桜木紫乃のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ最初の1頁から桜木さんの世界に引き込まれる。ヒンヤリした体感。どこか乾いた淡々とした文体が肌に合う。
道東のさびれた飲み屋街の火災から始まるミステリーは途中はミステリーであることを忘れる展開。
それは、諦めと閉塞感の漂う叙情の世界。主人公節子は桜木作品に多く登場する女性にもれず、どんなことが起ころうとも、生きることに潔い。
読み進めて冒頭の事故へと時系列が追い付いたとき、思いもしなかった形でこの作品がミステリーだということを突き付けられる。
そして、ラストは節子の強さに感動すら覚え、澤木と共に「このまま、このまま」と静かに祈った。 -
Posted by ブクログ
同じ桜木紫乃さんの小説で、似たようなつくりの作品を読んだことがある。
軸にあるのは1人の人物で、主役を変えつつその1人の人物について語るような内容の短編集なのだけど、最後までその人物が語る場面は出てこないから、その人物が実際は何を思っていたのかは分からないまま…という実に謎めいたつくり。
前読んだ作品は女性がその“軸”だったけれど、今回の“軸”は男性。
生まれつき手足の指が6本あり、恵まれない家庭で育った影山博人。彼はとても人の目を惹く容姿をしていて、そして女を抱くのがとてつもなく巧い。
影のある少年だった影山は、男娼を経て、裏社会を牛耳る大物となる。
その影山と関わった女たちが語り部となり