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Posted by ブクログ
東京西部の山中で発生した立てこもり事件。殺人事件の被疑者でもある犯人との交渉の末、如月塔子は人質交換に応じることになる。だが事件はそこで終わらず、事態はさらに予想外の方向へ動き出していく。
今回は「警視庁殺人分析班」シリーズでありながら、いつもの“分析”だけでは突破できない状況が続くのが印象的だった。犯人の心理を読み、痕跡を積み上げ、論理で追い詰める――そんなシリーズの軸は残っているのに、本作ではそれだけでは届かない。むしろ、極限状態の中で人が何を守ろうとするのか、どこで覚悟を決めるのか、そこに焦点が当たっていたように感じた。
特に良かったのは、塔子の扱い方。単なる“危機に陥る主人公”では終わっていない。閉塞感のある状況の中でも、彼女は彼女なりに観察し、考え、動こうとする。その姿を見ていると、このシリーズは単に事件を解決していく物語ではなく、塔子という人物の成長記録でもあったのだと改めて感じる。
また、今回は「チーム」の物語としてもかなり熱かった。誰か一人のスーパープレイではなく、それぞれが自分の立場で必死に動いている。だからこそ、救出に向けた流れに妙なリアリティがあり、読んでいて感情が乗った。シリーズを重ねてきた積み上げが、こういう場面で効いてくる。
そして犯人側も印象深い。ただ残虐な敵ではなく、「ここまでやるのか」という執念と計算高さがあり、だからこそ緊張感が切れない。読んでいる側も、“安全地帯”を感じられないまま引っ張られていく。
読み終えて強く残ったのは、「砦」というタイトルの意味だった。守る側にも、立てこもる側にも、それぞれ譲れないものがある。そのぶつかり合いが、単なる警察小説以上の重さを生んでいた気がする。シリーズの面白さを残しながら、かなり異色でスケール感のある一冊だった。
Posted by ブクログ
麻見和史『鷹の砦 警視庁殺人分析班』講談社文庫。
シリーズ第10弾。もしかしたらシリーズ最高傑作ではなかろうか。ストーリーはダイナミックに展開し、事件の真相に向かって二転三転、紆余曲折、ページを捲る手が止まらない。
都内で発生した殺人事件。被害者男性の交遊関係から被疑者が浮上し、如月塔子らは被害者を追い詰める。しかし、その被疑者は若い男女を人質に取り、山中にある化学肥料販売会社に立て籠る。あろうことか塔子は女性人質と交換で被疑者の人質となり……
窮地に陥りながらも、無事事件を解決した如月塔子は刑事としてまた一歩成長を見せるのだった。
本体価格780円
★★★★★
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小説・文芸
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