ということだが、今はいくらか落ち着いた現代のコロナ渦の勃興期を思わせるような作品。
作家の想像力の凄さを感じさせる。
埼玉県の郊外の街で、住民が次々に病魔に襲われる。
日本脳炎と診断されるが、撲滅したはずの伝染病が何故?
感染イコール発病、ウイルスが体内に入ったら必ず発病してしまうという事態に、異変を気づいた保健センターの職員やベテランの看護師、診療所の医師たちが真相に迫るべく行動を起こすが、彼らはけっしてヒーロー的な活躍をするわけではない。
次第に無害化するのがウイルスの特徴なのに、このウイルスは進化の仕方がおかしいと、ますます悲惨な状況に。
隔離、封じ込め、さらに感染者や感染場所への差別行為。現代のコロナ渦と同様な状況が繰り広げられる。
パニック小説であるとともに、医療現場やその行政を告発した医療小説でもある。
老獪な医師が語る言葉が、現代の我々への警句になっている。
「・・・ウイルスを叩く薬なんかありゃせんのだ。対症療法か、さもなければあらかじめ免疫をつけておくしかない。たまたまここ70年ほど、疫病らしい疫病がなかっただけだ。愚か者の頭上に、まもなく災いが降りかかる・・・。半年か、1年かあるいは3年先か、そう遠くない未来だ。そのときになって慌てたって遅い」
様々な警句や対処行動が描かれたこの小説、コロナ渦前にもっと読まれていたら・・・。

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2024年06月30日

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既にパンデミックを経験した今読むとまた描写のリアルさに気付いたりする。
90年代の作、最近のではもうみなくなった、おばちゃんが遠慮なくおばちゃんとして描かれていて、すごく頼もしくどっしりしたベテラン看護師!が魅力的。

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2023年10月21日

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行政の鈍さ、見えぬ医学界、デマ、ワクチン不足…。
あ、これもこれもと、このコロナの時代、まじまじと思い当たることがらがのオンパレード。

「そんなことより、最前線に弾と兵隊と兵糧を送ってきやがれ」
小説の中でも現実でも、現場の方たちには本当に頭が下がる。

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2022年08月05日

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ネタバレ

刊行が1995年だという事に驚く感染症パニック小説。ガツガツ読まされました。30年近く開きはあるのにこの頃も現在も組織の上の方の対応の遅さに暗澹とした気持ちになります。
篠田節子さんどうやら市役所のそういう部署にいらしたらしくて、役所の人々に現実味ありました。おばちゃんパワーが格好良い房代さんと、ヒモかと思わせといてまさかの青柳さんが良かったです。
青柳さんのキャラクター、遠回りしてても人生に無駄なことって無いんだなとつくづく感じました。流されて逃げ続けただけな日々と思ってても、思ってもみない所でかなり必要になる。青柳さんの経験が無ければ昭川市は収束しなかった。
新型の日本脳炎って所だけ時代を感じるけど、あとはこのコロナ禍を思い出させる数々で……予言的な小説っていくつかありますがこの小説もそうでした。
ラストも震えます。

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2022年07月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

不審な病に見舞われる郊外の町。
夜間救急の医師や看護師、役所の職員を中心として、現場の人々の奮闘と歯痒さがよく描かれていた。
パンデミックの裏で、身を粉にして働く人々がどんな思いでいるか。
遅々とした縦の関係も含め、未知のウイルスを前に辿る経緯がほぼ現実と同じだった。頭の痛くなるほどの既視感。1995年の小説というから驚きである。取材力を感じる一冊だった。

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2021年10月07日

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埼玉の住宅街で突然起こった日本脳炎大流行。
対策はワクチンしかないと踏んだ市井の人たちが自分の持ち場で働きまくるお仕事小説。
篠田節子自身が市役所出身の人だけあって、市役所時代に舐め尽くした辛酸の全てをぶちこんだような描写の数々がよかった。公務員とてたいへんに大変である。

20年前に読んだときは「日本版バイオハザード怖〜」くらいの印象だったけどバイオハザードの恐ろしさの描写はあるものの本質はそこではなくて、未知の病原体に対して対策すべきは第一にワクチンという明確な主張があって、その確保と接種に行き着くまでに為さねばならない膨大な仕事の物語だった。

25年前の小説でありながらワクチン接種の重要性を主張したり、パンデミックを経験して変化する人の心であったり街の様子であったり(数ヶ月もすればなんとなく外に出てしまう人たち、ストレスによる非行の増加、自殺者の増加)
内容は全く古くない、まさに今読んで面白い小説だと思いました。

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2021年08月26日

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日本脳炎が本作のテーマだが折しもコロナ禍で25年前の作品とは思えぬほどのシアルさで鳥肌がたった。文庫600頁ほどのボリュームで一週間かかって読み終えたがまだコロナが終息していない現代で願望も込めた祈りのような気持ちがこみ上げてきた。パンデミックが丁寧に作り込まれた作品の素晴らしさは巻末の海堂尊さんの解説が物語ってくれている。本当に同感。篠田節子さんの様々な作品に翻弄される読者というのも悪くない。

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2021年04月25日

Posted by ブクログ

篠田節子先生の『夏の厄災』を読もうとしたのは大方の予想通り、米澤穂信氏の『氷菓シリーズ』で折木奉太郎くんが読書中だったのを見たのがきっかけだったのだが、篠田節子作品を読むつもりだったのは前世紀の頃だった。以下次回。

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2021年02月17日

Posted by ブクログ

現在コロナウイルスが世に蔓延しているが、
小説の世界ではパンデミックはそう珍しいことじゃないのだ。
あっちでもこっちでも起きている。

『夏の災厄』の中では今現在ではほとんど見られなくなった日本脳炎が広がる。
小説の中でも医療従事者たちは初期の頃から警鐘を鳴らし、役所はどうにか打つ手はないかと走り回っている。
国はのギリギリまでらりくらり。

25年前に書かれた本だが、あれ、何だか今と対応が何も変わっていない気がするぞ。
感染対策とはそもそもこう言うモノなのか。
それとも大元が全く成長していないのか。
果たしてどっち。

オカモノアラガイが気持ち悪すぎる!

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2021年02月16日

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じわじわと忍び寄ってくる不穏な緊張感がたまらなかった。

面白い本を書く作家さんに出会うと単純にテンションが上がる。それがミステリー作家じゃなくても。

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2020年09月23日

Posted by ブクログ

局地的に流行する謎の病とそこでそれぞれの役割を全うするきっとどこにでもいるだろう人たち。
スーパーヒーローみたいな人は一人もいないのが逆にいい。
この時期に読むからこそ、病に対する人々のパニックやそれによってうまれる弊害がものすごす身近にリアルに感じられた

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2020年05月05日

Posted by ブクログ

ひさびさの篠田さんの小説読んだ。
予防接種に関する様々な考えを取り込んだお話で、緻密な描写、だんだん広がってしまう不幸、面白かった。
ありえないけど、ありえそうというところが篠田さんの文章ですね。

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2018年09月25日

Posted by ブクログ

看護師である房代が勤めるの夜間診療所に、

光をまぶしく感じ、花のにおいを感じ、熱に浮かされ、

痙攣を起こしながら倒れる。。。という患者がやってきた。

その時は、日本脳炎と診断されたのだが、

徐々に、同じ症状の患者が増え、死者も増え始める。



撲滅されたはずの伝染病が、なぜ今頃蔓延するのか?

疑問を持った房代たちは調査を始め、恐ろしい事実に突き当たる。


一体、原因は何なのか、なかなか解決しない物語に、

もどかしさを感じつつも、夢中させてくれる物語でした。



蚊により、伝染していくというのが、なんだか、現実にありそうで、

この本を読んでいる数日間は、蚊に神経をとがらせてしまいました。

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2018年08月31日

Posted by ブクログ

埼玉郊外で新種の日本脳炎から起きたパンデミック小説。

パニックものというより原因究明の方が比重が高い。
解明しようと奮闘する医師が、アメリカの生物兵器の持ち出しという推測がでてきたときにはかなり冷めたが、そこで着地しなくてよかった。
長かったけれど楽しんで読めた。

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2016年04月12日

Posted by ブクログ

何かで紹介されていて、このコロナ禍を予想していたかのような内容ということで、興味を惹かれて読んでみた。

埼玉県の架空の市で未知の感染症が拡がり、それに対応する役所や医療関係者の戦いを書いている。かなり厚くて読むのに時間がかかった。

書かれたのは1998年だけど、今のコロナ禍の状況と似通っているところがある。最初に発生した地域の住民が差別されるとか、変異した日本脳炎という設定だが、蚊が媒介するということで、虫除けスプレーが売切れになるとかリアルである。
コロナ禍は終わっていないが、最終的に住民へのワクチン接種で収束に結び付くというのも現実と共通している。

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2022年01月15日

Posted by ブクログ

コロナの20年以上前に書かれたとは思えないリアルさ。
作中の新型脳炎はコロナより病状がエグい。最後はちょっと尻窄みかな。

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2021年12月28日

Posted by ブクログ

なぜ舞台となった昭川市で新型日本脳炎が蔓延したのか? なぜそれがインドネシアのブンギ島と繋がるのか?
謎は解けた。でも話が淡々と進み過ぎ?
物語としては、クライマックスを感じることなく終わってしまった。

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2021年07月17日

Posted by ブクログ

新型日本脳炎ウィルスによるパンデミックを描いた25年前の作品です。今現在の新型コロナのパンデミックを短期間に凝縮して描いた様な予言書的な話で、随分昔のフィクションでありながら、今現在の状況と、この先の経過を描いている様で複雑な気持ちになりました。
やはり人類を滅ぼすのは目に見えないウィルスなのでしょうか?!
コロナ終息を祈るしかないです。

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2020年08月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ある地方都市で日本脳炎と思われる感染者が発生した。
その原因となったものは何なのか?

今年のコロナ渦で話題になったのと、前から読もうと思っていたが、電子版しか入手困難だったのが文庫版が再販されたので、購入。

期待していた程、ショッキングな内容ではなかった。
それにしても、一部地域での自殺者の増加については、ウイルスとの因果関係が全く書かれていないため、違和感が残るのが残念。

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2020年06月19日

Posted by ブクログ

★★★
今月2冊目。
これはまさにいまんとこコロナと戦っているが、この本は98年に書かれた物で現代と似ている。
ネタバレだが、ウイルスを研究していた病院から悪徳産廃業者に注射器などが渡り、山の中に産廃から貝にウイルスが取り込まれ、貝を鳥が食べ、鳥の血液を蚊が吸う、その蚊が人間に刺し日本脳炎が発祥。ちょーこええっす、長いけどよくできてました

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2020年06月08日

Posted by ブクログ

8月-13。3.0点。
埼玉県のある市で、日本脳炎に似た症状が。
爆発的に増え、診療所や役所では問題に。
感染、死亡が増えるが、対策は分からず。

危機感がじわじわ伝わるが、スピード感はあまり無いかな。
ラスト近くの100頁は、展開早し。

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2019年08月23日

Posted by ブクログ

いわゆるドラマティックな大仕掛けがあるわけでなく、
わりと静かに淡々とハザードが進行していく。
これが妙にリアルで怖い。
ほんとに蚊に刺されると一瞬ドキッと
したりしなかったり。

なんか盛り上がんないな~
と思ってた前半が嘘のよう。

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2015年06月14日

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