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Posted by ブクログ
麻見和史『殺意の輪郭 猟奇殺人捜査ファイル』朝日文庫。
新シリーズ。
謎に包まれた惨殺された被害者の関係、なかなか見えぬ犯人の姿、何故犯人は猟奇的な殺人を続けるのか……
タイトル通り『殺意の輪郭』が少しずつ明らかにされる、相変わらずリーダビリティの高い警察小説だった。
深川署管内で起きた奇妙な殺人事件。被害者はパートで運送会社で働く手島恭介で、土中に埋められ、何故か溺死していたのだ。深川署の刑事、尾崎隆文はモデル並みの美貌の女性刑事、広瀬佳純とコンビを組み、捜査にあたる。しかし、広瀬の様子が明らかにおかしく、尾崎は捜査の傍ら、広瀬の行動を注視する。
そんな中、第二の殺人事件が発生し、今度は飲食店で働く白根健太郎が両眼を抉られた死体となって発見され、犯人から犯行を自供する手紙が届く。そして、突然、第三の事件が発生し、あろうことか深川署の菊池信吾警部補が殺害される。
最近、殺人事件のニュースが多いような気がする。今朝の情報番組では3件の殺人事件と1件の殺人未遂事件を報道していた。これまでは殺人事件と言ったらせいぜい1日に1件あるか無いかだったのに未遂事件も含めて4件とは異常事態である。理由は分からないが、日本人の本質が変わり始めているのかも知れない。
本体価格800円
★★★★★
Posted by ブクログ
「土中で溺死させる」というあまりに歪んだ手口で始まるミステリー。
捜査に当たる尾崎は、空気を読まない言動を見せつつも上司には従う美貌のバディ・広瀬に翻弄され、本来の自分を出せないまま不審感を募らせていく。
広瀬が空気を読めない風を装っていたのも、すべてはある目的のための徹底した計算。刑事たちの生々しい人間模様や、相棒に対する疑惑と探り合いのドラマに思わず惹きつけられていく。
しかし、終盤で明かされる事件の真相が、そのすべてを塗り替えてしまう。
それは悪意の怪人によるものではなく、「不幸な偶然が重なってしまった」悲劇だった。他人の不幸に鈍感な警察官であってほしくないという願いも虚しく、そこに存在したのはただの「私憤」と、誰も救われない理不尽な現実だけだ。
終わってみれば、途中まで気に病んでいた警察内のバディ問題など、どうだっていい問題だった。
犯人を断罪してスカッとするようなカタルシスはどこにもない。ミステリーのドラマ性すら霞むほど重い石が、読み終えた後も胸の奥にずっと残り続ける。
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小説・文芸
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