篠田節子のレビュー一覧
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久しぶりにホラー小説でも読んでみようと思った。
「家鳴り(やなり)」という耳慣れない言葉。この本の5番目の短編のタイトルだ。
ホラーといっても、悪人の魂が入り込んだ人形が人を殺しまくることもなく、街中にたくさんのゾンビが徘徊するわけだもない。夢の中で殺人鬼に殺される恐怖も、巨大な隕石が地球に衝突する事態もない。
惰性で7年付き合った恋人のように新鮮味に欠ける言い方だけど、そんな世の中で一番恐ろしいのは結局人間だということなのか。
読み終わったあとにゾクっとする話あり、ページをめくるたびに息苦しくなる話あり、
かと思えば、全て無くしたと思われる人生の中で微かな希望を持とうとする意外な結末もあり。
若い作家には書くことが出来ない、歳を重ねたからこそ書けるストーリーがこの本にはある。
淡々とした文章が、その朧げな輪郭の恐怖を浮き彫りにする力強い作品集だ。
面白かった。
この著者の本を読むのは初めてで、後で調べてからあの「女たちのジハード」を書いた人だと知った。
読んでみようと思う。 -
Posted by ブクログ
短編集。少し恐ろしくて、かなり皮肉で、そして少し愉快な物語が多いです。さまざまな形で異形のものといえるようなものが登場する点も魅力的。
お気に入りは「クラウディア」。これが一番笑える物語かも。犬にいいように扱われる主人公の姿は情けなくって滑稽なのだけれど、それも最後には清々しく温かな物語になってしまうのが不思議なような。
しかし猫派な私としては、やはり表題作「蒼猫のいる家」が気になるところ。こっちの猫はどうも困りもので、可愛いという感じがまーったくないのですが。それでも嫌いにはなれないし。魅力のようなものは感じてしまいます。猫ってそんなものかもね。 -
Posted by ブクログ
看護師である房代が勤めるの夜間診療所に、
光をまぶしく感じ、花のにおいを感じ、熱に浮かされ、
痙攣を起こしながら倒れる。。。という患者がやってきた。
その時は、日本脳炎と診断されたのだが、
徐々に、同じ症状の患者が増え、死者も増え始める。
撲滅されたはずの伝染病が、なぜ今頃蔓延するのか?
疑問を持った房代たちは調査を始め、恐ろしい事実に突き当たる。
一体、原因は何なのか、なかなか解決しない物語に、
もどかしさを感じつつも、夢中させてくれる物語でした。
蚊により、伝染していくというのが、なんだか、現実にありそうで、
この本を読んでいる数日間は、蚊に神経をとがらせてしまいました。 -
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ネタバレ面白かった。電車で読みながらめちゃくちゃニヤニヤしてしまった。
明らかにやばい雰囲気の漂う梨香子に真一が舞い上がる様子、梨香子のあまりにも酷過ぎる生活能力、同業者仲間に軽んじられて当然と思わされる真一のコミュニケーション能力のまずさ加減。
篠田さんは書くことが極端過ぎるがそれでこちらが冷めることが無くむしろもっとやれと思わせる独特な魅力がある。
しかし梨香子はなんで真一と結婚したのだろう。子供が欲しかったから主夫をやってくれそうな男を探していたのだろうか。それにしてももうちょっとまともな男が他にいる気がする。
知性があり稼ぎと男らしさの無い男が理想だったとか?最後に「あなたのここが好きで結婚したのよ」的な素敵な種明かしがあるかと期待していたがそんなものを期待した私が馬鹿だった。
途中に挟まれる育児日記だが、これを書いた人は要領が悪過ぎると感じた。確かに子育ては大変だけれど食事のたびに掃除をする必要は無い。 -
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ネタバレ精密通信機起用の水晶発振子の水晶の種終章を求め、インド奥地まで行く社長の藤岡。そこでロサというインド人の女性に周りは振り回されながらもコヨドリ村から出る不純物の無い水晶を求めて滑動をする。現地の地主と村長、共産主義ゲリラと警察との深い争いに巻き込まれながら、なんとか、かなりの数を入手壽他ものの、直ぐ反乱が起き、藤岡は命からがら生還する。 村の水晶鉱山はウラン鉱山と交差しており、掘り起こす事で放射能がまき散らされ、死の待ちとかする事を食い止めたいロサが共産主義勢力を先導して、地主や藤岡らから事業を断念させようとした。最後は事業は失敗、水晶は最初二期多分だけとなったが、なんとか技術革新は進み種水晶が無くとも質の良い水晶が出来る技術が出来た事で会社としては良かったが藤岡は足を無くしたロサをNGOのフェアトレードで見つけロサに日本に来るように説得して話しは終わる。結構今回の本はインドの闇と裏を語るものとして重い話しが多かった。ただ日本のような人種差別の無いところでは考えられない重い課題のあるインドで今度どう向かえって行くか考えさせる一冊だと思う。よかった。
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タイトル通り、「死」をテーマにした短編集。最初の作品は純文学と言った部類だが、その他の作品は篠田節子らしい怪談じみた話。怖い話ってわけでもないけど。
夫の死、伯父の死などの死を契機に、様々な出来事がフラッシュバックするというようなところが6本それぞれの共通点か。中間部はバブル経済とその崩壊、最後は大戦の終戦間際という、動乱を軸にしているところが篠田節子らしいっちゃあらしい。
6本サラリと読んで、どれが好きかと言われると、結構どれも好きな作品である。バブル前にお告げを受け、バブル後にまた同じ救いを求める女性、貧してもトラサルディのスーツは譲れない不動産屋など、心機一転できそうなのに、枠組に縛られて動けず朽ちていく悲哀を描いていくさまは秀逸である。
6本のうち、ある意味核になっているのに浮いている「コヨーテ」は、SFである。SFホラーにしようとして、完全にはできなかった作品だが、それを純文学に逃げなかったことは高く評価されて良い。ただ、切れが悪いところはイマイチなんだけどね。