大手ゼネコンに勤務していた49歳の加茂川一正は、インドネシア出張の折にネピ島という小さな島の海底に聳え立つ仏塔らしきものを発見する。
一正は遺跡の保護活動を自らの使命とし、日本の考古学者、民俗学者を巻き込んでの遺跡調査に乗り出す。
ネピ島の殆どを占めるムスリム、開発を最優先する地元の大地主、そして独
...続きを読む特の文化を守り続けながらも首狩族などと野蛮人扱いを受けてきた先住民たちは、何故か外部の人間との関わりを受け入れない。
一正の積極的な性格は良いのだが、ちょっと空気を読めない癖がたまたま功を奏したのか、あっという間に先住民の青年ケワンと知り合い、その一家に溶け込んで調査をするためのベースをネピ島に確保する。
ケワンの母親は一族の間でマヒシャと呼ばれていた。
ここネピ島では阿修羅を殺す者と捉えられ、インドの闘いの女神ドゥルガー(悪魔たちを殺す恐ろしい女性戦士)のことを指していた。
一正は当初、マヒシャは土着の迷信の上に成り立っているシャーマンくらいにしか思っていなかったのだが、徐々にその計り知れない不思議なチカラと尊厳さを知ることになる。
一正が発見した仏塔を文化遺跡として保存しようとする努力にも関わらず、その一帯をゴミ処理場としての開発計画が進んだり、遺跡には男性禁制などの風習があったりと、活動は困難を極める。
そして最大の危機は、ネピ島にそびえる活火山の小イスカンダルの活動が活発になり、大きな地震や津波によってネピ島の住宅や丁子のプランテーションに多大な被害が生じる。
そして噴煙を吐いている山は、近々起こるであろう噴火によって、ネピ島自体が海に沈んでしまうとの噂までが島内に広がってしまう。
一正と一緒に活動していた日本人の考古学者、民俗学者、先住民の青年ケワンたちの願いは報われるのか、スケールの大きい冒険物語となっている。