篠田節子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
「絵を描ければ、それだけでよかった…」本の帯に書かれた一行は、物語の中心であるマリンアートの作者ジャンピエール・ヴァレーズが発した言葉なのか、それとも別の誰か?
偶然見かけた海の絵に引き込まれた有沢真由子は経済紙の美術専門出版社に勤める50代。
かって問題ある売り方で一大ブームを起こしたアートの再燃かと疑いながらそのその絵に魅せられていく。
金髪の魅力的なダイバーである作家という触れ込みのヴァレーズはどんな人物なのか?
以前現実にブームを引き起こしたクリスチャン・ラッセンの絵を思い浮かべながら読み進めた。
物語はハワイ島へ。ヴァレーズの妻という日本人やマリンアートを描く人々を通してヴァレーズの -
Posted by ブクログ
ジャーナリズムの世界に飛び込んだ主人公の寿美佳は、素人が発信する大量の低俗な情報と競いながらもなんとかフリーのジャーナリストとして生き残って来た。
ある日、発生生物学分野のクセナキス博士の妻と名乗る女性から、主人を救い出して欲しいとの依頼があった。
当時の保守政権下のアメリカ大統領から、博士が訴追される事態に追い込まれ、その直前に博士はオーストラリアに逃れた。
しかしオーストラリア政府はアメリカに忖度したのか、政治犯として博士を逮捕し、摂氏60度に達する砂漠の真っ只中に存在している悪名高い精錬所を併設している鉱山で、博士は強制労働に充てられているとの噂があった。
その地から夫を救ってくれと云う -
-
Posted by ブクログ
銀婚式というタイトルからイメージしていたストーリーと良い意味で違っていた。
男性が主人公なので、男性ぽい価値観や行動が印象的だった。が、作家さんは女性であり驚いた。
ジェンダーレスの時代を生きる男性が、この主人公の年齢になった時、共感するのはどんなところなんだろう。
そんなこと思う自体が間違っるのか…。
どんな時代になっても、人は必ず老いていく。
ひとりで生きていける強さも必要だけど、誰かと支え合うための強さと優しさも必要な気がする。
気づけば銀婚式だったという、時間の流れは尊く、そこに家族や愛おしい存在があることは本当に奇跡でしあわせなことかも。
-
-
Posted by ブクログ
ネタバレリアリティのある文章。恋愛と結婚、男女関係、信仰、社会的地位、男社会の競争。欲のままに生きた等身大の男の人生と、どこか冷静でありながらも父の残像を追いかけ辿ろうとする次女の決意。他人事にはなれない物語がそこにはあって、引き込まれた。
康宏は紘子を青臭いと揶揄していたが、康弘こそ青二歳のままだったと思う。
結婚、家庭、孫という安定的で凡庸な幸せに満足せず、一時的な同情や情事に自分の存在意義を見出さそうとしていた。
四国遍路での結願を経て、漸く家族のもとへ戻ろうとした時に命を落とした。自分勝手に生きた代償なのか、
康弘を家族のもとへ帰ろうとさせた動機は、四国遍路の終了が主ではない、気がする