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社会から糾弾され、マスコミと権力の攻撃のターゲットにされた「聖泉真法会」に、信者の家族が奪還のために押しかける。行き場を失い追い詰められた信者たちがとった極端な手段。教祖・慧海のコントロールも超えて暴走する教団の行方は──。人間の心に巣くう孤独感、閉塞感、虚無感、罪悪感、あらゆる負の感情を呑み込んで、極限まで膨れ上がる現代のモンスター、「宗教」の虚実。(解説・長部日出雄)
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「仮想儀礼」
2023年12月3日~ NHK BS 出演:青柳翔、大東駿介、石野真子
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1~2件目 / 2件
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Posted by ブクログ
怒涛のラスト250ページ。放心状態だ。主人公の二人の男たちが本当の宗教家へ脱皮していく様が痛々しい。
新興宗教の聖泉真法会の教祖、桐生慧海。ある意味では貧乏な教祖様である。あまり欲もない。 宗教的なカリスマ性もない。公務員的な生活規範とカウンセラー的であるとも言える。 桐生は教祖というものが、自分にはむいていないとも思っているが、信じたい人はやはり教祖様でないと宗教は成り立たない。信じる人によ...続きを読むって、教祖は持ち上げられていく。 「すべての生命を尊び、すべての生命を愛する。我は神のうちにあり、神は我のうちにあり」 結局仏像なんていらないものであり、祈ることで自分の中に神をつくる。 ゲームブックの『グゲ王国の秘法』という大きなシナリオで、聖泉真法会は作られていった。 信者が、7000人になったところで、上巻は終わる。下巻は、その組み立てたものが、すざましいスピードで崩壊していく。この編集能力の凄さ。 森田社長の弁当屋が、インドネシアに進出して稼働をしたことで大きな飛躍をするが、焼き討ちされたことで、崩壊が始まる。斎藤工場長が、インドネシアの工員たちに、聖泉真法会のルールを押し付けることによる工員たちの反乱だった。インドネシアの最大の宗教はイスラム教。そんな中で仏教的行事を押し付けることが危険なものであった。工場はほとんど全焼する。結局、インドネシアを撤退せざるを得ない状況にまで追い込まれる。森田社長は、聖泉真法会の大きな支援者。会社がうまくいかなければ、支援もしにくくなる。そして、社長は解任され、娘婿が社長になることで、聖泉真法会は、研修所から退去を通告される。 聖泉真法会に国税庁の査察が入る。脱税の容疑であるが、もっと大きな狙いは、恵法三倫会の回向法儒の脱税と国会議員への贈賄事件だった。ネパールにおける学校建設や病院建設にも桐生慧海は協賛していた。そのことで巻き添えを食らうことになる。回向法儒は、殺人事件も起こしていた。聖泉真法会のダーティイメージが広がり、良識層の信者が離れていくことになる。 新興宗教においても、リスク管理が必要なのだ。 4人の女性の信者たちの家に、桐生慧海が経済的理由でころがりこむことで、ハーレムと噂されるようになり、その女信者の家族たちが取り戻そうとする運動が起こり、街から出ていけと看板まで出るようになる。それは、有力な国会議員の秘書の妹が信者なので、あらゆる形で聖泉真法会の評価を下げていく。そして、信者たちの家が放火され、ワゴンで逃げることになる。もはや転落するしかない。 教祖である桐生慧海よりも女性たちの中には、新人が強く、独特の宗教に発展させ、桐生慧海は、実は教祖なんかではなく、詐欺だったと主張するが、女たちは全く聞き入れない。この展開がなんとも言えない。もはや、女性たちのいうことを聞くしかない状況に追いやられる。教祖を乗り越える信者たち。このなんとも言えない展開が、人間の本性と狂気を明らかにして、喜劇のような宗教が、悲劇の宗教になっていく。女たちの豹変が、宗教ゆえの狂信なのだろうねえ。サリン事件を引き起こした宗教は、追い詰められたことによる狂信だったのかと思う。宗教を信じるゆえに、人を殺すことさえ合理化する。ふーむ。ゾクゾクするほどの宗教小説だった。これも篠田節子の代表作だね。
やっと読み終わった。 この本は友達のおすすめで出会った本。読み始めはおもしろそうだなーという漠然とした、どちらかというコメディ要素もあるのかなと勝手に想像を膨らませていた。 ところが物語は宗教を興すという、意外な展開をみせる。 そんな簡単にいくのかと思うほど、トントンと話は進み、わたしものめり込...続きを読むんでしまっていた。 だけど、途端に事態は急降下。 人間の欲や本能、心の奥底の深くて暗い隠された部分が見え隠れする。 正直読んでいて、不快なときもあったし、終わったあとは疲れたなという思いが強かった。 でもそれを含めて本当に面白かった。 面白いという表現がいいのかわからないけど。 人は究極という悲劇や、心のストレスなどを受けたとき、 その環境の影響から、こんなにも人としての内面や感覚が理解できないようなことになってしまうものなのかと、漠然と怖くなった。 人は弱い。 弱くて、でも強い。 結局、最後はどうなんだろう。 これは洗脳なの?といまだに私も謎。
上巻はトントン拍子に教団が大きくなり、普通はこんな簡単にできひんよな〜と感じるところもあったんやけど、下巻のあれよあれよという間にガンガン転落いく様はさらにリアリティを感じて、ああ〜もうこれ以上落ちていって欲しくないなあとだんだん読むのが苦しくなってくるんやけど、ほぼよどむことなく一気に最後まで読め...続きを読むました。 でも一気に読めるんやけど、これは相当体力がいります。 こんなに骨太の小説を読むのは久しぶりかもです。 読み終わったあとはぼーっとして、頭のなかがぐるぐる回って、現実世界に帰るまでにものすごい時間がかかりました。 仮想儀礼を読む前までは、新興宗教とか占いとかうさんくさいな〜、なんか信者のひとってだまされてる感があって気の毒〜、とか思っておったのですが、今となってはこの小説みたいなことってホンマにあるのかも。と感じております。それくらい、後半はすごくリアルに感じました。
金目当てでエセ宗教を立ち上げる二人の男のいわば栄枯盛衰。世の中をこういうアングルから見た事はなかったので新鮮、かつ、宗教というものが一部の人間の心の闇に巣食う過程が実にリアルで恐ろしい。 ある意味ミイラ取りがミイラになる・・・最後まで緻密で読ませる怖いサスペンス。主人公が最後まで「普通の人間」であり...続きを読む続けるのが救いか。
金儲けのために宗教を始めるには、正彦は真っ当過ぎ、矢口はお人好し過ぎたんだろうな。全てを奪い尽くされてそれでも奪ってこようとするものから逃げる、教祖と幹部と信者5人が辿り着いたところとは。圧巻でした。 作り上げられた宗教は暴走して教祖の正彦の手には負えなくなり、狂信的な信者たちとの逃避行のなかで正彦...続きを読むも呑み込まれてしまう。 お人好し矢口の最期は凄かった…それを菩薩行、と錯覚してもおかしくない極限状態で正彦は真の宗教家になってしまいました。 マスゴミか、と思ってたルポライターの安藤がずっと味方なのが唯一の救いです。ほんと、唯一の…だけれど、ジャーナリズムとはこれだ。ビジネスライク増谷も良い人だったな。 広江がキツい……まさかこの人が一番わからないとは思いませんでした。狂信者5人の私刑は許されないけど、広江が余計な事言わなければ何もされなかったのに…と思います。家族を否定して拒否する彼女たちから、自分まで否定されているように思えたのでしょうが、静かに離れたら良かったのに。 モリミツの元社長・森田と5人が始めたお弁当屋さんのラストも救いでした。正彦が戻ってきてももう暴走することはないだろうな…なんとなく。 宗教とは怪物。お葬式はこの宗派で挙げるというとき以外は、薄っすらアニミズムでいるのがいいなぁ。うちは浄土宗です。
スキャンダルの末、財産を失った教団。だが、残った信者たちの抱える心の傷は、ビジネスの範疇をはるかに超えていた。さまよえる現代の方舟はどこへ向かうのか-。
新興宗教を立ち上げた主人公が、関わる人々に翻弄されていくお話。関係者が亡くなっていき、悲しい….。人を操る力が無ければ、逆に操られて破滅してしまう、という怖いお話でした。
この引き込まれて逃げられない展開。読まずにはいられない展開。想定しているより悲惨な境遇に一段一段落ちていく。目をそらしたいけれど指の隙間から見てしまうような、そんなストーリーでした。人間描写がすごい。 どこかしらに、らもさんのガダラの豚を思い出させるそんな雰囲気があった。 いやぁ、作り話にしてもなん...続きを読むとも恐ろしい話だ。ずーんときた。
宗教を題材にしてるけど起業ものと捉えて読んでいたので失墜以降の展開は不本意。破滅させるしか無かったのは、宗教をビジネスとして扱ったことに対する報いなのか。ラストに希望を感じさせる終わり方だけどハッピーエンド至上主義の俺としては物足りない。でっち上げたはずの宗教に狂信的とも言える信者が生まれるあたりに...続きを読む宗教とは一体何かという姿を垣間見た。
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