篠田節子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
やっぱり篠田節子さんは凄いわ。作品のスケールがとにかくデカい。それでいながら、細部は蟻の子一匹侵入を許さないような細やかさで、緻密に物語を構成、進行させる。一気読み必至のホームラン的快作。
女性たちが抱える数々の傷や問題、宗教、救済、時にカルトなど、尋常ではまとめ切れないほどのエピソードをひとつの鍋で煮込み、最後は素晴らしい料理に仕立て上げる。今作でも存分に発揮された、その力量と胆力、見識の広さに瞠目するばかり。
ぜひ多くの読者に、篠田節子の作品を読んでほしい。その宇宙の坩堝を覗いて、ともにシノダー(篠田節子さんのファン)になりましょう(笑)……というのは冗談にしても、読んだら高確率でハマる作 -
Posted by ブクログ
ぐふぁ〜‼︎ 凄いなぁ、篠田さん。641ページ、かなり長いです。壮絶な、息苦しくなる話でしたが、早く早く先を教えて!って思いながら読みました。読み応えたっぷりです。
この作品、沢山の要素がある。
アルコールや薬物依存、性依存、自傷行為といった問題を抱える女性たち。その救済のための施設や関わる人々の現実。悪女、毒婦と言われる女たちの犯罪。苦しむ人につけ込む霊感商法。フィリピンの貧困、麻薬の実態。などなど…全て緻密に描かれている。
しかし、なんといっても、私が興味深かったのは『人が人を認識する』ということの、あやふやさ!
私の好きなマンガ「秘密」(清水玲子)にもあったけど、
『人の見ているもの -
Posted by ブクログ
ネタバレp.58
多くのものを受容し、肥え太ってきた組織は、不純なものを排除し、先鋭化しようとする内側からの欲求に、常に対峙しなければならない。
p.91
「去っていかないでください、うちを」
p.222
「自分の人生が自分のもので、いかようにも切り開けるなどというのは、何一つ持たずに生まれてきた者の戯言だ」
面白かったです。後半の展開がちょっとありきたりかなーと思ってしまいましたが、一気に読んでしまいました。
SNSが発達して、リーマンショックやら東日本大震災やら人種差別やらコロナやらオリンピックやらがある現代だとどんなストーリーになるのか?そんな小説があったら読んでみたいです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ本書を読んで『神の座-ゴサインタン』の淑子の不可解さが、ようやく理解出来た。
この作品に登場するロサも「生き神/処女神」だった経験があり、ロサが語る生き神の生に衝撃を受けた。
彼女らは「生き神/処女神」として選ばれると、幼い頃から、現実の世界と隔絶され、祭文を覚える等以外は、人としての教育は何一つ受けず、その期間をカミサマとして奉り上げられ、身分ある大人たちさえ額づく環境で過ごす。しかし、初経がくれば「生き神」の座を降ろされ、突然に現世に放り出されてしまう。
人とどう喋るかも知らず、会話が出来ないし、水汲みなど、日々の労働で直ぐに疲れてしまう。「人間として」生きる術を知らないのだ。
ロサは才気 -
Posted by ブクログ
ネタバレパンデミックという語より、バイオ・ハザードという表現が、リアルに感じる世代です。
90年代に書かれた点よりも、驚いたのが、政府等の体制側、現場の対応が、現在の新型コロナ禍と殆ど変わっていないこと。SNSで情報が拡散する社会になっても、有益な対策は見い出せず、打ち出せず、医療現場は逼迫し、感染は拡大するばかり。
25年後の2021年現在、この状況で五輪開催をしようとしているなんて、小説と現実が逆転しているように感じる。
篠田節子氏のスリリングでリアルな構成と筆致が、物語を加速させ、一気に読ませる快作。ラストはタイムワープした現在なのでは……。 -
購入済み
リアルすぎて鳥肌がたった
まるで現在の状況を予言したかのような小説、と聞いて読んでみましたが、あまりにも現実とリンクしていて驚きました。だいぶ前に書かれたお話なのに古さはあまり感じられず、一気読みでした。少し専門用語が難しいところもありましたが、今こそ読むべき一冊だと思います。
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購入済み
篠田節子の最高傑作
篠田節子は当たり外れが大きい(と思ってる)のですが、これは文句なしに大当たりです。
20年前の小説なのでもちろん色々と古いところはあるのですが、出てくるキャラクターが皆生き生きとしていて、古臭さを感じさせません。
何より読後感が素晴らしいです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ介護問題は現在の日本の一番のホラーであると思う。
三作からなる本作の二話目の村に酷く共感した。
一、三話は我が家の状態(祖母(セコンド妹)vs母,私)に似ていて腹が立ち冷静には読めなかった。
年長者が若年者の重石になっているこの国は歪んでいる。
それをさも当然でそのために子供を作った、というようなことを豪語する年寄り達は心底気持ちが悪いと思います。
三作目の父息子の手術に対する台詞にも共感です。
とても気持ち悪く腹の立つ小説でした。
(それだけリアリティーがあり面白かったということです。)
ただ一話目に軽くファンタジーが絡んでいたのは好みではなかったです。