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Posted by ブクログ
麻見和史『凪の残響 警視庁殺人分析班』講談社文庫。
シリーズ第11弾。リーダビリティが高く、毎回楽しみにしている警察ミステリー小説。冒頭から異様な事件の発端が描かれ、瞬時に物語に引き釣り込まれた。前作の『鷹の砦 警視庁殺人分析班』をシリーズ最高傑作ではと評価したが、本作は前作にも優るとも劣らない面白い作品であった。
都内の青海地区にあるショッピングモール内のカフェで客の男が飲み残したクランベリーソーダのグラスの底に沈む切断された二本の指。同じショッピングモール内のアクセサリーショップにも同じ風体の男が二本の指を残し立ち去る。何者かに監禁され、左手の五本の指を切断された女性……警視庁捜査一課の刑事・如月塔子と鷹野秀昭がこの残虐で奇怪な事件に迫る。
やがて、監禁されていた女性は遺体となり、公園に遺棄される……犯人からの警察への挑戦状。再び起きた同様の殺人事件。犯人の目的は……
本体価格780円
★★★★★
Posted by ブクログ
人の心は、ここまで静かに壊れていくものなのか。
湾岸エリアで発生した猟奇的な連続殺人事件。現場には犯人からの挑発的なメッセージが残され、警視庁殺人分析班の如月塔子たちは事件の真相を追う。
シリーズ11作目の安定感を感じる一冊だった。今回は湾岸エリアという舞台の存在感が強く、掲載されたマップと見比べながら読むことで、事件の広がりや土地の特徴をよりリアルに感じることができた。湾岸エリアならではの仕掛けも印象的で、シリーズの中でも特に舞台設定を楽しめる作品だった。
多くの警察小説が「誰がやったのか」を追うのに対し、本作が読者に問いかけるのは「なぜそこまでしたのか」だ。鷹野や塔子たちは証拠と筋読みを積み重ねながら真相へ近づいていくが、その先に見えてくるのは単なる犯人像ではなく、人の心の深淵である。
タイトルの「凪」は、犯人が犯行を淡々と進める心境を表していたのかもしれない。そこに至るまでには、理性では抑えきれない怒りや悲しみ、憎しみがあったはずだ。しかし感情が荒れ狂う時期を過ぎ、その思いだけが心の奥に沈殿したとき、人はかえって静かになるのかもしれない。荒れ狂う心を通り越し、凪いでしまうほどの憎しみ。その原点となった人物への思いが「残響」となって物語全体に響いていたように感じた。
また、如月塔子という主人公の魅力もシリーズの大きな魅力だ。決して万能ではなく、悩みながらも一歩ずつ成長していく姿は共感しやすく、気付けば事件の行方だけでなく、彼女自身の成長も見守りたくなっている。
犯した罪は決して許されない。それでも真相を知ったとき、そこにあったのは一時の激情ではなく、長い時間をかけて積み重なった思いだった。自分なら違う選択ができたと言い切る自信はない。そんな答えの出ない問いが、読後も静かな残響のように心に残り続けている。
Posted by ブクログ
青海のショッピングモールのカフェでクランベリーソーダを頼んだ男がいた。店員は男を不思議そうに観察していて、男が店を出たあと、片付けに近づくと、クランベリーソーダが入っていたグラスの中には人間の指が2本入れられていた。
同日、そのすぐ後、アクセサリーショップにも男は現れ、立ち去った後には同じように指が2本置かれていた。
始まりは唐突に。クリスマスも近い時期。
男による大胆な行動。その後見つかる指を切られた遺体に忍ばせていたメモリーカードに録音された謎のメッセージ。
犯人の意図がずっと分からず、手詰まり状態で、今回は鷹野主任も塔子へお前の筋読みはないか?と何度も尋ねる場面があった。
シリーズが始まった当初では考えられないが、鷹野や他のメンバーからも意見を求められるようになっている塔子の成長、その問に自分なりの考えを巡らせる考察力、本当に成長したなぁと感じながらシリーズの長さも感じられ嬉しく思った。
最後に行われる犯人への調書は、塔子の独壇場だった。トクさんの最後の〆も良い。
塔子の語る、犯人の行動の理由はこうだったんじゃないですか?というのを読んでいくと泣けてくる。犯人は残忍であるが残忍になろうとしてなりきれなかった人である。
地理を使った捜査はお見事、と思った。
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小説・文芸
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