篠田節子のレビュー一覧
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四国お遍路を終えた帰り道、フェリーから身投げした父。
高度成長期の企業戦士として、専業主婦の母に支えられ、幸せな人生を送っていたはずの父。
そんな父は、大学生の時の恋人と、20年余ずっと関係を持ち続けていた。
父親を恨む母。嫌悪感をあからさまにする長女。父の足跡を辿る次女、碧がたどりついた答えとは。
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父、康弘。正直もっとうまく立ち回ればこんなことにはならなかっただろうと思ってしまう。その頑固なまでの素直さ、真っ直ぐさが仇になることもある。
大学生の時のままだ。
そこに性愛がなくても、確かに彼は紘子のことを愛していたのだと思う。それは罪なんだろうか。運命のように何度も巡り会う強い絆 -
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ネタバレ前半は面白い
新アグネス寮といわれる社会的弱者の女性たちが住む場所が火事が起き、そこで先生と慕われていた小野尚子が死亡する
しかし、のちの調べで遺体は全くの別人で過去に連続殺人を犯した半田明美であると判明する。調べを進めるうちに、20年以上前から小野先生は半田明美であったことが分かり、施設の職員は混乱する。
何の目的で?いつ入れ替わった?紛れもなく小野先生であり疑わなかった周りの人達
本物の小野尚子はフィリピンで殺害されていた
半田明美がマンションに残したデータから、幼い頃からの家庭環境の悪さから犯罪に至ったことが記されており、小野尚子をそのまま真似ることで自分が洗脳され本来の自分を見失ってい -
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『銀婚式』というタイトルが
読み終えた後になって
じんわりと
心に沁みてくる一冊。
45歳以下には
退屈で理解できない
味わいかなーと。
ひとりの企業人の半生を
淡々と描いていて
離婚や転職などの
転機はあるものの
それほど
波乱万丈というわけでもなく
どんでん返しがあるわけでもなく
でも 同じ組織人として
身につまされたり
共感したり
気がついたら 一気読みでした。
もう 若くはなく
ちょっと くたびれていて
いい大人なのに
悩んだり 躓いたり
でも 確固たる信念を持った
少し不器用な
そして
そんな自分を俯瞰して
思わず笑ってしまえるような
健全なユーモアを -
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ネタバレあまり両生類をかわいいと思ったことがなかったので、愛くるしい外見を持つウアブに魅せられ保護クラブまで立ち上げた主人公の気持ちに添えずじまい…。
でも、ウアブの凄まじく凶暴な黒い変態形の謎や新事実、題名になった島の昔話を絡め、南のリゾート地が陥ったパニックにぐいぐい引き摺り込む著者の手腕はさすが。
現地の住民と外部の人間である主人公のラストの対比が痛烈で秀逸。保護と駆除の両極端を右往左往する外部からの滞在者たちに比べて、ウアブの利便性と危険性のバランスを取りながら共生を選ぶ現地の定住者のたくましさに恐れ入る。
この作品のMVPは、自身の火傷も顧みず凶暴な黒いウアブに熱々の油をかけ続けたアメリカ -
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中堅保険会社に勤める5人の女性たちの生き様を描いた小説。
500ページを超える分厚い本ではあるが、それぞれの女性を主人公とした短編仕立てになっているので、それほどボリュームは感じさせない。
1997年に直木賞を受賞。
その頃の日本は、会社に勤める女性は「女の子」と呼ばれ、オフィスの机で、男性だけがタバコが吸えた。「女の子」は交代で毎朝早く出勤し、男性陣みんなの机を拭き、前日の灰皿を片付けて洗い、部長にお茶を持っていった。食事に行っても遊びに行っても、男性がお金を払うのは当たり前だった。
そんな時代に、女性が自分の人生を自分のために生きるのことは難しい。
自分のことを棚にあげて心無いことを言