篠田節子のレビュー一覧

  • 夏の災厄

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    ネタバレ

    刊行が1995年だという事に驚く感染症パニック小説。ガツガツ読まされました。30年近く開きはあるのにこの頃も現在も組織の上の方の対応の遅さに暗澹とした気持ちになります。
    篠田節子さんどうやら市役所のそういう部署にいらしたらしくて、役所の人々に現実味ありました。おばちゃんパワーが格好良い房代さんと、ヒモかと思わせといてまさかの青柳さんが良かったです。
    青柳さんのキャラクター、遠回りしてても人生に無駄なことって無いんだなとつくづく感じました。流されて逃げ続けただけな日々と思ってても、思ってもみない所でかなり必要になる。青柳さんの経験が無ければ昭川市は収束しなかった。
    新型の日本脳炎って所だけ時代を

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    2022年07月07日
  • 肖像彫刻家(新潮文庫)

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    主人公の高山正道は、イタリアで著名な彫刻家の下で長年修行し、実績を積んで帰国したにも関わらず、日本では全くもって仕事の見通しが立たず、怖い姉から「オラッ!あんたは何してんのよ!」と叱責されっぱなしの情けない生活を続けていた。正道は素直でお人好しなのだが、世間に疎過ぎるのが欠点。そんな正道が忍びなかったのか、両親の肖像を作れと、姉が100万円をくれた。その結果、正道の人生がガラリと変わることとなる。ちょっとばかりドタバタ喜劇の様相を呈するとともに、少々正道にイライラさせられる物語が綴られる。

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    2022年06月28日
  • カノン

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    学校を出て会社に入り、家庭を作って必死に暮らしている中。
    突然あらわれる空虚感。
    自分の人生、これでいいのか?これで終わるのか?
    と思うような時があるはず。
    そのキッカケに友人の死があったりなど。

    そんな多くの人が通る通過点を、篠田節子がお得意の音楽とホラーミステリーで描いた作品だと思います。

    ただちょっと過去時代と、主人公が関わる2人の男性と、そして音楽と盛り沢山に描き過ぎている感じがします。

    とはいえキラリと光る前向きな希望で終わる最後は、篠田節子先生のどの作品でもそうですが、やはり好きなのです。

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    2022年06月14日
  • 愛逢い月

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    6つの短編作品は、それぞれ独特の雰囲気を醸し出していて飽きることがなく、ひとつひとつ嚙みしめながら読んだ。

    『秋草』という作品の中に「芸術の毒にあてられると、破壊するか自殺する」という話がある。本当にあるんだろうか?
    アーティストではないけれど、そんな心を奪われるものに出会えるのは、ある意味幸せなんだろう。

    『38階の黄泉の国』は、死んでからも仕事すんの嫌でしょ!が正直な感想(笑)

    1997年の作品を2020年の今の時代に読んでみると、20年の歳月で環境も価値観も大きく変わったものだと思い知らされる。

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    2022年06月14日
  • 神鳥(イビス)

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    読み終わったもの備忘録。

    確かに朱鷺って、天然記念物で絶滅したばかりに悲劇の鳥になっているけれど、赤い脚はちょっと迫力あるよね。

    というところから、繰り広げられるミステリー。

    篠田節っちゃんお得意の怖さ。

    今ならCG使って、かなり怖い映画化ができそう(期待)

    男性に素直になれない主人公と、ガサツだけど優しい男の展開が少し古臭く感じるけど、そこがまたいい。

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    2022年06月14日
  • 聖域

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    異動先の編集部で、偶然目にした未発表の原稿『聖域』。なぜ途中で終わっているのか。なぜこんなに力のある作家が世に出ていないのか。過去を辿っていくと、この原稿に関わったものは、みな破滅の道へと進んでいる。口々に警告されるが、でも続きを読みたい、結末を知りたい。憑かれたように実藤は、失踪した作家、水名川泉を追い求め東北の地へ。そこで彼が触れたものは。長編サスペンスの傑作。

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    2022年06月04日
  • 竜と流木

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    ネタバレ

    ミクロ・タタに生息するイモリもしくはオタマジャクシのような容貌を持つウアブの可愛らしさにハマり、ウアブの研究者呼ばれるまでになったジョージは、島のインフラ開発計画でウアブ存続の危機に直面する。そこでウアブ保護クラブを立ち上げ、メンバーらとどうやってウアブを守るか議論を重ねていく。そして、メガロ・タタの複合リゾート施設ココスタウン付近の池へ移動させることを決意する。移動後しばらくは特に問題なく、順応しているかように見えたウアブだが、突然の大量死をきっかけにして人が次々咬まれる事態が相次いで起こりーー。

    ジョージと父の関係&やりとりの変化、現地住民との考えの相違、本来の住処から良かれと思って移動

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    2022年04月29日
  • 仮想儀礼(下)(新潮文庫)

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    新興宗教を立ち上げた主人公が、関わる人々に翻弄されていくお話。関係者が亡くなっていき、悲しい….。人を操る力が無ければ、逆に操られて破滅してしまう、という怖いお話でした。

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    2022年04月04日
  • 鏡の背面

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    久々の篠田先生。
    ごめんなさい、多分、『女たちのジハード』以来です。
    キャラが光ってて良かった。面白かったです。

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    2022年03月25日
  • 長女たち(新潮文庫)

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    ネタバレ

    なかなか恐ろしい内容だった。

    以前親しかった学生時代の次女の友人が
    『長女って僻みっぽいから〜』が口癖だった。

    理由はその子の姉がよくその子に説教をすると。
    『親から家を買う資金をもらったとき、姉が説教してきた。羨ましいなら自分も貰えばいいじゃーんね!』と言っていた。

    彼女にかかると『いいなぁ!羨ましい〜』と言うお世辞すらも長女が言うと『僻み』となるらしい。

    この事から、なるほど根本が違うんだなと感じたのを覚えている。
    彼女の姉は『羨ましいから』説教したのではないと私は思ったから。

    本当に長女として、親の事や妹を気にかけていたのだと思う。

    現に妹の方は、その時の旦那とは離婚し一年も

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    2022年03月20日
  • 冬の光

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    主人公の人生も奥行きが深く描かれているが女友達の紘子の人生も共感できるというわけだはないが不器用で応援したくなる気持ちもあった。
    ただ実際に身近にいると距離を取りたくなるような人物ではあるが。
    最後は切なくなる終わり方だ。

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    2021年12月27日
  • 長女たち(新潮文庫)

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    今の自分が読むべきものだったような色々と考えさせられる内容だった。巻末の解説を読んでも自分の感じたことがそのまま代弁してあるように思えた。高齢化社会と介護の問題は益々誰もが直面することのなっているので共感する場面も多い。いつの日か自分の娘にも読んでもらいたいけれど。。。

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    2021年12月22日
  • 絹の変容

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    話はテンポの良いバイオホラーなんですが、グロテスクな芋虫が集団で登場、活字でも鳥肌が立ちそうです。映像化されたら失神ものですね。?

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    2021年11月18日
  • 女たちのジハード

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    少し前の時代の物語だが、今読んでも女性達の生き生きとした姿を感じることができる物語。パワーと勇気を貰える。

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    2021年11月06日
  • 女たちのジハード

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    登場する女性たちは、風変わりな男性に出会うことで、思わぬ方向に人生が進んでいく。よくある女性の強さを表現する作品とはまったく違う。新しいと感じた。これが人生なんだ。

    男は紀子みたいな女性が好きだ、と解説に書いていた。私も同感である。

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    2021年10月30日
  • 夏の災厄

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    ネタバレ

    不審な病に見舞われる郊外の町。
    夜間救急の医師や看護師、役所の職員を中心として、現場の人々の奮闘と歯痒さがよく描かれていた。
    パンデミックの裏で、身を粉にして働く人々がどんな思いでいるか。
    遅々とした縦の関係も含め、未知のウイルスを前に辿る経緯がほぼ現実と同じだった。頭の痛くなるほどの既視感。1995年の小説というから驚きである。取材力を感じる一冊だった。

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    2021年10月07日
  • 聖域

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    出版社の不人気文芸誌に異動させられた実藤。実藤の異動の直前に突然退職した篠原のデスクを整理している最中に『聖域』と題された小説の原稿を見つける。そこには魑魅魍魎と戦う慈明上人の壮絶なるストーリーが綴られていた。しかし、500枚以上の原稿はみかんであることに気がつく。作者の水名川泉の行方は、関係者も誰も知らない…。

    いや、面白い。ここのところ、悪い言い方をすると"薄い"小説ばかりを読んできていたので、本作はゴッテリと重く濃厚だ。登場人物は実藤、泉以外はほとんど動かないし、多少何人も増えたところで、まったく「誰だっけ?」とならない配分がなされているのは、最近読んだ本の中でもず

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    2021年09月21日
  • 鏡の背面

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    心的外傷を負った女性たちが暮らす施設が火事に。
    「先生」と慕われるマザーテレサのような小野尚子が死亡した。しかし、遺体は別人だった。
    果たして死者は誰なのか。ミステリアスな冒頭から引き込まれ、文庫本641頁もアッという間。
    施設代表の優紀とフリーライターの知佳が、「先生」は誰だったのか、本当の小野尚子はどこにと、真相を明かすべく行動を開始する。
    そして、小野尚子とは全く異なる生き方をしてきた人物が浮上する。
    「人の視覚はカメラと違う。像の中に思いを重ね合わせ、寮の人々は愛情と喪失と悲哀のフィルターを通して」人物を見るというが、果たして異なる顔が同一人物に見えるのだろうか。
    さらに、別人格の人間

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    2021年09月07日
  • 長女たち(新潮文庫)

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    絶望の淵ギリギリを歩く女性たちを描く作品。
    彼女らの苦悩をこれでもかと描き、最後には光とも呼べない薄明かりのようなラストを見せる篠田節子先生の筆致は大変素晴らしい。

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    2021年08月28日
  • 夏の災厄

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    埼玉の住宅街で突然起こった日本脳炎大流行。
    対策はワクチンしかないと踏んだ市井の人たちが自分の持ち場で働きまくるお仕事小説。
    篠田節子自身が市役所出身の人だけあって、市役所時代に舐め尽くした辛酸の全てをぶちこんだような描写の数々がよかった。公務員とてたいへんに大変である。

    20年前に読んだときは「日本版バイオハザード怖〜」くらいの印象だったけどバイオハザードの恐ろしさの描写はあるものの本質はそこではなくて、未知の病原体に対して対策すべきは第一にワクチンという明確な主張があって、その確保と接種に行き着くまでに為さねばならない膨大な仕事の物語だった。

    25年前の小説でありながらワクチン接種の重

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    2021年08月26日