篠田節子のレビュー一覧

  • 冬の光
    人は人を理解できない、家族においても。
    ミステリータッチの、人間存在の危うさを問う小説。
    四国遍路を終えた後、海から死体で見つかった父は自殺なのか、それとも事故なのか。
    次女が真実を求め、父の足跡を辿り、遍路の旅に出る。
    1章、4章、6章は、次女の視点で。2章、3章、5章は父の視点で。
    読者は両方を...続きを読む
  • 女たちのジハード
    6月-14。4.0点。
    直木賞。損保会社の一般職女性4人の奮闘を描く。
    結婚やら、夢やら。面白い。吸い込まれるように読んだ。
    さすがの筆力。時代は少し前だからOL像も少し古いが、心理描写が秀逸。
  • 冬の光
    62歳で亡くなったサラリーマンが主人公の小説。娘が父親である主人公の足跡をたどる形で四国八十八カ所を巡るが、先入観や予断が繰り返し裏切られ、篠田節子の小説を読む喜びを感じる。主人公の大学時代の恋人が、人生の節目節目で現れ、彼女に接する主人公の価値観の変化がわかり興味深い。バブル崩壊や東日本大震災など...続きを読む
  • 贋作師
    この方の作品は何作か積んであり、今作が初の篠田作品。
    絵画の裏方、修復師の女性が主人公の話。
    絵画の知識に乏しく、修復師が何をする人なのかも良く知らなかったけれど、物凄くのめり込んで読んでしまった。
    私は絵心がなく、細かな作業も苦手。
    なので正反対の主人公の行動を読んでいるのが面白かった。

    篠田節...続きを読む
  • 蒼猫のいる家(新潮文庫)
    短編集。少し恐ろしくて、かなり皮肉で、そして少し愉快な物語が多いです。さまざまな形で異形のものといえるようなものが登場する点も魅力的。
    お気に入りは「クラウディア」。これが一番笑える物語かも。犬にいいように扱われる主人公の姿は情けなくって滑稽なのだけれど、それも最後には清々しく温かな物語になってしま...続きを読む
  • 銀婚式(新潮文庫)
    同年代で損保業界の話もあり、手に取ってみた。
    読み進めるうちに親の介護、看取り、子供の受験といった欠かせないことがあり、我がことを振り返りながら、読み終えました。
  • コンタクト・ゾーン(下)
    面白かった!!
    ここでいう「コンタクト・ゾーン」とは異文化接触地点。
    30代後半にさしかかった独身女性3人は、半年に一度の海外旅行で贅沢に遊び買い物をすることでうっぷんを晴らしていた。
    今回の旅行は政情不安定な地、東南アジアのバヤン島。
    内乱に巻き込まれ、ゲリラの手に落ちた島で、彼女たちは生き残れる...続きを読む
  • 夏の災厄
    ひさびさの篠田さんの小説読んだ。
    予防接種に関する様々な考えを取り込んだお話で、緻密な描写、だんだん広がってしまう不幸、面白かった。
    ありえないけど、ありえそうというところが篠田さんの文章ですね。
  • 女たちのジハード
    結婚や仕事、夢といった人生の岐路に立ち、
    幸せを掴もうと奮闘するOLたちの物語。

    東京タラレバ娘の一時代前のような作品。

    女が自分の城を持ち、定年まで勤め上げてなにが悪い。
    男を諦め、1人で生きていくと息巻いた矢先、
    トマトに引き寄せられて、
    仕事も恋も、予想外の実りを見せていく康子

    自分が本...続きを読む
  • 夏の災厄
    看護師である房代が勤めるの夜間診療所に、

    光をまぶしく感じ、花のにおいを感じ、熱に浮かされ、

    痙攣を起こしながら倒れる。。。という患者がやってきた。

    その時は、日本脳炎と診断されたのだが、

    徐々に、同じ症状の患者が増え、死者も増え始める。



    撲滅されたはずの伝染病が、なぜ今頃蔓延するの...続きを読む
  • コミュニティ
    6つの不思議な短編。
    「夜のジンファンデル」は大人の切ない恋愛の話。
    それ以外は、ゾワゾワする怖い話。
    「コミュニティ」は人間関係が濃厚な団地の話。一番ゾワゾワしたかな
  • 長女たち(新潮文庫)
    すごく濃い話がぎっしり。長女なので、理解できる部分と、親の教育方針で守られてきた部分があると気づく。すごい迫力の一冊。
  • 聖域
    以前この著者の本で「仮想儀礼」というのを読んだことがあるが、それも宗教がテーマのお話だった。この本も「宗教」や「信仰」にかかわてくる。かわったテーマでなかなか面白かった。
  • 死都 ホーラ
    二人の関係がどう決着するのか見ものだった
    女性の方も死ぬかと思ったがそうではなかったので悲惨さはない
  • コミュニティ
    篠田節子 著「コミュニティ」、2009.7発行。短編6話。じわじわっと襲ってきます。怖いです!「永久保存」「コミュニティ」、永く記憶に残りそうです(^-^)
  • 長女たち(新潮文庫)
    怖い怖い。

    我が身を振り返ってぞっとした。

    たしかに長女気質ってあると思うし、長女が損なところって多いと思う。(ファンタジー方面に昇華させたのが魔法使いハウルのソフィーだけど。)

    そして、親との関係。恐ろしいなーと思った。
  • 百年の恋
    面白かった。電車で読みながらめちゃくちゃニヤニヤしてしまった。
    明らかにやばい雰囲気の漂う梨香子に真一が舞い上がる様子、梨香子のあまりにも酷過ぎる生活能力、同業者仲間に軽んじられて当然と思わされる真一のコミュニケーション能力のまずさ加減。
    篠田さんは書くことが極端過ぎるがそれでこちらが冷めることが無...続きを読む
  • 長女たち(新潮文庫)
    【収録作品】家守娘/ミッション/ファーストレディ
     解説では「読後感は希望に満ちあふれたものとなるだろう。」とあるが、とんでもない。その前に現実の泥沼にはまり込んで、我が身を思えば容易に浮かび上がれるとは言って欲しくない。他人事か自分事か。介護に限らず、縁の切れない家族との、先が見えない将来の暗さに...続きを読む
  • インドクリスタル 下
    精密通信機起用の水晶発振子の水晶の種終章を求め、インド奥地まで行く社長の藤岡。そこでロサというインド人の女性に周りは振り回されながらもコヨドリ村から出る不純物の無い水晶を求めて滑動をする。現地の地主と村長、共産主義ゲリラと警察との深い争いに巻き込まれながら、なんとか、かなりの数を入手壽他ものの、直ぐ...続きを読む
  • インドクリスタル 上
    水晶発振子のために必要な種水晶を探しにインドまで行く水晶屋の社長の話。ただインドの暗黒部分について語っているが、やはり深い。物語は水晶の単結晶の不純物のない塊をいかに集めるかにかかっている。藤岡社長はインドの中に突き進む。結構波乱もあり、面白いため下巻に直ぐ突入!