篠田節子のレビュー一覧
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ネタバレ篠田節子作品 第117回 直木賞受賞作
この作家さんは「肖像彫刻家」に続き2作目
1997年に直木賞をとっているということで、読んでみた。
篠田節子のWikipediaを読むと ホラー・SFと出てくるのだが、
この作品はお年頃のOL 女性5人(メインは康子とリサと紗織)の生き様が興味深い
それぞれのキャラが立っていて、
様々なエピソードに対する行動や考えが話を推し進めていき、
読んでいるものが 共感したり、
(いやいや それ駄目でしょう)なんてツッコミを入れたくなったりする。
私が面白かった章は「シャトレーヌ」
気弱な康子が自分の城を獲得すべく、裁判所の競売で危ない輩と渡り合う。
勉強にも -
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長女という立場の3人の女性たちの3つの物語。
「家守娘」では、出戻りの長女が骨粗鬆症を患っている母が認知症まで発症してしまい、その対応に四苦八苦する。
「ファーストレディ」では、糖尿病を患っているのに甘いものを止めず、過去に医者である父の義父母との同居や病院のスタッフとの確執等の恨み辛みを嫁に行かず、母の代わりに父の片腕として奔走する娘が受け止める。
この2つは母と娘の深い溝を感じる。
母と娘でありながら、友達のようであり、母の所有物である長女たち。
どちらも年老いていく母の介護という、重い現実が突き付けられる。
「ミッション」だけは、長女であるが母との確執といったものはなく、父の孤独死という -
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都立の進学校から国立大学を卒業し、大手証券会社に入社、社内留学を経てMBAを取得後ニューヨーク支店勤務と順風満帆な人生を送っていた高澤が、慣れないアメリカ生活での妻の発病、離婚、会社の経営破綻、再就職、鬱病発症、リストラ、再再就職と都落ちしていく人生の悲哀を描いた長編。
前半は高澤の前向きな生き方に頭がさがるばかり。特に、再就職した中堅損保会社での代理店のおばちゃんたちへの誠実な対応と、再々就職で大学教員になってからの学生への精一杯の教育など、常に目の前の仕事に真摯に向き合う姿勢には清々しさを覚えた。
こうなると再婚もしてほしかったけど、いくら前妻との間に息子がいるからって、離婚したのにこ -
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書店で、帯に惹かれて衝動買い。この作者は初。
イモムシ、もっとはっきり言うと蚕が主人公(?)の
「生物もの」パニック小説。
偶然目にした虹色に輝く絹布を再現するべく、
虹色の絹糸を生む蚕を探す(人間の)主人公。
苦労して見つけた野蚕を繁殖させるべく、
専用の飼育場まで作って入れ込んでいくが...
あまり細かく書くとネタバレになってしまうので(^ ^;
アイディアは悪くない。が、別に新しくもない。
「気色悪いシーン」の描写も悪くない。
が、何か読後感が今ひとつ物足りない(^ ^;
一つは、文体...と言うか、文の「リズム感」。
決して「読みにくい文章」とかではない。
が、最初から最後ま -
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ギリシャのパナリア島を舞台にしたミステリー。全体的に、同じ作者の「廃院のミカエル」にかなり近い。
主人公の亜紀はヴァイオリニストで、建築家の聡史と10数年W不倫の関係を続けている。ある日2人で内緒の旅行に訪れたロンドンで、聡史は海の底から発見されたというヴァイオリンを亜紀に贈る。その後アテネに渡った2人はパナリア島に行くことになり、かつて異教徒たちの都があったホーラにたどり着く…。
ギリシャ語のχώραには都市、栄えている場所という意味があるらしい。パナリア島という場所は知らなかったけどロードス島の近くにあり、ロードス島と同じく騎士団の要塞跡などがあるらしいので一度行ってみたい。 -
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ネタバレ「観覧車」「ソリスト」「灯油の尽きるとき」「戦争の鴨たち」「秋の花火」の5編からなる短編集。
どの物語も短編ながら奥の深い、密度の濃いものになっている。設定も、主人公たちの抱える問題もそれぞれ別物でありながら、行き詰まり、鬱屈しているという点で共通している。
「観覧車」は最後に感じる小さな希望にホッとし、「灯油の・・・」はつらい結末に気分が塞ぐ。
「戦争の・・・」はどこかコミカルでありながら、痛烈に現実をえぐるところが篠田さん的で、タイトルの「鴨」にニヤリ。
そして、秀逸なのが標題作「秋の花火」。秋の花火は夜空に大きく開いて消える夏の花火とちがい、手元で闇を一層際立たせながらそっと横顔を照らす