篠田節子のレビュー一覧

  • 鏡の背面

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    驚異的な献身ぶりから<聖母>と讃えられたNPO運営の老女が焼死。検死の結果、遺体が全く別人と判明する所から始まる物語。私がついつい手に取ってしまう【なりすまし】が題材のサスペンスで犯罪ルポタージュさながらの緻密さと読み応えがある。徐々に明らかとなる女の本性は聖母の実像と乖離し怖気を誘うが、中盤のオカルト路線がある意味で一番恐ろしい。終盤でもう一捻りあるかと期待したが、長丁場(本編630頁超)の割に平坦な着地点に収束してしまった。最後まで充分楽しめたので決して悪くはないけれど、流石にちょっと物足りないです。

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    2021年05月30日
  • 冬の光

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    日本によくありそうな家族の物語。人と人は触れ合って前向きになったり後ろ向きになったりするんだと改めて感じた。

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    2021年05月05日
  • 銀婚式(新潮文庫)

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    『銀婚式』というタイトルが

    読み終えた後になって
    じんわりと
    心に沁みてくる一冊。

    45歳以下には
    退屈で理解できない
    味わいかなーと。

    ひとりの企業人の半生を
    淡々と描いていて

    離婚や転職などの
    転機はあるものの

    それほど
    波乱万丈というわけでもなく
    どんでん返しがあるわけでもなく

    でも 同じ組織人として
    身につまされたり
    共感したり

    気がついたら 一気読みでした。

    もう 若くはなく
    ちょっと くたびれていて

    いい大人なのに
    悩んだり 躓いたり

    でも 確固たる信念を持った
    少し不器用な

    そして
    そんな自分を俯瞰して
    思わず笑ってしまえるような
    健全なユーモアを

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    2021年04月06日
  • 女たちのジハード

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    1995年くらい。バブルが終わり会社が変わりつつあるけど、寿退社や御局様、異動やセクハラなど、女性に対する意識や扱いはまだまだ変わらない、そんな時代。
    会社からの財形やボーナスまで男女格差があったとは。25才で結婚を焦り、30才で諦めの境地に入る、わかるけど分かりたくない。それぞれの女性が前向きに、そしてみんな思い切った道を進み始めたけど、やっぱり女性の人生は「結婚」と切り離すことはできないこと、そして会社での成功は望めないことが実感された。1人くらい会社で成功する人はいなかったのだろうか。

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    2021年03月27日
  • 冬の光

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    ネタバレ

    相変わらず文章は上手いし、持っていき方の技術が確かなのは間違いないんだけど、今作に関しては人物の造詣が空疎というか、端的に言うと薄い。
    生身の人間というより、如何にも架空の人物が紙上で動き回っているに過ぎず、共感が抱けない。
    遍路の途中で出会う秋宮梨緒の、物語における必然性、ましてや主人公の男が関係を持つ意味合いも解せぬまま。
    巡礼を題材にちょろっと展開される宗教的な描写には、「ゴサインタン」や「弥勒」がちらりと想起され、オールドファンとしては少し嬉しくなったが、残念ながらそれぐらい。

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    2021年03月10日
  • 竜と流木

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    ネタバレ

    あまり両生類をかわいいと思ったことがなかったので、愛くるしい外見を持つウアブに魅せられ保護クラブまで立ち上げた主人公の気持ちに添えずじまい…。
    でも、ウアブの凄まじく凶暴な黒い変態形の謎や新事実、題名になった島の昔話を絡め、南のリゾート地が陥ったパニックにぐいぐい引き摺り込む著者の手腕はさすが。
    現地の住民と外部の人間である主人公のラストの対比が痛烈で秀逸。保護と駆除の両極端を右往左往する外部からの滞在者たちに比べて、ウアブの利便性と危険性のバランスを取りながら共生を選ぶ現地の定住者のたくましさに恐れ入る。

    この作品のMVPは、自身の火傷も顧みず凶暴な黒いウアブに熱々の油をかけ続けたアメリカ

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    2021年03月01日
  • 長女たち(新潮文庫)

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    自分のキャリアや結婚を諦めて、親のお世話をする長女たちを描いた3つの物語。
    痴呆や病気を患った老親の介護をするために一人で奮闘する頑張り屋さんで我慢強くてしっかり者の長女たち。
    切なく心にしみる話でした。

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    2020年12月17日
  • 絹の変容

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    篠田節子の代表作の一つなのでしょうね。
    30年前のお話しですが、有り得なくも無い話でよく作られてました。面白かったです。
    「竜と流木」、「夏の災厄」とこの作家さんの作品は3つ目ですが、いずれもパンデミックや生物の変異で人類が危機に陥る話で緊迫感が有り楽しめました。本当にこんな事が起こらないように願いたいです。

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    2020年10月04日
  • 夏の災厄

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    新型日本脳炎ウィルスによるパンデミックを描いた25年前の作品です。今現在の新型コロナのパンデミックを短期間に凝縮して描いた様な予言書的な話で、随分昔のフィクションでありながら、今現在の状況と、この先の経過を描いている様で複雑な気持ちになりました。
    やはり人類を滅ぼすのは目に見えないウィルスなのでしょうか?!
    コロナ終息を祈るしかないです。

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    2020年08月21日
  • 銀婚式(新潮文庫)

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    タイトルから想像した内容とは違ったけれどラストにそのタイトルが染み込むように納得してしまった。真面目なエリート男性の人生中盤からの物語で世代的にははまるけど、目線が男親だから共感よりも、そんなものか、うちの旦那もそうかもな、などと思ってしまった。人生うまくいかない、真面目にやってもどうにもならない時もある。それは1人で生きてるわけじゃないから。その通りだと思う。

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    2020年08月12日
  • 女たちのジハード

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    中堅保険会社に勤める5人の女性たちの生き様を描いた小説。
    500ページを超える分厚い本ではあるが、それぞれの女性を主人公とした短編仕立てになっているので、それほどボリュームは感じさせない。

    1997年に直木賞を受賞。
    その頃の日本は、会社に勤める女性は「女の子」と呼ばれ、オフィスの机で、男性だけがタバコが吸えた。「女の子」は交代で毎朝早く出勤し、男性陣みんなの机を拭き、前日の灰皿を片付けて洗い、部長にお茶を持っていった。食事に行っても遊びに行っても、男性がお金を払うのは当たり前だった。

    そんな時代に、女性が自分の人生を自分のために生きるのことは難しい。
    自分のことを棚にあげて心無いことを言

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    2020年08月08日
  • コンタクト・ゾーン(下)

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    篠田節子『コンタクト・ゾーン 下』文春文庫。

    下巻。バカンス先のリゾートで内乱に巻き込まれ、虐殺の悪夢から辛くも逃れた真央子、祝子、ありさが逃亡の果てにたどり着いた山間の小さな村。村人たちとの文化の違いに苦労しながら、三人は帰国の道を模索する……

    長編ながら、どっち付かずの中途半端な物語。上巻の後半からは村人とゲリラとの対立ばかりで、お気楽OL三人組には不釣り合い。エピローグも蛇足っぽい。

    本体価格600円(110円)
    ★★★

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    2020年08月31日
  • コンタクト・ゾーン(上)

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    篠田節子『コンタクト・ゾーン 上』文春文庫。

    2006年の文庫化作品。上下巻の長編。後半、サバイバル小説かと思うような展開があるが、それも一瞬のこと。2000年代の典型的な日本のOLが異国の地で紛争に巻き込まれ、文化の違いに気付き、帰国の道を模索するという物語。

    日本から架空の国テオマバルにバカンスを楽しみに来た国辱レベルの30代後半のOL三人組。政情不安に揺れる国でわがままし放題の真央子、祝子、ありさの三人。ツアーガイドの工藤は三人のわがままに振り回される。やがて、内乱が激化し、ゲリラによる虐殺が始まった……

    本体価格648円(古本110円)
    ★★★

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    2020年07月04日
  • 夏の災厄

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    ネタバレ

    ある地方都市で日本脳炎と思われる感染者が発生した。
    その原因となったものは何なのか?

    今年のコロナ渦で話題になったのと、前から読もうと思っていたが、電子版しか入手困難だったのが文庫版が再販されたので、購入。

    期待していた程、ショッキングな内容ではなかった。
    それにしても、一部地域での自殺者の増加については、ウイルスとの因果関係が全く書かれていないため、違和感が残るのが残念。

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    2020年06月19日
  • 夏の災厄

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    ★★★
    今月2冊目。
    これはまさにいまんとこコロナと戦っているが、この本は98年に書かれた物で現代と似ている。
    ネタバレだが、ウイルスを研究していた病院から悪徳産廃業者に注射器などが渡り、山の中に産廃から貝にウイルスが取り込まれ、貝を鳥が食べ、鳥の血液を蚊が吸う、その蚊が人間に刺し日本脳炎が発祥。ちょーこええっす、長いけどよくできてました

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    2020年06月08日
  • 銀婚式(新潮文庫)

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    少し世代の上の話だが会社、老いてゆく両親など身近に感じながら読んだ。人の気持ちは自身の熟成度と共に変わって行くものだな、と感じた。

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    2020年05月16日
  • 秋の花火

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    内容(「BOOK」データベースより)
    彼の抱えた悲しみが、今、私の皮膚に伝わり、体の奥深くに染み込んできた―。人生の秋を迎えた中年の男と女が、生と死を見すえつつ、深く静かに心を通わせる。閉塞した日常に訪れる転機を、繊細な筆致で描く短篇集。表題作のほか、「観覧車」「ソリスト」「灯油の尽きるとき」「戦争の鴨たち」を収録。

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    2020年05月15日
  • 女たちのジハード

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    内容(「BOOK」データベースより)
    中堅保険会社に勤める5人のOL。条件のよい結婚に策略を巡らす美人のリサ。家事能力ゼロで結婚に失敗する紀子。有能なOLでありながら会社を辞めざるをえなくなったみどり。自分の城を持つことに邁進するいきおくれの康子。そして得意の英語で自立をめざす紗織。男性優位社会の中で、踏まれても虐げられても逞しく人生を切り開いていこうとする女たち。それぞれの選択と闘いを描く痛快長編。直木賞受賞作品。

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    2020年04月24日
  • 仮想儀礼(下)(新潮文庫)

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    宗教の立ち上がりから信者の暴徒化まで。
    途中から少し飽きてしまい、個人的にはあまり得意ではない話だった。

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    2020年03月21日
  • 介護のうしろから「がん」が来た!

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    認知症の母の介護をしつつ、作家活動にも勤しんでいた著者に、あるとき、乳がんが見つかる。
    満身創痍、四面楚歌、絶体絶命。
    だが作家は落ち込んだり、悲観したりはしない。きわめて冷静に、腹を据えて客観的に判断し、しかし時には羽目を外し、いくぶんかのユーモアを道連れに、事態を乗り切っていく。
    介護部分よりはがん部分の方が主体である。が、闘病記と呼ぶほど辛気臭くはない。闘病エッセイとでも呼べばよいのか。
    ところどころで笑わせつつ、治療に一区切りがつくまできっちりまとめ、巻末には形成外科医との対談も収録。
    リーダビリティ高く、乳がん治療の一例も知ることができて参考にもなる。

    著者は長年、認知症の実母の介

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    2020年02月17日