桜木紫乃のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
絵本に纏わる5つの短編集。
さまざまな形で絵本に関わる人々が、絵本を通じて過去と対話し再生する姿を描いている。
絵本は、短いことばでいちばん伝えたいことを表現していると思う。
その1行に込められた思いが、今の自分の心に届いたときに感動し何度も読み返す一冊となる。
そんな絵本を誰もが持っているのだろう。
卒婚旅行〜大人のための絵本読み聞かせに出会ってから絵本セラピストの資格を取得していた妻に読んでもらったのは『ほら、みて』。
なにもない一日〜やや子が朗読する短編小説の話から義母が昔、夫に読んであげた記憶があった絵本が『だいすき だいすき』。
鍵key〜小説家の夫を亡くし、閉店するまで -
Posted by ブクログ
贅沢な列車に、贅沢な名前の並ぶ小説
それぞれの物語がとてもあたたかい気持ちになる
そこに乗車するそれぞれが
何らかの思いを一緒に乗せて旅に出る
誰かを大切に思って
大切な人を誘って
願い叶わなかった列車の旅になっても
「その人を思い出すこと」が供養にもなる
1話目の
さよなら、波瑠/井上荒野
一見、芯もあって強くて…こういう人の気持ちが
苦しくて苦しくてね
思わず感情移入、涙が出た
糸井重里さんの
「帰るところがあるから、旅人になれる」
当たり前なんだけど
そんなふうに考えたことなかったからね
さすがだな、
糸井さんの言葉だな、って思った
静かな気持ちで読めるキレイな本でした -
Posted by ブクログ
アイヌの血を引く孤高のデザイナー赤城ミワ。
人嫌いではないのに、どこか人とは一線ひいているような雰囲気。ひけらかす訳ではないけど、溢れ出してしまう才能。唯一無二の存在であるミワという人物の今、昔…色々な時代が描かれている。
物語は静かに進んでいくのに、奥底に熱い血が流れているような不思議な感覚がした。
「無事に、生きなさい」はアンソロジーで既読。
ミワのモデルとなったのは実在のデザイナー貝澤珠美さん。インタビューを拝見すると、ミワより柔らかな雰囲気で自然体の素敵な方。
アイヌ文化は全然詳しくないけど、単純に作品を見て素敵だなと興味を持った。