篠田節子のレビュー一覧

  • 冬の光

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    久々に篠田節子を読む。
    うむ。むむ。むむむ。
    でも、最終、優しい話ではあった。

    人の死に様とか、その他も、生々しくて。この生々しくてグロテスクな感覚が、篠田節子だよな。と、改めて思いながら。。。
    これに、中高時代、ひどく影響を受けたことを思い出す。

    でも、ホラー、SFの篠田節子ではなく、宮本輝的な篠田節子でした。

    登場人物の自分としては立ち上がって生きている様と、だからこその孤独と。

    #篠田節子 #冬の光 #読書記録

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    2021年11月21日
  • 冬の光

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    四国お遍路を終えた帰り道、フェリーから身投げした父。
    高度成長期の企業戦士として、専業主婦の母に支えられ、幸せな人生を送っていたはずの父。
    そんな父は、大学生の時の恋人と、20年余ずっと関係を持ち続けていた。

    父親を恨む母。嫌悪感をあからさまにする長女。父の足跡を辿る次女、碧がたどりついた答えとは。



    父、康弘。正直もっとうまく立ち回ればこんなことにはならなかっただろうと思ってしまう。その頑固なまでの素直さ、真っ直ぐさが仇になることもある。
    大学生の時のままだ。

    そこに性愛がなくても、確かに彼は紘子のことを愛していたのだと思う。それは罪なんだろうか。運命のように何度も巡り会う強い絆

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    2021年10月24日
  • 鏡の背面

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    ネタバレ

    前半は面白い
    新アグネス寮といわれる社会的弱者の女性たちが住む場所が火事が起き、そこで先生と慕われていた小野尚子が死亡する
    しかし、のちの調べで遺体は全くの別人で過去に連続殺人を犯した半田明美であると判明する。調べを進めるうちに、20年以上前から小野先生は半田明美であったことが分かり、施設の職員は混乱する。
    何の目的で?いつ入れ替わった?紛れもなく小野先生であり疑わなかった周りの人達
    本物の小野尚子はフィリピンで殺害されていた
    半田明美がマンションに残したデータから、幼い頃からの家庭環境の悪さから犯罪に至ったことが記されており、小野尚子をそのまま真似ることで自分が洗脳され本来の自分を見失ってい

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    2021年09月20日
  • 鏡の背面

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    ネタバレ

    途中まではすごく良かった。
    ぐんぐん引き込まれて寝不足に。
    電車内で夢中になり、2つも駅を降り過ごして遅刻。
    こりゃあ面白い!と思っていたけど。


    後半、心霊現象のあたりから謎解き部分まで
    どんどん無理矢理感が増して行き
    ラストはどうにも尻すぼみ…
    でもまたこの作家さんの本読んでみようかな。

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    2021年09月18日
  • 竜と流木

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    生態系の破壊や進化、それに伴う天敵、そして共生、そんなエッセンスいっぱいのお話。
    現実には起きてもおかしくない、もしかしたら起こっているかもしれないということが、また面白さを増す。(面白がってはいけないが…)

    こういう題材の作品はいいね。好き。

    ただ、本当に個人的な感覚なんだけど、文章が少し読みにくかった。
    特に、細かく表現するために1文が長くなり過ぎたり、句点の位置に違和感があったりして、1回で理解できない部分があった。
    これがなければ、もっと情景がすんなりイメージできて、ワールドにどっぷり浸かれたと思う。

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    2021年08月15日
  • 鏡の背面

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    202106/骨太長編。オカルト的なとこで途中読むのやめようかなと思ったり、動機がいまいち理解しきれない(そこまですることに納得がいかない)とこもあるけど、読み応えあり、結局一気読みしてしまう面白さ。それにしても自分が認識していると思っていることなんて、ほんと不確かなのだなあと恐ろしくなった…。

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    2021年08月03日
  • 夏の災厄

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    なぜ舞台となった昭川市で新型日本脳炎が蔓延したのか? なぜそれがインドネシアのブンギ島と繋がるのか?
    謎は解けた。でも話が淡々と進み過ぎ?
    物語としては、クライマックスを感じることなく終わってしまった。

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    2021年07月17日
  • 鏡の背面

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    驚異的な献身ぶりから<聖母>と讃えられたNPO運営の老女が焼死。検死の結果、遺体が全く別人と判明する所から始まる物語。私がついつい手に取ってしまう【なりすまし】が題材のサスペンスで犯罪ルポタージュさながらの緻密さと読み応えがある。徐々に明らかとなる女の本性は聖母の実像と乖離し怖気を誘うが、中盤のオカルト路線がある意味で一番恐ろしい。終盤でもう一捻りあるかと期待したが、長丁場(本編630頁超)の割に平坦な着地点に収束してしまった。最後まで充分楽しめたので決して悪くはないけれど、流石にちょっと物足りないです。

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    2021年05月30日
  • 冬の光

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    日本によくありそうな家族の物語。人と人は触れ合って前向きになったり後ろ向きになったりするんだと改めて感じた。

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    2021年05月05日
  • 銀婚式(新潮文庫)

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    『銀婚式』というタイトルが

    読み終えた後になって
    じんわりと
    心に沁みてくる一冊。

    45歳以下には
    退屈で理解できない
    味わいかなーと。

    ひとりの企業人の半生を
    淡々と描いていて

    離婚や転職などの
    転機はあるものの

    それほど
    波乱万丈というわけでもなく
    どんでん返しがあるわけでもなく

    でも 同じ組織人として
    身につまされたり
    共感したり

    気がついたら 一気読みでした。

    もう 若くはなく
    ちょっと くたびれていて

    いい大人なのに
    悩んだり 躓いたり

    でも 確固たる信念を持った
    少し不器用な

    そして
    そんな自分を俯瞰して
    思わず笑ってしまえるような
    健全なユーモアを

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    2021年04月06日
  • 女たちのジハード

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    1995年くらい。バブルが終わり会社が変わりつつあるけど、寿退社や御局様、異動やセクハラなど、女性に対する意識や扱いはまだまだ変わらない、そんな時代。
    会社からの財形やボーナスまで男女格差があったとは。25才で結婚を焦り、30才で諦めの境地に入る、わかるけど分かりたくない。それぞれの女性が前向きに、そしてみんな思い切った道を進み始めたけど、やっぱり女性の人生は「結婚」と切り離すことはできないこと、そして会社での成功は望めないことが実感された。1人くらい会社で成功する人はいなかったのだろうか。

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    2021年03月27日
  • 冬の光

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    ネタバレ

    相変わらず文章は上手いし、持っていき方の技術が確かなのは間違いないんだけど、今作に関しては人物の造詣が空疎というか、端的に言うと薄い。
    生身の人間というより、如何にも架空の人物が紙上で動き回っているに過ぎず、共感が抱けない。
    遍路の途中で出会う秋宮梨緒の、物語における必然性、ましてや主人公の男が関係を持つ意味合いも解せぬまま。
    巡礼を題材にちょろっと展開される宗教的な描写には、「ゴサインタン」や「弥勒」がちらりと想起され、オールドファンとしては少し嬉しくなったが、残念ながらそれぐらい。

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    2021年03月10日
  • 冬の光

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    読み進め易い文章ではありましたが、う〜ん、登場人物に感情移入できず読み終えてしまった。人生綺麗ごとばかりではないし、他人には分からない葛藤もあるだろう。そうなんだけどねぇ〜、となんだかモヤモヤする作品でした。

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    2021年03月08日
  • 竜と流木

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    ネタバレ

    あまり両生類をかわいいと思ったことがなかったので、愛くるしい外見を持つウアブに魅せられ保護クラブまで立ち上げた主人公の気持ちに添えずじまい…。
    でも、ウアブの凄まじく凶暴な黒い変態形の謎や新事実、題名になった島の昔話を絡め、南のリゾート地が陥ったパニックにぐいぐい引き摺り込む著者の手腕はさすが。
    現地の住民と外部の人間である主人公のラストの対比が痛烈で秀逸。保護と駆除の両極端を右往左往する外部からの滞在者たちに比べて、ウアブの利便性と危険性のバランスを取りながら共生を選ぶ現地の定住者のたくましさに恐れ入る。

    この作品のMVPは、自身の火傷も顧みず凶暴な黒いウアブに熱々の油をかけ続けたアメリカ

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    2021年03月01日
  • 長女たち(新潮文庫)

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    自分のキャリアや結婚を諦めて、親のお世話をする長女たちを描いた3つの物語。
    痴呆や病気を患った老親の介護をするために一人で奮闘する頑張り屋さんで我慢強くてしっかり者の長女たち。
    切なく心にしみる話でした。

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    2020年12月17日
  • 絹の変容

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    篠田節子の代表作の一つなのでしょうね。
    30年前のお話しですが、有り得なくも無い話でよく作られてました。面白かったです。
    「竜と流木」、「夏の災厄」とこの作家さんの作品は3つ目ですが、いずれもパンデミックや生物の変異で人類が危機に陥る話で緊迫感が有り楽しめました。本当にこんな事が起こらないように願いたいです。

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    2020年10月04日
  • 夏の災厄

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    新型日本脳炎ウィルスによるパンデミックを描いた25年前の作品です。今現在の新型コロナのパンデミックを短期間に凝縮して描いた様な予言書的な話で、随分昔のフィクションでありながら、今現在の状況と、この先の経過を描いている様で複雑な気持ちになりました。
    やはり人類を滅ぼすのは目に見えないウィルスなのでしょうか?!
    コロナ終息を祈るしかないです。

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    2020年08月21日
  • 銀婚式(新潮文庫)

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    タイトルから想像した内容とは違ったけれどラストにそのタイトルが染み込むように納得してしまった。真面目なエリート男性の人生中盤からの物語で世代的にははまるけど、目線が男親だから共感よりも、そんなものか、うちの旦那もそうかもな、などと思ってしまった。人生うまくいかない、真面目にやってもどうにもならない時もある。それは1人で生きてるわけじゃないから。その通りだと思う。

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    2020年08月12日
  • 女たちのジハード

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    中堅保険会社に勤める5人の女性たちの生き様を描いた小説。
    500ページを超える分厚い本ではあるが、それぞれの女性を主人公とした短編仕立てになっているので、それほどボリュームは感じさせない。

    1997年に直木賞を受賞。
    その頃の日本は、会社に勤める女性は「女の子」と呼ばれ、オフィスの机で、男性だけがタバコが吸えた。「女の子」は交代で毎朝早く出勤し、男性陣みんなの机を拭き、前日の灰皿を片付けて洗い、部長にお茶を持っていった。食事に行っても遊びに行っても、男性がお金を払うのは当たり前だった。

    そんな時代に、女性が自分の人生を自分のために生きるのことは難しい。
    自分のことを棚にあげて心無いことを言

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    2020年08月08日
  • コンタクト・ゾーン(下)

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    篠田節子『コンタクト・ゾーン 下』文春文庫。

    下巻。バカンス先のリゾートで内乱に巻き込まれ、虐殺の悪夢から辛くも逃れた真央子、祝子、ありさが逃亡の果てにたどり着いた山間の小さな村。村人たちとの文化の違いに苦労しながら、三人は帰国の道を模索する……

    長編ながら、どっち付かずの中途半端な物語。上巻の後半からは村人とゲリラとの対立ばかりで、お気楽OL三人組には不釣り合い。エピローグも蛇足っぽい。

    本体価格600円(110円)
    ★★★

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    2020年08月31日