篠田節子のレビュー一覧

  • 家鳴り

    Posted by ブクログ

    久しぶりにホラー小説でも読んでみようと思った。
    「家鳴り(やなり)」という耳慣れない言葉。この本の5番目の短編のタイトルだ。

    ホラーといっても、悪人の魂が入り込んだ人形が人を殺しまくることもなく、街中にたくさんのゾンビが徘徊するわけだもない。夢の中で殺人鬼に殺される恐怖も、巨大な隕石が地球に衝突する事態もない。
    惰性で7年付き合った恋人のように新鮮味に欠ける言い方だけど、そんな世の中で一番恐ろしいのは結局人間だということなのか。

    読み終わったあとにゾクっとする話あり、ページをめくるたびに息苦しくなる話あり、
    かと思えば、全て無くしたと思われる人生の中で微かな希望を持とうとする意外な結末もあり。
    若い作家には書くことが出来ない、歳を重ねたからこそ書けるストーリーがこの本にはある。
    淡々とした文章が、その朧げな輪郭の恐怖を浮き彫りにする力強い作品集だ。
    面白かった。

    この著者の本を読むのは初めてで、後で調べてからあの「女たちのジハード」を書いた人だと知った。
    読んでみようと思う。

    0
    2019年12月25日
  • 長女たち(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    久々の篠田先生。
    うわー自分の数年後を見てるような。
    もし同じ状況になったらどうしようかと、現実をまざまざと感じさせられました。

    0
    2019年11月01日
  • 女たちのジハード

    Posted by ブクログ

    時はバブル崩壊直後。康子・リサ・紗織・紀子・みどりの保険会社OL達の生きざまを描く。メインは康子とリサと紗織の三人の物語で、三人とも迷い、悩み、それでも邁進する姿はたくましい。時にヤクザまがいの男との戦い、時に死体とも対面し...男らしさすら感じる。ありがちな女同士のいざこざが描かれていない所もサバサバしている。惜しむらくは紀子とみどりの描写が極端に少ない。みどりは影が薄すぎるし、紀子は確実に女に嫌われるタイプ。つっこみ所は多々あれど、女性が社会で生きることに勇気をもらえるような、なかなか面白い話だった。

    0
    2019年08月15日
  • 長女たち(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    自分も長女なので見につまされながら読みました。
    長女に限らないかもしれないけれど家族の中でそんな役回りの人っていると思う。
    かなり重たい題材ですが、少しミステリーっぽい仕上げになっているので読み物として面白かった。

    0
    2019年07月07日
  • 贋作師

    Posted by ブクログ

    この方の作品は何作か積んであり、今作が初の篠田作品。
    絵画の裏方、修復師の女性が主人公の話。
    絵画の知識に乏しく、修復師が何をする人なのかも良く知らなかったけれど、物凄くのめり込んで読んでしまった。
    私は絵心がなく、細かな作業も苦手。
    なので正反対の主人公の行動を読んでいるのが面白かった。

    篠田節子、好きな作家さんになりそうです。

    0
    2019年04月05日
  • 蒼猫のいる家(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    短編集。少し恐ろしくて、かなり皮肉で、そして少し愉快な物語が多いです。さまざまな形で異形のものといえるようなものが登場する点も魅力的。
    お気に入りは「クラウディア」。これが一番笑える物語かも。犬にいいように扱われる主人公の姿は情けなくって滑稽なのだけれど、それも最後には清々しく温かな物語になってしまうのが不思議なような。
    しかし猫派な私としては、やはり表題作「蒼猫のいる家」が気になるところ。こっちの猫はどうも困りもので、可愛いという感じがまーったくないのですが。それでも嫌いにはなれないし。魅力のようなものは感じてしまいます。猫ってそんなものかもね。

    0
    2019年03月07日
  • 銀婚式(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    同年代で損保業界の話もあり、手に取ってみた。
    読み進めるうちに親の介護、看取り、子供の受験といった欠かせないことがあり、我がことを振り返りながら、読み終えました。

    0
    2018年12月24日
  • コンタクト・ゾーン(下)

    Posted by ブクログ

    面白かった!!
    ここでいう「コンタクト・ゾーン」とは異文化接触地点。
    30代後半にさしかかった独身女性3人は、半年に一度の海外旅行で贅沢に遊び買い物をすることでうっぷんを晴らしていた。
    今回の旅行は政情不安定な地、東南アジアのバヤン島。
    内乱に巻き込まれ、ゲリラの手に落ちた島で、彼女たちは生き残れるのか・・・。

    どんな状況でもたくましく、したたかに生き抜く彼女たち。
    ラストの彼女たちの選択に思うところは多々あるが、日本における女性の地位からして仕方ないことかと思う。

    架空の島 バヤン島はバリ島がモデルのようだ。

    0
    2018年12月15日
  • 夏の災厄

    Posted by ブクログ

    ひさびさの篠田さんの小説読んだ。
    予防接種に関する様々な考えを取り込んだお話で、緻密な描写、だんだん広がってしまう不幸、面白かった。
    ありえないけど、ありえそうというところが篠田さんの文章ですね。

    0
    2018年09月25日
  • 夏の災厄

    Posted by ブクログ

    看護師である房代が勤めるの夜間診療所に、

    光をまぶしく感じ、花のにおいを感じ、熱に浮かされ、

    痙攣を起こしながら倒れる。。。という患者がやってきた。

    その時は、日本脳炎と診断されたのだが、

    徐々に、同じ症状の患者が増え、死者も増え始める。



    撲滅されたはずの伝染病が、なぜ今頃蔓延するのか?

    疑問を持った房代たちは調査を始め、恐ろしい事実に突き当たる。


    一体、原因は何なのか、なかなか解決しない物語に、

    もどかしさを感じつつも、夢中させてくれる物語でした。



    蚊により、伝染していくというのが、なんだか、現実にありそうで、

    この本を読んでいる数日間は、蚊に神経をとがらせてしまいました。

    0
    2018年08月31日
  • コミュニティ

    Posted by ブクログ

    6つの不思議な短編。
    「夜のジンファンデル」は大人の切ない恋愛の話。
    それ以外は、ゾワゾワする怖い話。
    「コミュニティ」は人間関係が濃厚な団地の話。一番ゾワゾワしたかな

    0
    2018年08月10日
  • 聖域

    Posted by ブクログ

    以前この著者の本で「仮想儀礼」というのを読んだことがあるが、それも宗教がテーマのお話だった。この本も「宗教」や「信仰」にかかわてくる。かわったテーマでなかなか面白かった。

    0
    2018年06月03日
  • 死都 ホーラ

    Posted by ブクログ

    二人の関係がどう決着するのか見ものだった
    女性の方も死ぬかと思ったがそうではなかったので悲惨さはない

    0
    2018年05月17日
  • コミュニティ

    Posted by ブクログ

    篠田節子 著「コミュニティ」、2009.7発行。短編6話。じわじわっと襲ってきます。怖いです!「永久保存」「コミュニティ」、永く記憶に残りそうです(^-^)

    0
    2018年04月04日
  • 百年の恋

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    面白かった。電車で読みながらめちゃくちゃニヤニヤしてしまった。
    明らかにやばい雰囲気の漂う梨香子に真一が舞い上がる様子、梨香子のあまりにも酷過ぎる生活能力、同業者仲間に軽んじられて当然と思わされる真一のコミュニケーション能力のまずさ加減。
    篠田さんは書くことが極端過ぎるがそれでこちらが冷めることが無くむしろもっとやれと思わせる独特な魅力がある。
    しかし梨香子はなんで真一と結婚したのだろう。子供が欲しかったから主夫をやってくれそうな男を探していたのだろうか。それにしてももうちょっとまともな男が他にいる気がする。
    知性があり稼ぎと男らしさの無い男が理想だったとか?最後に「あなたのここが好きで結婚したのよ」的な素敵な種明かしがあるかと期待していたがそんなものを期待した私が馬鹿だった。
    途中に挟まれる育児日記だが、これを書いた人は要領が悪過ぎると感じた。確かに子育ては大変だけれど食事のたびに掃除をする必要は無い。

    0
    2018年02月28日
  • インドクリスタル 下

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    精密通信機起用の水晶発振子の水晶の種終章を求め、インド奥地まで行く社長の藤岡。そこでロサというインド人の女性に周りは振り回されながらもコヨドリ村から出る不純物の無い水晶を求めて滑動をする。現地の地主と村長、共産主義ゲリラと警察との深い争いに巻き込まれながら、なんとか、かなりの数を入手壽他ものの、直ぐ反乱が起き、藤岡は命からがら生還する。 村の水晶鉱山はウラン鉱山と交差しており、掘り起こす事で放射能がまき散らされ、死の待ちとかする事を食い止めたいロサが共産主義勢力を先導して、地主や藤岡らから事業を断念させようとした。最後は事業は失敗、水晶は最初二期多分だけとなったが、なんとか技術革新は進み種水晶が無くとも質の良い水晶が出来る技術が出来た事で会社としては良かったが藤岡は足を無くしたロサをNGOのフェアトレードで見つけロサに日本に来るように説得して話しは終わる。結構今回の本はインドの闇と裏を語るものとして重い話しが多かった。ただ日本のような人種差別の無いところでは考えられない重い課題のあるインドで今度どう向かえって行くか考えさせる一冊だと思う。よかった。 

    0
    2018年02月04日
  • インドクリスタル 上

    Posted by ブクログ

    水晶発振子のために必要な種水晶を探しにインドまで行く水晶屋の社長の話。ただインドの暗黒部分について語っているが、やはり深い。物語は水晶の単結晶の不純物のない塊をいかに集めるかにかかっている。藤岡社長はインドの中に突き進む。結構波乱もあり、面白いため下巻に直ぐ突入!

    0
    2018年02月03日
  • 仮想儀礼(上)(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    下巻と合わせ、とにかく長い、長い本。続きが気になり、だがあっという間に読んでしまった。
    新興宗教がテーマだが、人間、人生、欲望、組織。。。そんなことについての普遍的な何かが綴られている。正しいことをやっていれば共感が得られるわけではないのだ。組織に悩むビジネスマンが読んでも大いに共感するだろう。
    皆、何かにすがりたくて仕方ない。だが、自分以外にすがったところで恒久的な安定は得られない。
    結局は、自分と常に向き合うしかないのだと思った。

    0
    2018年01月20日
  • 銀婚式(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    高澤修平が証券会社、損保会社、大学と職場を変える中で様々な奮闘を詳細に記載した物語だが、最後の大学編が面白かった。学部長などからの圧力に歯向かう形で学生たちとの交流を深める中で、多くの成果が上がる。鷹右左とのもどかしい感じの付き合いもよかったが、離婚した妻の由貴子と息子の翔とのやり取りが現実の問題として誰にでも起こりそうな形で述べられているのが素晴らしい。

    0
    2017年12月17日
  • レクイエム

    Posted by ブクログ

    タイトル通り、「死」をテーマにした短編集。最初の作品は純文学と言った部類だが、その他の作品は篠田節子らしい怪談じみた話。怖い話ってわけでもないけど。

    夫の死、伯父の死などの死を契機に、様々な出来事がフラッシュバックするというようなところが6本それぞれの共通点か。中間部はバブル経済とその崩壊、最後は大戦の終戦間際という、動乱を軸にしているところが篠田節子らしいっちゃあらしい。

    6本サラリと読んで、どれが好きかと言われると、結構どれも好きな作品である。バブル前にお告げを受け、バブル後にまた同じ救いを求める女性、貧してもトラサルディのスーツは譲れない不動産屋など、心機一転できそうなのに、枠組に縛られて動けず朽ちていく悲哀を描いていくさまは秀逸である。

    6本のうち、ある意味核になっているのに浮いている「コヨーテ」は、SFである。SFホラーにしようとして、完全にはできなかった作品だが、それを純文学に逃げなかったことは高く評価されて良い。ただ、切れが悪いところはイマイチなんだけどね。

    0
    2017年10月26日