篠田節子のレビュー一覧

  • 竜と流木

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    美しい島の描写から始まり、あとは怒涛の展開。希少生物ウアブの秘密と身勝手な人間の策略。人間のエゴがまるごと曝け出された象徴的な一冊。スピード感があり最後まで読み切ってしまう。人間と共生していた幼生から凄まじい出来事が起きて尚、最後まで生き残ったウアブの末路に生命の力強さを感じた。

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    2023年05月08日
  • 介護のうしろから「がん」が来た!

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    認知症と乳癌と、想像されるフィクションではなく、実際のリアルが語られてるエッセイ。

    いい事も悪い事も、包み隠さず、筆者の気性かおおっぴらに語られていたのが好印象でした。

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    2023年02月09日
  • 夏の災厄

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    すでに今年の3冊を選んでしまったあとだったので、ベスト5に入れようかと読み終わった今、思っています。

    新型コロナが中国で発生した頃、遠くの出来事だと思っていたこと、ワクチン接種券の送付に関して、全国でどこが早いとか遅いとか住民は言いたい放題だったこと、ワクチンの開発認可に入手、複雑な事情がこれを読んで少しは理解できた気がします。

    海堂尊さんの文庫版解説にあるように、各々が主義主張を持つ登場人物がよかったです。

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    2022年12月10日
  • 銀婚式(新潮文庫)

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     篠田節子さんに魅せられての二冊目です。
    大いに笑わせて考えさせられた、一冊目『百年の恋』とは、対照的な物語をリアリティでグイグイ引っ張てくれる読み応えのある傑作です。
    篠田節子さんに更に惚れました。


     高澤修平の順調と思えた人生に、離婚、何度かの転職、息子の受験の失敗、新たな恋の難しさ、介護、と荒波が次々と押し寄せる。
     だが、この男性、仕事に、人に、実直でいて誠実なので、無職になっても、鬱になっても、葛藤の中、助けてくれる人が不思議と現れる。 そんなシーンに何度も涙する。
    そして、彼のような誠実なサラリーマンがこの世の中を支えているのだと、また胸が熱くなる。

     高澤たちの『男の本文は

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    2022年09月18日
  • ロズウェルなんか知らない

    ネタバレ 購入済み

    ロズウェルその後を知りませんか

    連載時にはまってしまい翌月号が待ち遠しかった。もうあの頃とずいぶん日本はかわったような気分で読んだ。しかし地方は都会のように巨大な建築物ができることもない。ただ廃村寸前の村という存在そのものがもうアキラレてしまったような気がするし、・・・と一軒家というようなフレーズが日常会話にでるくらいだから、田舎の村や集落の価値がもう失くなってしまったのかなとテレビを見ながら思う。UFOやアルミ箔の宇宙人を仕掛けた主人公グループのひとりが午前4時に目覚めて帳場のパソコンでメールを読むと、批判や中傷のメッセージに混じって著名人から応援のメールがあったりという場面は、地方にいてちょっと目立った活動をした経験のあ

    #シュール #笑える

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    2022年09月19日
  • 百年の恋

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    面白かった〜。

    特に、真一が本来は母親がやるべきことと
    思いつつ、きちんと育児をこなしてるところ。

    女だからって、初めから
    育児ができるわけじゃない。
    本読んだり、人の話聞いたり
    色んなヒト、モノやコトに助けてもらいながら、
    試行錯誤して育児してる。
    それで、少しずつ親になっていく。

    産めるか産めないかの違いはあるけど、
    育てられるかどうかに男女の違いはないよね。

    男が働き女が家を守るだなんて、
    ほんとに誰が決めたのか、
    古臭い価値観だとあらためて思う。

    得意な方が引き受ければ良いし、
    得意というほどでなければ、
    半々でいいんじゃないかって思う。

    「百年の恋」と来たら、
    「冷める」

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    2022年09月08日
  • 百年の恋

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    ネタバレ

     篠田節子さんの小説は、初です。 まずは読みやすそうな作品をと、『百年の恋』を選んで正解でした。
     とにかく、痛快。 
    何度も何度も笑わせて、ときに考えさせられ、思わぬところで泣かされて・・・ファンにならざるおえない、さすがです。

     さえないライター家業の真一の3歳年上のスーパーエリートの妻・梨香子への" 声にはならない悪態 " が、コミカルに描かれていて、面白い。

     妻と母の長年の確執におろおろ、エリート元カレ⁈との仲を邪推して嫉妬、次々と叩き込むエピロードに、揺れ動く真一の心。 ついには諦めの境地か。

    『お茶は裏千家、お花は嵯峨御流、煎茶道も一通りはできる。それで

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    2022年07月23日
  • 夏の災厄

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    コロナ禍の今、この作品を読むと、これが25年近くも前に書かれていたことに驚く。
    かたや新型インフルエンザ、かたや新型日本脳炎という違いはあれど、役所の縦割り、前例主義、事なかれ主義、利益重視の医療機関、ワクチン開発の闇、デマに踊らされる人々、自殺の増加、挙げればキリがないほどの類似性に、篠田節子の社会を見る目の確かさを思う。

    現場で人がどんどん死んでいるのに、新しい法律を作るべきか今までの法律でいくべきかを悠長に議論している国とか、専門家会議の人選を専門性を優先しないで人事的な観点で決める厚生省とか、今もこの手のことが私たちの見えない所で山ほど起こっているんだろうな〜と思わせるリアリティは、

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    2022年07月07日
  • 肖像彫刻家(新潮文庫)

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    とても面白い!すっかり篠田ファンになりました。解説で、篠田さんがいま注目の作家という話をしていた時に、宇能鴻一郎をあげていた、という挿話が載っていて、さらに好きになってしまったw

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    2022年06月25日
  • 介護のうしろから「がん」が来た!

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    キレのいい話しです。

    母親は 看護婦さんだった人

    身体も丈夫 気も強い 仕事もできたんでしょうね。

    痴呆になると大変です。

    二人部屋の 相手の人を叩き出したり

    一方 篠田さんは乳がん

    かの有名な 聖路加病院に入院

    食事は 派手ではないが美味しい!と書いてある。

    乳がんて 全摘すると こうなるんだ!

    乳房の再建手術って大変そう

    そのあと 痒いんだ

    なんて思って一気に読みました。

    自分はガンだけど 介護は続く

    施設移るのって大変だったよな!

    と思い出しました。

    パワフルな娘とパワフルなお母さんです。

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    2022年05月10日
  • 聖域

    購入済み

    自分の中では、篠田作品No.1

    もう初版が出た時に読んでますから、20年以上は経ってますよね。

    紙媒体(ハードも文庫も)だって持ってるのに、いつでも読める様にしておきたいが為に電子にて購入しました。

    内容については、他の方のレビューで沢山書いてあるので、そちらをご覧くださいw。

    とにかく、自分の中では篠田節子さんの作品で断トツのNo.1だと、力強く言い切れる大傑作です。

    物語の殆どが、頭の中に映像化されて保存されていて、こんなに物語に没入して頭から離れない作品はそうそう有りません。

    それぐらいの圧倒的な興奮、感動を喚ぶ、極めて優れた娯楽小説です。作中作の方すら書籍化して欲しいぐらいです。

    #感動する #深い #ドキドキハラハラ

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    2022年04月11日
  • 仮想儀礼(上)(新潮文庫)

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    生活に困って、新興宗教を立ち上げた主人公のお話。始祖として、試行錯誤しながら成り上がっていく姿が上巻。さくさく読めます。入信してくるのは訳ありな方々ばかりで、こんな世界もあるのかと、ホラーとは違った怖さを覚えます。

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    2022年04月04日
  • 長女たち(新潮文庫)

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    ネタバレ

    「家族だからできる」と言われていることは、家族だからこそできない。きっと、家族だから、より残酷で、逃げ場がなく、追い詰められていく。最後の一言を何度も呑み込みながら、耐えながら。

    3編の主人公は、このままでは逃げ出すしか救われない。そんな気がする。介護退職なんてもっての外、どうやって生活するの?看取った後、どうするの? そんなことを考えてしまう。
    親と対峙する必要があるのかもしれないけど、「家族だから」できない。絶対に、ヘルパー、介護システムを頼るべきだと思う。令和の時代だから。

    高齢化が進むことによって、健康寿命以降の過ごし方が問題になってきている。特に、介護する側に。「ミッション」で描

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    2022年02月27日
  • 絹の変容

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    そして誰もいなくなった。

    子どもの頃に聞いたお蚕さんの咀嚼音はたった一回だったのに忘れられない。ただ怖かった。
    そのお蚕さんが巨大なんて…
    過去に広がらなかった物はそれなりの理由がある。過去に謙虚であるべきなのかもしれない。

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    2022年01月13日
  • 長女たち(新潮文庫)

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    長女体質…主人公3人の思考、行動、いちいち同意出来た。ヤダヤダと思うけど、生まれてからの環境で、こういった性分は出来上がるのではないか?

    今まさに直美と彗子と同じ状況。
    きっと死ぬまで私は変われないだろうな。

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    2022年01月05日
  • 冬の光

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    はぁ〜‼︎ やっぱり篠田節子さんの小説は、大人のお話なのだ。というか、歳をとってから読む方が、この味わいがわかる気がするのです。読んで良かった。

    四国遍路を終えた帰路、冬の海に消えた父、康宏。企業戦士として家庭人として恵まれた人生、のはずだったが…。死の間際、父の胸に去来したのは、20年間、愛し続けた女性のことか、それとも? 足跡を辿った次女、碧が見た冬の光とは…。

    こんな短い紹介文では表現しきれない、464ページでした。
    読んでる間ずーっと感じていたのは『人生は長く、人は強いけれど弱い。一生、清廉潔白な人などいるだろうか?』ということ。

    紹介文では20年間愛し続けた、とあるけど、それだ

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    2021年12月21日
  • 女たちのジハード

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    個人的に共感したのは紗織。現状を変えたくて動くところも、焦る気持ちも、わかるなあ〜と思った。20年前のこの時代に、女性として生きるって大変だっただろうな。2021年の今は、女性の社会進出が叫ばれて久しいけど、実際は小説の時代と同じような壁や、女に求められるプレッシャー等まだまだある。20年後は今よりもっと女性の生き方がフリーになっていてほしい。

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    2021年11月22日
  • 銀婚式(新潮文庫)

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    やっぱり上手いなぁ〜篠田さん‼︎
    ミステリーのような、とんでもない事件やどんでん返しはないけれど、本人にとっては『大事件』であることの繰り返し。このお話は、歳をとって中高年になってから読んでこそ、面白いと思う!
    最初はちょっと鼻持ちならないエリートに感じた高澤も、読んでいくうちに、その必死さ、真正面から頑張り、もがいていくところが、私は好感が持てました。高澤の人生を速回しで一緒に体験した気分です。
    なぜ「銀婚式」ってタイトル?と思って読んでいたけれど、ラストはしみじみ…。

    個人的には、女子大生が、とんでもないことに足を踏み入れそうになるのを、素早い英断で止めたエピソードが印象深かった。(本当

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    2021年11月17日
  • 女たちのジハード

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    ずっと積んでいた本…こんなに面白いのに何故早く読まなかったのだろう?

    はじめから最後まで本当に面白かった。20才からアラサーまで男女とも大きく環境が変わる事が多い10余年間。
    こういう話を読むと、男性に比べて女性の選択肢が意外に多くて、その10余年間のちょっとしたきっかけが、その後の人生の振れ幅に簡単に大きく響いてしまうのも男性より女性の方なんだろうなぁと思う。だからこそのジハード。
    OL5人がそれぞれの強い思いを持って奮闘する。10年後20年後、この5人はどうなってるだろうか?幸せになっていてほしい。

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    2021年10月26日
  • 女たちのジハード

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    ネタバレ

    篠田 節子 3作品目。

    保険会社の5人のOLの女性ならではの自分との闘い(聖戦)の物語。

    「バリバリ仕事する訳でも、結婚する訳でもない。人生設計ってあるんですか」
    人生設計というものは、いつのタイミングで立てるのだろうか?そして、どれだけの人がその設計通りに人生を送るのだろうか?

    本書は、昭和末から平成初期の話だろう。男性社員は、きっと、”会社”と運命を共にするんだろう。しかし、管理職でもないOLが責任感とか義務感とかで”会社”のために働いて、会社はどれだけ報いてくれるのだろうか?だから、「ジハード」で、会社の中に自分を求める女性はいなかった。この状況は、令和の今、変わっているんだろうか

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    2021年08月17日