篠田節子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
世の中って、キビしいよなあ・・この小説を読んでつくづくそう思った。
「ケースワーカー」とは、福祉事務所において生活保護を受けている人に対して、様々な働きかけをする職員のことを呼ぶそうだ。
この小説の舞台は新宿に近い「稲荷町」という町の福祉事務所。
そして8つの短編に、この福祉事務所に勤めているケースワーカーがそれぞれ登場する。
ドメスティックバイオレンス、幼児虐待、アルコール依存症に精神分裂症...
ケースには様々な事情がある。それを理解して、この仕事を貫いていく精神は並大抵のことではない。
しかし同情するだけでは仕事にならない。
社会的弱者たるケースに福祉の手を差し伸べるこ -
Posted by ブクログ
この作品を読んでから、チェロの音が好きになった・・・。
しかし、超人的な才能は、やはり社会に適合するための何かを犠牲にしないと持ち得ないものなのか。そして、そうやって持つことのできた才能でも、他をコピーすることだけに長けていたり、音を聞き分けることだけに長けていたり、と極端に偏っていたりする。
私自身、子供の頃には音楽的才能があるとまわりにもてはやされ、ハタチ過ぎればただの人。それなりに自分の得意なこと不得意なこともわかり、才能の限界と挫折をイヤというほど味わった。
そのせいかこの作品は、「怖かった」「面白かった」というより、「せつなかった」。 -