篠田節子のレビュー一覧

  • 銀婚式(新潮文庫)
    1人の平凡な男性が、挫折や苦労を味わいながらも、ひたすら人生に対し真剣に向き合って生きる姿を描いた小説ですが、サスペンスでも推理小説でもないはずなのに、なぜか、あっという間に読み終えることができました。
  • セカンドチャンス
    読後感が爽やかだ。相性がいいと思える作家の作品はサクサクと一気読みしてしまう。5日ぐらいかけて楽しみたかったが夜に読み始め翌日の夕方に読み切ってしまった。
    主人公の麻里は不摂生な生活から抜け出し、スイミングスクールに、通い実に健康的になった、それだけの話。
    とは言え当事者にとっては「それだけ」では済...続きを読む
  • 本からはじまる物語
    本が好きな人には是非読んでほしい!
    本と人との関わり方、大切な本の思い出、ファンタジーな物語もあり、、、

    色々な方のストーリーをいっぺんに楽しめる欲張りな本です!!
  • 長女たち(新潮文庫)
    現代の日本人が抱える高齢者介護の問題を考えさせられました。親子の関係性が密だと言われる現代。その先にある問題でもあるように感じました。
    3つの物語で構成されている作品ですが、介護に答えがあるとしたら、真ん中の作品の中に見出せるのではないかと、考えさせられました。世界には、死を日常の一部として捉える…...続きを読む
  • セカンドチャンス
    50歳を過ぎて始めた水泳の話だが、すんなり泳げるようになったりはしない。林真理子が「篠田節子にハズレなし」と言っていた通り、リアルでうまいと思う。
  • セカンドチャンス
    人がちょっと頑張ったり意識を変えたりして成長する・・・という、まあありがちなお話なんだけれど、主人公が50代独身の高血圧のおばちゃんというところが面白かった。ワタシもまた高血圧のおばちゃんの一人だし、ワタシも頭皮アレルギーで白髪染られない。親近感ある~。
    おばちゃんも、これからたくさん楽しいことある...続きを読む
  • セカンドチャンス
    爽やかで爽快な気分になった!
    介護を終え、健康にも問題を抱える中年女性が、夢中になれるものを見つけて、輝いていく。
    個人的に古矢さんがとても好き。
  • 竜と流木

    小島の生態系は流木がつくる

    太平洋ではないが、そこにある島の地元民に教えてもらったことを思い出した。たしかイブキ島とかいう意味の名前で呼ばれていた。イボク島とも言うんですよとその島の異名を教えてもらったりもした。小説の舞台となった太平洋の小島のように周辺の海流の流れは少し海岸線から離れるとすごく早い。また季節と月の位置による潮...続きを読む
  • 失われた岬
    高潔な女性が人知れず北海道に隠棲する。そんな些細な始まりは予想もしなかった展開とスケールの大きな広がりに発展。ミステリでもないのに、久々にページを貪りました。秀作です。
  • 肖像彫刻家(新潮文庫)
    「生きているような、魂がこもった彫刻」を作れる彫刻家のとほほな体験談。

    「魂がこもった」というのが比喩的なものではなくて。生きていた時よりもリアルに心の裏側までも語り出す。
    50代の彫刻家のそれまでのアーティスト人生や家族との関係がとてもリアル。

    篠田節子さんの小説は大作が好きで今まで読んできた...続きを読む
  • セカンドチャンス

    ホッ……

    篠田節子が好きで ほぼ単行本購入 本好きとしては 単行本購入が矜持 が! 本屋さんに行きづらい 終活で増やせないとなると
    ここはほんとに有り難い <セカンドチャンス>は
    エッ!? どーした!と?何が次に来るのか 不安がよぎりながら読み進むも  個々が優しくて終わる わきまえた大人の優しさ 
    ...続きを読む
  • コンタクト・ゾーン(上)

    東南アジアからウクライナを想起

    架空の国の多民族が割拠する南方の島での物語.作者の篠田節子は昔からすごい!と思っている.何十年か前のことだが東京に住む知人と喫茶店で翌日の打ち合わせというか雑談をしているときに篠田節子はスゴイと盛り上がったことを思いだした.その当時もコンタクト・ゾーンは出版されていたような気がするが,最近ロシアによ...続きを読む
  • 夏の災厄
    行政の鈍さ、見えぬ医学界、デマ、ワクチン不足…。
    あ、これもこれもと、このコロナの時代、まじまじと思い当たることがらがのオンパレード。

    「そんなことより、最前線に弾と兵隊と兵糧を送ってきやがれ」
    小説の中でも現実でも、現場の方たちには本当に頭が下がる。
  • カノン
    ホラーというホラーではなく
    読み始めると
    独特な世界に
    引き込まれて行きました。
    各々が過去に縛られてたんだなぁと
    いう風に感じました。
  • 肖像彫刻家(新潮文庫)
    もうひと波乱、何かが起きることを期待したまま終わってしまった焦れったさが、「後を引く面白さ」とか「余韻」とかいうものなんだろうと思う。

    レオニダスとニケも、田んぼの中できっと何やら呟いているに違いない。
  • 夏の災厄
    刊行が1995年だという事に驚く感染症パニック小説。ガツガツ読まされました。30年近く開きはあるのにこの頃も現在も組織の上の方の対応の遅さに暗澹とした気持ちになります。
    篠田節子さんどうやら市役所のそういう部署にいらしたらしくて、役所の人々に現実味ありました。おばちゃんパワーが格好良い房代さんと、ヒ...続きを読む
  • 失われた岬
    現代から戦後、近未来までを描く、長大なスケールの物語でした。
    前半はぐいぐい引き込まれましたが、後半スローダウン気味に…果たして作者は何を言いたいのか?失われた岬とは何なのか?
    一読した自分なりの感想ですが、幸福とは何か、人々の欲望の行き着く先はどうなるのか、を考えさせられました。人の欲望は歯止めが...続きを読む
  • 肖像彫刻家(新潮文庫)
    主人公の高山正道は、イタリアで著名な彫刻家の下で長年修行し、実績を積んで帰国したにも関わらず、日本では全くもって仕事の見通しが立たず、怖い姉から「オラッ!あんたは何してんのよ!」と叱責されっぱなしの情けない生活を続けていた。正道は素直でお人好しなのだが、世間に疎過ぎるのが欠点。そんな正道が忍びなかっ...続きを読む
  • 失われた岬
    物語の設定や人物の背景がしっかりしているので説得力がある。スピリチュアルでSFチックなお話かと思いきや、意外にもそれなりに化学的で現実的な物語にシフトしていく。好みとしてはもっと幻想的な方向に振り切って欲しかった。でも読みごたえがあり、とても面白い小説だ。
    ヒグマの恐ろしさと漢方の魅力が印象深い。
  • 愛逢い月
    6つの短編作品は、それぞれ独特の雰囲気を醸し出していて飽きることがなく、ひとつひとつ嚙みしめながら読んだ。

    『秋草』という作品の中に「芸術の毒にあてられると、破壊するか自殺する」という話がある。本当にあるんだろうか?
    アーティストではないけれど、そんな心を奪われるものに出会えるのは、ある意味幸せな...続きを読む