篠田節子のレビュー一覧
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ネタバレ亜細亜の西の端のトルコと
欧州の東の端のギリシャが登場する。
イスラム教とキリスト教(ギリシア正教)。
文化が衝突している場所。
おおくくり出言えば、
アラブもトルコのギリシャもヨーロッパも、
チグリスユーフラテスとエジプトの文明の影響下だと思えば、
文明内の争いかもしれない。
ギリシア正教は、キリスト教とギリシアの土着の宗教が結びついたものかもしれない。
キプロスへの取材旅行での死亡事故。
事実は小説より奇なり。
「間の抜けていない死に方などあるものか」
という言葉を残して死んでいった写真家。
著者の後書きには、「小説の舞台となった99年のキプロスでは、この小説に出てくるような軍事衝突は起きていない」
参考文献はないのは寂しい。「民族紛争の心理学 誇りと憎悪」ヴァミクヴォルカンの一節を引用しているのみ。「長期的にはキプロスのインコは耐えがたい条件のもとに存在するキプロストルコ人の新しい民族性にとって「われわれ性」の容器となった」
だからインコが登場しているのか。ところで、作品中にイコン(icon,偶像)という言葉がでてくる。コイン(coin,銭)も出てくる。コンイがでてくればcomleteなのだが。 -
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ネタバレこの本は鏡リュウジ (占星術研究家)さんが推薦していた本なのですが、下巻を読むと「なるほどなぁ」と納得します。
一つの歯車が狂い出すと、やがて全ての機能が狂い出していく・・。
なのにその動きは停止することなく、最初に動かした者も手には負えない。
それは読者にも想像できそうにない、あらぬ方向へ暴走し始めていく・・。
虚業、ゲーム本から作り上げられた宗教ビジネスが、似非教祖の手の及ばないところにまで変貌し、制御不可能になって怖れをなした教祖自身がその中にズブズブと飲み込まれてゆく・・逃げることも許されず。
とても怖いですし、異質なものが一旦社会で採り上げられてしまうと、もう社会(マスコミ)・市民運動・政治的圧力などと言う外部からの攻撃を受け、しかも内部からも醜く崩れていく・・。
その中で、教祖桐生と矢口の奇妙な連帯感とお互いを自身の半身のように必要とし、頼り、嫌悪し、愛する(?)・・心の変化。
知的でプライドの高い桐生よりも、笑みを絶やさず、愚かで素直ですぐ騙されやすい矢口の方が、最後には本当に仏の境地に至ったのではないかと思えるぐらい崇高に見えました。
信者の心の闇も一筋縄ではいかなくて、彼らの「生き辛さ」に半ば嫌悪感を持つ桐生と、骨身を削ろうとする矢口。
救われたと思ったら、次にはもっとどす黒い闇がまたたちこめて来る。
ホント、怖いです・・これ。
桐生にも矢口にも、本当の悪党になるほどの勇気もなく(?)
良心が時折顔を出してしまうのが、人間らしいというか、こんな結果になった原因なのかもと・・。
甘くないんですよね、宗教をビジネスにしようなんて。
(「千石イエス」になりたくない)と思う桐生は、それよりも過酷な運命を辿ることになりました。
ラストでは、嵐が去った後のような不思議な感覚を得ます。 -
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とてもよくできた短編集だと思う。
短編小説らしいキリリとした作品ばかり。
予想外にブラックな話が集まっていた。
永久保存
…お役所内部の嫌ーな人間関係の話。
ポケットの中の晩餐
…芸術家の故郷の思い出。
絆
…バブルと不倫と手切れ金の別荘。
これは主人公、気付かないのは馬鹿すぎる 笑
ただの都合のいい女。惚れた弱みで気付けないものなんだろうか。
夜のジンファンデル
…大人の恋愛小説。読み終わってジーンとした。解説もよかった。
恨み祓い師
…つましく暮らす老母子の話。怖い。ほんと妖怪じみてる。
コミュニティ
…さびれた団地の奇妙な共同体。これが一番ぞっとする話かな?
でもこういう暮らしをしている部族とか世界の中には普通にありそう。 -
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週刊誌から文芸誌に異動したての編集者・実藤が、ある時偶然手にした未発表原稿「聖域」。物語が佳境にさしかかったところで、終わってしまっているこの作品のラストを読みたい一心で、実藤は無名の作者・水名川泉を捜し出すため、僅かに残された痕跡を頼りに東北へと向かう。
◆94年4月刊行された小説であるにもかかわらず(執筆はそれよりずっと前だと予想されるけど)、「新興宗教」が物語のひとつの軸として働いている。日本人にとっての「信仰」の問題。
◆東北地方の描写に、いつか車窓から見た風景を思い出し、記憶と描写を重ね合わせるように読まされた。
◆二重の「聖域」。『聖域』という本書の中で、「聖域」を扱っている二重性の面白さ。作中の「聖域」も、普通に興味深い内容。退屈させない。
◆泉を捜索する過程の疾走感。加速していくミステリー。
◆創作の虚構に惑う作家としての泉。潮来としての泉。
◆編集者・実藤の「作品を世に出す」という使命感が、途中から揺らぎ、利己的な欲求のために泉に接触しようと試みる。その際の人間の醜悪さ。
舞台として登場する青森県浅虫温泉周辺は個人的に思い入れがあるのだけど、きっと綿密に取材を重ねたのだろうなあというのが伝わってくる描写でした。
一級のエンターテインメント小説でありながら、作者である篠田氏の小説家である己をも賭した挑戦、そのプロ根性に、ほとほと感服するばかりです。文句なしの5つ★。ぜひ読んでもらいたいものだと思いました。 -
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篠田節子の本で最初に読んだのはこの本だった気がします。
バイオテクノロジーによって虹色に光る絹を紡ぎだす養蚕に成功しましたが、それが発端となり蚕に変化が起き、バイオハザードして恐慌をきたすパニック小説です。
蚕ばかりでてくるので、あまりビジュアルを思い浮かべると気持ち悪くなりますので要注意。
この小説の舞台は八王子ですが(著者は確か八王子市役所で働いていたんじゃなかろうか)自分も八王子の大学に通っていたので、どことなく、この場所ってここのことじゃないか、という描写が多くあり、とても身近な恐怖を感じました。
もちろん八王子に縁も所縁もない人でも楽しめます。 -
Posted by ブクログ
【要旨】
温泉もない、名所があるわけでもない、嫁のきてもない。
観光客の途絶えた過疎の町、駒木野。
青年クラブのメンバーたちは「ミステリー」と「オカルト」と「ホラー」で町を再生を計る!
この「ミステリー」だとか「オカルト」だとか「ホラー」だとかが手が込んでいて、realityがあって面白い面白い。
初めはしぶしぶだった村のお年寄り達も、観光客が徐々に増えていくうちにノッてきて頼んだ事以上の演出だのし始めちゃうところも、マスコミがエスカレートしていくところも面白い。
計画が上向きなら乗るくせに、少し叩かれるとすぐ非難する側に回る。
周りの人が二転三転簡単に趣旨換えしていっちゃうところも篠田さんらしい。
ラストのラストはほとはら的にはいらんかったなぁ~・・・と思うんだけど・・・
でも、それを除けば大満足の1冊!!