篠田節子のレビュー一覧

  • 神の座 ゴサインタン

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    篠田節子さんの本を読みあさって何冊目か。チベット辺りの宗教的な内容と、何もかも失って行く、追いつめられて行くような定型パターン。
    「弥勒」と似ている感じもするし、「仮装儀礼」にも似ている気がする。
    そして私は今回の物語は最終的には純愛じゃないかなと解釈した。

    ちょっと違うパターンも読んでみたいものです。

    当分、篠田さんはもういいかな。
    激動のストーリーにちょっと疲れました。

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    2016年11月03日
  • はぐれ猿は熱帯雨林の夢を見るか

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    ユーモアと皮肉をほどよく効かせた現代と地続きの近未来を描いたSF短編集。著者の引き出しの多さには脱帽。イチ推しは「豚と人骨」。

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    2016年10月10日
  • レクイエム

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     『死神』につづき篠田節子の短編がなかなかか良い。最後の短編『レクイエム』で戦争体験者の老人が語る言葉に「戦友会なんてやって思い出を語れる連中は地獄を見ていない」とある。この老人が語りだす体験談が凄まじいの一言、世の中、数ある恐怖、ホラー小説はあれど史実にはかなわない。

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    2016年07月11日
  • 神の座 ゴサインタン

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    ネタバレ

    農家の跡取り息子がネパール人の妻を娶ったことから始まる人生の転換を、宗教や異文化への理解を通して描く物語です。

    主人公が没個性的であるため、読者が世界を見る媒体としての役回りと割り切るまでは読み進めることに苦労しました。

    全体として細部の取材が行き届いていることから確かな現実感あり、主人公が経験する壮大な断捨離は物語の中でしか味わえないなかなかの衝撃がありました。

    現代日本の生活も、宗教の功罪も、途上国の現実も相対化して提示する作者の姿勢は誠実で好感が持てます。

    居場所探しとしてはあまりにスケールが大きいため真似できるものではありませんが、自らの立ち位置を見直すには、いい機会となるかも

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    2016年05月22日
  • 家鳴り

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    生まれ育った八王子を、何度も潰した小説家として紹介されていた篠田節子に興味を持ち、読んだ小説が家鳴りだった。幻の穀物危機は何とも気味が悪く、投げ出そうとしたが、読み進むうちにこれまで読んできたものとの異質さを覚えて逆に新鮮な気持ちで読み進むことができた。

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    2016年11月13日
  • ハルモニア

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     脳に障害を持つ女性が音楽に異常な才能をみせる。サヴァン症候群「知的障害や発達障害などのある者のうち、ごく特定の分野に限って優れた能力を発揮する者の症状を指す」(wiki参照)これを病気と片づけて無視することはできない。それほどに常人では達成できない才能を示す女性が登場する。現実では病気とワンセットになって宣伝されることが多いためにニュースねたやTVの特番などで注目されるに程度だ。この小説のラストも悲しくやるせない。

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    2015年12月21日
  • インコは戻ってきたか

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    内容(「BOOK」データベースより)

    “究極のハイクラス・リゾート東地中海の真珠キプロス島”女性誌の編集部員響子の海外取材は、このキャッチコピーのようにいくはずだった。だが実際は限られた予算と日程をやりくりする、カメラマンとの二人旅。そして風光明媚で文化遺産に恵まれた島は、民族と文化が複雑に交錯する紛争の地でもあった。39歳、夫も子供もいる女に訪れた、束の間の恋。圧倒的なリアリティをもって迫る長編小説。

    27年12月9日~17日

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    2015年12月17日
  • 仮想儀礼(下)(新潮文庫)

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    エセ宗教家の末路がこれでよいのか、あの法の華三法行の福永法源などは娑婆に出てきて、性懲りもなく活動再開しているらしいし、大悪人の麻原なんて刑務所で日々脱糞しながら瞑想(迷走)している・・・小説に登場するエセ宗教家は悪人になり切れず、かといって自分がつくった宗教から逃げ出すことができずに自滅するのだが、何やら不思議なラストであった。この話の続きがあるとしたなら彼はもう一度、宗教家としてやり直しが出来るのかもしれない。

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    2017年03月14日
  • 仮想儀礼(上)(新潮文庫)

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     禍々しい宗教家の誕生秘話ではない。突然、神の声を聞き教祖になったという話ではなく、普通の人がビジネスで宗教を起こして成功するという小説である。普通といっても元ゲーム作家というところが現代っぽい(笑

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    2015年11月02日
  • 寄り道ビアホール

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    小粋な題名に魅かれ、午睡の前のひとときにと、本棚から取り出す。13年ぶりの再読に、すっかり内容は忘れている。
    朝日新聞家庭欄に連載されたエッセイとのこと。巻末の、重松清との対談を読むと、著者はエッセイにこだわりがあるそうな。ともかく、日常生活の中で出会ったいい話が詰まった社会はエッセイ。
    印象に残ったのが、現在のエンターテイメント小説がもっと海外で翻訳出版され、外に出ていけば、「日本の顔」が外国人にも見え、感情的な反発や理由のない警戒にさらされることが、今より少なくなるのでは、という著者の意見。確かに、工業製品に比べて、文化については、日本はまだまだ輸入大国と言っていい。

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    2015年09月25日
  • 百年の恋

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    男女逆転のカップルの結婚、妊娠、出産にまつわるお話。正直なところ割れ鍋に綴じ蓋、としか思えない。仕事はできるけど、自分自身の面倒もみられな梨香子さんも情けないけど、女ならこうあるべき、という凝り固まった思考の真一君もかなりうっとうしい。
    真一君の思考が痛すぎて、粗筋にあるように「コメディ」とは思えなかった。
    後書によると、篠田さんはイクメンの子育て体験談に違和感を覚えたことがこの小説を書くきっかけになったらしいので、それを読んで漸く真一君の描かれ方に納得した。
    世の中には仕事を言い訳に家事一切妻に任せる男性なんてたぶん沢山いるのに、男女が逆転すると、とたんに世間では異質なものになるのだなあ……

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    2015年09月23日
  • 夏の災厄

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    いわゆるドラマティックな大仕掛けがあるわけでなく、
    わりと静かに淡々とハザードが進行していく。
    これが妙にリアルで怖い。
    ほんとに蚊に刺されると一瞬ドキッと
    したりしなかったり。

    なんか盛り上がんないな~
    と思ってた前半が嘘のよう。

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    2015年06月14日
  • 沈黙の画布(新潮文庫)

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    地方で埋もれた画家があるエッセイがきっかけで注目されるようになる。
    でも、遺された画家の妻智子はその作品の一部を「偽物」と言い張り画集に掲載するのも、展覧会で展示するのも認めない。
    妻の言動が段々と常軌を逸してきて、途中から「これはホラーじゃないよね?」と、困ったお婆ちゃんだと思いながら読んだ。
    妻はなぜその作品を「偽物」と主張するのかを巡るミステリーであり、美術品を巡る様々な事情も絡んできて、興味深いけど、あまり先が気にならないのは何故だろう?
    最後には画家がブレイクした裏側も明かされ、世の中こんなものなのかもといった、モヤモヤとした感覚が残った。

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    2015年04月01日
  • 聖域

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    強烈に惹きつけられる作品ということは間違いないです。
    宗教どうこうの問題じゃないです。
    しかし、主人公をもう少し優しさというか、柔軟さを兼ね備えた人物に描いてくれたらパーフェクトでしたね。
    こんな男でも惚れた人がいて、またその男を想ったまま亡くなったひとがいる。
    何だか違和感。

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    2015年02月23日
  • はぐれ猿は熱帯雨林の夢を見るか

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    題名にあるとおり、猿や豚などの動物がモチーフになった短編集。
    ミステリーの部類にはいるのかな。
    どの話も怖いです、そして気味が悪い・・・
    こんな構想をどこで思いつくのか、かなり専門的に踏み込んだ部分もあり、作者の幅の広さを感じます。
    今まで篠田さんのは何冊か読んでいますが、こういうたぐいの話は初めてです。

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    2015年02月03日
  • 贋作師

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    ネタバレ

    個人的に「篠田節子」への期待値は高いので、
    これはスケールが小さいし、悪い意味で通俗~。
    北森鴻と桐野夏生の村野ミロものをごった煮にした印象。
     
    主人公をサポートする彫刻家が狂言回しだし、
    ゲイって設定も「ここ、色恋入りませんから」って
    それぞれの言動や心情の描写でわからせるべきところを設定に説明させて済ませてる感じ・・・

    弟子が画家の妻に病の進行をものとせずのめり込んでいくさまは壮絶で、これを軸にした話にしたほうがずっといい作品になると思う。

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    2015年01月06日
  • 聖域

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    2014.11.8

    すごい作品だった。
    宗教、信仰、生と死、人はなぜ生き、生かされているのか…。
    終始どんよりと東北の海の色のように暗く重たいテーマで進むこのストーリーを私の稚拙な文章力では書き表せられない。今までに読んだこのとのないジャンルのストーリーでした。
    最初にこの本を買った時に思い描いていた話の展開とは全く違っていて、序盤の『聖域』のあらすじ部分は読むのが辛かったけど、中盤から実藤が水名川泉を追って東北に行くあたりで徐々に話が急展開していき、引きこまれていきました。
    読み応えのある作品でしたが、ちょっと自分には重たすぎ、なんだかどんよりとしていて読んでて不安になるような小説でした。

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    2014年11月08日
  • はぐれ猿は熱帯雨林の夢を見るか

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    ネタバレ

    近未来SF小説って感じでしょうか?
    うなぎと猿の話は面白く読めましたが、
    最終話はいまいちピンときませんでした。
    題名からして元になる小説がありそうな感じでしたが、
    よくわかりませんでした…

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    2014年10月03日
  • ロズウェルなんか知らない

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    奇をてらったことでも突き抜ければまた違った道も開ける。本作品は田舎町が舞台だが、これは変われない、変わろうとしない硬直化社員を多く抱える会社でも同じことが言える。予想外に最後に中国ネタがあり、苦笑いしてしまった。

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    2014年06月28日
  • アクアリウム

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    熱帯魚趣味のオタクな公務員正人が、ケイブダイビングの友人の死の探索に行った事から、不思議な生物と出会い捕われて行く。少し不気味な香のする、環境問題をも扱った、一人の戦い。

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    2020年04月27日