女たちのジハード
女たちのジハード 75/100点
『女たちのジハード』は、篠田節子による第117回直木賞受賞作で、バブル崩壊後の日本を舞台に、中堅損保会社に勤める5人のOL(リサ、紀子、みどり、康子、紗織)が、結婚、キャリア、自己実現といった人生の岐路で、男性優位社会や自身の願望と闘いながら、それぞれの「聖戦(ジハード)」を繰り広げる群像劇。(AIより)
○良かった点
・男性優位社会で生きづらさを感じている5人のOLそれぞれの人生が描かれる。結婚=女性が目指すべきゴールというような前時代的価値観の中で”聖戦”後に最終的に着地するそれぞれの登場人物の未来はむしろ令和の今にも繋がるべき価値観であり、全く古臭さを感じない。
・各章で主人公の視点や描かれる人間関係が変わるため、スラスラと読み進めることが出来る。
・「上昇気流」の章で描かれる、リサと出会った医師とのストーリー、特に彼女なりのこれまでの男性経験を活かしたテクニックでアプローチした結果に訪れるある種の悲劇ともいえる展開には思わず笑ってしまった。お気に入りの章。
○悪かった点
・終盤康子が遭遇するある人物との出会いとそこからの展開、および沙織が留学するための費用を得るあるバイトの展開や留学後のストーリーはややご都合主義的な展開でリアリティを感じられない。
・30年近く前の作品のため描かれる会社の雰囲気やいわゆるOLに対する扱いは、良い点にも記載した通りあまりに前時代的であり、その時代を経験していない私が今の価値観に照らし合わせて読むと、例えば途中出てくる専務の振る舞い等、今の時代では一発レッドになるであろう腹立たしくなる場面が多い。ただ、作者自身が役所出身の作家であることからリアリティの欠如というよりはジェネレーションギャップを背景としたものである点は理解できるが。