篠田節子のレビュー一覧

  • 鏡の背面

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    久々の篠田先生。
    ごめんなさい、多分、『女たちのジハード』以来です。
    キャラが光ってて良かった。面白かったです。

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    2022年03月25日
  • 長女たち(新潮文庫)

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    ネタバレ

    なかなか恐ろしい内容だった。

    以前親しかった学生時代の次女の友人が
    『長女って僻みっぽいから〜』が口癖だった。

    理由はその子の姉がよくその子に説教をすると。
    『親から家を買う資金をもらったとき、姉が説教してきた。羨ましいなら自分も貰えばいいじゃーんね!』と言っていた。

    彼女にかかると『いいなぁ!羨ましい〜』と言うお世辞すらも長女が言うと『僻み』となるらしい。

    この事から、なるほど根本が違うんだなと感じたのを覚えている。
    彼女の姉は『羨ましいから』説教したのではないと私は思ったから。

    本当に長女として、親の事や妹を気にかけていたのだと思う。

    現に妹の方は、その時の旦那とは離婚し一年も

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    2022年03月20日
  • 冬の光

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    主人公の人生も奥行きが深く描かれているが女友達の紘子の人生も共感できるというわけだはないが不器用で応援したくなる気持ちもあった。
    ただ実際に身近にいると距離を取りたくなるような人物ではあるが。
    最後は切なくなる終わり方だ。

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    2021年12月27日
  • 長女たち(新潮文庫)

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    今の自分が読むべきものだったような色々と考えさせられる内容だった。巻末の解説を読んでも自分の感じたことがそのまま代弁してあるように思えた。高齢化社会と介護の問題は益々誰もが直面することのなっているので共感する場面も多い。いつの日か自分の娘にも読んでもらいたいけれど。。。

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    2021年12月22日
  • 絹の変容

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    話はテンポの良いバイオホラーなんですが、グロテスクな芋虫が集団で登場、活字でも鳥肌が立ちそうです。映像化されたら失神ものですね。?

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    2021年11月18日
  • 女たちのジハード

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    少し前の時代の物語だが、今読んでも女性達の生き生きとした姿を感じることができる物語。パワーと勇気を貰える。

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    2021年11月06日
  • 女たちのジハード

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    登場する女性たちは、風変わりな男性に出会うことで、思わぬ方向に人生が進んでいく。よくある女性の強さを表現する作品とはまったく違う。新しいと感じた。これが人生なんだ。

    男は紀子みたいな女性が好きだ、と解説に書いていた。私も同感である。

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    2021年10月30日
  • 夏の災厄

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    ネタバレ

    不審な病に見舞われる郊外の町。
    夜間救急の医師や看護師、役所の職員を中心として、現場の人々の奮闘と歯痒さがよく描かれていた。
    パンデミックの裏で、身を粉にして働く人々がどんな思いでいるか。
    遅々とした縦の関係も含め、未知のウイルスを前に辿る経緯がほぼ現実と同じだった。頭の痛くなるほどの既視感。1995年の小説というから驚きである。取材力を感じる一冊だった。

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    2021年10月07日
  • 聖域

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    出版社の不人気文芸誌に異動させられた実藤。実藤の異動の直前に突然退職した篠原のデスクを整理している最中に『聖域』と題された小説の原稿を見つける。そこには魑魅魍魎と戦う慈明上人の壮絶なるストーリーが綴られていた。しかし、500枚以上の原稿はみかんであることに気がつく。作者の水名川泉の行方は、関係者も誰も知らない…。

    いや、面白い。ここのところ、悪い言い方をすると"薄い"小説ばかりを読んできていたので、本作はゴッテリと重く濃厚だ。登場人物は実藤、泉以外はほとんど動かないし、多少何人も増えたところで、まったく「誰だっけ?」とならない配分がなされているのは、最近読んだ本の中でもず

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    2021年09月21日
  • 鏡の背面

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    心的外傷を負った女性たちが暮らす施設が火事に。
    「先生」と慕われるマザーテレサのような小野尚子が死亡した。しかし、遺体は別人だった。
    果たして死者は誰なのか。ミステリアスな冒頭から引き込まれ、文庫本641頁もアッという間。
    施設代表の優紀とフリーライターの知佳が、「先生」は誰だったのか、本当の小野尚子はどこにと、真相を明かすべく行動を開始する。
    そして、小野尚子とは全く異なる生き方をしてきた人物が浮上する。
    「人の視覚はカメラと違う。像の中に思いを重ね合わせ、寮の人々は愛情と喪失と悲哀のフィルターを通して」人物を見るというが、果たして異なる顔が同一人物に見えるのだろうか。
    さらに、別人格の人間

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    2021年09月07日
  • 長女たち(新潮文庫)

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    絶望の淵ギリギリを歩く女性たちを描く作品。
    彼女らの苦悩をこれでもかと描き、最後には光とも呼べない薄明かりのようなラストを見せる篠田節子先生の筆致は大変素晴らしい。

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    2021年08月28日
  • 夏の災厄

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    埼玉の住宅街で突然起こった日本脳炎大流行。
    対策はワクチンしかないと踏んだ市井の人たちが自分の持ち場で働きまくるお仕事小説。
    篠田節子自身が市役所出身の人だけあって、市役所時代に舐め尽くした辛酸の全てをぶちこんだような描写の数々がよかった。公務員とてたいへんに大変である。

    20年前に読んだときは「日本版バイオハザード怖〜」くらいの印象だったけどバイオハザードの恐ろしさの描写はあるものの本質はそこではなくて、未知の病原体に対して対策すべきは第一にワクチンという明確な主張があって、その確保と接種に行き着くまでに為さねばならない膨大な仕事の物語だった。

    25年前の小説でありながらワクチン接種の重

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    2021年08月26日
  • 冬の光

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    自分の人生がどうだったかは自分にしか分からない。笹岡の人生がどうだったかは康宏には分からないし、逆も然り。親の人生がどうだったかは子には分からない。自分が満足して死ねる人生を。
    康宏が、自分の人生にはプロセスはあるがテーマがない、と内省するシーンが印象的だった。テーマを持って人生を突き詰めて生きている人が果たしてどれだけいるのだろうか。考えさせられた。

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    2021年08月24日
  • 女たちのジハード

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    ネタバレ

    面白かったー!爽やかな読後。特に、康子の競売の話から一気に面白くなった。そして、5人の女性(主人公でない純子をいへたら6人だけど)が出てくるから、思わず自分に似ている人を探してしまった。ちなみに私は紗織8割リサ2割位のタイプかな…笑 そして、紗織の当初の自己研鑽の中途半端さは非常に耳が痛い話だった。康子、リサ、紗織のそれぞれの転機は正直出来過ぎな気もするけど、それにしても面白かった。痛快でした。

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    2021年07月04日
  • 仮想儀礼(下)(新潮文庫)

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    ネタバレ

    軽薄な優男として描かれる矢口の、一貫して自分を差し出す死に様に仏性が見出される最後は胸にくるものがあった。

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    2021年05月08日
  • 冬の光

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    結局父の死の真相はなんだったのか、、、

    ここに深い意味はあんまりないのか
    (脳がミステリ認識してしまっている笑)

    父の人生がなかなか壮絶だった。

    他人をいたむ気持ちは素晴らしいが、もっと家族にも心傾けてほしかったなぁ

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    2021年04月28日
  • 夏の災厄

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    日本脳炎が本作のテーマだが折しもコロナ禍で25年前の作品とは思えぬほどのシアルさで鳥肌がたった。文庫600頁ほどのボリュームで一週間かかって読み終えたがまだコロナが終息していない現代で願望も込めた祈りのような気持ちがこみ上げてきた。パンデミックが丁寧に作り込まれた作品の素晴らしさは巻末の海堂尊さんの解説が物語ってくれている。本当に同感。篠田節子さんの様々な作品に翻弄される読者というのも悪くない。

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    2021年04月25日
  • 愛逢い月

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    6つの短編集。
    サスペンスとミステリーという位置付けらしいが、
    そこまでのものではないと思う。
    ただ女性の怨念や情念、到底男性には理解できないであろう想いが、恐怖に感じさせられる。
    それもあってか、男性の純朴さ素直さが浮き彫りになって、とても対照的である。
    とてもおもしろかった。

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    2021年04月22日
  • 銀婚式(新潮文庫)

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    ネタバレ

    華々しい学歴は、社会に出た後にその一生を保証するものではなかった。それでも身に付けた自助努力の精神は、人生のどん底を経験したとき、破滅の淵に転がり落ちる寸前で、何とかもちこたえ、はい上がるチャンスを与えてくれるものになるだそうと高澤は信じている。

    最敬礼されて事務所を出てふと振り返ると、まだ見送っている錦城の姿がある。
    濃霧が晴れて視界が開けたような気がした。
    「人生、うまくいかないからおもしろい」
    父の残した言葉が、よみがえる。
    何もかも筋書き通りにいくはずもない。定められたレールを踏み外すのが、必ずしも悪いこととは限らない、と息子のことを思った。

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    2021年03月07日
  • 冬の光

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    人生の全ては自分だけのものであって、他人と分かち合ったり、他人に委ねられる物ではない。
    康宏の歴史を理解していくにつれ、家族にとっての康宏がズレているのが歯痒く、人間なんてそんなもの、という寂しさを覚える。
    自分が歩いてきた道を振り返り、また、これから進む道をどう行くべきか、考えさせられた。

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    2021年02月20日