あらすじ
【第3回小説すばる新人賞受賞作】レーザーディスクのように輝く絹織物――偶然、不思議な糸を吐く野蚕を発見した長谷康貴は、その魅力に憑かれ、バイオ・テクノロジー技術者・有田芳乃の協力で、蚕を繁殖させようとする。事業は成功したように見えたが、意外なパニックがまき起こる……ミステリータッチの本格SF。
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そして誰もいなくなった。
子どもの頃に聞いたお蚕さんの咀嚼音はたった一回だったのに忘れられない。ただ怖かった。
そのお蚕さんが巨大なんて…
過去に広がらなかった物はそれなりの理由がある。過去に謙虚であるべきなのかもしれない。
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直木賞受賞作品とのことで拝読しました。
拝読していて有川浩の話を思い出しました。
荒削りの展開の中に、
絹に対する思いと、
八王子の研究所と
商売という3つの方向性を含む、
文学的要素があることが理解できました。
たいへん勉強になりました。
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篠田節子の本で最初に読んだのはこの本だった気がします。
バイオテクノロジーによって虹色に光る絹を紡ぎだす養蚕に成功しましたが、それが発端となり蚕に変化が起き、バイオハザードして恐慌をきたすパニック小説です。
蚕ばかりでてくるので、あまりビジュアルを思い浮かべると気持ち悪くなりますので要注意。
この小説の舞台は八王子ですが(著者は確か八王子市役所で働いていたんじゃなかろうか)自分も八王子の大学に通っていたので、どことなく、この場所ってここのことじゃないか、という描写が多くあり、とても身近な恐怖を感じました。
もちろん八王子に縁も所縁もない人でも楽しめます。
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めっちゃ気持ち悪いけど面白かった!巨大蚕が集団で襲ってくるとか嫌すぎるんだが…
アレルギー・アトピー・喘息を持ってる身としてはすっごい嫌な死に方だわ。読んでて腕がゾワゾワした。
200ページもないけど大丈夫?って思ったけどサクサク読めて止まらなくなるし、しっかり楽しめた!
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生物災害もの(バイオハザードっていうとジョヴォヴィッチ思っちゃうよね)
しばらく芋虫系が怖くなる
その災害をもたらす蚕を生み出す元になったのが、繊維メーカーの若旦那(といっても中年男だが)
もっとも、開発した芳乃は少しマッドサイエンティストのケはある
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パニックもの。短くまとめたことで突っ走った感が出てて、それがまた良い。余計に話を広げず、細かいことよりも、息を止めて一気に駆け抜けた。そんな小説。
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昔からとてもきれいな繭はとれるが、そこに立ち入った人は変な形で死んでしまうといった場所。
禁断の場所から禁断の種を持ち出し、培養し、世の中の人たちが死んでいく。
SF的な話だが、おかいこさんってどうも気持ち悪いので、それがうじゃうじゃでると想像するとさらに怖い。これが映画になったらホラーになるなあと思いつつ読み終わった。
何をやっても続かない3代目、資金を貸してくれる事業家、研究に没頭する女性、その周りの人々。とてもシンプルな構成で、読みやすい本でもあった
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これが篠田節子の原点かと思うと、「意外」と「さもありなん」が交錯する。
前半と後半で、まったく別の物語になってしまう展開を「破綻している」と見るか「ダイナミック」と見るかで評価は変わるだろうが、一つだけはっきり言えるのは、これは確信犯的なストーリー展開であり、そこに異様なまでの迫力が存在しているという事だろう。「美へのこだわり」や「自然の尊厳」といった、後の篠田作品で扱われる様々なテーマの萌芽が見えるのも面白い。
こうしてみると「絹の変容」とはなんと卓越したタイトルであることか。まさしく篠田節子はという作家は、一作ごとに「変容」して来ているのである。
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よくまとまった短編スリラーである。話のスケールが小さいかもしれないが、スケールが大きくなると現実感が失われるかも。八王子限定は、ちょうどいいくらいだ。
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すばる新人賞を受賞した作品。
芋虫嫌いの自分には背筋がおぞぞ…とするものでした。
描写がリアルなので鮮明に映像を思い描いてしまう。
篠田節子の特長です。
最後が若干尻すぼみに終わってしまうけれど、矛盾の無さはいいです。
虹を浮かび上がらせる羽織は着てみたいけれどそれで死ぬのやだな…。
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SF。
絹を吐き出す蚕に関する物語。
テンポよく進展するので,あっという間に読み終えてしまった。
登場人物の設定(性格など)が,前半と後半で大きく変わり過ぎているような気もした。
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魔改造された蚕が八王子を地獄に塗り替えて行くパニックホラーSF。蚕版ヒッチコック。
それぞれの私欲を満たそうとする三馬鹿のうち主人公がとにかく癪に障るアホで、こいつが破滅するためなら我が町八王子を捧げますと言う気持ちで読み進めたが残念ながら生存。八王子は犠牲になったのだ。
200pと言う少ないページ数のため駆け足気味で掘り下げが少ないものの、逆にそれが事態の悪化して行くスピード感や焦燥感を引き立たせて良い塩梅となっていた。高い表現力で描かれる蚕の蠢きはかなりグロテスクなので虫嫌いが読み終えるのは困難を極めると思う。
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虫が出る描写が苦手な人は絶対読めない!!
不快感がかなりあるため、元気な時に読みましょう…
蚕が生き物(人間含め)に襲いかかる描写はもちろん、蚕の実験シーンや蚕が潰される描写もグロテスクでゾワゾワする。
大きくて表面が硬く、すばしっこい芋虫が突進してきたら絶対泣き叫ぶ。
主人公の妻が蚕の入ったケースを倒さなければ、蚕の被害に遭うことはなかったのか考えてしまう。
ただ、このケースでなくとも、別の形で蚕が外に出て暴れる可能性もなきにしもあらずかな…
Posted by ブクログ
虹色に光る絹織物を作るため、野蚕の改造・増産が行われた。しかし、その野蚕は死に至る強いアレルギーを引き起こした。さらに凶暴性を持ち、人間を攻撃する。凶暴化した芋虫によるパニックアクション。遺伝子操作とか、放射線被曝とか無しで、こんな凶暴化が起こりうるのか?と言う疑問あり。
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篠田節子の代表作の一つなのでしょうね。
30年前のお話しですが、有り得なくも無い話でよく作られてました。面白かったです。
「竜と流木」、「夏の災厄」とこの作家さんの作品は3つ目ですが、いずれもパンデミックや生物の変異で人類が危機に陥る話で緊迫感が有り楽しめました。本当にこんな事が起こらないように願いたいです。
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「アクアリウム」「夏の厄災」ほどの重厚感はなかったが篠田節子お得意の有り得る近未来のミステリー。デビュー作と考えると、話に引き込む筆力は流石だと感じた。
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蚕に遺伝子操作をし、幼虫が人を襲うようになると言うパニック小説。
これは…気持ち悪かった。
幼虫が大量に発生したところを想像しただけでゾワっとくる。
襲われるだなんて…本当にパニックを起こしそう。
おそろしや。
Posted by ブクログ
書店で、帯に惹かれて衝動買い。この作者は初。
イモムシ、もっとはっきり言うと蚕が主人公(?)の
「生物もの」パニック小説。
偶然目にした虹色に輝く絹布を再現するべく、
虹色の絹糸を生む蚕を探す(人間の)主人公。
苦労して見つけた野蚕を繁殖させるべく、
専用の飼育場まで作って入れ込んでいくが...
あまり細かく書くとネタバレになってしまうので(^ ^;
アイディアは悪くない。が、別に新しくもない。
「気色悪いシーン」の描写も悪くない。
が、何か読後感が今ひとつ物足りない(^ ^;
一つは、文体...と言うか、文の「リズム感」。
決して「読みにくい文章」とかではない。
が、最初から最後まで、同じペースで書かれていて、
しかも基本形が「早足」な感じがして...
侘び寂や「深み」が感じられない。
何というか「あらすじ読んでる感」が(^ ^;
普通の部分をもうちょっとテンポダウンして、
パニックシーンでは思い切りハイテンポで、
どきどきするようなシーンはアッチェレランドで、
たまにある「心通わせるシーンは」スローで...と、
リズムの起伏をはっきりさせられると、
もっとそれぞれのシーンが生きてくるのになぁ、と(^ ^;
あと、パンデミック収束の方法も描写も今イチ。
残念ながらあまり印象に残らなかった(^ ^;
主人公と「研究員の女」の関係もはっきりしないし(^ ^;
ラストシーンの「続編への余韻の残し方」も
定番過ぎて何だかなぁ...というのが正直な気持ち(^ ^;
悪くはないが、取り立てて見るべき点もない、感じか。
本作がデビュー作らしいので、その後の作品に期待。
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最初の方はすごく引き込まれる感じでハラハラするのがすごく良かった。終わり方があまり好みではなかったかな。
気持ち悪いのが苦手は人は注意な小説です。
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再読。
アレルギー体質の自分には、心底恐ろしい話。
でも、篠田さんの一番好きな作品『夏の災厄』の原点とも思えるパニック小説で、引き込まれる話です。
長編好きなので、物足りない(大急ぎ)感を覚えてしまうけれど、かなり面白いと思います。
虫が苦手な方は、ご注意下さい。
Posted by ブクログ
小学生の頃、家のまわりには桑畑がたくさんあって、社会科見学ではお蚕を飼っている農家にお邪魔したこともあります。そんな私がこの本を読むのも何かの縁でしょうか。
とにかくまあ、怖いこと怖いこと。
お行儀が悪いのは承知のうえで、片手で文庫本をめくりながら昼食をとる習慣の私ですが、この本読みながらは食事できませんでした。
あな、恐ろしや。いや、ほんとに。
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タイトルでややバレている気もするが、主役の異形は蚕(但し人為的に大型、肉食化済)。しかし蚕に限らず芋虫の類って1匹だけでも気色悪いのに、それが大群となると……悪夢。虫キライの人には耐え難いだろうなぁw
物語自体はどうもバタバタした展開。
Posted by ブクログ
レーザーディスクのように輝く美しい絹織物・・
長谷康貴はその不思議な繭を見つけ出して、養蚕を試みようとするのだが。
特殊な条件下でしか生息しなかった蚕を、バイオテクノロジーの力で繁殖に成功させていく彼と技術者有田芳乃。
それは無理に人間側に都合よく改良したためのしっぺ返しだったのかもしれない・・
絹糸は蚕がはくたんぱく質の糸・・。
組成がたんぱく質なら、植物からたんぱく質を合成させるより、動物性のたんぱく質から合成させた方が効率がいいじゃんって思ったんだろうけど・・。
肉食蚕は怖いです、はい。
そしてその異たんぱく質が激しいアナフィラキシーショックを招くことも・・。
モゾモゾ・・モゾモゾ・・が苦手な人は駄目かも。苦笑
そして長谷に関わる人はみな不幸になるんだな・・。
有田も彼女らしく最後まで冷たい人であったら、巻き込まれなかったのかな・・
結末は無事解決と言う感じではないですね。
再びパニックが起こりそうな予感がします。
お蚕さんって、子どもの頃家で育てましたが、夜中にバリバリバリって葉を食べる音が響くんですよ。
怖かったですね、あの音は迫力あります。
Posted by ブクログ
美しい虹色の絹織物との出会いから全ては始まった。
篠田さんのデビュー作です。
まさか、こんな内容だったとは、という感じです。
読んでいて背筋のぞわぞわが止まりませんでした。
何故なら、ただでさえ昆虫類が苦手な私なのに、この本には15cm級の蚕が大量に出てくるから。
それも、肉食の蚕。
想像したくないのに、映像が勝手に思い浮かびます。
読み終わってから、あんなに怖い思いをするなら途中で読むのを止めればよかった、と思ったのですが、読んでいる最中は目を離せませんでした。
思い出しても鳥肌が立ちます。
盛り上げておいてラストが尻すぼみになったのが残念。
土産物屋の老女の言葉が、最後に思い出されました。
どんなに美しくとも、手を出しちゃいけないものもある。