篠田節子のレビュー一覧
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とてもよくできた短編集だと思う。
短編小説らしいキリリとした作品ばかり。
予想外にブラックな話が集まっていた。
永久保存
…お役所内部の嫌ーな人間関係の話。
ポケットの中の晩餐
…芸術家の故郷の思い出。
絆
…バブルと不倫と手切れ金の別荘。
これは主人公、気付かないのは馬鹿すぎる 笑
ただの都合のいい女。惚れた弱みで気付けないものなんだろうか。
夜のジンファンデル
…大人の恋愛小説。読み終わってジーンとした。解説もよかった。
恨み祓い師
…つましく暮らす老母子の話。怖い。ほんと妖怪じみてる。
コミュニティ
…さびれた団地の奇妙な共同体。これが一番ぞっとする話かな?
でもこういう暮 -
Posted by ブクログ
週刊誌から文芸誌に異動したての編集者・実藤が、ある時偶然手にした未発表原稿「聖域」。物語が佳境にさしかかったところで、終わってしまっているこの作品のラストを読みたい一心で、実藤は無名の作者・水名川泉を捜し出すため、僅かに残された痕跡を頼りに東北へと向かう。
◆94年4月刊行された小説であるにもかかわらず(執筆はそれよりずっと前だと予想されるけど)、「新興宗教」が物語のひとつの軸として働いている。日本人にとっての「信仰」の問題。
◆東北地方の描写に、いつか車窓から見た風景を思い出し、記憶と描写を重ね合わせるように読まされた。
◆二重の「聖域」。『聖域』という本書の中で、「聖域」を扱っている二重 -
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篠田節子の本で最初に読んだのはこの本だった気がします。
バイオテクノロジーによって虹色に光る絹を紡ぎだす養蚕に成功しましたが、それが発端となり蚕に変化が起き、バイオハザードして恐慌をきたすパニック小説です。
蚕ばかりでてくるので、あまりビジュアルを思い浮かべると気持ち悪くなりますので要注意。
この小説の舞台は八王子ですが(著者は確か八王子市役所で働いていたんじゃなかろうか)自分も八王子の大学に通っていたので、どことなく、この場所ってここのことじゃないか、という描写が多くあり、とても身近な恐怖を感じました。
もちろん八王子に縁も所縁もない人でも楽しめます。 -
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【要旨】
温泉もない、名所があるわけでもない、嫁のきてもない。
観光客の途絶えた過疎の町、駒木野。
青年クラブのメンバーたちは「ミステリー」と「オカルト」と「ホラー」で町を再生を計る!
この「ミステリー」だとか「オカルト」だとか「ホラー」だとかが手が込んでいて、realityがあって面白い面白い。
初めはしぶしぶだった村のお年寄り達も、観光客が徐々に増えていくうちにノッてきて頼んだ事以上の演出だのし始めちゃうところも、マスコミがエスカレートしていくところも面白い。
計画が上向きなら乗るくせに、少し叩かれるとすぐ非難する側に回る。
周りの人が二転三転簡単に趣旨換えしていっちゃうところも篠田さん -
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ネタバレ主要な登場人物は、学生時代にヴァイオリン、チェロ、ピアノでトリオを組んだ男女3人。 3人の内のヴァイオリンを弾いた1人は、後にバッハのカノンを演奏・録音しながら自殺するのですが 残された2人が形見として受け取ったカセットテープを再生すると、次々と奇怪なことが起こり始める…、 という、音楽を題材とした長編ホラー小説です。 文章力の高さゆえ、読んでいるうちにこちらまで「真夜中、月明かりを浴びたピアノの横に自殺したはずの男が立っている」 ような気がしてきて、結構怖かったのですが、全編を通して「音楽とは何か?」 ということを強く訴えていて、とても考えさせらる“音楽ホラー小説の傑作”でした。 ホラーが大
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この著者は『女達のジハード』とやら有名な本を出しているようだが、読んだことはない。
一気に読み上げるほど面白かった。
途中男の言うところの信仰とか。
日本の土着?アニミズム信仰ってそういったものが多いと思った。
「朱鷺飛来図」見てみたいと切に思った。
朱鷺のまぬけな顔や丸い嘴を知っているからあまり怖いと思わなかった・想像できなかったと感想で書いている人がいたが、主人公達もそれを見て想像できないと言っていたのに、あのマヨイガ的空間で種を滅ぼされそうになるまえの攻撃をするあの姿とのギャップを描いた女史はすごいと思う。
寝たら攻撃してくるところはフレディの助力があったのか -
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これは面白かった。
第一に、女性作家がこの着想で書いたということに、感嘆した。
タイトルにロズウェルって。
こんなの、いつまでも幼稚性を残したアホな男の専売特許の世界のはずなのに。
設定、キャラクターなどに命を吹き込んでまずは読者の心をつかみ、そして途中までは主要登場人物たちの思惑通り事が運んで順風満帆。
しかしある時点で重大な問題が巻き起こって読者はハラハラドキドキ、しかし最後にはなんだかホッとするような大団円…、という、古き佳き邦画や連続ドラマのごとく、正しき起承転結を踏まえたストーリーだが、「そう上手くいくかい」と突っ込みたくなるような、お約束の展開だと分かっていてもまったく飽きさせ -
Posted by ブクログ
女たちのジハードで語られたような、シンプルで無駄のない地の文体に、文中小説(とはいっても引用と概要ではあるが)が挟まる、最初の展開。
その文中小説が秀逸。
文章も練られていて、それだけで十分に読みごたえを感じるような素晴らしいプロット。もったいない!
このままできればきちんと読みたい、そう思わされるほどの出来栄え。
しかし作者の展開するストーリーの肝は、そこにはない。
その作者の数奇な運命?才能?能力を軸に、担当者、同じ賞をとった老作家、そして主人公と3人の人生が絡まりあいほつれていく。
最後の結末は・・・
人は失われたものを求めずにはいられない。
なくしたものの輝きを美化し