あらすじ
下を向いても上を向いてもこの町は銀鼠色だ――
17年前、弟を行方不明で失った松崎比呂は、刑事となって釧路に帰ってきた。その直後、釧路湿原で青い目の他殺体が発見される。先輩刑事の片桐周平と捜査を進めると、そこには激動の時代を生き抜いた女の一生が深く関わっていた。
直木賞作家が放つ長編ミステリー、北海道警釧路方面本部シリーズ第1弾!
解説は新直木賞作家の河﨑秋子さん(『ともぐい』)!
24年5月から桜木紫乃、4作連続刊行! 第一弾『凍原』に続き、6月には『氷の轍』、7月『起終点駅(ターミナル』、8月『霧(ウラル)』と続きます。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
久々の桜木さん作品。相変わらずの暗さが漂う内容で、好みでした。
シリーズ物になるのかな?と思っていましたが、次作はまた別の主人公が活躍するみたい…。
個人的に比呂とリンの関係の続きを読みたいです。
Posted by ブクログ
銀鼠色の湿原の街で起きた時を超えた2つの事件。
17年前に弟を行方不明で亡くした刑事が、
新たに起きた殺人事件の捜査に関わる。
日本人なのに青い目のご遺体。
それを隠すように暮らしていた。
青い目の男性が探していた人は?
捜査上行き着いた1人の女性の過去の壮絶な人生と、青い目の秘密。
そして、弟の事件の交わる時に全てが解ける。
Posted by ブクログ
明日から夏休みと言う日に水谷貢が行方不明になる。釧路は湿地帯が広がり、誰もが考える事は最悪のケースを想定する、姉の比呂が見た最後の人物湿原と言うのは大量に水分を含み、そこに動物人間が落ち込むと出来る事も出来なく成る。姉の比呂と相棒の片桐修平はこの事件とは別に営業の鈴木洋介の死を探っていた。洋介の青い目の事で両親は離婚。母親は死に父親と姉が残っている。主人公の長部キクは樺太でソ連に家族を殺されキクは生き抜く、白い物を色々な色に染め上げる。そのキクの人生も色々な色に染め上げた。十河キクに成りこの釧路は沼地であるので、霧 モヤ が立ち込め上を向いても下を見ても鼠色。そしてあまり自分のルーツを気にしない不思議な土地柄だった。
Posted by ブクログ
戦後樺太から北海道に逃げてきた長部キクの人生と、子供の時に弟を釧路の湿原で亡くした主人公の刑事松崎比呂の人生が、それぞれに関わった人々の人生が絡まって、自動車営業の鈴木洋介の殺人事件の解明に進んで行く。
最後第七章のどんでん返しは想定できないものだった。
文章が自分の中にスッと入ってこないところはあった(その分マイナス1点)が、様々な人々の人生描写や全体のストーリー自体は素晴らしかった。さすが後に直木賞を取った(「ホテルローヤル」)だけはある。ホテルローヤルも読んでみたい。