麻見和史のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
本作は、タイトル通り「構造」で読ませる物語だった。
事件の異様さに最初は圧倒されるけれど、読み進めるほどに、骨格のように緻密に組み上げられた人間関係と真実が見えてくる。
複雑な構成に翻弄されながらも、最後の数ページで一気に点が線になるあの感覚――まさに麻見作品らしい“知的な快感”。
シリーズを追ってきたからこそ、塔子と鷹野の関係の変化、チームとしての呼吸の深まりも感じられて嬉しかった。
重さの中にある静けさ、悲しみの奥にある理(ことわり)。
ラストを閉じたあと、事件そのものよりも“そこにいた人間”たちの姿が心に残った。
読後は、ただのミステリを超えて、人間の「形」と「欠け」を描く作品として