失われた岬

失われた岬

2,420円 (税込)

12pt

古くからの友人も、ノーベル賞作家も、その「岬」に消えた――

この物語はあなたを、思いもよらぬところまで連れて行く。

人が人であるというのは、どういうことなのか。
練熟の著者が今の時代に問う、神無き時代の新たな黙示録。


以前から美都子が夫婦ぐるみで付き合ってきた、憧れの存在である友人・清花。だが近年、清花夫妻の暮らしぶりが以前とは異なる漂白感を感じさせるようになり、付き合いも拒否されるようになったのち連絡がつかなくなった。清花たちは北海道に転居後、一人娘・愛子に「岬に行く」というメッセージを残し失踪したようだ。彼女の変貌と失踪には肇子という女性が関わっているようだが、その女性の正体も分からない。
時は流れ約二十年後の二〇二九年、ノーベル文学賞を受賞した日本人作家・一ノ瀬和紀が、その授賞式の前日にストックホルムで失踪してしまった。彼は、「もう一つの世界に入る」という書置きを残していた。担当編集者である駒川書林の相沢礼治は、さまざまな手段で一ノ瀬の足取りを追うなかで、北海道のある岬に辿りつくが――。

やがて明らかになる、この岬の謎。そこでは特別な薬草が栽培され、ある薬が精製されているようで……。
近未来から戦時中にも遡る、この国の現実の様相。

岬に引き寄せられる人々の姿を通して人間の欲望の行き着く先を予見した、著者畢生の大作。

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失われた岬 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ 2023年09月17日

    久しぶりの篠田作品。
    圧倒されんばかりの執筆エネルギーは言うまでもなく、近未来小説としての出来上がりとあって、ずしんと来た。
    かつて読んだ「絹の変容」「弥勒」の系統に属し、私の好みともいえる展開とテーマ。

    表題「失われた・・」のは北海道にある岬で行われた研究結果・・が失われた?或いはそこで行われた...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2022年09月16日

    高潔な女性が人知れず北海道に隠棲する。そんな些細な始まりは予想もしなかった展開とスケールの大きな広がりに発展。ミステリでもないのに、久々にページを貪りました。秀作です。

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    Posted by ブクログ 2022年06月17日

    物語の設定や人物の背景がしっかりしているので説得力がある。スピリチュアルでSFチックなお話かと思いきや、意外にもそれなりに化学的で現実的な物語にシフトしていく。好みとしてはもっと幻想的な方向に振り切って欲しかった。でも読みごたえがあり、とても面白い小説だ。
    ヒグマの恐ろしさと漢方の魅力が印象深い。

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    Posted by ブクログ 2022年04月22日

    な、長かった。そして重かったです、物理的にも、内容的にも。

    ほんの十数年先の近未来から戦時下まで。時間軸も長くて、なかなか歯応えのあるお話でしたが、倦まずに読破できました。ただね、読んでて楽しくなる内容ではなくて。落ちぶれて、近隣諸国からカツアゲ的に略奪されまくっている日本が日常の世界なんですよね...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2022年03月19日

    前半は「これは宗教にハマっちゃう話だ」と思わせるのだけれど、読み進めていくとそんな単純ではなくて「いったいどんな結末が?」という感じで惹きこまれていくお話でした。

    あらゆる欲が消えて悟りの境地に達するのが幸せか、はたまた、いろいろなものを抱えながらもそれを一つでも乗り越えることに小さな達成感を得る...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2022年02月19日

    薬草の方薬をトリガーとして、大東亜戦争前から2040年代までの時間を行き来しながら、人の生き方を問い直した作品。
    訴求力に欠ける。いかんせん長すぎる作品。

    (内容紹介)
     以前から美都子が夫婦ぐるみで付き合ってきた、憧れの存在である友人・清花。だが近年、清花夫妻の暮らしぶりが以前とは異なる漂泊感を...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2022年01月31日

    北海道の謎の岬へ向かう人々。
    消えた友人の娘と彼女を探す美都子の章。
    肉体も精神も損傷して、AIロボットとだけ心を通わせた岡村陽の章。
    それぞれが探し求めた肇子とは?
    近未来の日本では今危惧される隣国との関係を悪化させていた。その中で岬の謎を追う相沢は何を見つけたのか。人間の求める欲は自然界に何を及...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2022年01月21日

    いつものことながら篠田先生は取材力がすごいなと感心してしまう。
    読みながら「これってノンフィクション?」と思う。この事実が実際にあったのではないかと疑ってしまう。
    嘘くさい部分が全くない。
    本を読み終わると、自分の中で新しい知識の扉が開くような感じがする。賢くなったような気がする。自分が感じたことを...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2022年01月06日

    北海道の日本海に面した小さな岬。ハイマツに陸路を絶たれたその場所へと消えていった者たち。
    その岬を巡って、2007年の夫婦失踪から始まり、終戦間近から2029年の近未来までを描く壮大な物語。

    600ページに届こうかというその物語は、それぞれのエピソードが散発的で半ば中弛みしかけていたところ、終盤に...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2022年01月04日

    第1章から第3章までは一話完結の連作のようだが、そこから先はシームレスに話が続く。共通して描かれるのは何らかの理由で失踪した人々と、背後に見え隠れする“なにか”だ。それは宗教なのか、あるいは別のものなのか。
    物語が進むうちに、設定が近未来であることがわかってくる。世界は現在よりも不穏で、まるで終末期...続きを読む

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