篠田節子のレビュー一覧
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日常が非日常へ、そして奇妙な世界に自分自身転がってしまっているのではないか、そんな感覚を持たせてくれる作品。
たまに時と時の流れがプツッと切れてしまうような印象はありましたが、私個人的にはまぁまぁ楽しんで読めました。
何か1つあげるとすれば…「夜のジンファンデル」。
他の作品が奇妙さを取り巻いているのであれば、こちらは美しくも儚く且つ官能的な雰囲気を纏っている。
大人の切なく甘美な恋愛。
読後、ぜひジンファンデルを食べてみたくなりました。
2009年7月25日初版
目次
・永久保存
・パケットの中の晩餐
・絆
・夜のジンファンデル
・恨み祓い師
・コミュニティ
解説 吉田伸子 -
Posted by ブクログ
どういう展開になっていくのか、と思ったら、
ホラーぽくなって、ちょっと意外だったが、
バカっぽくなく、美しい展開だったのでよかった。
音大時代の同級生たちとの交流や、
舞台が松本なこと(私の母校らしき場所の描写があった)で、
好意的に読み始めたが、
主人公が、演奏をあきらめて教員をやっている今の自分を
卑下しすぎ~。
ここに描かれている音楽感は、超一流のごく一部の人の感覚。
それか、プライドだけが高く、現実がわかってないか。
小説としては、神聖で荘厳で神の領域として「音楽」を描いていて、
嫌いではないけど、
一般の人が、音楽家ってこうなんだと思うのは違うと思う。 -
Posted by ブクログ
ホラーというほどホラーじゃない。不気味でも、怖くはありませんでした。
かつての友人が最期に残した一本の音楽テープにより、
テープを託された女性の周りで、不可解な現象が起こります。
過去を振り返りながら、死んだ友人とテープの謎に迫る物語です。
結局あの人は死んでもなお、音楽で何を伝えたかったんだろう。
読み終わっても、読み返しても、それが俺には明確に見えてきません。
カノンを選んだ理由も、俺には謎です。
でもその不思議な名残みたいなものが、良い味を出しているように思えました。
ただ、一種の「完璧」を目指していたことは分かります。
でも俺は、音楽に完璧も何もないと思っています。
だからなのか、彼あの人が不憫というか、見ていて寂しくなりました。
自分が完璧だと思っても、伝えたい相手にちゃんと聞いてもらえなければ、意味がないんです。
あの人も彼女も、見事なすれ違いだなぁと悲しくなりました。
お互いの音に、きちんの共鳴できていたのにもったいない。
いつまでも、お互いの音を大切にして欲しかったです。 -
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とある編集者が行方不明の小説家の行方を追う、サスペンスです。
いろんな意味で死にたくなりました。
いや、これじゃあ表現がまずいな。
帰りたくなったというか、返りたくなったというか、還りたくなったというか・・・。
失ったもの、敵わないもの、美しいもの、そんなものにすがってしまう。
普段はそんなこと思ってもいないのに、いざ目の前に現れると、抗えない。
嗚呼、人間って弱い生き物なんだなって、登場人物たちの姿を見て思いました。
でもきっと、どんなに強い人でも、弱い部分があるんです。
どんなに隠すのが上手でも、ふとした瞬間ですべてが崩れてしまうこともある。
でも、それでいいんだ。
崩れるなっていう方がたぶん無理だ。
そこで初めて気付くことがある。
そこで初めて見えたものがある。
だからどうか、崩れる人を許してほしい。 -
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ネタバレ「勝ち組負け組みという言葉があるが、あの町では出て行った者が勝ち組なのだ」 寂れていく一方の町、駒木野。その町を再生しようと、青年クラブのメンバーが奮闘する。あがく彼らを通して、地方の現実を見せ付けられ、胸を痛めて読み続けた。彼らは、そして駒木野はどうなるのか?四次元観光で村おこし!?常識と非常識の間で揺れ動く青年クラブの面々。その中で、いっぷう変わった鏑木という都会から流れてきた青年が、なんだか頼もしくみえてくるのが面白い。
これはもちろん小説だが、実際に日本で産業や観光がない地方が生き残っていくためには、結局原発や産業廃棄物を受け入れるしかないのだろう。そういう現実があることを、思い出させられ心が重くなった。 -
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2008年07月22日 03:53
すべてがいまいちの男が超エリート美人と結婚できることになる。
夢のような話だったが、いざ新婚生活が始まってみると、完璧だったはずの彼女は綻び、穴だらけだった。
ヒステリーがちで、家事はからっきし、その上に子供まで生まれて…
どたばたコメディでありながら、ちょっと考えちゃったとこもあった。
この三流男が「なんで俺が家事を・・男のプライドが・・」などと愚痴りながら炊事洗濯をしているところは一種爽快で、「男の沽券(笑)有能な妻に嫉妬してるだけの下らない男だ」なんて思ったり。
でもこれがすでに差別の始まりなのかもしれない。
だってこの逆は今でも日本の家庭の一般的な姿で、女の人が家事を全部こなしているのを見て「この人は専業主婦であることについてどう思ってるんだろう」なんて誰もいわない。
「夫が自分より仕事できるから、仕方なく家事をしているんだなーははは」なんて思わない。
だからといって自分がどうしたいのかとかを明確にまとめられているわけじゃあない。
でも、なんというか、私は諦めたくないなーって思った。いろんなことを、性別とか、世間の価値観とかそういうのを原因にして逃げるのは嫌だ、と
はっきり思った。
男・女じゃなくて、夫婦でも会社でも、双方に一番快適かつ利益のある位置を、ぶつかりながらでも見つけたい。まだまだ早いけど。
ちなみに個人的に作中の育児日記はいらない。別に面白くなかったし。 -
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美しい虹色の絹織物との出会いから全ては始まった。
篠田さんのデビュー作です。
まさか、こんな内容だったとは、という感じです。
読んでいて背筋のぞわぞわが止まりませんでした。
何故なら、ただでさえ昆虫類が苦手な私なのに、この本には15cm級の蚕が大量に出てくるから。
それも、肉食の蚕。
想像したくないのに、映像が勝手に思い浮かびます。
読み終わってから、あんなに怖い思いをするなら途中で読むのを止めればよかった、と思ったのですが、読んでいる最中は目を離せませんでした。
思い出しても鳥肌が立ちます。
盛り上げておいてラストが尻すぼみになったのが残念。
土産物屋の老女の言葉が、最後に思い出されました。
どんなに美しくとも、手を出しちゃいけないものもある。 -
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サイエンスパニックホラーを得意とする作者の初期の頃の作品。熱帯魚の飼育が趣味という真面目な会社員の青年が遭難したダイビング仲間を探すために、奥多摩の地底湖に潜るところから物語は始まります。主人公の青年が湖の底で遭遇した大きなイルカのような未知の生物。水死した仲間の死因探しからいつしかこの生物の救出作戦へ、そして全ての不幸の根源となった地域開発反対運動へと話は広がっていきます。未知なる生物は、古代からの生き残りかしらとドキドキし、謎の潜む地底湖の自然破壊問題では、環境破壊はここまできたかとハラハラさせられました。水中の世界の描写や熱帯魚とのふれあいの描写に読者である私までもが癒され、「地底湖」という言葉に幼少期の頃の冒険心を思い起こさせられた小説です。