篠田節子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
篠田節子さんの小説を久しぶりに読みました。今回も期待通りの面白さでした。
同時に、さりげなく現代社会の問題にも言及していて、今まで自分が知らなかった世界のことを垣間見れたような気がします。
主人公の香織さんの住むマンションお話。
自殺者が出た隣の部屋にヤクザが出入りしたり、香織さんが強盗に襲われたり、色々な事件が勃発します。怖い出来事なのに、篠田節子さんの爽快な筆致に思わず笑ってしまう場面もあり、スイスイ読み進めていけました。
管理組合の理事長になってしまった香織さんと、副理事長になった遠藤さんが、力を合わせてマンションの建設会社の手抜き工事を見破り住民たちと力を合わせて闘うところは、手に汗握る展開でした。
管理室の石山さんや、掃除婦の老女・タケコさんの人柄も魅力的でした。
香織さんと遠藤さんの、その後が気になりつつ、物語は終わりました。
もっと読んでいたいなあ・・・と思いながら本を閉じました。 -
Posted by ブクログ
埼玉県のマンション住まいとしては、読まなきゃならないと手に取った。
マンション内で起きる様々なトラブルに関する連作短編集かと思ったら、30代の会計事務所に勤める独身女性が、埼玉県のとあるマンションを購入。そこでの隣人トラブル、高齢女性の清掃員との交流、管理組合についてなどなど、1人の女性が主人公となる連作短編集だった。
主人公の香織がマンションを1人で購入するだけあって、なかなか気が強く、スカッとする毒を吐くので読んでてこちらも、気分がいい。
マンション住まいだと、隣人はもちろん、住んでいる方達のことも気になるし、管理費、修繕費などについては、「そうそう、そうなのよー」と頷けることが多々あった。
清掃員のタケコさんの孫ちゃんの話は、最近ありがち?とは思ったけど、楽しませてもらった。
篠田さんの作品を読んだのはたぶん『女たちのジハード』以来かも。とても読みやすく面白い文章を書く方なのに、読むタイミングがなかったなぁ。 -
Posted by ブクログ
独身の小坂香織(36歳)は、長期ローンで3LDKの分譲マンションを購入した。
だが、隣人の自殺に始まり次に入ったのはヤクザで、ドタバタとうるさく何度も通報することに…
何人も出入りがあり、挙げ句に出て行った後は、身体ひとつで入ってきた先生と呼ばれる陽気な老人。
マンション掃除のタケコさん情報も凄いが、強盗を追っ払ってくれたりと助けてくれたりもする。
輪番制で回ってくる管理組合の理事長をするハメになり、そこからは次々と持ち込まれる難題に四苦八苦する。
そして、手抜き工事では…という自分たちでは手に負えないトラブルも…。
長期ローンを背負っている身で、そう簡単にはマンションを手離すことなんてできない。
意地でも住もうという気迫が伝わってくる。
それもトラブル無しで、心地よく住みたいと誰もが思うこと。
だったら、とことん解決してやろうとなる香織の気持ちもわからなくはない。
言いたいことは言い、迷いの無い態度にサッパリとした性格の香織。
こういうはっきりした性格、好きだわぁと思いながら次々と起こる問題ごとに、深刻になるより面白さが勝り楽しみながら読めた。
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素晴らしい小説でした。
「家守娘」「ファーストレディ」は、自立していた女性が40代で母親の介護に携わると言うストーリーに、自分の年齢とも重なり、介護と、母親としての女性の心理について考えさせられました。母親の世代は〝自分〟を押し殺して結婚生活を送っていただけに、年齢を重ね、守る存在から守られる存在に変わった時、今までの苦労や悲しみを理解してほしい、尊重してほしい気持ちからか、娘に醜い感情を押し付けてしまっている状況が、息苦しくも切なかったです。
「ミッション」は、文明が発達していない地での医療から、死生観を問う話。
この3つの作品から、40代独身と言う自分と重なる状況に、世間一般から求められる女性の在り方、もう子供じゃない女として求める部分、いい子であろうとする自分、親の世代と違って個々が自立し個人単位で物事を考えることや若い感覚ゆえの適応力から、耐え抜いて生活してきた親を頑固で融通が効かないと決めつけてしまう愚かしさ。生き死にに対する価値観。いつまでも親であること。愛情と束縛。まだまだいっぱいあるけれど、どれもが苦しく切なかった。
人は、自分が自分らしくありたいと、その時間、その時代を大切にしてるのだと感じました。
ほんと良かった!
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Posted by ブクログ
面白かった。
●非常によく練られた物語だった。
●当時のラッセンの絵を思い出す。
●まさか、それをモチーフに、こんな壮大な嘘の物語なんて、話の冒頭では想像出来なかった。
●この物語は個性的なキャラクターが多くいて、特に最初は、主人公の年老いたキャリアウーマン、凄く地味なキャラクターだと思っていたら、巧みな取材能力でヴァレーズに関する核心に迫り、海玲の大麻クッキーなど巧妙な手口を見破るなど、想像できないキャラクターで、対する大麻クッキーなど、巧妙な手口を使う海玲やゴーストライターのグラントササキなど、癖のあるキャラクター盛り沢山で、ストーリーを終盤まで盛り上げている。
●ラストも最初は物足りないなと思ったけど、後で考えたら、この物語の締め括り、これはこれでいいなと凄く読み応えがある素晴らしい話だった。
●ただ表紙は絵の青を表現しているが、地味に見えて、最初地味な話なのかなと、勘繰っていた。
●地味な表紙だけど、本当に面白い、ボリュームはあるけど、みんなに読んでほしいと思える本でした。 -
Posted by ブクログ
タイトル通り不思議な世界に連れ込まれる四遍の白昼夢のお話。「多肉」だけが不穏な空気感で、ゾワゾワした。アガベに取り憑かれた男が、妻、息子、母を失い、仕事、金、人との繋がりも全て遮断しアガベとだけの世界で生きていく。その先に待ち受けていた最後は?
篠田節子さんといえば「女たちのジハード」。
若い時に読んで共感と感動の嵐だった!
そして、2年前のこの一冊。気づけば篠田節子さんも70歳をこえている。描く世界のなんと深淵で慈悲深いことか!円熟した作家さんというのは、こういう文章とストーリーが書けるのか!
今回は、また違った感動に震えた。
「屋根裏の散歩者」
お気に入りの賃貸戸建に住み始めたが、屋根裏で不思議な音が。ミステリーではなく、
主人公の祥子と貴之も穏やかな愛すべきキャラ。
微笑ましいストーリー。
「妻をめとらば才たけて」
電車に骨壷の忘れ物?
ただし、ミステリーではない。
純愛ストーリーだ。
与謝野鉄幹の詩が浮かぶ。
浅羽さんと禮子さんの大人の純愛。周りの理解なんかいらないのだ、本物の愛ならば。
そして「多肉」
悍ましく、悲しい話。
今まで味わったことのない読後感。
究極に悲しい人生だけど、
本人が何かひとつのものに
取り憑かれのめり込めたのなら、
それは逆に至福となるのか?
とても深い話だ。
最後に「遺影」
これは最後のデザート的存在。
義母の遺影写真。どこで誰と撮ったものか?
え?肩に手を回されて、幸せそうな笑顔?
お相手は、まさか?
少しユーモラスなオチでお口直しになる。
年齢と経験を重ねて
こんな豊かな着想と展開と
さすがの筆致と。
脱帽でした!
聡明な歳の重ね方をしていらっしゃる篠田節子さんを
ずっしりと受け取りました。
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Posted by ブクログ
ネタバレ膨大なボリュームだが読む手が止まらない。自分とは比べ物にならない強靭な人物にすり替わることで半田明美は崩壊していった。
女性たちに対する容赦ない描写はこの著者ならではで本当にうまい。
キリスト教の「神は貧しく小さくされた者とともにある」という教えが通底している。
P424 「親身」が通用しない場合もある。時には腫れ物にさわる慎重さや冷めた視線、そして必要と判断したら白百合会を通して専門家に助けを求める臨機応変さも必要だ。
P629 矛盾に引き裂かれても、立場と行動は簡単には変えられない。自分の思考と感情を行動と立場に合わせて変えるほうがはるかにたやすい。【中略】それが極限まで行けば、思考と感情だけでなく、おそらく記憶さえ書き換えてしまうだろう。それが人間、というより、それが人の脳だ。
P632 光は天からなど射してこない。光は深い深い穴の底のあらゆる不幸の詰まった、泥の下から射してきて、神の存在を教えてくれる。救いは低いところにこそある。行動した時は必ず、神様は後押ししてくれる。