篠田節子のレビュー一覧
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ネタバレ篠田節子ブームの中で読んだ、たぶん初の長編。
長いけど、一気に読めます。
読んでから、だいぶ時間経ってるので、登場人物名とか
キレイさっぱり忘れちゃってますが。
地方の農村の旧家の跡取りが、発展途上国(ネパール?)から
嫁さんを「買って」くるところから始まる、
なんだろう、破壊と再生の物語なのかな。
この買われてきた嫁さんが、この旧家を滅ぼしていくんですよ、
なんか、神がかり的な力を得て。
「買った」はずの姑や旧家の次男(長男は海外在住で家督放棄)が
次第に従属する立場になり、ついに土地家屋財産全て擲って
帰国した嫁を追って、ネパール?に行っちゃう。
この文庫 -
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50代の元エリートサラリーマンの半生。
エリート証券マンが、ニューヨーク在住中に離婚、その後会社は破綻し、損保会社に再就職するも、鬱を患い退職。仙台の無名私立大学の非常勤講師として再々就職。
何とも波乱万丈な主人公高澤。
それでも、誠実で仕事に対しても熱意があり、品行方正なため、周りからの評価は常に高く、好感が持てます。
大学での功績は高く、やる気のなかった学生達が、きちんとした大人になることが出来るよう、下地を作ったのは彼でした。
元妻、息子との距離感は、かなり近いもので、タイトルからもしかしてと想像しながら読み進めていました。
浪人して国立大学に進学した息子にひと安心するも、最後までそ -
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ハルモニア。
それはまるで世界をすべる黄金率にも似た調べ。
神聖で崇高な侵しがたい神の旋律。
凡庸なチェリスト東野は音楽療法のスタッフとして通った高原の精神医療施設で、凄まじい才能を数奇な運命を秘めた一人の浅羽由希と出会う。
東野は彼女の秘めたる才能を引き出そうと悪戦苦闘の個人レッスンを開始するが……
超感覚ホラー。
サスペンス。
人間ドラマ。
この小説を飾る言葉はあまたあれど、一番しっくりくるのはやっぱり音楽小説だろう。
そう言うととかく高尚なものを思い浮かべがちだが、登場人物の苦悩や懊悩、葛藤が非常に生々しくリアルに迫ってくるせいで、どっぷりのめりこんでしまう。
血肉が通った饒舌でありな -
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ネタバレ読み終えたとき、高澤と共に長い人生を歩んだ気がした。
…いやいや、それでは私が主人公と銀婚式(笑)
確かに、NY赴任時に仕事を理由に妻の不調に寄り添わず、離婚に至ってしまったところまでは、彼を「仕事は有能だが、家庭人としては失格」というような眼で見ていた。
しかし、会社が倒産し、次々に同僚が新しい職場探しに奔走して退職していく中、最後まで敗戦処理として会社に残る姿は、退却するしんがり武将のようであった。
その後も、何故かめぐり会う仕事はことごとく「尻拭い」「敗戦処理」
あ~、なんて運の悪い人なんだろうと思うと同時に、何があっても投げ出さない姿勢に感心する。
そして水面下で…ちゃんと見ている -
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篠田節子さんの著作は「女たちのジハード」に続き、2作目。「女たちの」も面白かったが、こちらはもっと迫力がある。先がどうしようもなく気になり、一気に読んでしまった。案外評価が低いようで、驚いている。
個人的にこういった不気味な話が大好物である。日本(特に地方)固有の暗さ・怖さがある。ストーリーは、出版社に勤める主人公が書きかけの小説を見つけ、その先が読みたくなり、舞台となった東北地方に行方不明の著者を探しに行く、というもの。ジャンルとしてはミステリーだが、単なる謎解きや犯人探しではなく、宗教を通して人生の意味を問いかけるようなものになっている(こう書くと陳腐に聞こえてしまうが)。
少し難解な箇所 -
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ネタバレや~っぱおもしろいなぁ~。
登場人物の面々が、(ほとんどがおっさんか老人たちかばかりなのですが)それぞれ持ち味を存分に発揮してくれてます。こんな小説好きなんだよなぁ~。
普段小説の読み返しなんかめったにしない自分が、忘れた頃合を見計らってまた何度でも再読したくなってしまうほどです。
そしてまたこの、読後感が何とも言えず良い。人生、勝負を仕掛けるのに遅すぎるなんて事はないもんだ!て事を、読み返す度に改めて認識させてくれます。すごく勇気になる。
そしてそしてこんなメッセージも・・・
“未来も金もプライドも何もない。失う物がないんだから、何でもできるんだ。やってみようよ。”
とにかく。自分の人生 -
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篠田節子といえば、重厚な長編の『聖域』を心から楽しく、また感動して読んだ。
そんな印象があったので、この変わったタイトルの短編集を手にしたとき、さて、どんなものだろう、と、まずはわくわく感から入った。
あらたまったフルコースをいただいたレストランで、ふとカジュアルなランチコースを見つけたような。あ、ちょっと試してみようかなあ、というような。
タイトルがまず、そそられる。これはSF好きなら必ずぴんとくる、SFの古典的名作で、映画『ブレードランナー』の原作ともなった、『アンドロイドは電子羊の夢を見るか?』から発想を得たのは間違いないであろう。あ、このひと、結構、SF好きなのかな?とおもってしまう -
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ネタバレ豪農の跡取り息子40歳が見合いするも話がまとまらず、アジア人の若い女を妻にしようと実行するところから始まる、
よくあるアジア人嫁の話かと思ったら、
嫁はネパールのさらに北のはずれ
(ゴサインタンという山の麓の村)から来た、言葉も通じない、食べ物や風習も全く違う、工場で働くとだまされて連れてこられた女性だった
そして農家の姑と夫にいじめられて心折れて逃げ帰るかと思ったら、
神がかりになり、教祖になり、夫から財産のすべてを奪い、(奪うというか、捨てるしか救われる道はないと説く)
怪しい新興宗教と思われる比喩も登場し、
宗教の行きつく先、人生の救いとか幸福とか、人間の生きていく上での価値観を -
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失業し、奥さんや不倫相手も去っていったどん底状態の正彦&矢口。この2人がビジネスとしての新興宗教を立ち上げるところから物語が始まります。
食うや食わずの貧乏時代を経て、森田社長を信者として獲得したあたりから宗教団体は大きくなり、宗教ビジネスは軌道に乗っていくのですが、、、というところまでが上巻です。
正彦が元都庁職員の知識と経験を生かして信者を獲得していくところは結構リアルで、こんなにうまく行くわけないやんな〜と思いつつも引き込まれていきました。教団は順調に大きくなっていくのですが、なんとなく破滅への影もチラチラ見えてきて、「この辺でやめといたほうがええんちゃう??」とドキドキ。
正彦&矢口 -
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忘れられない作品は誰にでもあると思う。私の場合はこれの表題作だ。中学生か高校生くらいに読んで、ショッキングで影響を与えた作品。タイトルを失念してしまい、覚えている内容を頼りに探していたのだが、ようやく見つけることができた。
昔はただ漠然とした気持ち悪さを感じていただけだが、大人になって読み返すと作者の皮肉と現代社会の問題示唆が見える。全て1990年代に発表された作品だが、今読んでも時代感というか、まったく古さを感じないのが凄い。
あと、篠田節子の作品を読むたびに感じ入るのが、メタファーの巧みさ。
【幻の穀物危機】
パニックホラー
東京に大震災が起きる。首都圏は壊滅。伝染病が蔓延り、避難民 -
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ネタバレすげえ力技の小説。
勿論、力だけではなく上手い小説でもあるんだけど、読み終わった後の疲労感が「オモロかった」より「読み遂げたぁ」という感想になるあたりが、力でガツんとホームラン打たれた感がするのである。
新興宗教をテーマにしている小説。宗教観については個人的な見解も色々だろうし、そこをなんやかやというつもりはない。宗教とか救済とかその手の事についてどう書いてあるか気になる人は、この作品を読んで自身の感想をもてばよいと思う。
「絶対信じる」と言うた側はそこで思考停止する言い訳をしてるのであって、またそれを受け入れた側が思考停止を認めた段階で相手を人間として扱っていないことになる。
マスコミ