篠田節子のレビュー一覧

  • 鏡の背面
    これはホラーか福音か?

    640ページの厚い一冊で手に取るのを若干躊躇しましたが、読み始めればスルスルと進みます。

    稀代の悪女と聖女の物語ですが、評判と実像は全然違う、という展開を想像していたので、何、そのまんまだったの?と、ちょっぴり肩透かしな感じで終わってしまった。
  • ドゥルガーの島
    ダイビングのために訪れたインドネシアにある小島で、海中に聳え立つ仏塔を発見する。
    これは遺跡なのか?

    加茂川一正は、大手ゼネコン会社を早期退職し、非常勤講師となった今、一回り若い静岡海洋大学の准教授・藤井とリベラルアーツ系海洋学群海洋文明研究科特任教授・人見淳子と共に本格的な調査に向かう。

    宗教...続きを読む
  • ドゥルガーの島
    何度も頽れそうになりながら読み終えました。
    面白いけど長かった…

    篠田さんらしく、一筋縄ではいかない物語運びで、ハッピーエンドとはならないまでもさきに進んでいく道筋を示しての終わり方に納得しました。
  • ドゥルガーの島
    篠原さん、お得意の島の古代遺跡でハフハフしながら読んだが、主人公があまりにも…だったり、突然イスラム過激派が出てきたりと、後半迷走して終わってしまった。らしくない。残念。「差別や迫害から逃れるために自らの出自を否定せざるを得ない人たち」悲しすぎる。
  • ドゥルガーの島
    きっと幻想的な伝奇小説なのだろうと思って読み始めたけれど、いつまでたってもそういう展開にはならず、あれ?あれ?と思いながらとうとう最後まで行ってしまった、という印象。終わってみればインドネシアを舞台にしたリアルで文化論的な冒険フィクションであり、それぞれの場所で日々を生きる庶民達への人生賛歌でもある...続きを読む
  • 田舎のポルシェ
    さらさら読めて、車を軸にした旅の物語は3話ともそれぞれ個性があっておもしろかった。

    「ロケバスアリア」が1番好きだった。春江さんのキャラも好きだし、春江さんのチャレンジも読みながらなんだか胸が熱くなった。コロナ禍の話でもあり、つい最近のことなのに「あぁそうだったよなぁ…」と少しばかりの懐かしさを感...続きを読む
  • ドゥルガーの島
    内容は極めて真面目なんだけど、主人公が楽観的なのでなんだかコミカルな印象に。
    実際にはない島のフィクションだけど、臨場感があったので、なんかリアルだった。
  • ドゥルガーの島
    篠田節子待望の長編新作は、お得意の東南アジア社会派冒険ロマン!
    ワクワクして読み始めたがダラダラの展開にテンションが下がる。今までと毛色の違う能天気キャラが主人公のせいだろうか。
  • 冬の光
    ほんとに著者女の人?っていうくらい男の視点が細かく書かれ、語り口も硬質。事実を並べればしょうもない男なんだけど、本人の語りで読むと、そんなこともあるか…と思わせてしまう描写力。一人の人間の中に存在する多面性、弱さ、人間くささがよく描かれている。
    でも莉緒との関係は余計だ。気持ち悪い。
    ところどころ光...続きを読む
  • 家鳴り
     1999(平成11)年に単行本化。
     初めて読む作家。裏表紙に「ホラー短篇集」とあったので買ってみて、また気晴らしのつもりで読み始めたのだが、これは「ホラー短篇集」とは言えない。巻頭の「幻の穀物危機」と「家鳴り」あたりはややホラーっぽいと言えなくもないが、ほかのはちょっと「世にも奇妙な物語」のよう...続きを読む
  • 冬の光
    ★3.5
    救いようがないと思わせる運びでしたが、最後はタイトル通りの光が。
    分かり合うために言葉にすればよかったのに…と知ったようなことも思ってしまいます。
  • アクアリウム
    物語の焦点や世界観が度々変わり、思いもよらない結末になったため不思議な気持ちになった。幻想小説のような雰囲気を出しながらもリアルな泥臭い社会の現実を描き出している点に独自性を感じた。私が幻想小説が好きなこともあるのかもしれないが、物語めいた結末を予想していたため面食らった。主人公のその後を思うとやり...続きを読む
  • 失われた岬
    話が長過ぎる。そのなかでテーマが少しづつ変わっていく。
    これを書く作者のエネルギーに驚かされる。
    後半は、飛ばし読みになってしまった。
    この小説のように世界は恐ろしいものになっていくのか?世界の過去に恐ろしいものがあったと作者はこれだけいっているのだから世界の将来もおなじになるのか。
  • 鏡の背面
    どのような、結末に持っていくのか、全くイメージがつかないまま、読み進めていったけど、最後はこんな感じにするのか(というか、これしかないか?!)という終わり方。
    やはり、面白くて、あっという間でした。
  • セカンドチャンス
    周囲からの役割期待に応えることが当たり前で、自分がどうしたいかを考えること自体することなく、それに何の疑問ももつことなく生きてきた主人公。
    周りにどう思われるかを常に気にする様子に、読みながらイラっとすることが何度もあったけど、自分の行動により自分の身体が変化し、それに伴うように少しずつ気持ちが変わ...続きを読む
  • 本からはじまる物語
    18人の作家による本にまつわるアンソロジー。
    市川拓司さん「さよならのかわりに」が面白かった。梨木香歩さん「本棚にならぶ」は勝手なイメージでほんわかした話かと思ったらなかなかに怖かった。どの作家さんの話からも本好きな気持ちが溢れ出ているように感じた。
  • セカンドチャンス
    痛快!の一言。スポーツがテーマで言えば「一瞬の風になれ」や「あと少し、もう少し」に通じるものを感じた。
    だけど、そこは50代の女性が主人公のお話。経験を重ねたからこその、一生懸命になりすぎない、頑張りすぎないっていう加減ができる。
    若い頃みたいにがむしゃらにはなれないけれど、歳を重ねるのも悪くないな...続きを読む
  • 失われた岬
    前半あたりまでは徐々に岬の謎が分かってくる感じが面白く読み進められたが、終盤はダレた。編集者が聞き取っていく過去の証言には紙幅を使いすぎだと思う。読まされ感あり。設定と導入部が面白かっただけにもったいない。
  • 銀婚式(新潮文庫)
    「男の本分は仕事」 それは幸せな人生ですか? 歳月を経て、夫婦がたどり着いた場所。働くとは、結婚とは、幸福とは-。激動する時代の「家族」の物語。
  • 失われた岬
    北海道の岬での薬草栽培を巡る近未来小説。

    物語は三つに分かれているように思う。
    前段としては岬に消えてゆく人の関係者視点でのミステリアスな現代の物語。
    メインはノーベル賞作家が失踪したことで岬での真相を暴く編集者の近未来のエンターテイメント的な物語。
    最後は編集者が岬の歴史をたどり現代社会の問題に...続きを読む