篠田節子のレビュー一覧
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サイエンスパニックホラーを得意とする作者の初期の頃の作品。熱帯魚の飼育が趣味という真面目な会社員の青年が遭難したダイビング仲間を探すために、奥多摩の地底湖に潜るところから物語は始まります。主人公の青年が湖の底で遭遇した大きなイルカのような未知の生物。水死した仲間の死因探しからいつしかこの生物の救出作戦へ、そして全ての不幸の根源となった地域開発反対運動へと話は広がっていきます。未知なる生物は、古代からの生き残りかしらとドキドキし、謎の潜む地底湖の自然破壊問題では、環境破壊はここまできたかとハラハラさせられました。水中の世界の描写や熱帯魚とのふれあいの描写に読者である私までもが癒され、「地底湖」と
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Posted by ブクログ
福祉事務所に勤めるケースワーカー、彼らが担当する様々なケースたち。
虐待、家庭問題、アル中、浮浪者etc・・・
単語を見ると、新聞で目にすることだって珍しくない。
けれどそれらにはみんな、個別の背景があって。
「社会的弱者」が、必ずしも弱いわけじゃないし、ケースワーカーだってそんなに強くない。
登場人物が、「人間」っていう同一線上で描かれている。
実習で生活保護世帯の人たちと接するようになってから見えてきた世界が、この小説からも少し垣間見れた気がします。
それが単に綴られてるのではなく、フィクション小説として織り上げられてる。素敵な織物のような小説でした。 -
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背表紙には、「39歳の女に訪れた、束の間の恋」なーんて書いてあるから、てっきり色恋沙汰中心だと思って読んだわ。騙された。
確かにロマンスも若干あったけど、決してメインじゃない気がした。
なんかね、あんな感じ。よく洋画のアクションや冒険もので、あれよあれよと事件に巻き込まれた男女がちょっと一線超えちゃったけど、事件解決、また二人個人の日常に戻っていくって感じ。
映画見てるときは、「ロマンスまじ関係ないだろーー!!男と女が出たら、それしか考えられんのかよ!原始人!」って思ってたけど、実際ロマンスメインで見ると、「・・・足りなくね?」ってなった。
檜山は朴訥で素直で口下手すぎて可愛いんだけどなー。ロ -
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エッセイというものは、署名記事とは違う。その書いている人物そのものに興味がなければ、とても読めないと思う。少なくとも僕はそう思う。それは、エッセイというものがあまり好きではないからだ。ブログとどう違うのか、や、日記と異なるところはどこであろうか、などなど考えるのも面倒なものをエッセイは内包している。ところで、これ。篠田節子が僕はすきである、彼女の小説のファンといってもいい。だから、読んでみた。やはりあまり楽しかったとはいえない。あーこんなもんかーと思ってしまうエッセイもちらほら。ただ、中のひとつに強烈に印象に残ったものがあった。「はみだしものがいるからこそ・・」というエッセイ。ここなんだ、たっ
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確かに怪奇現象は起きますけど、「これ、異色ホラーですかっ?」…という感じです。
ホラーを期待している方はご注意ください。
幸せな家庭生活を送る主人公・瑞穂。
かつて愛した男が亡くなったことで何気なく流れていた日常のリズムが狂い、
人生を立ち止り、振り返り、40歳を目前にして焦り始めます。
女性として共感できる部分も多く、
自分を取り戻すチャンスを得た瑞穂は幸せ者です。
これから演奏三昧な生活を送るであろう彼女が何だか羨ましいです♪
グイグイ引き込まれて一気に読み終えた一冊でした。
しか~し、今まで「フーガの技法」ってつまらないと思っていましたが、
良い演奏にめぐり合っていなかっただけかも知 -
Posted by ブクログ
福祉事務所に勤務するケースワーカーたちが、様々な生活問題を抱えた社会的弱者たちを目の前にし、一筋縄ではいかぬ救済劇を描いたお話。
生活保護の業務は、福祉の中でもひときわ「救済」や「措置」といった色が濃い。どうにかして最低生活を保障しなければならない、そんな状況で、個別ニーズを解消し、その人に適した方法でより良い生活を、などという文句はどの程度成り立つものなのだろうと考えさせられる。
何をもって幸せというのか、その行きつく先は人によって各々である。そして、それを追い求める自由をたいていの人間は持っている。
しかし、生活保護の場合、幸せや充実の追及とは程遠い、死なないための措置、まさにセーフティネ