麻見和史のレビュー一覧
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解体予定のビルで発見された猟奇的な遺体。その手口は10年前の未解決事件と酷似していた。過去と現在が交錯する中、如月塔子たちは事件の真相を追っていく。
シリーズ12作目は、「過去」が色濃く描かれた一冊だった。塔子が新人時代に指導を受けた刑事との再会、普段は多くを語らない鷹野の過去、そして事件に関わる人々が背負う時間。それぞれの過去が現在と交差し、物語に深みを与えている。
印象的だったのは螺旋階段だ。過去を抱えながら一段ずつ歩みを重ね、上り詰めた先で迎える結末。その姿は、人は過去から自由になれるのかという問いそのもののように感じた。
塔子の潜入捜査は緊張感にあふれ、シリーズを読み続けてきた読者には、彼女の成長も大きな見どころだろう。
タイトルの「鏡」は、真実を映す鏡であると同時に、人としての「鑑」でもあったのかもしれない。過去は消えない。それでも、その過去とどう向き合い、未来へ歩いていくのか。事件が解決したあとも、その問いだけは静かに心に残り続けた。 -
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ネタバレ2026/07/23読破
都内でモルタルで固められた遺体が見つかった。その犯人から捜査一課に電話がかかってきた。自分は新橋事件の犯人だ。警察は無能だ。アドバイスしてやると。
犯人から電話相手として気に入られた新人女性刑事如月はトレミーと名乗る犯人の相手をしながら、事件解決に挑む。
その過程で亡くなった父の刑事時代の失敗をしる
警察小説を初めて読んだ。
そのため、ゲソやモン(指紋)という警察用語をへーっと思いながらよめた。
最初の如月が電話相手にされた理由が、きちんと繋がっていて面白い。
途中で犯人が分かり後を追うかたちになるが、なぜ電話をかけてきたのか、なぜ捜査にアドバイスをしたかがしっかりつながっているため読み応えがあった。
最後の被害者は警察だった。。というところがなるほど犯人の行動は全部つながっていたのか、、と驚かされた -
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人の心は、ここまで静かに壊れていくものなのか。
湾岸エリアで発生した猟奇的な連続殺人事件。現場には犯人からの挑発的なメッセージが残され、警視庁殺人分析班の如月塔子たちは事件の真相を追う。
シリーズ11作目の安定感を感じる一冊だった。今回は湾岸エリアという舞台の存在感が強く、掲載されたマップと見比べながら読むことで、事件の広がりや土地の特徴をよりリアルに感じることができた。湾岸エリアならではの仕掛けも印象的で、シリーズの中でも特に舞台設定を楽しめる作品だった。
多くの警察小説が「誰がやったのか」を追うのに対し、本作が読者に問いかけるのは「なぜそこまでしたのか」だ。鷹野や塔子たちは証拠と筋読みを積み重ねながら真相へ近づいていくが、その先に見えてくるのは単なる犯人像ではなく、人の心の深淵である。
タイトルの「凪」は、犯人が犯行を淡々と進める心境を表していたのかもしれない。そこに至るまでには、理性では抑えきれない怒りや悲しみ、憎しみがあったはずだ。しかし感情が荒れ狂う時期を過ぎ、その思いだけが心の奥に沈殿したとき、人はかえって静かになるのかもしれない。荒れ狂う心を通り越し、凪いでしまうほどの憎しみ。その原点となった人物への思いが「残響」となって物語全体に響いていたように感じた。
また、如月塔子という主人公の魅力もシリーズの大きな魅力だ。決して万能ではなく、悩みながらも一歩ずつ成長していく姿は共感しやすく、気付けば事件の行方だけでなく、彼女自身の成長も見守りたくなっている。
犯した罪は決して許されない。それでも真相を知ったとき、そこにあったのは一時の激情ではなく、長い時間をかけて積み重なった思いだった。自分なら違う選択ができたと言い切る自信はない。そんな答えの出ない問いが、読後も静かな残響のように心に残り続けている。 -
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銀座のショーウィンドーに飾られるように遺棄された遺体。
続く拉致事件と不可解な手がかりに、捜査は難航する。
殺人分析班が、歪んだ犯意の核心へと迫る。
安定の面白さで、導入のインパクトから一気に物語へ引き込まれる。
猟奇的な事件でありながら、殺人分析班による筋読みやプロファイリングが丁寧に積み重ねられていくことで、読者も一緒に推理していく感覚を味わえるのがこのシリーズの魅力だと改めて感じた。
事件の異様さだけで引っ張るのではなく、捜査の積み重ねによって少しずつ輪郭が見えてくる構成が心地よく、クライマックスに向けて緊張感が途切れない展開もさすが。
そして今回は、事件の背景が明らかになったあと、塔子と同じように思わず同情の念が湧いてしまった。単なる善悪では割り切れない感情が残る点も、この作品の印象をより深いものにしている。
また、長期シリーズでありながら登場人物たちの言動や役割にブレがなく、それぞれの立ち位置がしっかりと活きている点にも安心感がある。
シリーズ作品としての安定感と、読み応えのある事件性がバランスよく融合した一冊だった。 -
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被害者が残した血文字の「SOS」。
捜査線上に浮かび上がったのは、心を閉ざした一人の小学生だった。
警視庁殺人分析班が、少年の不可解な行動の裏に隠された真実を追うシリーズ第8作。
今回は謎の小学生の存在が物語の鍵となる。なぜ彼は心を閉ざしているのか。不可解な行動の理由は何なのか。どうすれば少年の心を開くことができるのかと、読み進めるほどに気になり物語に引き込まれた。
事件の謎を追う面白さはもちろんだが、本作はどちらかというと人間ドラマ寄りの印象。少年の背景や人の心の複雑さが丁寧に描かれていて、そこも読みどころだった。
殺人分析班の面々の活躍も安定の面白さ。鷹野と塔子の関係性もこのシリーズの魅力の一つで、二人のやり取りを読むのも楽しみ。今回は公安も絡み、捜査パートの緊迫感もあり、シリーズの魅力がしっかり詰まった一冊だった。楽しめた。