篠田節子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
福祉事務所のケースワーカーを題材にした短編集。各作品で様々な役職の職員を主人公に、人生の悲哀を描くのだが、そこは篠田節子だけあって、ウェットに絡みつくような憎悪や恐怖を混ぜ込んでくる。
最初の作品の書き出しから、「死体を見るのも慣れっこ」という感じで始まるが、全体にそういうシーンはないので問題なし。
とはいえ、必ず自分の人生に巻き込まれてくる焦燥感と恐怖が、それぞれの作品にコンパクトに収められている。また、出てくる人物のキャラクター付けもしっかりなされているので、人物の混乱もほぼ無い。
難を言えば、「弱い女性」「横暴な男性」「ふらふらしている水商売の女性」みたいな、ステレオタイプの社会観 -
Posted by ブクログ
篠田節子の大好きな(?)オカルト物。人智を超えたレベルの音楽の才能と念力という2つの超能力を持った少女をめぐるいろいろ。
同じようなテーマで「カノン」という作品があり、いずれもチェロが題材になっているので、おそらく著者は以前にチェロをやっていたのだろうということが推測される。「カノン」に比べると、チェロにまつわる文やバッハの曲などのウンチクが、明らかに必要以上に多いし、その一つ一つにトゲがあって厭味ったらしいので星一つ減点。
また、オカルト系によくある話だが、障害者や脳に対して、夢を持ち過ぎである。その辺はオカルトということで流すが。
全体には一筋通っていて、読みやすいしのめり込める作品 -
Posted by ブクログ
上下巻の長編小説にも関わらず、先の展開が気になり、すごい勢いで読んでしまいました。ふー。すごい話だったよ。
3人の独身女性がバカンス先で内乱に巻き込まれてしまう話で。虐殺とかあったり壮絶ではあるんだけど、村での生活はのどかだったり。でもこんな中、生き延びれるわけないような状況をかいくぐっていくのはハラハラドキドキの連続です。ゲリラなのかテロなのか、誰が敵で誰と戦っているのかどんどんわからなくなっていきます。
あり得ない設定のようでリアリティがあるのは筆者のすご腕。イスラム過激派とかって内情はこんな感じなのかもなぁと思わせます。
3人の主人公、最初は頭の軽いバカな女たちと思ったけど、どんどんたく