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自分の中では、篠田作品No.1
もう初版が出た時に読んでますから、20年以上は経ってますよね。
紙媒体(ハードも文庫も)だって持ってるのに、いつでも読める様にしておきたいが為に電子にて購入しました。
内容については、他の方のレビューで沢山書いてあるので、そちらをご覧くださいw。
とにかく、自分の中では篠田節子さんの作品で断トツのNo.1だと、力強く言い切れる大傑作です。
物語の殆どが、頭の中に映像化されて保存されていて、こんなに物語に没入して頭から離れない作品はそうそう有りません。
それぐらいの圧倒的な興奮、感動を喚ぶ、極めて優れた娯楽小説です。作中作の方すら書籍化して欲しいぐらいです。
それまで小馬鹿にしていた青森の恐山に対しての認識が、180度変わったのも、この作品と出逢えたお陰だと思います。亡くなった人への「想い」の強さに心を打たれました。
何度も読み返したくなる事請け合いの名作です。
Posted by ブクログ
篠田節子さんの著作は「女たちのジハード」に続き、2作目。「女たちの」も面白かったが、こちらはもっと迫力がある。先がどうしようもなく気になり、一気に読んでしまった。案外評価が低いようで、驚いている。
個人的にこういった不気味な話が大好物である。日本(特に地方)固有の暗さ・怖さがある。ストーリーは、出版社に勤める主人公が書きかけの小説を見つけ、その先が読みたくなり、舞台となった東北地方に行方不明の著者を探しに行く、というもの。ジャンルとしてはミステリーだが、単なる謎解きや犯人探しではなく、宗教を通して人生の意味を問いかけるようなものになっている(こう書くと陳腐に聞こえてしまうが)。
少し難解な箇所もあるが、トリックに技巧を凝らす現代ミステリーとは一線を画する、硬派な小説だと思う。
Posted by ブクログ
週刊誌から文芸誌に異動したての編集者・実藤が、ある時偶然手にした未発表原稿「聖域」。物語が佳境にさしかかったところで、終わってしまっているこの作品のラストを読みたい一心で、実藤は無名の作者・水名川泉を捜し出すため、僅かに残された痕跡を頼りに東北へと向かう。
◆94年4月刊行された小説であるにもかかわらず(執筆はそれよりずっと前だと予想されるけど)、「新興宗教」が物語のひとつの軸として働いている。日本人にとっての「信仰」の問題。
◆東北地方の描写に、いつか車窓から見た風景を思い出し、記憶と描写を重ね合わせるように読まされた。
◆二重の「聖域」。『聖域』という本書の中で、「聖域」を扱っている二重性の面白さ。作中の「聖域」も、普通に興味深い内容。退屈させない。
◆泉を捜索する過程の疾走感。加速していくミステリー。
◆創作の虚構に惑う作家としての泉。潮来としての泉。
◆編集者・実藤の「作品を世に出す」という使命感が、途中から揺らぎ、利己的な欲求のために泉に接触しようと試みる。その際の人間の醜悪さ。
舞台として登場する青森県浅虫温泉周辺は個人的に思い入れがあるのだけど、きっと綿密に取材を重ねたのだろうなあというのが伝わってくる描写でした。
一級のエンターテインメント小説でありながら、作者である篠田氏の小説家である己をも賭した挑戦、そのプロ根性に、ほとほと感服するばかりです。文句なしの5つ★。ぜひ読んでもらいたいものだと思いました。
Posted by ブクログ
女たちのジハードで語られたような、シンプルで無駄のない地の文体に、文中小説(とはいっても引用と概要ではあるが)が挟まる、最初の展開。
その文中小説が秀逸。
文章も練られていて、それだけで十分に読みごたえを感じるような素晴らしいプロット。もったいない!
このままできればきちんと読みたい、そう思わされるほどの出来栄え。
しかし作者の展開するストーリーの肝は、そこにはない。
その作者の数奇な運命?才能?能力を軸に、担当者、同じ賞をとった老作家、そして主人公と3人の人生が絡まりあいほつれていく。
最後の結末は・・・
人は失われたものを求めずにはいられない。
なくしたものの輝きを美化し、そこに逃げ込み、
自分が欲しかった答えをひたすらカクニンしようとする男たちの姿は、
愕然とするほどに脆く、そうして胸に痛い。
失われたから、そこにないから輝いている。
それに目を奪われるのあまりにすぐ手の届く手垢のついた現実を、貶めた瞬間にそこは、闇。
Posted by ブクログ
出版社の不人気文芸誌に異動させられた実藤。実藤の異動の直前に突然退職した篠原のデスクを整理している最中に『聖域』と題された小説の原稿を見つける。そこには魑魅魍魎と戦う慈明上人の壮絶なるストーリーが綴られていた。しかし、500枚以上の原稿はみかんであることに気がつく。作者の水名川泉の行方は、関係者も誰も知らない…。
いや、面白い。ここのところ、悪い言い方をすると"薄い"小説ばかりを読んできていたので、本作はゴッテリと重く濃厚だ。登場人物は実藤、泉以外はほとんど動かないし、多少何人も増えたところで、まったく「誰だっけ?」とならない配分がなされているのは、最近読んだ本の中でもずば抜けてよかった。
前半では作中作『聖域』のストーリーあらすじが記されるのだが、あらすじなのか本文なのかという振れ具合が少々ひっかかり、早く終わんないかなと思ってしまったのは事実である。
その後の水名川泉探しと、死後の世界を目の当たりにする、大きな事件こそ起こらなくなるものの、ゆらぎ繰り返される感覚も、冗長には感じない。最終的に結末を手に入れられるのか?ということすらどうでも良くなっていくのである。
口寄せ、イタコと死後の世界というのは、ちょっとやりすぎな感じはあったものの、篠田節子らしい切り口で、決して胡散臭かったり、必要以上に語るわけでない部分は好感が持てた。
長い作品だが、読む分にはさほど長く感じないのではないか。それくらい完成度は高い。
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