篠田節子のレビュー一覧

  • 本からはじまる物語

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    全体的にかなりのショートショートで18人の作家で有名な作家も取り揃えて234ページとは、かなりお得感がある。
    そして、それぞれが書店や貸本屋、本にまつわる出来事を綴っていくのはおもしろかった。

    本を読むのが苦手な人もこのくらいの短さであれば読むのも楽なのかなと思った。

    個人的には下記が印象に残ったが、
    それぞれの作家さんがこんな短い話しにきちんと自分の色を出しているのはすごいと思った。

    十一月の約束 本多孝好
    サラマンダー いしいしんじ
    読書家ロップ 朱川湊人
    閻魔堂の虹 山本一力

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    2025年10月05日
  • ゴサインタン 神の座

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    これは一人の男性が、自分の人生の責任を認識するということをテーマにした小説と捉えた。
    この類の男性の通過儀礼をテーマにした小説は多々あるが、本作はそれらの作品とは一線を画した、ジェンダー問題への鋭い示唆に富んだ作品だ。
    ある出来事が起きて、「俺は変わったんだ」という言葉と共に、何も変わることなく生きている男性は多い。
    口だけではなく実際に新たな責任を背負うためにはとても困難な認識の変化が求められるが、それは革命的な転換ではなく、牛歩的なプロセスであることを本作は示している。
    主人公の行動描写と内的描写が撚り合わさり、その遅々とした歩みを描き切っている点、本作は未来を先取りしていると感じた。

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    2025年09月26日
  • 家鳴り

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    ネタバレ

    災害が起こり食べる物を求めて集団で人を襲う、襲われる方も身を守る為に相手を殺す..えげつない

    代わり映えのない日常だったり、穏やかな日常の中に小さな不穏が混じってて後半に一気にその不穏が暴走するような話ばかりだった
    それなのに終わり方が温いというか前向き
    なんだか最後幸せそうな空気が出ているそれが地味に怖い

    大きな災害、育児放棄の家庭、介護問題、夫婦格差、不景気に不倫、扱いにくい子供と虐待と社会問題がたっぷり詰まってました

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    2025年08月29日
  • 夏の災厄

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    篠田節子さんの作品は女たちのジハードぶりの2作目で
    夏だし、と思って表題で手に取りました。
    パンデミックの話で、コロナの以前に描かれた本でしたが予防接種の薬の認可やみんな家に引き篭もり、閑散とした町や飲食店、まるで予言していたような本でびっくりしました。
    作者の医療や行政についての知識にも感嘆しますし、この作品を描くにあたりさらに資料を集めたり様々な調べものや取材などされたであろう事にも思いを巡らせてしまいました。
    さて、小説としては、医療や行政の話としても感慨深く読めますが、わたしとしては登場人物ひとりひとりが個性的に描かれていて読んでいて楽しかった。小西、普通のサラリーマン、よけいな波風立

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    2025年08月01日
  • 女たちのジハード

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    ネタバレ

    面白かった!
    時代背景が古いなと思ったら25年前に
    描かれたものだったのですね。
    5人の女性がたくましく成長していく姿が描かれており
    読んでいて気持ちがいい。
    紀子だけは好感が持てなかったのだけれど
    解説を読んだら男性審査員の間で一番評判がよかったのは
    紀子だったとか。
    分からないもんだなと思いました。
    それぞれの5年後の姿を見てみたいと思える作品。

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    2025年06月08日
  • 本からはじまる物語

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    面白かったー。
    「本」からはじまるのがテーマといっても、それぞれの作家さんごとにアプローチが違って、ジャンルもそれぞれで楽しかった。
    恩田陸さんの「飛び出す絵本」、「飛び出す」の意味をそう持っていくか、というのが面白いし、阿刀田高さんの『本屋の魔法使い』も素敵。石田衣良さん三崎亜記が久々だった。
    どれもよかったけど、やっぱり、なんと言っても朱川湊人さん!ここで猫の話が読めるなんて、最高すぎる。朱川さん、大好きだー。お初の山本一力さんも猫♪
    はい、もう、これはかんっぺきに猫本である!!

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    2025年05月26日
  • インドクリスタル 下

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    全てを理解するのが難しいと思えるほど、
    インドは広い。

    歴史、風習、宗教、経済、文化があまりにも違いすぎ、多種多様といった言葉では形容するにはあまりにもインドという国が抱えている闇が深い。

    2025年現在世界一の人口を抱え、指定部族の数は600以上ある。インドという1つの国にまとまってはいるが、ここまで文化が違えば別な国と思ってしまうほどだ。
    また、この物語を複雑化させているのは、
    イギリスの植民地時代の名残り、馴染みのないカースト制度だろう。

    古い慣習に囚われ、自由もなく、虐げられ、暴力によって支配された世界が少しずつだが、変わっていく希望の物語であると思うが、自分の目で確認できること

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    2025年03月11日
  • 失われた岬

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    ネタバレ

    カリスマ主婦、ノーベル文学賞作家、由緒ある名家の令嬢…北海道の片隅にある岬に引きよさせらた、彼らの謎を追うミステリー。
    経済も国力も停滞し衰え、インフラ整備や外国の侵犯にも手をこまねく近未来の日本を舞台に、不老不死や若返りの妙薬の謎を追いかける話になっていく。

    ミニマムとか断捨離とかにあこがれ、少しずつでも実践しているのだが、その極地である欲望を制御しきった先にある生き様を考えさせられた作品。不老不死の謎を解明したシーンには共感と同時にちょっと背筋が寒くなる気がした。

    ギラギラした欲望を排除して灰汁の抜けきった生き方は平穏ではあるけれど、外から見れば不幸で無力に見えるのかもしれない。それは

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    2025年03月05日
  • 竜と流木

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     軍人の父と日本人の母を持つジョージは幼い頃から、父の休暇シーズンになると、太平洋上の小島で過ごし、その近隣の島「ミクロ・タタ」で出会った愛らしい両生類「ウアブ」に魅了されたことがきっかけで、二十代後半になった今では、「ウアブ」の研究者としてその世界では知られた存在になっていた。「ミクロ・タタ」の経済の発展のために、絶滅の危機に追い込まれたウアブの生育環境を守るために、外国人富裕層向けリゾートを建設し、他の島々より一足早く発展を遂げた「メガロ・タタ」にウアブを移動することになった。生態系の変化への懸念はあったにも関わらず――。

     というのが、本作の導入です。『仮想儀礼』や『弥勒』で分かってい

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    2025年01月30日
  • 絹の変容

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    動物パニック小説、たかが15センチの虫(?)に脅かされる世界って…
    展開の速さと、リアルな恐怖感が絶妙

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    2025年01月23日
  • 冬の光

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    主人公はもちろんですが、登場人物が豊かな設定で濃いです。さらに、もちろんですが、人物像設定以外も濃いです。

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    2025年01月18日
  • 斎藤家の核弾頭

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    2024年に某制度を国民に事実上強制した、「デジタル」といえば何でも許されると思っている、実力と乖離して意味不明に自信満々な、あの某世襲政治家が憧れていそうな超管理社会ディストピアを描いた小説。
    抜群に面白い。
    1997年に刊行されたとは思えないほど、いまの現実社会とこの社会が目指してるものを正確に皮肉り嘲笑っている

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    2025年01月09日
  • 女たちのジハード

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    前半100ページ程はなぜ?直木賞受賞したのって感じだった(康子さんの競売物件、紀子さんのDV騒動)が、東大病院の医師、理想の夫を獲得したかに見えたリサが発展途上国民族への支援という男の夢に殉じてネパールへ旅立つ、翻訳家を目指し搾取され、遂にアメリカ留学し、英語で生きることをやめ、ヘリコプターパイロットを目指す紗織、脱サラトマト農家との出会いから食品加工で起業をはじめる康子。怒涛の聖戦、ジハードでした。『鉄道員ぽっぽや』と直木賞受賞を分け合った作品だ。小気味いい作品です。みんながみんな『たった一つの自分の人生を選び取る』お話です♪

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    2024年12月03日
  • ゴサインタン 神の座

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    アジアからの花嫁。八王子の豪農の息子。新興宗教の教祖。ネパールの貧困と神聖。よくもこんな話が誕生するんだとその着想、描き切る筆力の感心させられる。300ページ過ぎた辺りでどこに連れていかれるのか不安になりながら、カトマンズのゴサインタンで「日本から男が一人、求婚しにきた。それだけだ。金はないが、体は丈夫だ…畑仕事は得意だ」で長い旅路が終わった、そして「耀くばかりに無邪気な笑顔」…神の座の物語。

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    2024年12月02日
  • 斎藤家の核弾頭

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     首都圏大地震や出血性激症性感染症の大流行、経済混乱による物不足を受けて、家族主義を単位とする国家主義が復権し、国民能力別総分類制度、反体制派からは、「国家主義カースト制度」が導入された2075年の日本が舞台。30年近く前の作品なのに、物語のいたるところに、〈今〉を思わせて、読んでいてなんだかとても怖くなる作品です。

     階級制度が敷かれた日本で、特A級の市民である最高裁の裁判官だった斎藤総一郎は職を追われ、国家からは家族共々、現在住んでいる場所の移転を命じられる。やがて移転先で目にする光景に総一郎は――。

     ということで、後半は壮大な戦いの物語にもなっているのですが、特に魅力的だなと思った

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    2024年11月11日
  • 仮想儀礼(下)(新潮文庫)

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    怒涛のラスト250ページ。放心状態だ。主人公の二人の男たちが本当の宗教家へ脱皮していく様が痛々しい。

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    2024年10月08日
  • アクアリウム

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    10年ほど前。
    古本屋の一冊百円のコーナーにあり、題名が目に留まり買った。すでに帯もカバーもないのでなんの前情報もないまま読んだのだけど、面白かったので、色んな人に貸した。
    どんな話か知っていた方がいい場合もあるけど、何も知らずに読む本はどこに連れて行かれるか未知で面白い。

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    2024年10月04日
  • ゴサインタン 神の座

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     測りし得ない作者の創造力に圧倒された。
    一人の人間の変わりゆく様々な欲を味わえた気がする。
    農村地方内での人間関係、家系、また人が加わるその人の内情、ありとあらゆる様々な色の染まった絵画のようで面白かった。
    今の自分の概念が変わる作品に出会えた。

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    2024年09月16日
  • 夏の災厄

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    とても面白かった。

    ただ、首都圏が被害にあってないので
    国民が他人事のように書いてあるが、
    新型インフルやコロナであんなに大騒ぎしてたのに
    死者があれほど出たこのパンデミックで
    あのような扱いはないなと思った。

    しかしコロナの時も思ったが
    所詮はよその国頼みなんだと哀しく思った。
    日本人は医学界でも優秀だと信じたい。

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    2024年09月11日
  • 四つの白昼夢

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    日常に起きた、白昼夢のような四つのお話。
    不可思議な話のようで、蓋を開けてみれば意外な事実。
    そう思って、安心して読んでいたら、最後の二つは不思議話と、バリエーションに富んでいて、でもさすがの文章力で読ませてくる。コロナもうまく絡めてあるところも、さすがとしかいいようがない。ベテランの筆致をみた。

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    2024年09月08日