篠田節子のレビュー一覧

  • 夏の災厄
    いわゆるドラマティックな大仕掛けがあるわけでなく、
    わりと静かに淡々とハザードが進行していく。
    これが妙にリアルで怖い。
    ほんとに蚊に刺されると一瞬ドキッと
    したりしなかったり。

    なんか盛り上がんないな~
    と思ってた前半が嘘のよう。
  • 沈黙の画布(新潮文庫)
    地方で埋もれた画家があるエッセイがきっかけで注目されるようになる。
    でも、遺された画家の妻智子はその作品の一部を「偽物」と言い張り画集に掲載するのも、展覧会で展示するのも認めない。
    妻の言動が段々と常軌を逸してきて、途中から「これはホラーじゃないよね?」と、困ったお婆ちゃんだと思いながら読んだ。
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  • 聖域
    強烈に惹きつけられる作品ということは間違いないです。
    宗教どうこうの問題じゃないです。
    しかし、主人公をもう少し優しさというか、柔軟さを兼ね備えた人物に描いてくれたらパーフェクトでしたね。
    こんな男でも惚れた人がいて、またその男を想ったまま亡くなったひとがいる。
    何だか違和感。
  • はぐれ猿は熱帯雨林の夢を見るか
    題名にあるとおり、猿や豚などの動物がモチーフになった短編集。
    ミステリーの部類にはいるのかな。
    どの話も怖いです、そして気味が悪い・・・
    こんな構想をどこで思いつくのか、かなり専門的に踏み込んだ部分もあり、作者の幅の広さを感じます。
    今まで篠田さんのは何冊か読んでいますが、こういうたぐいの話は初めて...続きを読む
  • 贋作師
    個人的に「篠田節子」への期待値は高いので、
    これはスケールが小さいし、悪い意味で通俗~。
    北森鴻と桐野夏生の村野ミロものをごった煮にした印象。
     
    主人公をサポートする彫刻家が狂言回しだし、
    ゲイって設定も「ここ、色恋入りませんから」って
    それぞれの言動や心情の描写でわからせるべきところを設定に説明...続きを読む
  • 聖域
    2014.11.8

    すごい作品だった。
    宗教、信仰、生と死、人はなぜ生き、生かされているのか…。
    終始どんよりと東北の海の色のように暗く重たいテーマで進むこのストーリーを私の稚拙な文章力では書き表せられない。今までに読んだこのとのないジャンルのストーリーでした。
    最初にこの本を買った時に思い描いて...続きを読む
  • はぐれ猿は熱帯雨林の夢を見るか
    近未来SF小説って感じでしょうか?
    うなぎと猿の話は面白く読めましたが、
    最終話はいまいちピンときませんでした。
    題名からして元になる小説がありそうな感じでしたが、
    よくわかりませんでした…
  • ロズウェルなんか知らない
    奇をてらったことでも突き抜ければまた違った道も開ける。本作品は田舎町が舞台だが、これは変われない、変わろうとしない硬直化社員を多く抱える会社でも同じことが言える。予想外に最後に中国ネタがあり、苦笑いしてしまった。
  • アクアリウム
    熱帯魚趣味のオタクな公務員正人が、ケイブダイビングの友人の死の探索に行った事から、不思議な生物と出会い捕われて行く。少し不気味な香のする、環境問題をも扱った、一人の戦い。
  • アクアリウム
    水中洞窟に生息していたイルカに似た哺乳類。彼女を助け出そうとする主人公。
    話がなんとなくじめじめしていてグロテスク。
  • 廃院のミカエル
    宗教に関して、知識がないので、読みにくい部分があった。
    後半に近づくにつれ、現実的になり少し冷めてしまった。
  • カノン
    しっかりとした知識に裏打ちされ、緻密な描写で読者を引き込む篠田節の一作である。
    音楽から最後には登山まで、よく取材されているのは感心する。しかしながらカセットテープを中心に、呪いや謎の怪談じみた超常現象が作品のキーとなるのだが、ちょっとばかり消化不良気味。不倫だの学生運動だの、必要だったかどうかとい...続きを読む
  • アクアリウム
    森の中の地底湖に、一人で友人の死体を探しに行くという設定からして最高に怖い。真っ暗な水の中での一挙一動と心理状態の描写に病みつきになった。お気に入りの一冊。

    友人の死因はあえて答えを2通り用意しているのだろうか。藪のなかみたいな感じで。イクティに謎を残すために。私はそういうのは好きでないな。
    後半...続きを読む
  • 神鳥(イビス)
    この作家の作品を読んだことが無く、何の予備知識も持たず表紙から歴史小説と思って読んだらホラー小説だった。
    結構怖かった・・・
  • 神の座 ゴサインタン
    地方の名士に生れた主人公輝和は、40まで嫁が来ず、ネパール人の妻を貰う。家を守るために従順そうだという理由だけで貰った嫁は、宗教的な活動を始め、資産を食い尽くす。

    細々と自然からの恵みだけでの生活がなんとか安定していたところ、妻が突然姿を消す。和輝は失踪した妻を探しにネパールへと旅立つ。

    幸せと...続きを読む
  • 家鳴り
    何気無い日常から狂気に堕ちていく短編集。実際に起こり得そうなものも多く、自分がこんな事態になったらと思うと冷や汗をかいた話もいくつか。
    短編集と言うことでテンポよく、人間の恐ろしさや、狂気、人生の無情等様々な物語が読めて飽きませんでした。

    ただ読んでいて、登場する男性の情けなさ過ぎるのではないかと...続きを読む
  • 仮想儀礼(上)(新潮文庫)
    拠り所を探す人たちが徐々に集まってくる、そして巨大化していく‥話の展開としては面白かった。ただ、上巻だけでも長いと感じた上に、これで下巻もあるのか、と思うとその点はなんとも。
  • 仮想儀礼(下)(新潮文庫)
    途中で少し、あの狂気染みた感じには恐れを感じた。長かったものの、終わり方としては綺麗だったような。上巻とはまた違った味わい。
  • 聖域
    ミステリーやサスペンスの類を期待して読んだのですが、ちょっと思ったのとは違いました。

    めまぐるしい展開があるわけではなく、主人公が苦悩をかかえながら進んでいくロードムービーのような印象の小説。
  • 絹の変容
    再読。
    アレルギー体質の自分には、心底恐ろしい話。
    でも、篠田さんの一番好きな作品『夏の災厄』の原点とも思えるパニック小説で、引き込まれる話です。
    長編好きなので、物足りない(大急ぎ)感を覚えてしまうけれど、かなり面白いと思います。
    虫が苦手な方は、ご注意下さい。