篠田節子のレビュー一覧
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篠田節子『コンタクト・ゾーン 上』文春文庫。
2006年の文庫化作品。上下巻の長編。後半、サバイバル小説かと思うような展開があるが、それも一瞬のこと。2000年代の典型的な日本のOLが異国の地で紛争に巻き込まれ、文化の違いに気付き、帰国の道を模索するという物語。
日本から架空の国テオマバルにバカンスを楽しみに来た国辱レベルの30代後半のOL三人組。政情不安に揺れる国でわがままし放題の真央子、祝子、ありさの三人。ツアーガイドの工藤は三人のわがままに振り回される。やがて、内乱が激化し、ゲリラによる虐殺が始まった……
本体価格648円(古本110円)
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Posted by ブクログ
認知症の母の介護をしつつ、作家活動にも勤しんでいた著者に、あるとき、乳がんが見つかる。
満身創痍、四面楚歌、絶体絶命。
だが作家は落ち込んだり、悲観したりはしない。きわめて冷静に、腹を据えて客観的に判断し、しかし時には羽目を外し、いくぶんかのユーモアを道連れに、事態を乗り切っていく。
介護部分よりはがん部分の方が主体である。が、闘病記と呼ぶほど辛気臭くはない。闘病エッセイとでも呼べばよいのか。
ところどころで笑わせつつ、治療に一区切りがつくまできっちりまとめ、巻末には形成外科医との対談も収録。
リーダビリティ高く、乳がん治療の一例も知ることができて参考にもなる。
著者は長年、認知症の実母の介 -
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ネタバレ篠田節子作品 第117回 直木賞受賞作
この作家さんは「肖像彫刻家」に続き2作目
1997年に直木賞をとっているということで、読んでみた。
篠田節子のWikipediaを読むと ホラー・SFと出てくるのだが、
この作品はお年頃のOL 女性5人(メインは康子とリサと紗織)の生き様が興味深い
それぞれのキャラが立っていて、
様々なエピソードに対する行動や考えが話を推し進めていき、
読んでいるものが 共感したり、
(いやいや それ駄目でしょう)なんてツッコミを入れたくなったりする。
私が面白かった章は「シャトレーヌ」
気弱な康子が自分の城を獲得すべく、裁判所の競売で危ない輩と渡り合う。
勉強にも -
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長女という立場の3人の女性たちの3つの物語。
「家守娘」では、出戻りの長女が骨粗鬆症を患っている母が認知症まで発症してしまい、その対応に四苦八苦する。
「ファーストレディ」では、糖尿病を患っているのに甘いものを止めず、過去に医者である父の義父母との同居や病院のスタッフとの確執等の恨み辛みを嫁に行かず、母の代わりに父の片腕として奔走する娘が受け止める。
この2つは母と娘の深い溝を感じる。
母と娘でありながら、友達のようであり、母の所有物である長女たち。
どちらも年老いていく母の介護という、重い現実が突き付けられる。
「ミッション」だけは、長女であるが母との確執といったものはなく、父の孤独死という